転生弟属性少年エルフ魔法剣士エフリーク   作:扉の無い門の守護者

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 僕は生まれる前の記憶を持ってるんだ!
 僕は異世界から来たんだ!
 この世界は原作が存在するんだ!

 おそらく世界で一番頭がおかしいエルフ筆頭

 エフリーク!!!



コイツ…ヤバい!!

 

 

 

「ではまずは基礎の基礎…といくところじゃがなんか出来ておるのぉ…何故わしに教えを乞うたのか?」

 

「魔法を…教えて欲しいんだ」

 

 

 ある晴れた昼間。彼らは外で修行をしていた。美しい自然を背景に魔力の制御に努める少年。椅子に座りあくび混じりに話す老人。

 

 

 この少年エフリークは姉から魔法についての一通りの要領を教えてもらっていた。というかそもそもエルフである彼にとって魔力の制御など朝飯前なのだ。

 

 

 エルフの子供を初めて見る老人はそこのところが分かっていなかった。がしかし、ちゃんと少年の実力を理解したようだ。

 

 

「魔法…魔法のぉ…。とりあえず…どんな魔法が使えるんじゃ?」

 

「『物を硬くする魔法』とか『そよ風を放つ魔法』とか『焚き火が長続きする魔法』とかかな…」

 

「…カスみたいな魔法じゃな」

 

「…魔法に優劣なんてないし」

 

 

 フリーレン様は言った。魔法は自由でなければならない。彼女はとても自由な魔法使いになるはずだった。誇れる姉なのだ。

 魔法に上下なんてない。それぞれに用途があって世の中を便利にするものだと彼女は言ったのだ。

 

 

「じゃがお主…魔法を復讐の道具にするつもりじゃろう?」

 

「!!」

 

「いや、悪いとは思っておらん。魔法を学ぶやつなど大体才を見込まれるか、必要だったから学んだやつだけじゃ。お主は後者なのじゃろう?我が弟子よ」

 

「…そうだね。魔族を根絶やしにする。これが僕の根源だ」

 

「魔族のぉ…」

 

 

 確かにそうだ。僕は無限にある魔法の用途を復讐という目的のために使うのだ。それを考慮すれば物を硬くする魔法なんてカスみたいなものだ。

 

 

 どこか、原作に引きずられていたみたいだ。ここは1000年前。戦乱の世だ。魔法は相手を殺すものでなくてはならないのだ。

 

 

「まあ良い。わしがお主を中々イケてる魔法使いにしてみせようぞ?んん?」

 

「…お願いします」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「あー、違う違う。こう、ぐぐぐく!ふぁーーん。じゃ」

 

「ぐぐぐぐぐぐ」

 

「あー、ちょい良くなった」

 

 

 ある時は魔力の隠蔽を教わった。老人は感覚で魔法を使うタイプらしい。何を言ってるのか本当に分からない。教える気が本当にあるのだろうか?

 

 

 そんなことを言っているが老人が言うには僕も感覚派らしいのだ。確かにあの教鞭で僕の魔法技術は少しずつの上達を見せている。

 

 

「解せぬ」

 

「ん?なんじゃ?」

 

 

 

 

 

「おい、弟子なら買い出しに行ってくれんかのぉ?」

 

「え…」

 

 

 またある時は町に買い出しを要求された。あー、そりゃそうか。この老ぼれ爺さんはもうそんなに動けないはずだから買い出しに一苦労だろう。

 

 

 この家には食料の備蓄は存在しないわけではないが、もう雀の涙程度しか残されていない。この老ぼれはどうやって生きていたのだろうか?

 

 

 魔法技術に全く関係ないが行かねば先に老ぼれ爺さんが死ぬ。だからまあ、行っておくのが良いだろう。一応弟子だしね。

 

 

「まあ、もしかしてエルフの方ですか?」

 

「? ええまあ」

 

「えー!私エルフ初めて見ましたぁー!えすごーい!近くにエルフの集落があるそうだけど、なかなかお目にかかれなかったのよねぇー!あ、旅してるんですか?それとも何かこの町に所用でも?」

 

「…あ、うん。この町の郊外に住むことになりました。それでは」

 

 

 この人めっちゃ喋るな…。初めて出会った第一町人はおしゃべりなようだ。ものすごく喋る。

 

 

 というかついて来る。なんか町案内してくれる。前世でもこんなサービスされたことないぞ…。

 すごい便利。見た目か?やはり見た目なのか?見た目なんだろうなぁ…。

 

 

「あの…」

 

「あら?何かしら。あ、そうだ。この町のみんなを紹介しないと!あなたこの町に住むのよね?なら私が仲介してあげるわ!多分あなた…人見知りだろうしね!あ!私の七歳の娘を紹介しましょうか?」

 

「とりあえず、商店教えて…」

 

 

 

 

 

「わし別に寂しくないもん。わしの知らんところで勝手に友達作ってもわしべつに寂しくないし?わし別に友達いないわけじゃないし?息子はいるし…孫もいるし…」

 

「息子さんがいるんですか?出会った初めにいないって言ってたような気がするんだけど」

 

「……そういえばおらんな」

 

 

 爺さんが拗ねた。何故拗ねたのかなんて話聞いてたらなんとなく分かる。数ヶ月前に行った買い出しの時に町の住人と仲良くなったのだ。

 

 

 いや、僕は全然喋らなかったけど、町の住人はみんな人見知りだって勝手に納得して好意的に接してくれるのだ。適当にうんうん言ってたら仲良くなった。エルフの力ってすごい。

 

 

 とりあえずなんか大名行進みたいに町中を連れ回されて色々挨拶回りをした。この辺りでは比較的大きな町のようでこの行進は夕方まで続いてしまったのだ。

 

 

 何故かその場ではバレなかったが、今こうして訪問客によってバレ、すごい面倒なことになった。

 

 

「……若さか。若さなのか?」

 

「多分違うと思う」

 

 

 多分見た目、次点で性格かな。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 爺さんと出会って一年が経った。寒い冬を越し、暖かな春を過ごして、魔法の修行は欠かさずに家の家事を全てやる。

 

 

「解せぬ」

 

「お?なんじゃ?なんか言ったか?」

 

「言ってない」

 

 

 最近は修行より家事にかける時間の方が長くなっているような気がする。そもそも僕は魔法技術を習うためにここにいるのに何故家事を全てやらされているのか。

 いや、爺さんが野垂れ死ぬのは後味が悪いが、それなら今までどうやって過ごしてきたというのか。

 

 

 洗い物をしながら僕は延々と爺さんへの愚痴をこぼした。

 

 

 このままの生活で本当に僕は強くなれるのか。少なくとも英才教育を受けた原作フリーレン様でも魔王は倒せなかったし、七崩賢すらも1人では倒せない。

 

 

 隠蔽の結果かも知れないが、隠蔽中でも強い伝説の魔法使いのレベルに達せるのかこの生活のままでは不安だった。

 

 

 これは……今からでもフランメを探すか?

 

 

「…お主にはまず、魔法の前に心を治してもらわんとのぅ」

 

 

 

 

 

「おーい!エフリーク君!」

 

「…どうも」

 

 

 お師匠と出会って三年が経過したある晴れた日のお昼。僕は十歳になるとある少女と待ち合わせをしていた。

 

 

 なんでもお師匠がお世話になっている宿屋のおばさんが怪我をして動けないのだそうだ。代わりに歳が近くて仲のいい僕が娘さんの買い出しを手伝ってあげることになったらしい。

 

 

 なぜ?僕はそんなこの子と関わりがないはずなのに…。すごく好かれているのは分かるが気まずい…。

 

 

「エフリーク君!まずはどこに行こうかな?」

 

「あー、じゃあ、南地区の売店に行こうか」

 

 

 この子…第一町人の一人娘なんだよな…。あの人にはお世話になりっぱなしだし、ここらで恩を返しておくのも悪くない。

 

 

 今日は一日、付き合ってやるか。

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました!また一緒に買い物しましょうね!」

 

「あ、うん。また機会があればね」

 

 

 つ、疲れた…。まさかこんなに時間がかかるとは…。買い出しのついでに色々なところに行った。中央区の路上売店にレストラン。花屋に靴屋に服屋に武器屋にetc...。

 

 

 結局、買い出し以外に花と服を買った。花を見てフリーレン様への誓いを改めて思い出したよ。

 

 

 そうだ。僕は奴らを根絶やしにするためにここにいるんだ。

 

 

「今日はありがとう。大切なことを思い出せたよ」

 

「…え!あ!うん!こちらこそありがとう!それじゃあまたね!」

 

 

 そういって顔を赤くした少女は僕から逃げるように走り去った。手をブンブン振りながら。

 

 

 僕も帰るか。お師匠の家に。

 

 

 

 

 

「ほれ。魔導書じゃ」

 

「!? うわ!」

 

 

 家に帰るとお師匠が待っていた。そしてその手に持っていた本を僕に投げ渡す。

 

 

 魔導書?これが…魔導書か…。初めて見た。何の変哲のないただの本だな。内容は…まあ、エルフ語だよねぇ。やってて良かったエルフ語講座。

 

 

「そろそろ魔導書の解析もやってみんとな。お主なかなか…まあ普通のやつよりは優秀じゃし、エルフ語読めるからのぉ。よしよし、さすがわしの孫。お主はイカした魔法使いになるぞ」

 

「…頭撫でんな」

 

 

 僕の頭を撫でるお師匠。お師匠は大体身長160cmで、僕の身長は大体145cmなのだ。そんなに身長に差が…あるけど、撫でられるのは精神年齢推定40歳にはちょっとキツい。

 

 

 むむむ。魔導書のこれは攻撃魔法か。攻撃魔法は学んでいて損はない。覚えておこう。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 わしが初めてこやつに会ったのは、ぼーっとしていたある晴れた日のことじゃった。

 

 

「僕の名前はエフリーク。率直で悪いけどさ、お爺ちゃんって魔法使いだよね?」

 

 

 最初は目がガンギマリのヤバいやつじゃと思った。じゃが、わしはこう言う輩など長い人生で幾度となく見てきた。

 

 

 おそらくは自分の暮らしていた村が滅ぼされたとか、大切な人が殺されたとかそんなんじゃろう。その深緑の瞳には巨大な虚空を感じた。

 

 

 恐ろしかったじゃろう。辛かったじゃろう。絶望したのじゃろう。

 そして、何より…憎いのじゃろう。

 

 

 それだけならまだ良い。ただの人類では決して与えることのできない影響というものがあるのだ。

 大魔族の討伐。

 国家の殲滅。

 大魔法使いの殺害。

 選ばれし者にしか到達し得ない究極の頂。

 

 

 じゃがこやつは違う。その身は小さくともその身に宿る魔力はただの人類とは訳が違う。

 

 

 長く研鑽を積んだ才のある魔法使いと同じだけの魔力の放出。天才と呼んでも差し支えない。

 そしてなにより、こやつはエルフだ。永久の時を生きる人類の最高傑作。

 

 

 こやつならやれてしまう。大魔族を滅ぼすことも、国を殲滅することも、大魔法使いを殺すことだって出来るようになる。

 

 

 あまりにも危険すぎる。

 

 

 それにこやつ。無意識に魔法を使っておる。正体は分からない。認識すらできないが、一定量の魔力放出を感知して作動する家の結界がかき消された。恐ろしく強い拒絶の魔法じゃ。

 

 

 それを加味すれば、天才どころの話ではない。この少年は所作からして生まれて100年も経っていないはず。原理を飛ばした感覚だけで現れる魔法で、わしですら認識出来ない魔法は人類体系の原初と同じく、神話の魔法なのだ。

 

 

 まさに人外。人類の領域を超えた存在。突然変異じゃ。

 

 

 順調にいけば英雄になる器じゃが、道を誤れば大災害と化す。

 人生の多くを魔法に捧げたわしでもこやつを殺す算段が付かない。

 

 

「お?エルフか…かわいいのお。ワシも昔はブイブイ言わせておったものじゃ。きっと…」

 

 

 どうする。わしは今、人類の行先を左右する岐路に立っている。そんな気がしてならない。

 

 

 魔法の師となるか?わしに教えられるのか?これほどの才能。いや、まさに異能と称されるほどの歪み。

 

 

 …これは師に連絡するか?いや…師に任せていいのか?

 おそらく師はこの少年を私兵の殺戮魔法使いにするはずじゃ。メディカルチェックなど師がする訳がない。

 

 

 それにわしはすでに弟子を抜けた身。わざわざ連絡する必要などない。魔法を独占する師には出来ないことをわしがやる。

 

 

 これは…この子は、わしが育てなければなるまい。

 

 

「…僕の名前はエフリーク。率直で悪いけどさ、お爺ちゃんって魔法使いだよね?」

 

「ワシは魔法使いではない。ただ魔法を知っているだけだ。ワシは魔法使いだった…?」

 

 

 どうにかして刺激せずにこの少年をわしの保護下に入れなければ…!

 

 

「そっか…お爺ちゃん。僕に魔法を教えてくれない?主に修行とか。どうやれば良いのかさっぱりでさ」

 

「おお、おお、かわいい孫よ。魔法を学ぶのか?なら教えてしんぜよう。じゃが一つ、約束して欲しいことがある」

 

 

 魔法を学びたい…じゃと?それもわしに…?

 こいつは好都合じゃ。わしが導く。わしがお主を歴史に残るほどの大魔法使いに導いてみせる。

 

 

「なに?」

 

「魔法を習っていることは誰にも言ってはならん。帝国がうるさいからのお。そして、ワシのことはお師匠と呼ぶのじゃ」

 

 

 これは争いじゃ。英雄に、そして災害になり得る突然変異の器であるエフリークを賭けた隠蔽工作じゃ。

 

 

 わしの師である大魔法使い…女神に最も近きゼーリエにバレないように、魔法の才人を求める彼女の手先に見つからないようにする。

 

 

 そしてこの少年を彼女の優越のための魔法使いにするのではなく、人類のための大魔法使いに仕立て上げる。

 

 

「ふたつじゃん…」

 

「一つはマナーじゃ。…約束は二つじゃった…?」

 

 

 この戦乱の世を終わらせるのは、魔王をぶっ殺すのはお主じゃ。エフリーク。

 

 

 

 

 

 

━5年後

 

 

「お師匠…僕は魔法剣士になります」

 

 

 おそらく、町の衛兵から剣を習ったのだろう。

 そこにはぼんやりした表情で攻撃魔法をぶっ放し、目にも止まらぬスピードで剣を振り回す少年エルフの姿が。

 

 

「こう来たか…」

 

 

 コイツ…ヤバい!!

 

 

 





 フリーレン世界において、転生者ってそれ自体が特典みたいなものだと思うの

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