愛しい香り   作:プロッター

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第1話:慌ただしい休日

 世代交代、という言葉を強く意識するようになった。

 ジェネレーションギャップだとか、時代が変わったとか、その言葉は大人世代が使うものというイメージが強かった。しかし最近、それは誤りだったとオレンジペコは痛感している。

 自分には縁遠いと思っていた言葉を、この年で意識するようになった理由。それは戦車道に他ならない。

 オレンジペコは現在、聖グロリアーナ女学院の戦車道を履修している。その中で自分は、隊長車であるチャーチル歩兵戦車の装填手であり、さらには「ノーブルシスターズ」と呼ばれる戦車隊のトップの1人でもある。

 その「ノーブルシスターズ」は他に2人。隊長のダージリン、そして参謀格のアッサムだ。この2人は3年生だが、オレンジペコは1年生なので、秋口に差し掛かった今から半年ほどでその2人は卒業してしまう。留年すればそうはならないが、それこそあの2人には縁遠い言葉だ。

 兎に角、その2人の先輩が卒業してしまえば、必然的に隊長の席は空く。そして次にそこに就くのは、「ノーブルシスターズ」の残る1人、オレンジペコとなるだろう。

 これは純粋な予想ではなく、そういう話は出始めている。直接オレンジペコがダージリンたちに言われたわけではないものの、そういう空気はでちつつあるのだ。

 

(それが嫌、というわけではないのだけれど)

 

 オレンジペコは、聖グロリアーナの戦車道に憧れて入学した身だ。そこで実力を見初められ、1年目にして「ノーブルシスターズ」の仲間入りを果たし、次期隊長候補にまでなったのは、これ以上とない幸福と言えよう。そして、そうなることは、とても名誉なことであり、オレンジペコは確かにそれが嫌とは思わない。

 けれどこの先、苦労は多いだろうと思う。隊長となれば、今までのような立ち居振る舞いでは不十分だし、やることも考えることも求められることも多くなるはずだ。

 何より、これまでずっと親しかった頼もしい先輩2人がいなくなるという状況に、寂しさを感じずにはいられない。

 だが、その感傷は肩に感じた衝撃ですぐに搔き消えた。

 

「あ、すみません…」

 

 すぐさま謝る。その肩にぶつかった相手は、カップルと思しき若い男の人だった。オレンジペコには目もくれず、連れ立って歩く女の人と一緒に去っていく。

 こういったことでいちいち気を立てても、何の得にはならないと理解はしているが、溜息をついてしまう。悩みと不安が尽きないのに、こういうちょっとした出来事が、余計自分の心を凹ませるのだ。

 だが、いつまでもこんなことに気を取られては、それこそ時間の無駄だった。

 だからオレンジペコは自分の気持ちに区切りをつけ、先を急ぐ。目的の場所は、ここからほど近い場所にある、欧州の民家のようなの外観の店だ。

 

「こんにちは」

「いらっしゃいませ」

 

 扉を開けると、ドアベルが軽やかな音を鳴らす。店自体が個人経営で小規模なのに加え、店主が穏やかな感じなのでついつい挨拶をしてしまう。他の店ではそういうことがあまりないのに。その店主――白い口髭を蓄えた初老の男性――は、気を悪くした風でもなく、オレンジペコににこりと笑みを返す。

 この店に入って強く感じるのは、紅茶の香り。そして目に入る、シックなデザインの茶葉の缶。外観もそうだが、欧風のイメージを損なわないために棚やテーブルは木製が大半で、壁には鳩時計が掛けられている。アンティークという表現を使っていいかは微妙だが、そんな雰囲気がオレンジペコはお気に入りだ。

 この紅茶専門店は、以前学園艦が寄港した際に偶然見つけた店だ。紅茶はもちろん学園艦内でも製造・販売しているが、こうして陸にある店はそれとはまた違った風情があるし、それにこういう雰囲気の店は学園艦にはあまりない。だから、オレンジペコは次寄港した際にまた立ち寄ろうと決めていたのだ。

 

「よろしければお手伝いなどいたしましょうか?」

「ありがとうございます。ですが、お気になさらなずに……」

「かしこまりました。何がありましたらお声がけを」

 

 店主の気遣いをやんわりと断り、オレンジペコは紅茶の棚を眺める。

 ここに限らず、1人で店に訪れるとよくあるのだが、手助けが必要かを聞かれることが多い。それは店員の気遣いであることは百も承知だし、それ自体は別にいい。

 ただ、そうやって声を掛けられる理由のひとつは、オレンジペコ自身の体格と雰囲気によるものだろう。それは自分で分かる。

 オレンジペコの背丈は高校1年生としても低い方だし、身体のメリハリも「控えめ」の一言に尽きる。尊敬するダージリンは「それが貴女の魅力なのよ」と褒めてくれるし、友人知人もそれについては何も言わない。だが、オレンジペコ本人としては、これも悩みどころと言えた。

 身も蓋もない表現をしてしまえば、オレンジペコは未だに「子供」体型だ。だから、こうした店では心配の意味もあって店員が声を掛けてくる。自分はまだ世の中の半分も分かっているか微妙だが、それでも寮生活で自立できるぐらいには成長している。必要以上に子供扱いされるのは不本意だった。

 

「いらっしゃいませ」

 

 ドアベルが鳴る。入ってきたのは、自分よりも年上と思しき青年だ。紺色のカジュアルシャツに黒のデニムと、シックな印象のその服装は大人びているように見える。

 そうして他人の服を見てしまうのも、オレンジペコ自身服装で少しでも自分を上の年齢に見せようと努力しているからだ。ただ、資金に関しては余裕があるのでいいとして、ネックになるのはやはり本来の自分の背丈の低さだ。おかけで、どれだけ服の方向性を大人向けにしたところで、結局は「子供が背伸びして大人の真似をしているだけ」と見られてしまいがちになる。

 

「よろしければお手伝いいたしましょうか?」

「ええと……では、お願いしてもよろしいですか?」

「どうぞ、何なりと」

「実は紅茶を飲んだことがなくて……」

 

 悩んでいたらしき青年に、店主が話しかける。あの青年は紅茶初心者だったらしい。

 聖グロリアーナで過ごしていると、否が応でも紅茶を飲む機会が増える。オレンジペコだって入学前は紅茶など週に1〜2回飲むか飲まないかだったのに、聖グロリアーナは1日平均3回は飲む。そして紅茶の知識もそれに比例して増えていく。特に聖グロリアーナ戦車隊は試合中も紅茶を飲むし、「ノーブルシスターズ」とはいえ最年少のオレンジペコは率先して紅茶を淹れているため、なおのこと紅茶の知識は自然と蓄えられる。先ほど店主のアシストを断ったのは、そういう意味もあった。

 

「そうですねぇ……普段コーヒーや緑茶は飲まれます?」

「あー……コーヒーの方が多いですかね。緑茶も飲みますけど……」

「でしたら、最初はダージリンティーのような香味のあるものを……」

 

 そんな店主と青年の会話をBGMにしつつ、オレンジペコも自分の紅茶を探すことにする。

 様々な種類の茶葉が聖グロリアーナ学園艦では栽培されているため、メジャーなものを買ってもあまり特別感はない。こういう時は、この店独自でブレンドした茶葉などが良いだろう。

 後ろを見ると、一通り説明をし終えた店主はカウンターに戻っている。説明を受けた青年は、棚を眺めはじめていた。彼にとっての最初の紅茶が美味しいものになりますように、とだけオレンジペコは思っておく。

 さて、オレンジペコの目の前には、店の名前を冠したオリジナルブレンドの紅茶が置いてある。いずれもティーバッグで販売されており、一方はダージリンをベースにハーブを数種混ぜたもの。もう一方は、アロエを使った特別なブレンドだ。少し悩んだ末に、オレンジペコはアロエを使ったオリジナルブレンドを手に取る。

 

「お願いします」

「はい、ありがとうございます」

 

 それをレジに持って行き、店主が精算を始める。店の雰囲気にたがわず、使っているレジはかなりの年代物だ。機械でも少しばかり苦しそうな音を発するが、それでも普通のレジと同じように金額が表示され、オレンジペコは料金を支払う。そして店主が、商品を入れた小さな紙袋を差し出してくれた。

 

「ありがとうございました」

「どうも」

 

 店主が恭しくお辞儀をする。老齢なのと、非常に礼儀正しい姿を見て、かっこいいなあと頭の脇で考えながら踵を返すと。

 

「きゃっ……!?」

「おっと」

 

 誰かにぶつかってしまった。

 その直前に視界に入った暗い色合いの服からして、自分の後に入店していた青年にぶつかってしまったのだと気づく。

 同時に、相手が手に持っていた紅茶のパックも落ちていることにも気づいた。

 

「すみません、余所見をして……」

「いえ、自分もぼーっとしてました」

 

 謝りつつ屈んで、その青年が落とした紅茶のパックを拾おうとする。青年も自分の非を認めながら、床に膝をついた。

 そして、その紅茶のパックに伸ばしていたオレンジペコの指先と、青年の指が、わずかに触れ合った。

 

「あ……っ」

 

 それだけで、オレンジペコの中の焦りが、一段階強まる。相手も動揺していたようだが、紅茶のパックに手が伸びるのが早かったのはオレンジペコだった。

 

「あの――」

「す、すみませんでした……!」

 

 そして、拾い上げた紅茶のパックを青年に渡し、相手が受け取ったと同時に頭を下げて店を後にする。

 普段乗っている戦車は、今以上の振動や衝撃に頻繁に晒されるが、人との衝突はほとんどない。ましてや相手は見ず知らずの年上の男性で、指先まで触れてしまった。急なことが続いたものだから、焦ってしまった。

 だからオレンジペコは、相手の顔などまともに認識できなかった。何か言いかけたのは聞こえたが、申し訳なさと驚きで頭がいっぱいだ。

 店を出て、来た道とは反対の方向に速歩きで向かい、大きな公園近くの信号で赤信号に引っかかったところで冷静になる。

 自分はこれでも、聖グロリアーナのお嬢様だ。それがあんなちょっとしたことで一目散に撤退など、「ノーブルシスターズ」の名折れでしかない。もっとちゃんとしなければ、と自分に言い聞かせながら、ポシェットからスマートフォンを取り出そうとして、気付く。

 

「……財布」

 

 仕舞ったはずの財布がない。さっきの紅茶専門店で会計自体は確かに行った。でなければ、今自分は紅茶の入った紙袋を持っているはずがない。

 となれば、恐らくは先ほどの店、またはそこからここまでの道中で落としてしまったのだろう。落とし物などめったにしないし、ましてや財布を落としてしまうなんて。焦り過ぎにもほどがある。全くもって、とんだ休日になってまった。

 そう思いながら、来た道を引き返そうとすると。

 

「あ、いた!」

「えっ……?」

 

 その自分が来た道の先から、ひとりの青年が駆けてきた。その青年は、先ほどの紅茶専門店で見た紺色のシャツと黒のジーンズという装いで、右手には今オレンジペコが持っているものと同じデザインの紙袋。先程自分がぶつかってしまった青年だ。そして、誰に向けて振っているのか分からないその左手には、見覚えのある財布が握られている。

 急な出来事にどうしていいのか分からないでいると、青年はオレンジペコの目の前で脚を止めた。それなりに急いでいたのか、肩で息をしている。

 

「あの、これっ……落としましたよね……?」

 

 そして息を整えた青年は、左手に持っていた財布を差し出してくる。それは確かに、オレンジペコが失くしたと思っていた財布に他ならなかった。

 

「あ、ありがとうございます……」

「さっき、あのお店でぶつかった時、落としていたみたいで……あ、中は開けてません……」

 

 別にオレンジペコは疑ってはいないが、やはり財布という個人情報の入ったものを拾った際には疑われることを青年は覚悟していたらしい。実際、財布には聖グロリアーナの生徒証や戦車の免許を入れていたため、知られるとオレンジペコにとっても都合が悪いのは確かだった。

 

「先ほどはすみませんでした……」

「い、いえ。こちらこそ不注意でぶつかってしまって……」

 

 財布を手渡した後も、青年は律儀に頭を下げる。しかし、元はといえば不注意だったのはオレンジペコの方だったので、その点については謝っておく。

 そうして後腐れがなくなったことで、オレンジペコはどこか安心した気持ちになった。

 それからオレンジペコは、再び信号に向き直る。

 青年は行く方向が同じなのか、オレンジペコの隣に立った。決して友人や恋人のような位置ではなく、一歩離れた位置に。

 その時、ほんの少し奇妙な香りがオレンジペコの鼻孔をくすぐった。

 

「……?」

 

 先ほどまでいた専門店や、聖グロリアーナでよく嗅ぐ紅茶の類ではなく、戦車道で嫌というほど被る硝煙と土煙、鉄の匂いでもない。

 その香りがどこから漂ってくるのかとそちらを向いてみると、その香りの出所は先ほどの青年だった。

 香水ではない、もっと薄い膜のようにふわふわとした香りだ。どこかで嗅いだことがあるような、それともないような、とにかく不思議な香りだった。

 

「……どうかされました?」

「へっ!? い、いえ……!」

 

 すると、当の青年に逆に不審がられてしまった。不思議な香りに当てられたとはいえ、まじまじと見てしまうなど、全く持って淑女とは程遠い。

 そこでタイミングよく、信号が青に変わった。鳥の鳴き声を模した電子音が鳴り始める。

 

「し、失礼しました……っ!」

 

 せっかく何の憂いもなく別れられると思っていたのに、これでは元の木阿弥だ。再度オレンジペコは頭を下げて、いたたまれずに早足で信号を渡る。

 この後は書店で新しい詩集でも、とぼんやりと思っていたものの、今はそれをしなければこの気恥ずかしさから脱却できないと身体が訴えていた。だからオレンジペコは、手早くポシェットからスマートフォンを取り出して、近くにある書店を検索した。心のなかで、青年に謝りながら。

 

 青年は、足早に去ってしまった少女の背中をただ見ていることしかできなかった。

 それと同時に、今までの自分の行動に過ちや落ち度があったかを顧みる。財布を拾って、それを落とし主の少女の下へ届けた。それ自体は大して問題ないだろう。

 だが、冷静に考えてみれば男が駆け寄ってきたら大抵の女性は面食らうだろう。何なら、その場で大声を上げて不審者扱いされてもおかしくない。

 やってしまった、と後悔する。財布が無事手元に戻ったのは喜ばしいが、もし次同じような機会に遭遇したら次はそれを考慮しなければ。

 

「はぁ……」

 

 溜息を吐き、自分の迂闊さを嘆く。

 しかし、それとは別に引っ掛かることもあった。

 

「……あの子、どこかで見たような……」

 

 少女が駆けて行った方向を見るが、既にその姿は見えない。休日で人が多い上に、彼女は小柄だったから仕方ないだろう。

 そして、渡ろうと思っていた信号はまた赤に変わってしまっていた。

 

 

 学園艦は、中学・高校の学区が丸ごと甲板の上にある超巨大建造物だ。その学校に通う生徒や働く教員、場合によってはその生徒の家族、その学園艦内の店舗で働く人を合わせると、乗員は優に千を超える。

 それだけの住人が生活するためには、衣食住はもちろん、インフラ設備も整っている必要がある。食に関しては学園艦内にある養殖場や農園で賄えるが、それ以外はそうもいかない。勿論、それらの物資を搬入し、設備を整備・管理する人員は乗っているのが常だが、それでも最低限だ。

 そして、学園艦が航行するのに必要な動力源や設備もまた、定期的にメンテナンスする必要がある。これもその学校の機関科の生徒たちが担当することもある――ゆえに学園艦を持つ学校の大半は機関科・船舶科がある――が、本格的なメンテナンスを行うには陸の港に停泊する必要があった。

 

『聖グロリアーナ女学院学園艦 定期メンテナンス中』

 

 オレンジペコは、港の電子案内板を流し見しつつ、近くにある駅を目指す。

 現在、聖グロリアーナ学園艦は、本籍地がある神奈川県の港に停泊していた。ここで学園艦の本格的なメンテナンスを1か月ほどかけて行う予定で、その間陸と学園艦の往来は学園艦の住民であれば自由だ。

 停泊は今日で2週間目だが、オレンジペコは先週同様に学園艦を下りて街へ繰り出すことにした。学校と戦車道の練習がある日はそれができないけれど、今日は終日フリーだ。何の憂いもなく出かけられる。

 オレンジペコは、何もアウトドアな趣味を持っているわけではない。ただ、自分にとっては所縁のあるこの地に、折角長い期間留まっているのだから、学園艦の中で1日過ごすのもどうかと思っただけのことだ。

 そうしてオレンジペコは、電車に揺られて一番近い街へと向かう。そこは、かつて外国人居住区として栄えた異国情緒の残る街で、ショッピングストリートが有名だ。

 そして、先週行った紅茶の専門店がほど近い場所にあり、数奇な遭遇を果たした場所もすぐ近くにある。

 

「……」

 

 今も、あの日のことは思い返すだけで顔が熱くなる。自分の不甲斐なさが恥ずかしすぎて。

 電車がトンネルに入り、窓ガラスに自分の顔が映る。尊敬する人や先輩からも「愛くるしい」と評されることがある顔に、オレンジペコは自分の右手を添える。ちゃんとしなければ、と自分に言い聞かせる。

 目的の駅に着いて電車を降りると、人出は相当だった。休日ともなれば、こういった観光地や、それに近い場所にある商業エリアは混むのだろう。そして、歩いている人の大半は、場所の雰囲気もあって、非常にお洒落なファッションの大人だ。自分のような見た目が若干幼い人間は浮いているように感じてしまう。

 その妙な劣等感から逃れるように、オレンジペコは色々な店舗を見て回る。猫のように気まぐれに店に入ったりはせず、店の種類や外観、雰囲気を見て楽しみ、興味を惹かれるお店があれば中へ入るのだ。

 元々外国人居住区だったということもあって、輸入食品や輸入家具など、欧米のものを取り扱う店舗が多い。他には大人向けのアパレル店だったり、カフェや宝飾品の店も多い。オーガニック食品専門店なんてものもある。

 その中に、オレンジペコが興味を惹かれる店があった。

 

「アロマショップ……?」

 

 外観自体は近代的なものの、飾り気はほとんどなく、けばけばしい印象もない。むしろ、余計な装飾を省いたシンプルなデザインだ。外に立ててある看板には、「アロマショップ Graceful」と書かれている。アロマの専門店だ。

 オレンジペコは、この店に入るかどうかを今日初めて悩んだ。ここに来るまでに自分の琴線に触れるような店はなかったが、ここは別だ。他の店と違って主張しすぎないシンプルな外観もそうだが、アロマを専門にした店というのも珍しい。

 それに、オレンジペコはここ最近、戦車道についての悩みや披露などの要因で少し心が乱れることが多く、紅茶以外で何か落ち着く方法はないかと思案していたところだ。アロマにはリラックス効果があると言うし、ここでならそれが見つかるかもしれない。

 意を決して、オレンジペコは「Graceful」のドアを開ける。小気味よい電子音が響き、ふわりと花のような甘い香りが漂ってきた。

 

「……あっ」

 

 だがその直後に、お嬢様らしからぬ声を出さずにはいられなかった。

 

「いらっしゃいませ」

 

 店の奥から出てきた、モスグリーンのエプロンを着けた店員は、まさに先週自分が遭遇した青年だった。




こんばんは。
ここまで読んで下さりありがとうございます。

聖グロリアーナ女学院の装填手・オレンジペコの恋物語でございます。
感想・ご指摘等がございましたら、お気軽にどうぞ。

最後までお付き合いいただければ幸いでございますので、
今回もよろしくお願いいたします。
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