転生弟属性少年エルフ魔法剣士エフリーク   作:扉の無い門の守護者

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 文章練習!文章練習!



愚かなる無能の転生者エフリーク

 

 

 

 日常のとある日、やべえ量の仕事を終え帰宅し、1週間常温保管されていた飯を食って寝た。

 

 

 …ら、転生していた。何を言っているか分からねえと思うが俺も分からねえ。だが原因は分かる。━━飯だ!え?そんなことある?こんな……自業自得で食中毒とか…あり得ないんですけどぉ!!

 

 

 確かに悪かったよ?1週間ハンバーグを夏なのに冷蔵庫にも入れず放置はさすがにないし…。けどあの時はほんとに正常な判断というのがですね…!出来なかったんですよ!デスマーチの最中で踊り狂ってたの…。いや、じゃあせめてトラックに轢かれてひき肉です!にしろよ!こっちの方がまだ面目が保てるだろ!

 あー…もういいや、転生したし、切り替えてこう!もう関係ない!

 

 

「ぅああう…」

 

 

 がしかし、赤子に転生して早2週間、俺は絶望に打ちひしがれていた。

 

 …あここ日本じゃねえ!!!

 

 なんだかぼんやり目が見えるようになった俺には分かる。

 布はなんかちょっとザラいし、木と石の建材で建てられた家だし、機械は目にしてないし、あと土足制!絶対日本じゃねぇ!

 やばい…どこの国?いや、どこの集落ぞ?日本の都会育ちがこんな集落で生きていけるんか?やばいよ、…まあいい、転生したからね!じゃねえわ!ママァ!

 

 

「あら!目が見えるようになったの?」

 

 

 そんなこんなで馬鹿なことを考えていると、開閉式のドアが開き、美しい女性が入ってきた。

 

 銀髪の美しい長髪、麗しさを感じさせる御顔、慈愛の笑み…。その瞬間、俺は本能で理解した。ママァ…!

 いや、今のはキモかったな。けどありがとうございます!ありがとうございます!僕はこの地で生きていきます!

 

 

 我ながらチョロいが、赤子の頃から人生のモチベーションがあって大変よろしい!

 俺、数学できます!化学も生物も少しできます!あなたの笑顔を見るためなら7歳で大学に入る覚悟があります!神童になりてぇ…!

 

 

「あうううああ!!」

 

「おお…なんだかすごく元気ね?こっちは元気すぎて逆に心配だけど…お姉ちゃんは静か過ぎるかな…?」

 

 

 うん?お姉ちゃん?俺は疑問に思い、頭を右に向けた。うわ!?死んでる!?俺の隣にはとんでもなく静かな赤子がいた。え?いつからいたの?…もしかしてずっといた?

 

 

 でも、超嬉しい!俺前世は一人っ子だったから姉がいるのはすごく嬉しい!え?こんなに良い人生頂いても良いんでしょうか?え?良いよ?ありがとう!

 

 

 

 

 

 そんなこんなでさらに一年が経ったある日のこと。日課でバブバブやっている時、俺は気づいてしまった。

 

 ━━あれ?ここってもしかして地球じゃない?

 

 よく考えると、日本ではないはずなのに、俺と母親の言語に齟齬が生じていないし、なんかすごい暮らしぶりが年代逆行してるし、なんか髪の色も……というかさ…逆にここまで来るまでずっと地球だと思ってた俺もすげぇわ。

 

 だってよぉ…!

 

 母の耳……エルフ耳なんだよぉぉ!!

 

 

 エルフ!?すごぉい(語彙消失)。

 

 

 ここから先の記憶はない…。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 ━━は!?な、何が起きた!?ここは…!?

 

 

 ずらっと並んだ料理が丸い食卓の上にあるようにみえる。そしてその席に着いているのは…!!

 

 

「エフリーク?どうしたの?寝ぼけちゃったの?」

 

「……エフリーク?」

 

 

 ぐはぁ!!楽園!!!???

 

 

「エフリーク!?どうしたの!?エフリーク!!」

 

「またやってる……」

 

 

 ぐっ!!意識が……!

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「おーい!おねえちゃーーん!!」

 

 

 はい、俺です。9歳になりました。…え?早いって?

 

 

 おいおい…君たち人間からしたらまだ俺は一歳未満という表現が適切か分からないほどだぞ?この世界のエルフの寿命って何歳なんだろう?

 

 

 いやまあそんなことより、見てよこの美少年。誰だと思う?…そう、俺なんですよ。

 この照り輝く銀髪!若草色の瞳!整った顔!…勝ち組では?おいそこ!ルッキズムとか言うんじゃありません!今は多様性もクソもない異世界だから良いんです!

 

 

「なに?どうしたの?」

 

 

 そして、これ重要なんだが、俺の双子の姉ね。フリーレン様なの…。

 

 ━━え?ここって創作世界なの?創作物転生なの?

 

 本当にびっくりした。けど顔を合わせるたびに姉がフリーレンの顔になっていくの純粋にワクワクしてた。

 

 

「えへへ、これあげる!」

 

「花…?ありがとう。大事にする」

 

「うん!」

 

 

 ん?何?なんか文句あんのか、こっちは弟だぞ!!姉を慕うのはもはや宿命!だからきもいって思わないでね!?

 今の俺は血縁的にも年齢的にも兄弟姉妹!弟!分かる!?弟!!合法なの!

 

 

 それはそうとして、このエルフの村は子供が少ない。いや、エルフって繁殖欲少ないらしいから良いんだけどさ、俺ら姉弟の他に誰もいないの…子供が。教育に悪くない?エルフ舐めんな?ごめんね。

 

 

「エフリークってさ」

 

「なぁに?」

 

「花が好きなの?」

 

「うん!好きだよ!綺麗だし!」

 

「そっか」

 

 

 フリーレン様は普段から会話の回数は多いが内容が続く場合は少ない。弟を想う気持ちは伝わるので家族が嫌いなのではなく、ただ単にそういう性分なのだろう。

 

 

「お姉ちゃんの好きなものはなぁに?」

 

「うーん…魔法かな?」

 

「もー!そればっかり!!」

 

「ふふん、エフリークも一緒にやろうよ。楽しいよ」

 

 だから、俺としてはフリーレン様の、魔法以外に好きな物を絶賛捜索中です。推しの好きな物をリサーチするのは当たり前だよね!

 

 

 そんな俺は齢8歳にて魔法にハマったフリーレン様とたのしい魔法遊びのために魔法を母から教わったのだが、これがもう苦手だった。え?この螺旋はなんなの?魔力の伝導?意味不明。

 

 

 魔法使いってすごいよな。あの意味不明な、それでいてそれぞれ個別の図形の魔法陣たちを全て覚えてるんだから。

 

 

 え?魔法陣は補助?魔法の本体は術式?…うるせぇ!母に『魔法は危険だから魔法陣を覚えようね』って言われたんだよ!

 

 

 俺が覚えているのは精々『物を硬くする魔法』とか言う土団子を石団子に変える程度の魔法だけだ。

 最初に覚えたのがそれだったから、放出魔法を覚えようとした俺は系統別の魔法にもがき苦しんだ。

 貫通魔法?まだこの世にねぇわ!!

 

 

「や……僕はお姉ちゃんが楽しいところを見てるよ」

 

「えぇー、こんなにおもしろいのに……一緒に学びたかったな…」

 

「やります」

 

「え?やるの?」

 

「こほん!教えてお姉ちゃん!」

 

「お、おおー、なんかやる気に満ちてるね」

 

 

 フリーレン様と一緒に魔法を学ぶ。これってもうイチャイチャでは?仲の良い存在にしか許されない秘された楽園(エデン)では!?

 え?そこはヒンメルの場所?いや、今はいないじゃない。え?遠慮なく殺せる?ごめんて。

 

 

「じゃあ、何からしようか?」

 

「え?教えてくれるの?お姉ちゃん」

 

「うん、お母さんは忙しいから、この時間を使ってエフリークの魔法嫌いを直しておこうと思ってね」

 

「わぁい」

 

 

 フリーレン様優しい!好き!

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 この世界はいわゆる異世界というものたが、元の世界と全く違うという訳ではない。その一つの要素が……ブランコだ!!

 

 

 ん?なんぞ?ブランコだよ?あの幼児がよく使うあれ。あれから1年経って、僕は今10歳。前世でいうと小学四年生だ。その頃ってみんなブランコ乗ってたよね?

 

 

 いや、ゲームもなければテレビも無いこの村で暇を潰そうと思ったらこれしかないんだよ。畑仕事とかは魔法で楽チン、税なんて存在しないから僕ら子供は悠々自適に朝から晩まで過ごせるというわけ。

 

 

 まあ、裏を返せば暇すぎるということになる。ん?フリーレン様は、そよ風を放つ魔法でブランコに乗る僕を押してるよ。たまに吹き飛ばされるから気は抜けない(?)。

 僕は強い男になることを誓った。

 

 

「エフリーク…代わって」

 

「どうぞどうぞ!次は僕が押すよ!」

 

「魔法で押してね」

 

「……うん」

 

「?」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 それから更に4年経った。

 

 僕は14歳、フリーレン様も14歳になりました。今日も白い服がお似合いですね。

 けどなんだろう…どこか見覚えがある格好なんだよなぁ…。どこで見たっけ?

 

 

 まあ、良いか。それより僕は最近、筋トレを始めてみた。魔法はフリーレン様のたのしい魔法講座である程度出来るようになったし、やっぱり男たる者、肉体が強いのには憧れるよね!にげろ

 

 

 腹筋、背筋、腕立て伏せ、スクワットなどを朝100回、昼100回、夜100回やる。とりあえずね?にげろ慣れてきたらドンドン増やそうかなと思ってる。

 

 

 けど筋トレばっかりだとフリーレン様が拗ねるから、フリーレン様と魔法で遊ぶ時間は欠かせない。にげろフリーレン様、僕を真似して筋トレしようとしたけどにげろ2日で挫折したんだよね…。

 それからすごく拗ねるようになった。あなたはあなたのままでええんやで(にっこり)。

 

 

「エフリークは何になりたいの?」

 

「え?お姉ちゃんのお世話係」

 

「いや…そんなにお世話されるほどだらしなくないよ…」

 

「んー?将来そうなるかもしれないでしょ?」

 

「いやいやぁ」

 

 

 梅干しみたいな顔をするフリーレン様。いや、今でも結構だらしないと思うよ?

 …というかあれ?何か、すごく大事なことを忘れている気がする。にげろなんだったかな…。

 

 

「お姉ちゃんは何になりたいの?」

 

「私?…私はねぇ━━━━━━」

 

 

エルフの悲鳴

 

 

「「!!!」」

 

 

 背筋が凍える感覚がした。何故だか頭がクラクラして、目眩がする。

 え!?何!?魔物が村に入ってきたの?それとも魔族……の……

 

 

にげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろにげろ

 

 

「!!!」

 

「ど、どうしたのエフリーク。早く家に…」

 

「あ、あぁ…なんで…」

 

 

 思い出した…。なんで…なんで忘れていたんだろう。……この村は魔族の襲撃で滅びることを。

 

 

 瞬間、炎の魔法が村に殺到する。炎が村を侵食していく。悲鳴と怒号が大きくなって、村の男たちが槍を持って走り回っていた。

 

 

 逃げなきゃ、どこへ?どこに!ああやばい!お母さんとお父さんはどこ!?フリーレン様は正史で生き残ってる。安心しろ。ダメだ僕がいる!なにかの手違いで万が一フリーレン様が死んでしまったら!!

 

 

 魔力があちこちから放出される。まるでこの村を囲むかのように。

 

 

「ほう…そこの姉弟、特に姉の方。貴様のその魔力…凄まじいな」

 

「!!」

 

「ま…ぞく…!」

 

 

 やってきたのは鎧を身に纏った巨大な魔族。こいつを俺は知っている。

 バザルト…!でもどうして魔族がもうこんな所に!早すぎる!ああああ!フリーレン様を逃さなきゃ…!いや勝てるだろ。黙れよ!どこに姉を戦いに出す奴がいるんだ!!

 

 

 でも冷静に考えろ。僕が残って何ができる。僕はフリーレン様みたいに魔法の才能は無い。というかフリーレン様の才能が凄まじいのだ。そんな彼女でさえ、あの時の争いで満身創痍だった。

 

 

 ああ、僕は死ぬのか。

 

 

 ならせめて、フリーレン様が生き残るために、僕は雑音にならない場所で━━━━━

 

 

「エフリーク……逃げろ」

 

「お姉ちゃん…?」

 

「あれは私がなんとかする。だから逃げるんだ。知ってるでしょ?私は強いんだ。」

 

「ぁ…」

 

 

 フリーレン様の足は震えている。怖いんだ。彼女はまだ【葬送】ではないのだ。

 

 喉が震えて声が出ない。身体が震えて立つことすらままならない。だが言うんだ。分かったと言え!早く!手遅れになる前に!

 

 

「吾輩は魔王軍の将軍が一人、玉座のバザルト。魔王様の命によりエルフを絶滅させる者なり。安心すると良いそこの少年よ。この村の住人は皆殺しにする。お前もこの地に還るだろう」

 

「エフリーク!!」

 

「あ……分かっ………た」

 

 

 そして僕は無様にも、愚かにも、後ろの森へ駆け出した。

 これは僕への罰なのか。僕はこの襲撃を知ってたはずだ。違和感はあったのに!それを無意識に閉じ込めて、蓋をして!見えないようにしたんだ…。

 

 

 ごめんなさい。みんな。僕はみんなが生き残れないことを知っている。知っていたはずなのに。なのに何も対策せず、気ままに幸せを享受してた。ごめん…本当にごめんなさい。ごめんなさい

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「逃げたか…まあいい。吾輩は本命をいただこう」

 

「……はぁ!!!」

 

 

 フリーレンは魔力の奔流を噴き出した。それは正に威嚇。魔法使いが魔法使いに行うそれは魔族の挨拶みたいなものだ。

 彼女には持ち得る攻撃魔法は存在しない。だから、魔力のゴリ押しで勝負する。

 

 

 一方のバザルトは大剣を構えた。彼は魔法剣士である。魔法と剣を同時に操る、未熟な使い手では扱えない、そんな戦い方である。

 だが彼はそれを認められて将軍の地位を得た。そこまでに並の努力はしていないだろう。

 それが今、フリーレンに牙を剥こうとしていた。

 

 

━━

 

━━━

 

━━━━

 

━━━━━

 

 

 轟音と共にバザルトは大木に打ち付けられていた。死に絶え、魔力の粒子となり始めている。

 勝負はフリーレンの勝ちだった。

 

 

「はあ、はあ…はあ…はあっ!」

 

 

 膝をつく。身体は動けないことはない。だが初めての命のやり取りで精神が消耗していた。

 ふと、あたりを見渡す。静寂に包まれた村。燃える家。戦闘痕が激しく残るが、生命の跡は何もなかった。血痕すら見当たらない。

 

 

「あ…エフリーク……エフリーク探さなきゃ…」

 

 

 絶望に暮れかけたところで、エフリークを逃がしていたのを思い出した。探しに行かなければ。

 だが緊張の弛緩で足腰が立たなくなっていた。足が立たないなら這いずるのみ。彼女は十数m先の裏の森に向けてその身を這いずらせる。

 

 

 いつも大きく口を開けて笑うエフリーク、いつも朝、花をくれるエフリーク、ブランコを大切にするエフリーク。魔法が苦手なのに私のために魔法を覚えてくれたエフリーク、私の大切な…弟。

 

 

「エフリーク…待ってて…」

 

「玉座のバザルト。魔王軍の将軍の1人だな。軍勢を率いて集落を潰しに来たってところか」

 

 

 静寂の村に1人の女性が歩いてやってきた。人間だ。白い布を巻き、橙の髪を揺らしている。そして勝気な性格だった。

 

 

「こいつを殺したのはお前か。そこの死にかけ」

 

「…」

 

 

 尋ねられたのを気にしないように後ろの森に這いずるフリーレン。

 だが気にしないとばかりにナメクジの歩みを見せるフリーレンへと近づく女性。

 

 

「すごい魔力だ。お前、強いだろ?魔族と正面から戦ったのか」

 

「…」

 

「とんだ馬鹿だ。どうして正面から戦いたがるかね。逃げる、隠れる、不意打ちする。戦い方は他にあるだろうに」

 

「…弟を」

 

「うん?弟?」

 

「エフリークを助けてください」

 

「…!」

 

 

 その女性は第二の生存者かと思ったが、裏の森に逃げたと聞いて理解した。生き残りはこの少女含めて1人であると。

 

 

「裏の森に逃がして…それで、エフリークは攻撃魔法も使えなくて…」

 

「それを私に言ってどうする?」

 

「だってあなたは…私より遥かに強い魔法使いだから…」

 

「ほう…しかし残念だ。お前に一つ言わなければならないことがある」

 

「…なに?」

 

 

 這いつくばるフリーレンの前に膝をつき、目線を近づける。そして、フリーレンの澄んだ緑の瞳を見て言った。

 

 

「お前の弟は死んだ。それは魔力探知でも確認済みだ」

 

「…は」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「はあっ…はあっ…はあっ…はあっ」

 

 

 広大な森を駆ける一つの影。それは美しい少年の姿をしていた。彼はたった今、村を焼かれ、同族を殺され、そして最愛の姉を危険に晒して逃亡した畜生だ。

 

 

「…!ごめんなさい…。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

 

 

 贖罪の言葉を唱える。彼は今にも罪悪感に押しつぶされそうだった。

 僕は面倒なことは後回しにする性格だった。1度目の死によってそれを変えようと思ったんだ。けど結局、生まれ本来の性質を変えることなんてできなかったのだ。

 

 

 物語に介入する無能。

 

 

 転生という特権を得ておきながら、未来を知っておきながら、それを拒絶した。全てを拒絶した。

 

 

 僕なら村人を逃すことだってできたはずだ。

 生き残りを増やすことだってできたはずだ。

 自分を強くすることなんて簡単なはずだろ。

 

 

 フリーレンが死んだらおまえのせいだ。

 

 

 涙が流れてくる。自分を下卑する言葉しか出てこない。もう死んでしまえ。お前はダメだ。お前は物語を破壊する害虫だ。

 

 

 正史は必ず変わる。フリーレン様の安否。フリーレン様とフランメの掛け合い。フリーレン様の心。全て変わるのだろう。良いかどうかは分からないが、今、悪い方向へ行っていることは分かる。

 

 

 だから、走る。フリーレン様の邪魔にならないように、物語に関わらないように。

 

 

 そうして走っていると突如、暗い森から岩の放出魔法が飛んできた。

 

 

「ぐっ!?ぁ、ぁあああああああ!!!!」

 

「その身なり、エルフだな。魔王様の命により死んでもらう」

 

 

 岩は僕の肩を穿ち、えぐった。右腕が千切れ飛ぶ。今まで、前世含めて感じたことがないような凄まじい痛みが僕を襲った。呼吸をすることも難しくなり、身体に力が入らなくなった。思考もどこかぼやける。

 

 

 あ…これは死ぬ。もう終わりだ。こんなことなら最期にもう一度フリーレン様を抱きしめておけば良かった。え、やめろ…?ごめん。けど最期に一回くらいは良いと思わない?

 

 

「…ごめん…なさい」

 

岩石を放つ魔法(サドべニール)

 

 

 巨大な岩石が迫る。

 結局、何も成し遂げることは出来なかった。もしかしたらフリーレン様を悲しませることになるかもしれない…。けど、悲しまないでくれたら嬉━━━

 

 

 そして、僕は岩石に押しつぶされて死んだ。

 

 

 

 

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