転生弟属性少年エルフ魔法剣士エフリーク   作:扉の無い門の守護者

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 主人公がどうなっても良い…!(おっけー)
 評価がどうなっても良い…!(良くない)

 けど!自分の癖だけは絶対押し通す!!(エアプシ○ジ君)

シンジ君はよく絶望顔するので好きです。



魔族、襲来

 

 

 

 それは一年前のことだった。

 

 

「え?ゲハイムニスさんが亡くなった?」

 

「そうなのよ。もうお歳も重ねていらっしゃったから…。エフリーク君はもう半日も家から出ていないそうよ。大丈夫かしらねぇ」

 

「エフリーク…さん!」

 

 

 この町で一番の変人ゲハイムニスさんが亡くなったというニュースは瞬く間に町中に広がった。

 

 

 それもそうだ。以前の彼ではあまり話題に挙がらなかっただろうが今は件のエルフがいる。

 

 

 突如この町に現れ、この町の住人の心を奪ったエルフの少年。その名はエフリーク。

 

 

 彼は人見知りだったが、どこか人を惹きつけるオーラがあった。その美しい髪が、その尖った耳が、その鬱々とした眼差しが人類を惹きつけてならないのだ。

 

 

 そういう私もその1人。エフリークさんに一目惚れした普通の少女である。これでも私は10年近くも彼と親交を持っている。

 それはひとえに母がこの町で初めて彼と会った住人だからだ。

 

 

「お見舞いに行かなきゃ…!」

 

 

 だからこそ、私は彼のところへ行かなければならないのだ。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 その日は、雨が降っていた。

 

 

「エフリーク…さん」

 

「…」

 

 

 ゲハイムニスさんの家は不気味なほど静かだった。ここ10年の間ずっとどんちゃん騒ぎだったここは今は見る影もないほどに暗い。

 

 

 家の奥の寝室にエフリークさんはいた。ゲハイムニスさんの遺体があるベットの前で俯いたままじっとして動かない。

 

 

 そうだ。昔ゲハイムニスさんに聞いたことがある。エフリークさんはこの町に来る前、魔族に集落が襲われ、姉を殺され、心に深い傷を負っているということを。

 

 

 だから彼はエフリークさんの心を治すことに尽力して、エフリークさんが町の人との交流も積極的に積めるようにしていた。

 

 

 その甲斐もあって、エフリークさんは元気だったはずなんだけど…如何にエルフといえども親しい人の死は悲しいはずだ。

 

 

「その…この度は」

 

「帰ってくれ、お願いだから。今は一人にしてくれ」

 

「あ…」

 

 

 彼は昔、親しい人を亡くし、今新たに親しい人を亡くした。その心の傷は深い。まだ生まれて17年の私では何と声をかければ良いのかが分からない。

 

 

 だけど今彼には…孤独になった彼には、心の支えになる人が必要だ。

 

 

 私はエフリークさんを助けたい。下心とか無く友達として、彼の力になりたい。友達が落ち込んでいたら助けるのが真の友達なんだ。

 

 

「その!お外……は雨だし、ご飯……はつ、作れない…。えっと、私の家来ますか!」

 

「なんで」

 

「…やっぱり辛いだろうけど、人と会うだけでも少し気が紛れるかもしれないし、おいしいご飯もあるし…その…」

 

「いいから早く出ていってくれよ!」

 

「ご、ごめんなさい。お邪魔しました…」

 

 

 急いでゲハイムニスさんの家を出て、走る。

 ああ、私はなんて愚かなんだろう。友達一人すら慰められないなんて。涙が出てくる。

 

 

 悔しい。彼の隣にはいられないと突きつけられたみたいだ。

 私は友達失格だ。

 

 

 家の宿屋に着く。母はびしょ濡れの私を見て驚いたような顔になる。

 

 

「あんた、どうしたの。何かあった?」

 

「…何もなかった。私の不甲斐なさを身に染みて実感しただけ。私、友達一人にすら助けになれない。私、ダメな子だ」

 

「そう…。エフリーク君はまだ感情の整理が付かないだけよ。落ち込まないで」

 

 

 母は涙を流す私を撫でながら言う。

 

 

 たしかに、私の大切な人が亡くなったら私はすぐに落ち着くことが出来るのだろうか。分からない。分からないがそれだけ心が引き裂かれるのだ。

 

 

「毎日エフリーク君の所へ通いなさい。今のあの子に必要なのは時間よ。いつか良くなる。彼なら乗り越えられるわ」

 

 

 

 

 

 それから私は毎日エフリークさんの家に通うようにした。

 彼はいつも俯いていて見ているだけで辛いけど、1週間も通う頃には少し元気を取り戻していた。

 

 

「はい。これ母から食べなさいって」

 

「うん…ありがとう」

 

 

 ゲハイムニスさんの遺体は未だにベットにあった。まだ彼を土に還すのに抵抗があるらしい。けどいつかは埋葬すると言っていた。

 

 

 腐らないのかとも思ったが、腐らなくなる魔法があるのだそうだ。魔法ってすごい。

 

 

 それにしても元気になって良かった。あのままずっと暗いままだったらどうしようかと思っていた。

 

 

「ゲハイムニスさん…あなたのお爺ちゃんは享年90歳だったそうよ。魔法使いってみんなこんなに長生きなのかな」

 

「そうかもね…。魔力は人の身体を強くする側面があるらしいから」

 

「へぇ〜。私の魔力はどう?長生き出来そう?」

 

「うーん。まあまあ、そこそこ、ちびちびかなぁ」

 

 

 顔がしわしわになるエフリークさん。彼は困った時やリラックスしている時にこのような顔をする時がある。元にとは言わないけどかなり普段に近づいているのだと、そう思う。

 

 

 いつも通りの会話。良くなってきた彼の顔色。

 

 

 だから、ああ、私は油断した。能天気だった。過去の自分を殴れるのならぶん殴ってる。次に言う言葉を今も後悔している。

 

 

「ねえ、魔法って人を蘇らせたり出来ないのかな?」

 

 

 目の前の少年の目が見開く。彼が持っていた料理の皿が床に落ちた。

 瞬間、私は失敗を悟る。

 

 

「出来る…かもしれない。僕の…魔法なら…!」

 

 

 そして彼は狂い始めた。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 …ここは、どこだ?

 

 

「あ、起きた」

 

「…ハイルン」

 

 

 ここは、東区の教会か。

 僕が寝ているベットの横に宿屋の少女がいた。僕をぶん殴った少女だ。先ほどの鬼の形相からは想像できないほど萎れている。

 

 

 多分、僕をぶん殴ったせいだろう。指に包帯を巻いているのが見えた。

 

 

「あの、ごめんなさい」

 

「別に…良いよ。僕もあのまま大切な記憶が無くなるのは嫌だったし」

 

「あ、そっちじゃなくて……一年前に私、あなたに心ないこと言ったから」

 

「…? 蘇生のこと?」

 

「……うん」

 

 

 なるほど、あれか。

 

 

「それこそ謝らなくて良いよ。あれは僕が勝手に暴走しただけだからさ」

 

「でも! 大切な人が亡くなった人の横でそんな馬鹿なこと言っちゃったし、私、本当にずっと後悔してて…!」

 

 

 そう言って静かに涙を流すハイルン。誠実すぎる…。愚かなのは僕なのに…。

 そもそもの話。生き返らせることが出来るかな?と言って本当にやろうとするのはかなりやばいやつなのだ。

 そんなトラップみたいなことで悲しまなくて良い気がする。

 

 

「ごめんね。悲しませて」

 

「! いやいや!私は本当に大丈夫なの!どちらかと言うと不甲斐ないと自分で思ってるの!」

 

「えぇ…」

 

 

 聖人君子かな?悪いのは絶対僕なのに僕のために涙すら流してくれる。こっちが泣きそう。

 

 

「そ、それよりも!これからどうするの?お爺ちゃんの遺体はその…もう都市の共同墓地に送られたし、あの家に一人で住むの?その、良かったら━━━」

 

「ああ、僕はこの町を出ていくよ」

 

「え?」

 

「人里に住むのに僕はあまりにも愚かすぎる。迷惑をたくさんかけたし、何より……もう大切な人が死ぬのはたくさんだ」

 

 

 僕は出来た人間ではない。嫌なことからは逃げがちだし、現実逃避が甚だしいし、心がボロクソに弱い。

 

 

 前世で嫌な事から逃げ回っていた時間。

 あの日、村が襲われた日の誓い。

 お師匠の死。

 そして、お師匠との思い出。

 

 

 それら全てを忘れそうになっていたのだ。そんなクズがこの町にいて良いはずがない。きっとすごい迷惑をかけると思う。

 

 

「魔法使いが得意な魔法はその人の性質を表すと聞いたことがある。なら簡単な話だよ。拒絶の魔法を持つ僕がこんなところにいること自体が間違いなんだ。出ていくよ。僕は」

 

「……そっか。………そっかぁぁ」

 

 

 そう言ってベッドにポスンとうつ伏せになるハイルン。

 すごいな。こんなに迷惑かけた奴に対する対応じゃない。聖女かな。それともエルフ効果なのか。

 

 

 あ、もう夜か。夜は恐ろしい怪物が出る時間だ。持論だが、闇夜は何か歪なものを惹きつける。そんな気がする。

 

 

「ごめん。僕はもう大丈夫だよ。けど今日はもう遅いし、教会に泊まりなよ。うん、それが良い」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 教会から抜け出した僕は外壁に登った。

 僕に当たる夜風が髪を靡かせる。

 

 

「ふう……ここが外壁の上かぁ。何気に初めて登ったな」

 

 

 僕は常々思うのだ。この時代は本当に恐ろしい。

 

 

 強大な魔族はそこら中を自由に闊歩し、人類の魔法技術は軟弱そのもの。エルフは魔王軍によってその数を減らし、人間は増えて減ってを繰り返す。ドワーフは知らん。

 

 

 そもそも魔法使いがいない。強大な統一帝国が魔法を魔族の技だと忌み嫌っているせいだ。

 

 

 あと50年もすればフランメが魔法全盛期の到来を呼ぶ。だがあと50年()ある。

 

 

 それまでにこの町が残っている可能性は低い。

 

 

 これほど強大な魔力放出だというのに、町の住人は誰も気づかない。気づけない。魔法使いがいないからだ。

 

 

 統一帝国め……今だけは恨むぞ…。

 

 

 町の外に見える一つの巨大な柱。僕だけに見える柱。それは恐ろしく出力の高い魔力の威嚇(プレッシャー)だ。

 

 

 おそらく大魔族。転生してから大魔族に出会ったことがないからどれだけの年数を重ねているのかが判別できないが…強い。

 強大なソレは空を飛びながらものすごいスピードでやってきている。

 

 

 何故この町に来ているのかは分からない。魔族に人の常識は通じないからだ。

 

 

 ふと、何か焦げ臭い匂いが風に運ばれて来た。だがすぐに気づいた。

 

 

 これはヒトが焼けた匂いだ。

 

 

 まだ距離が離れているはずなのにものすごい死臭がする。

 お師匠から学んだ『大魔族一覧』には火を使う魔族は存在していないはずだ。

 

 

 足がすくむ。心臓が強く高鳴る。これは……武者震いだ。

 

 

「エフリークさん…やはり我々も」

 

「いい、いらない。本当にこれは危機だ。魔法の心得がない君たちじゃ死ぬ。だから騎士団の皆さんも衛兵の皆さんもどこか堅牢な建物、もしくは教会に避難してください。あと避難誘導お願いします」

 

「……ご武運を」

 

「……ありがとう」

 

 

 異空間にしまっていた剣を取り出す。剣がガチガチと音を鳴らした。

 ふぅ…落ち着け。本当に落ち着け。大丈夫。今の僕なら大丈夫。大丈夫。ちゃんと殺せる。

 

 

 もう巨大な柱は眼前にまで迫っていた。その中に少女にも女性にも見える魔族がいた。長く太い角が額から生えている。

 

 

 その魔族はニヤリと笑い、透き通るような声で言った。

 

 

「ねぇ、こっちに来て。お願い」

 

「…」

 

 

 なんだ…コイツ。想像していた言葉の内容と全然違う。不気味だ。

 魔族との会話は危険だ。魔族の言葉は欺瞞に満ちた雑音で、聞くに絶えないものなのだ。

 

 

 だが相手は推定大魔族。高い理性を持ち、人の知識を身に付け、狡猾で、何よりも強い。早く…早く殺さないといけない。

 

 

 勝てるかは分からない。だが心が折れかけている。未知の領域に潜む怪物がこちらを見ている。

 

 

「今ならなでなでしてあげる」

 

 

 

いつか(すぐ)来るエフリークの旅路について

  • 一人孤独に旅しろや!!
  • あれは…クラフト!クラフト様じゃないか!
  • 大魔族!大魔族!大魔族!大魔族!
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