信也のマンションは、清閑な住宅地にあって、
3階の1番端(はし)で、駐車場も駐輪場やバイク置場もあった。
清原美樹(きよはらみき)と、小川真央(おがわまお)は、
ふたりとも、ロングのボリューム・スカートに、
ブラウスやTシャツを重ね着したりして、
秋向けの女性雑誌に載(の)っていそうな優雅な雰囲気だった。
ドアを開けた信也は、そんなふたりを前に笑顔で、いまさっき、
いったように、また、「よォ!」といった。
「深まりゆく秋って感じの、ロングスカートで、
おふたりさん、なかなか、色っぽいじゃん」
そんな自分の言葉に、照れて、
信也は声を立てて、笑ってしまう。
「ありがとう」と美樹はいってほほえむ。
「ありがとう。わたしはミニスカートで来ようかと思った」
と真央はいい、信也と目を合わせて、わらった。
「ヒイェー、もし、ふたりとも、超ミニスカートなんかだったら、
おれは、目のやり場に、困(こま)るし」
三人は、また、わらった。
美樹の目のきわの、あわいブルーのアイシャドウ。
真央のほおのオレンジ系のチーク。
信也は、ふたりが精いっぱいの、よく似合う、かわいい、
おしゃれをしていることを、瞬間に、感じた。
美樹は身長が158だから、真央は160くらいなのかな、
そんなことも、一瞬のうちに、信也の頭を過(よぎ)った。
「まあまあ、早く、入ってください。おれの新居っす」
「おじゃましまーす」と、同じことを、
ほとんど、いっしょに、美樹と真央はいう。
「テレビ・モニター付きなんて、女性にも安心ね」と、真央。
玄関を入ると、まあたらしい、ふわふわした芝生(しばふ)の
感触(かんしょく)の、楕円(だえん)のグリーンのフロアマットが
敷(し)いてある。
玄関の右側には、白いシューズボックスがあり、
靴(くつ)を脱(ぬ)いであがると、玄関フロアの右隣には、
トイレがある。
玄関フロアの、正面のドアは開(ひら)いていて、
その向こうは、9.5畳のダイニングがある。
ダイニングには、買ったばかりらしいテーブルと、
心地(ここち)よさそうな背もたれのついた椅子(いす)が、
4つ置いてある。
美樹と真央は、さっきまで、ふたりでお茶をしていた、
池の上駅(いけのうええき)前の、スリーコン・カフェで買ってきた、
特製ピザトーストとかを、テーブルにひろげた。
「しんちゃんのご注文の、ドッグ・ハムチーズセットも、
おいしそう」と美樹。
「お、ありがとう。いま、おれ、コーヒーでもいれるから」と信也。
「わあ、こっちはキッチンなのね。今度来たときには、
わたしたちで、何か料理つくってあげなければね」と真央。
「うん」と美樹はうなずいて、美樹と真央は、
システム・キッチンのある台所へ入った。
システム・キッチンは、ダイニングの北側の
引き戸(ひきど)越(ご)しにある。
そのシステム・キッチンの前にある窓は、
北側の外の通路に面している。
ダイニングの西側には、
洗面所とバスルームが独立してあった。
ダイニングの南側には、
6.5畳の洋間が2つあった。その洋間の南側には、
掃出しの窓があって、外はベランダとなっていて、
洗濯ものも干(ほ)せた。
≪つづく≫