転生弟属性少年エルフ魔法剣士エフリーク 作:扉の無い門の守護者
アンケート三国時代の睨み合いから大魔族軍一強時代が到来した。
今回は暗い話です。
この作品の暗い話は多分、これと次で終わりです。
僕とお師匠が出会って10年が過ぎた。だが僕とお師匠はその間ずっと魔法の修行をしていた訳ではない。
あのジジイは僕に事あるごとに厄介ごとの対応をさせたのだ。
ある時は酒代の未払いによる金取りがやって来たり、ある時は医者にかかるのが嫌で逃げ惑い、またある時はフラフラと迷子になる。
一番頭に来たのは僕を忘れた事だ。認知症か!!休め!!
「じじ…お師匠。これ解読してみたけど…どう?」
「はぁぁあ、この程度の魔導書の解読に3年もかけるとはな……ん?お前誰じゃ?」
「僕だよ!?エフリーク!君の弟子だよ!?…あとさ、1日だよ!?何ぼけてんの!?」
けどまあ、なんだかんだ言って楽しかったのは事実。民間魔法も攻撃魔法もある程度なら使えるようになってきたし、中々成長してきたと思う。
相変わらず僕の周りに展開されている魔法は制御が効かないが、お師匠が名前を付けてくれた。
名を『
原理不明の魔法だけど僕のオリジナル魔法なら名前がいると強くオススメされた。
ここ三年間、この魔法を研究、実践したが中々使えなかった…。魔族の魔法は貫通するし、質量攻撃には無意味だし。
お師匠はこの魔法が本来の力を発揮すればどんな魔法も無効化すると言っていたけど、慰めにしかならねえよなあ!
説得力に欠けるんだよな。
……今思えば楽しい時間だった。本当に楽しかった10年だ。あぁ、それでもやはり、エルフと人間は時間の流れが違う。
お師匠の身体は限界だった。
「お師匠、死ぬんですか…?」
「……あぁ」
「……よく持った方ですよ。僕のために生きててくれたんですか」
「…ああ」
お師匠はもうベッドから立ち上がれないほど衰弱した。対して僕は10年前と全く変わらない姿のままだ。エルフの寿命は全生物の中で最も長いのだ。
「…わしのかわいい弟子よ。わしを看取ってくれるのか」
「…まあ、そうなるかな」
「そうか…。ありがとう」
それから僕たちはいろんな話をした。
魔法の暴走で町の一角を吹き飛ばしたこと
拒絶の魔法は結局、制御出来ていないこと
お師匠が不敬罪で斬首になりかけたこと
僕が町の子に告白されたことなど、かなりどうでも良いことを話した。
「あぁ、怖い。死ぬとどうなる。女神様の元へ行くのか。それとも消えてなくなるのか。ああ、ぁあ、ああ」
「大丈夫だよ、お師匠。人は死んだらみんな
「あぁ、ああああ、嫌じゃ。今やっと幸せを手に入れたのに、もっと、もっとわしは」
「『
泣く気はないけど、泣きたくなるかもしれないからちょっとした魔法をお師匠にかける。
『
ここに来て三年ほど経った時、悪夢ばかり見ていた僕にお師匠が毎夜かけてくれた魔法だ。
「あ…お?」
「気分はいかがですか?」
「…すまんの。ワシも長くはないということか…」
「…笑えないよ」
外は暗いままだ。夜はまだまだ明けることはない。何故だか今日はすごくこの生活の思い出が溢れてくる。
僕は姉を、村のみんなを見殺しにした畜生だ。そんな僕がこんなに楽しい時間を過ごしてよかったのだろうか。
お師匠は死ぬのだろうか。あと200年くらいは生きていて欲しい。それほど僕はこの生活になにか強いものを感じていたのだろう。
「お主だけが心残りじゃ。わしではお主を救えなかったというわけか…」
ははは。
『
それから一年たった。お師匠はまだ生きていた。なんでやねん。
「おお、おお、わしのかわいい孫よ」
「ねぇ、それってさ、もしかしてわざとやってる?」
「はて?なんのことじゃ?」
「いや、ここ一年ずっとそれから始まるじゃん。なんかもう怖いよ。執念の賜物だよ」
「お?お主は…わしの孫か?」
「会話が通じねえ」
ずっと、ずっと、同じことを繰り返している。まあ、それでも良いんだけどね。ただ元気でいるだけで、それだけで良いんだ。
お師匠はずっと寝込んだままだけど、一年前より元気になっていた。なっていたんだ。
ノックが鳴る。
「し、失礼します。エフリークさんはいますか…?」
「はーい、どうぞー!」
訪れてきたのは1人の少女。今年で18歳。僕が町に来た時はまだ7歳だった子だ。ちなみに僕はこの子に告白されたことがある。
「エフリークさん。体調はいかがですか?」
「体調?…あぁ、お師匠なら今日も喋るくらいの元気はあったよ。まあ、全然立てないけどね」
「……!……はは、そうですか」
「どうしたの?なんか泣きそうな顔してるよ?嫌なことでもあった?聞かせてみ?」
「……」
その少女は決壊したとばかりに泣き出した。可哀想に、誰かに泣かされたんだろう。なら解決の助けになっちゃいますか…!仲の良い友達だからね。
そう思っていると目の前の少女は震えた声でこちらに口を開いた。何かを懇願するような、そんな声だった。
「外に出ましょうよ。エフリークさん!」
「え?なんで?急だね」
「良いから!」
なんだかすごく急かされる。なに?魔物でも出たの?それとも魔族?だけど…
「けど、無理だよ。ごめんね。お師匠の面倒見なきゃだから」
「…!ごめんなさい!ごめんなさい!私があの時、あんな…あんなこと言ったから!」
「…えぇ?なんのこと?」
なんかすごい意味深なこと言うじゃん。え、怖すぎるんですけど。えなに?僕なんか君にされたの?身に覚えがないんだけど。
「あなたのところのお爺ちゃんが言ってました。あなたは心に傷を抱えてるって…。わたし…それがどんなものか分からずに……!」
「えちょほんとに分からないんだけど!え?並行世界から来たの?話が通じない」
「お願いします。少しだけで良いんです。私と一緒にここから出てください!」
「えぇ…なんか怖いよ」
こんなに言われるんだったら出ても良いんだけど…僕が外に出るのがそんなに重要なの?じゃあ、出ても良いかな。なんかこの子に悪いし。
『冗談はやめてよ。揶揄ってる?お師匠』
…??何か…ある?ダメだ。やっぱりダメだ。外に出ると思うと震えが止まらない。
「…やっぱり無理だね」
「本当にですか…」
「えぇ…うん。まあね?」
「そうですか…」
僕の返答を聞いた少女は何か決意を決めた顔でそう言った。君さっき泣いてたんじゃないの?
そしてそのまま少女は隠し持っていた石を窓に投げた。ガラスが割れる音が響きながら、石は建物の外へと飛んでいった。
おいおい…なにやってんの?
「は?何やってんの?」
「あなたは幻影に取り憑かれてるから…こうするしかないんです。何もない家に入るまでに一年もかかりました。これまでは何かに阻まれる様に家に入れなかったのに、入れるようになった。あなたももう本当は気づいてるんでしょう?」
「………何がだ…!」
頭がぼんやりする。おかしい。何かがおかしい。違う。
そして数瞬後、ドアから武装した町の人達が現れた。
「エフリーク!」
「そこをどけ!!」
「お前の相手はおれだぁぁあ!」
「エフリーク!」
「いつまでも逃げてんじゃねえぇぇぇ!」
「は?」
そうして僕は町の人達に取り押さえられた。意味がわからない。え?こわ…。冤罪かけられてる?もしかして。
「あの!?冤罪なんですけど!?」
「おい!早く封魔鉱を!!」
「おいこれ高かったんだぞエフリーク!!」
「まじでなんなの!?お前らは!」
痛い痛い!!強く抑え過ぎだって!何?…えこわ!!槍とか持ってるし!え?殺されるとかないよね!?やばい、拘束から抜け出す魔法とか知らないよ!?たすけて。
「おい!見つけたぞ。変人爺さんだ!」
「早くやれ。抑えてるあ━━━」
「は???」
お師匠に…なんだって?
殺すぞ。
「ぐぅぅぅ!!」
「もっと抑えろ!」
「エフリーク!!お前、終わったら覚えてろよぉ!!」
「お師匠に何かしてみろ。殺してやるぞ!!!」
「いいから早くやれ!」
まずい…お師匠に槍を向けてる。待て待て待て待て。ふざけるな。なんなんだお前らは!僕の邪魔をするなぁ!!!
そのまま拘束されていた僕だが、目の前で槍がお師匠に刺さろうというところで拘束が緩んだのを見逃さず、力を込めて抜け出す。
「ぐぅ!?待てエフリーク!」
「やめろおおおお!!」
がしかし、一歩遅かったらしい。槍はお師匠の胸に突き立てられた。僕の目の前でだ。…ころしてやる。
…ふざけるなよ。人を殺して何がしたいんだ。魔族の手先か何かか!いや、そうに違いない。こんなニンゲン…害にしかならない。生きる価値なんて無い…!殺さなきゃ。殺してやる殺してやる殺してやる!
「お師匠!!くそ!あぁぁぁ、ぁああああ!くそ!くそ!回復魔法…回復魔法使わなきゃ…聖典…くそ!」
僕はお師匠を抱えようとして抑えられた。床に打ち付けられる。魔法を使おうとして封魔鉱を押し当てられる。
瞬間、世界が揺らぐ。
「くそがぁ!!殺してやる!!お前ら全員ころしてやる!!!」
「おい!やめろ!まだ分からないのか!!」
「まあ待て……今なら大丈夫かも知れない。エフリークよ。ゲハイムニスの爺を見ろ」
そう言って偉そうなゴミが話しかけてきた。多分町長とかそんな人だと思う。何回か顔を合わせたことがある。
そして僕はゴミの命令により一度解放された。そのままゴミの言葉に従ってお師匠を見る。
「おぉ、わしのかわいい孫よ」
「お師匠!!無事ですか!?」
お師匠は生きていた。僕に語りかけてくれた。まだ生きている。
「…馬鹿な。魔法は使えないはずだ」
「これは…重症ですね…」
「…すまん…俺こういうの見てられないんだ」
何を言ってるんだこのゴミたちは。…そういえばこいつらを殺さないとな。
そうして僕が魔法を練り上げ始めると、先ほどまで展開に取り残されていた少女が鬼の形相でこちらに歩いてきた。
「お、おい。何をする気だ?」
「説得です」
「いや、お主その顔で説得は信用が━━━」
「説得です」
「いや、オイ…」
少女が腕を振りかぶる。
「こんのぉ!馬鹿がァァァ!!」
「ぐあ!?」
気がつくと僕は少女にぶん殴られていた。
は?意味がわからないんだけど。殴りたいのはこっちだよ。そんなに殺して欲しいのか?
胸ぐらを掴まれる。頭に血が回った僕は目の前の少女を殺そうとして、少女が泣いているのに気がついた。震えた声で言う。
「いい加減逃げんな!まだ分からないのか!もう一年だぞ!」
「は…何を━━」
「分からないなら私が言ってやる!この爺さんはな!」
予感。ああ、聞いちゃいけないやつだ。ダメだダメだダメだ。それ以上先は言うな。僕に現実を突きつけないでくれ!夢が見たいだけなんだ!!
「一年前に死んでるんだ!!」
衝撃。認識が崩れ落ちる。魔法のベールが解けて消える。
「…お師匠、う、そだ、よ、ね…?」
「おお、わしのかわいい孫よ。何を言っておる?」
あぁ…これは…
「…まって」
「わしはとっくに死んでおるぞ?」
……そうだ。槍を刺されて生きてる人間なんていないんだ。
お師匠の顔には骨が見えていた。
目の前が真っ暗になった。
▼▼▼
「呪いが…解除された」
町から離れた高原に、一人の女性がいた。目にする人がいれば少女に見えるソレは密かに笑う。
3年前にこの地に現れ、今の今まで町を観察していたソレは、3年前に定めた獲物をずっと待ち続けていた。
老魔法使いが消える時を
少年が弱る時を
呪いが解ける時を
待ち続けていた。
「狩りに行かなきゃ」
その額には黄土色の角が生えていた。
絶望する少年はかわいい。万病に効く。
拒絶の魔法は魔法的攻撃、物理的攻撃、精神的攻撃全てに対応しております。記憶もリセットできます。
エフリークは5歳の時にこの魔法に目覚め、都合の悪い記憶、苦しい記憶、消したい記憶をだんだんと消されていきました。襲撃の記憶はフリーレンをフリーレン様と認識したあとに消えました。
いや、だってタグに現実逃避主人公ってあるし、前世の死因1週間放置した食べ物を食べたことだし、ねえ?納得してください(懇願)
ここからフルスロットルでカオスになります。戦闘全然描写してなかったからね。やります。
いつか(すぐ)来るエフリークの旅路について
-
一人孤独に旅しろや!!
-
あれは…クラフト!クラフト様じゃないか!
-
大魔族!大魔族!大魔族!大魔族!