男が希少な世界で僕は、女っぽい格好してるけど実は男でしたムーブを満喫する 改訂版   作:霧夢龍人

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番外:配信 『めっちゃえろい男の子いた』

 

「みんなおっはよー!我こそはバーチャル界のトップオブビューティー、亀頭(カメアタマ) 女子(オナコ)です!」

 

暗く、入口が閉ざされた部屋の中で、1人の少女が画面に向かって卑猥な言葉を連呼する。

 

この世界に住む男性達が見れば、嫌悪感を催して冷たい眼差しで見つめることは間違いはない。

しかし、そんなことで凹たれるほどこの少女は弱くないのだ。

 

『きちゃぁーー!!』

『毎回毎回名前で笑わせてくるのなんなん?』

『草』

『待ってた!!!』

『黙れ日本の恥ィ!』

 

「ふっ、我が民よ待たせたなぁ!」

 

カーテンから零れる月の光は、時間帯が夜だということを指し示している……にも関わらずハイテンションで喋る彼女にとって、昼夜の時間帯など関係ないのだろう。

朗々と喋る彼女の姿は、まさに天職であるというように輝いていた。

 

「さて、久々に我がリアルライブ配信をしたのはとある理由がある。それは……」

 

『ゴクリ』

『ついにセクハラで捕まったか』

『謝罪会見?』

『ドキドキ』

『……彼氏が出来たとか?』

「↑いや、こいつに限ってそれはない」

 

「……ま、まぁ?確かに我は美しいが?彼氏はまだだな、うん。やめようか、この話は。我が話したいのは別の話だ」

 

と、神妙な面持ちで画面───4Dバーチャルリアリティー空間という、パソコンの画面を見るだけでバーチャルの世界へとダイブ出来る機能が付いている───を見つめる女子(オナコ)

 

その目は真剣だ。

 

『下ネタ以外に話す話題あるの?』

『冗談は名前だけにしてもろて』

『なに?男がいたとか?』

『↑こいつなら存在だけで痴女扱いされるやつだろ』

 

何処か呆れたようなコメントが流れる中、女子(オナコ)は1人公開するように呟く。

 

「いやまぁ、当たってるけどさぁ……めっちゃエロい男の子いた」

 

凪、という単語を知っているだろうか?

意味は風がやんで、波がなくなり、海面が静まることを刺す言葉だ。

 

つまり、荒立てるものがなく静かだということ。

 

今この状況は、まさに凪。いや、嵐の前の静けさというべきだろうか?

 

しかし時が止まったのでは、と錯覚するほどにコメントの流れが止まるが、しみじみと呟いた女子(オナコ)本人はまるで気付く様子はなく、ウンウンとしきりに頷いている。

 

瞬間、爆速とも言える速度で上がるコメントの量。

 

『───いま、なんて?』

『気のせいかな、いや気のせいだな』

『お……とこ?』

『めっちゃえろい?』

『寝言は寝て言え』

『女と間違えたんやろ』

 

「んなっ!?いやいやいや!だって触って確認し……あ、ちょっと今のなし!!!忘れろ!!!」

 

誤って口を滑らせかけた───とっくに手遅れだが───女子(オナコ)は、顔面蒼白になりながらも何とか弁明を測る。

 

そう、この世は大後悔時代。

富も名声も恥も外聞も捨て去った喪女たちによる男の包囲網の壁は薄くはない。

 

つまり彼女は悟ったのだ。

 

自分が他の女(競争相手)にとって、えろい男を見つけ、あまつさえ男であるかどうかを触って確認させて貰えた裏切り者であると。

自分たち喪女を嘲笑う、男に触ることが出来た勝ち組の女であると。

 

喪女連合による裏切り者への報復は数知れない。

中には行方知らずになった者も存在するという噂だ。

 

『録音しました』

『バッチリ聞いたが?』

『どこにいたのかおしえてほしーなー?』

『おーけー、特定したから今から乗り込むわ』

『さよならオナコ、フォーエバーオナコ』

『喪女を敵に回したな』

 

だが時すでに遅し。

もはや女子(オナコ)の取れる手段は1つしかなかった。

 

女子(オナコ)は……彼女は青峰学園の生徒だ。故に、男と触れ合える可能性が他の高校より高いというのが、彼女のモチベーションを常に最高潮にしていた。

故に彼女は、青峰学園生徒会という過酷な機関に属してようとも、耐えられる自信があったし、事実仕事が出来る生徒会役員として、彼女は後輩から慕われていた。

 

しかし、だ。

 

彼女の中で一つの疑問点が浮かび上がってきた。

 

───男おらへんやん。

 

そう、男がいない。

何故か自分の周りには男が集まってこないのだ。

 

当然彼女は生徒会役員として、何度か男子生徒と会話をしたことがあるが、所詮会話。彼女が想像するキャッキャウフフな学園ライフが待っているという訳ではなかった。

 

結果、彼女は決断した。

 

───女でも、いいかもしれない。

 

そうなれば話は早かった。

 

別に男にこだわる必要がないのだから、男に回す余計なリソースを全て割いてより効率的に仕事をこなすことが出来た。

おかげで女子生徒に告白されたことも一度や二度ではない。

 

だが、そんな彼女もこの場においては犬についたダニ以下の存在と化していた。

 

「ヴッ、え、えと……電車でやたらえろい女の子居るなぁと思って、はい」

 

『ほーん、で?』

『女の子?』

『わかる、電車に揺られて眠そうな顔してるやつめっちゃえろいよな』

『そのあとは?何があったん?』

『全部話さないと今から突撃する』

 

男の子の存在は隠しつつ、何とか誤魔化して話す女子(オナコ)

だが世間はそれを許してくれなかったようだ。

 

全て話すまで許さないという確固たる意志を、コメント越しで女子(オナコ)は感じ取った。

 

だが彼女もそう易々と話せない訳がある。

 

自分と同じ青峰学園の制服の後ろ姿だけだったが、最初は彼女もただえろくて可愛い女の子がいるなぁ、としか考えていなかった。

しかし不思議なことに、その女の子に近付けば近付くほど、香りを嗅げば嗅ぐほど、その女の子に近付きたいという気持ちが増していく。

 

本当に、出来心だったのだ。

 

ただほんのちょっと、先っちょだけ触れれば良いと思っていた。

 

だがその想定が早くも崩れ去るとは、数秒前の彼女は思いもしなかっただろう。

身長は恐らく160センチほどで、彼女の方が数十センチほど低かったのだが、ちょうどいいことに女の子の顔が谷間に収まるに気づいた。

 

そこからはもう、お察しの通り。

 

このビッグウェーブに乗るしかないとばかりに、ありとあらゆるところを触り尽くした。そして最後に、彼女の手が股間の位置へと手を伸ばし触れて───彼女は違和感に気づいた。

 

目の前のえろいってレベルじゃないほど頬を赤くした女の子?の股間に、何か入っているのだ。

 

それも、何かあるとはっきり分かるほどの異物。

彼女は混乱した。そして気がつけば脇を擽っていた。

恐らく、彼女は本能的に理解したのだろう。

 

なにか触ってはいけないものだと。

 

脇を擽ってからは、相手は楽しそうだった。

 

『早く早く』

『めっちゃ続き気になるんやが』

『女の子?男の子?どっち?』

『全部話てもらうでぇ、姉ちゃん?』

 

と回想に夢中になって居たら、気づけばコメントが加速していた。いや、総視聴者数が増えていたと言うべきか。

 

最初は1000人ほどだった視聴者が、時が経つごとに50000人と増えていた。大後悔時代、恐るべしである。

 

しかし彼女はそれに気づかない。

 

「女の子だと思って脇を擽って……その子が振り向いた拍子に、自分は男だって言ってたから、かな?」

 

嘘である。

 

実際には、青峰学園のバス停に着いた瞬間に腕を捕まれ、「ねぇ、先輩?」と声を掛けられたのだ。

 

因みに返事は『ふぇ!?は、はいぃ!』という情けないものだ。

哀しいかな、彼女は喪女である因果からは抜けられないようだ。

 

動揺し意気消沈する彼女。

 

しかし相手方の男の子はどうやらあまり気にして居ないようで、むしろ

───「え っ ち ♡」と顔を歪ませてにんまりと耳元で告げてきた。

 

その瞬間、いても立ってもいられず、そのまま『うっ、ご、ごめんなさぁぁい!!!』とバス停へ転げるように降りた彼女。

 

完全に痴女被害者の図である。

 

『えー、それ本当に男?』

『顔見た?』

『いい匂いしそう』

『ぶっちゃけそんだけえろかったら女でもいける』

 

と、反応は様々。

 

「あ、あはは……まぁ、顔もあんまりはっきり見てないから、もしかしたら男じゃないかもしれないね」

 

苦笑い気味でそう答える女子(オナコ)

実際はち○こを完全に触っているので、男だということは分かっているが、顔を確認していないため男じゃありませんようにという願望の方が強いだろう。

 

『まぁ、どっちにせよ突撃は免れんな』

『覚悟しろ』

『非喪女め後悔しろぉぉぉ!!!』

『いけぇぇぇぇ!!!』

 

だがまぁ、何度も言うが世間は許してはくれないようだ。

 

「えぇーーー!?そんなぁぁぁ!!!」

 

キャラ崩壊すら忘れ、ただ叫び声をあげるしかない彼女───鬼頭(キトウ) 女慰(メイ)の受難はまだまだ続くようだ。

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