転生弟属性少年エルフ魔法剣士エフリーク   作:扉の無い門の守護者

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 バレンタインを根絶やしにする。チョコ苦手同盟に誓って!

 誤字報告ありがとうございました!



魔族を根絶やしにする。弟に誓って!

 

 

 

 暗い、暗い、石造りの空間。そこは玉座の間であった。

 点々と淡い青色の明かりが差すばかりで広い空間を見渡すことが出来ないほどに薄暗い。石畳の床、何かの宝物箱、寂れた柱。

 しかし、一際明るい場所がある。空間の最奥、玉座である。

 

 

 段の上にポツンとある妙に小綺麗な石の座。周りには膨大な量の本が積み重なっており、背後には聖杖の証が彫られている。

 

 

 そこに1人、いや、2人の訪問客が訪れる。1人は橙の髪を携えた女性。もう1人は銀髪緑目のエルフの少女。

 

 

 それを出迎えるのは玉座の主。

 

 数多の弟子を束ねる大魔法使いにして人類最強。女神に最も近き者。

 

 ゼーリエ。1000年後に大陸魔法協会を創設する人類の守護者である。

 

 

 彼女は巨大な椅子に行儀悪く座り、訪問者に声をかけた。

 

 

「久しぶりだな。フランメ」

 

 

 フランメと呼ばれた女性は悠然と床に膝をつく。彼女らは師と弟子の関係だった。

 

 

 隣にいた銀髪のエルフの少女もそれに倣い、床に膝をつく。

 

 

「…」

 

 

 ゼーリエの瞳がつまらなそうに銀髪の少女を射抜くが、すぐに顔を背けフランメに言う。

 

 

「時の流れというのは早いものだな。気まぐれで育てた弟子がもう孫弟子を連れて来おった」

 

 

 どこか不敵な笑みを浮かべたゼーリエが上座を降り、フリーレンに近づく。

 そんな彼女にフランメは少女について紹介する。

 

 

「フリーレンだ」

 

「…エルフか。強いな」

 

 

 おそらく品定めをしているのだろう。ゼーリエはフリーレンをずっと見たまま口角を上げる。

 

 

「気に入った。望む魔法を言うがいい。一つだけ授けてやる」

 

「望む魔法?」

 

 

 魔法を授ける。これは凄いことだ。

 1000年後では一級魔法使いに選ばれた褒美として受けることができるそれを、フリーレンは幼いながらに認められたのだ。

 

 

「私は今までの歴史で書かれた、ほぼ全ての魔導書の知識を持っている。魔法使いというものは、人生をかけて望んだ魔法を探し求めるものだ。…それを言え。私が授けてやる」

 

「………要らない」

 

 

 ゼーリエは驚いたような表情を作ったが、すぐにニヤリと表情を変化させる。

 

 

「魔法は探し求めている時が一番楽しいんだよ」

 

 

 しかし、この言葉で彼女はまたつまらなそうな顔になる。

 

 

「フランメ」

 

 

 咎めるような声。

 フリーレンの返答に強い魔法への野心を期待したが、魔法をただのお遊びだとでも言うようなフリーレンの言葉は彼女の心を強く落胆させた。

 

 

「やはりダメだこの子は。野心が足りん。燃えたぎるような野心が」

 

「先生」

 

 

 会話の流れの最中、ずっと笑みを浮かべていたフランメが立ち上がり言う。

 

 

「この子はいつか魔王を倒すよ。きっとこう言う魔法使いが平和な時代を切り開くんだよ」

 

「私には無理だとでも?」

 

「戦いを追い求める貴方には魔王を殺せない。私たちじゃ無理なんだよ。…だってさ先生、平和な時代に生きる自分の姿が想像出来ねえだろ?」

 

「…」

 

「フリーレンは平和な時代の魔法使いだ」

 

 

 判断材料はフリーレンの言葉のみ。しかしフランメは誰よりも確信していた。

 

 

 平和な時代の魔法使いこそがこの戦乱に満ちた時代を平和に導くのだと。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「はぁ…そうか。それで、フリーレン。お前には魔法を極めて何としてでも成したい事はないのか」

 

 

 これは最後の慈悲だ。私が課す本当に最後の問い。

 目の前のフリーレンはそれを聞いて、答える。

 

 

「魔族を…根絶やしにしたい。集落を襲い、弟の命を奪った魔族が…憎い」

 

 

 退屈に細めていた目を開く。私は気づくとニヤリと笑っていた。

 

 

「ほう…なんだ、あるではないか。闘争心というものが。さすがのフランメも平和ボケしている輩を連れてくるわけではないということか」

 

「先生」

 

「ああ、それは分かっている。しかし弟か…。さぞかし優秀だったのだろうな。まだ幼い姉でこれだ。魔法の才があったに違いない。どうだ。やはり姉弟であれば魔法の素質も同じに近いのか?」

 

「いや…エフリークに魔法の才はなかったはずだよ。だけど…小さな頃は魔法の才に溢れていたと母が言っていた」

 

「は?何を言っている。私をからかっているのか」

 

 

 魔法の素質…分かりやすいもので言えば魔力量というのは生まれつきのものだ。修練鍛錬で伸びることはあっても減ることはあり得ない。

 

 

 つまり、目の前の少女はこう言ったのだ。『弟は歳を重ねるにつれ、魔力量が減っている』とな。だがおそらくこれには表現に問題がある。より正確に言うならばこうなるのだろう。

 

 

 魔力器官の成長を鑑みれば、この子の母が赤子であるこの子の弟を天才と称するほど、弟は魔力が抜きん出ていた。

 

 

 しかし、歳を重ねると年齢に相応しいほどの魔力量へと収まっていき、魔法の才が無くなったのだと誤解した。母からすれば0歳の息子は天才だったが、10歳の息子は凡夫へと成り下がったのだろうな。

 

 

 本来であれば、全く信用に値しない。

 

 

 だが嘘をついているようにも見えない。

 仮に真実だと仮定すれば、それは私が歩んできた今までの長き生の中でも認識したことのない現象だ。

 

 

 知りたい。

 

 

「つまりなんだ。お前の弟は幼い頃、お前と同じだけの素質があったが、歳を取るにつれその素質が失われていったと?」

 

「うん」

 

「ふん…なるほど」

 

 

 このパターンは初めてだが、稀に人類には『異能』と称されるほどの才能を持った存在が生まれてくる。

 

 

 剣舞の才しかり、芸術の才しかり、そして魔法の才などがそうだ。

 

 

 フリーレンの弟はこれに属していた可能性が高い。本当に稀だが、そういうものは今まで無かった訳ではない。

 私もこの目で見たことは何度かある。

 

 異常に多い魔力量を誇る者。

 見た魔法を感覚で模倣する者。

 誰からも教わっていない魔法を幼いながら使い始める者。

 

 そも、人類の魔法体系の始まりもこの突然変異であるとされているのだ。

 

 

「…お前の弟を逃したのは痛いな」

 

「? 何故?」

 

「…まあそんなことはもうどうでもいい。死んでしまった者は私でも掬い上げることはできんからな。…いや、案外どこかに生き延びているかもしれんな」

 

「…! それは本当…ですか」

 

 

 魔法は素質を持つものだけが所有すべき力だ。聖典の魔法も、魔族の魔法も、同じようなものだ。

 

 

 今や神話の魔法が失われて久しい。魔族と名付けられた魔物も人型へと進化している。人類も急速に発展を遂げている。

 

 

 私は大魔法使いであり、そして1人のエルフだ。進化とは無縁の優生種。そこへ現れた突然変異。

 

 

 私も変わらねばならないのかも、しれないな。

 

 

「…確約は出来んが、私の予想通りならイレギュラーが発生してもおかしくはない。そう、人類を超えた魔法なんかを扱えるのならな。まあ、荒唐無稽な話だ」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「エフリーク、我が弟子よ。お主、気づいておるか分からんのだが敢えて問おう。その魔法は何なんじゃ?」

 

「????」

 

「うむ、分からんという顔をしておるな。わしにも分からん」

 

 

 わしとエフリークが出会ってもう5年の歳月が経った。

 師弟としてなかなか良い関係が築けただろうからそろそろその自動展開してる拒絶の魔法について探っていこうと思う。

 

 

 とりあえず、エフリークに聞いてみたがしわしわ顔になった。多分自分でも分からないのだろう。

 

 

「お主はな、どんな時も常時、魔法を使っておるのじゃ」

 

「……? 魔法を?僕が?」

 

「そうじゃ」

 

「…………ほんと?」

 

「ああ。拒絶の魔法じゃ。最近は初めて出会ったときほどのプレッシャーは感じんがな」

 

 

 今もなおエフリークの周囲を覆うように展開されるこの魔法は少なくとも出会った当初はどんな魔法をもかき消すほどの出力だったが、今は精々見習い魔法使いの魔法を無効化する程度じゃ。

 

 

 これは…わしのメディカルチェックが効いたのか。それとも何かエフリークに異変でも起きているのか。

 

 

 長くを魔法に費やしたわしでも初めての魔法…いや、これはもはや原理不明の『呪い』と言っても過言ではなかろう。

 これをどうにかコントロール出来る状態へと持っていきたいところなのじゃが…

 

 

 わし感覚派の魔法使いじゃからなぁ…

 

 

「まあ良い。では我が弟子よ。魔法を教え始めて早5年。ちと不安だがそろそろ実践と行こうか!」

 

「実践…なにするの?」

 

「なに、簡単じゃ。━━━━━魔族狩りじゃよ」

 

「へぇ…!」

 

 

 

 

 

「魔族とは、魔物の一種である。死ねば身体は魔力となって散り、何も残ることはない。やつらに報復という概念はあっても同族を心配するといった心を持ち合わせてはおらん。つまり何が言いたいかというと、遠慮なくぶち殺して良いということじゃ」

 

「魔族は根絶やしだ」

 

「うむ、その通り」

 

 

 町から離れていくこと数十分。僕らは話し合いながら森の奥地を歩いていた。

 なんでもここらで魔族が現れたんだとか。

 

 

「エフリークよ。良いか?魔族と戦う時は決して人型からかけ離れている者と戦ってはならぬぞ」

 

「あー、あれだよね?人型から離れている魔族は古い魔族である可能性が高いんだよね?」

 

「そうじゃ」

 

 

 何気に初めてじゃないかな。魔族と戦うのは。今までは町で魔法の修行したり、衛兵やらたまに来る騎士と剣振り回したりするだけで命を賭けた争いというものをしてこなかった。

 

 

 それではやはり強くなれない。僕は魔族をたくさん殺さなきゃいけないのだから実践は大事だよね。

 

 

 そうして歩くこと数分。

 

 

「エフリーク…あれだ。あれが魔族だ」

 

「あ、ほんとだ。角がある」

 

 

 林の中の岩に座る一つの人影。少女にも見えるそれははっきりと人間と言えるほどに人間の形を保っていた。

 

 

 しかし、その頭には白くて小さな角が生えていた。

 

 

「うむ、生まれて精々二桁じゃな。エフリークよ。お主が一人で倒してこい。危なくなったら援護する」

 

「らじゃー」

 

 

 そうして、僕は草むらから抜け、魔族の背後に出る。

 魔族の少女は僕の存在に気づいている様子だった。座っていた岩から立ち上がり、こちらを向く。

 

 

「少し、お━━━━━」

 

「初めまして、僕の名前はエフリーク。死ね」

 

 

 剣を素早く手から出し、『高速で移動する魔法』を発動。狙うは相手の…首!!

 

 

「ちょっ━━━━」

 

 

 目で追うことすら難しいスピードで駆け、そして首を断つ。

 対話をしようと試みた魔族はその隙が命取りとなり、何も喋ることなく魔力の塵となった。

 

 

 僕は剣を消して、少し遠くになったお師匠の元へ戻る。

 

 

「どう?良い感じだった?」

 

「ああ!完璧じゃ!魔族の対話をも逆手に取り、迅速に急所を断つその手際…じゃないわボケが!!わしは魔法使い!お主は魔法使いの弟子!なんで剣で勝負しとるんじゃ!」

 

「? 一応魔法も使ったよ?」

 

「魔法だけで戦えというとるんじゃ!というかその剣どこから出した?」

 

「手から」

 

 

 ええ…。なんかすごい怒られるんだけど…。いやまあ、魔法使いの弟子が剣使ってどうすんだって話しだけどさ。

 

 

 じゃあ、とりあえず剣は封印しとこう。うん。それが良い。高血圧で倒れられる前に従っておこう。

 

 

「というか、今朝言及したお主の周りの魔法は操れんのか?」

 

「え、無理かなぁ。たしかに僕の周りの何かを司る部分がオンになっている感覚はあるけど、オフにするにはどうすれば良いんだろう?」

 

「オフにか?……魔力欠乏が適切なんじゃが、お主を魔力欠乏にさせるのは一苦労じゃろうな。封魔鉱に頼るのも一手じゃが、あれくそ高いからのぉ…」

 

 

 お、おう。お師匠から哀愁が漂ってくる。何か昔にあったのかな…。

 

 

「ま、まあとりあえず件の魔族は討伐したんだし帰ろうよ」

 

「…そうじゃな。不本意な形ではあるが、実戦で大きな傷もなく大金星をあげたお主を祝うパーティをしないとな。町の人達…特に宿屋の嬢ちゃんあたりを誘うとするか」

 

「パーティか…。別にそんなことしなくても良いのに」

 

「お主は弟子である前にわしの孫みたいなものじゃ。孫の成長を全力で喜ぶのは老ぼれの特権じゃろうて」

 

 

 や、優しい…!これからももっと魔族ぶっ殺そう。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「すまないな、フリーレン。先生は気難しい人でな。あれでもお前を慰めているんだ」

 

「…いや、いいよ」

 

 

 2人は街の人だかりの多い大通りを歩いていた。売店の売り子の声。人の雑多の音。賑やかなヒトの棲家。

 

 

「それよりも、今日は修行しないの?」

 

「…いや、するさ。修行は1日も欠かさねえ」

 

 

 フリーレンは強い子だ。魔王軍に集落を襲われた時も、1人勇敢に立ち向かい、ゼーリエに弟の話題を出された時も取り乱すことだけはなかった。

 

 

 エルフの時間感覚が人とどれだけ違っていても、親しい人の死はどれだけ経っても悲しいに決まっている。

 

 

「フリーレン。お前は強い子だ。人としての痛みを知り、乗り越えようとしている。それがただただ私には眩しいものとして映っちまう」

 

「どうしたの、先生。煽てても何も出ないよ」

 

「お前はこれからどんどん辛い経験をするだろう。誇り高き魔法を愚弄するような戦いを強要する私を恨んでくれても良い。私はお前をそう思えるよう教育しよう。だがな、私がお前と接したこの時間はいつか必ずお前の役に立つ。」

 

「…」

 

「いつか、お前が魔王をぶっ殺せるようになるように、私がお前を導いてやる」

 

「…慰めてるの?」

 

 

 いや、こんなものは慰めにもならねぇ。それは私が一番良く知っている。ただ私は、お前の行く末を素晴らしいものにしたいだけだ。

 

 

 お前に私を重ねているのかもしれない。私も復讐は諦めていないが、私では決して到達できない領域だ。

 

 

 だがお前ならできるのだろう?フリーレン。永遠を生きるエルフの寿命なら、いつか七崩賢に、魔王ににすら到達するかもしれない。

 

 

 悪いとは思わない。お前の幸せがどんなものかは分からないが、お前は魔族を憎んでいる。いつかお前が魔王を殺す最大の牙になるよう、お前が弟の仇をぶっ殺せるよう、お前を導きたいだけだ。

 

 

「慰めなんかじゃねえ。もっと利己的で、人間らしいものさ」

 

 

 





 全部この拒絶の魔法が悪いんです…
 記憶力がゴミな理由はのちのちこれで片付きます。

いつか(すぐ)来るエフリークの旅路について

  • 一人孤独に旅しろや!!
  • あれは…クラフト!クラフト様じゃないか!
  • 大魔族!大魔族!大魔族!大魔族!
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