陰キャな私のバンドライフ   作:ハナルーナ

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12話 大きいのも小さいのも、それぞれ魅力があるよね!

 

 前回のあらすじ!

 星川さんの思いつきで2週間後にライブをやる事になった私達は、スタジオを借りて練習を始めた。しかし、メンバー全員がほぼ初心者だった!このままじゃ一曲演奏するどころか合わせることもできない。あ〜ん、どうしよう〜!そこで私達は一般通過Afterglowの皆さんの力を借りて、一から基礎を叩き込んでもらう事にしたのだった。先輩達の協力のおかげで皆さんみるみる上達していき一安心!これでライブもバッチリだね!あらすじ終わり!

 あ、私はもちろん見学です。

 

 そんなこんなで次の日の学校です。時刻は朝の7時半。

 何故こんな早い時間に学校に来ているのかというと、

 

《明日朝7時半に学校集合!よろ‼︎》

 

 というメッセージが昨日星川さんから来たのである。ちなみにこれが伝えられたのは深夜2時。いくらなんでも急すぎるわ。まぁ、その時間まで起きてゲームしてた私も私だけど。

 

 そんなこんなで朝早くに学校に集まった私たちです。正直とても眠い。絶対授業中寝てしまいますね、これ。

 そんな事を思いながら、現在私達は星川さんがベースを弾いているのを眺めていた。

 

「ここで、ジャーンッ!っと」

「………………」

「どう?」

「………成長速度バグってません?」

 

 星川さんの演奏は、素人の私から見ても昨日の上原先輩に引けを取らないほど上達していた。

 

 いや、何で?昨日あれだけ弾けない〜って嘆いてたくせに。

 

「昨日の今日で上達早すぎません?」

「私って、始めるのは遅いけど始めたら早いのよね〜」

 

 いわゆる天才型か。羨ましい限りです。

 

「流石ですルルナさん!私も負けていられませんね!」

「これならホンバンに間に合いそーデスね!」

 

 そんな星川さんの演奏を見てリラさんと岸峰さんのやる気も一層高まったみたいだ。

 

「でも、まだまだやる事はいっぱいあるんだよね〜。曲もそうだし、せっかくだし衣装も用意したいし………照明の配置とか、あとセトリ表ってのも書かないとだし…」

 

 星川さんの言う通り、演奏以外にも準備する事はまだまだある。楽器が弾けるようになったからといって、ライブに出れるとは限らないのだ。

 

 ちなみにセトリ表とはセットリスト表といって、曲の順番とかどのタイミングで照明の色を変えるかなどをライブハウスのスタッフさんに伝えるために書く表の事だ。この前ショッピングモールで買った本に載ってた。予習しててよかったね。予習大事。

 

「曲数はだいたい3曲ぐらいを考えてるかな。有名な曲を2曲ほどカバーするとして………あと、1曲オリジナルを作ってみようと思うんだよね!」

「また急ですね。もう慣れましたけど…」

 

 星川さんがサラッと重要な事を言ったけど、もうこの程度で動じなくなった自分がいる。星川さんの思考はだいたい読めるようになった。

 星川さんもよく私の心を読んでくるし、これでおあいこだね!

 

「でも曲作りって結構難しいよね〜。この前試しに作ってみたんだけど、ラーメンとチャーハンの歌しか出来なかったよ」

「なるほど。その日のご飯がラーメンチャーハンセットだということだけ分かりました」

「ニンニクマシマシアブラカラメにヤサイMAX麺大盛りで〜♪みたいな!」

「まさかの二郎系ですか!?」

 

 モデルしてるくせに結構ガッツリ食べてません?しかも結構なボリュームのものを。一体その細身のどこにそんなに入るのか…。体型維持の秘訣を知りたい。

 というか、むしろ何故それを曲にしようとしたのか。もうほぼ注文だし。

 

「まあ時間もないしオリ曲は一旦置いておくとして。問題は機材の準備だよね。私たち初心者だから、本番に最低でも何が必要か調べる必要があるし………」

 

 確かにその通りだろう。私達はまだ楽器を少ししか触っていない素人集団だ。ライブをするにあたって、最低限どの機材を揃えればいいのかすら詳しく知らない。

 誰か機材等に詳しい人が身近にいればいいのだが……。

 

「機材ならマヤさんが詳しいので聞いてみマスか?今だったら部室にいると思うのデ」

「ほんと!是非お願いしたいかな〜!やっぱり素人だけじゃどうにもならないしね」

 

 二次元の世界って都合よく世界が回るから便利だよねっ!

 ………メタいこと言ってすみませんでした。

 

「よし、じゃあみんなで演劇部に行こ〜!ほら、伊月も早くー!」

 

 テンション高めで岸峰さんの手を掴む星川さん。心なしか、ライブが近づくにつれて段々とテンションが上がっている気もする。それだけ楽しみなのだろう。

 

 というか、急に手を握られて岸峰さん大丈夫?推しに手を握られるとかオタクにとっては命に関わる案件なのでは?

 と、岸峰さんの方を見てみると、

 

「あ…いえ、私は大丈夫、です…」

 

 ………………………………………ん?

 

「えー、一緒に行こ〜よ〜!伊月と一緒がいいな〜!」

「わ、私のことは気にせず、皆さんで行ってきてください…」

 

 ………………………………………んん?

 

「え〜、残念〜!どうしてもダメ〜?」

「わ、私もいろいろとやらないといけない事があるので、リラと2人で行ってきてください………」

 

 んんんんんんんんんんんんんんんんん???

 

「んー、分かった。無理に誘うのも悪いしね!よし、じゃあ行こっか、リラ!」

「ハイ!」

 

 ……………おかしい。

 何だろう。今の会話、何か違和感を感じる……。どことなく、岸峰さんがよそよそしいというか………。

 

 とはいえ、陰キャの私にそんな事を指摘する勇気はないので、ここは知らないフリをして保身に走るとしよう。陰キャは危ない橋を渡らない。これ大事。

 とりあえず、岸峰さんと二人きりになるのは避けるか。

 

「じ、じゃあ私も一緒に行き………」

「杏はこっちにいろ」

「ハイ……………」

 

 岸峰さんのこの目。逆らったら、ヤられる………。

 

 そして、星川さんとリラさんが教室を出ていき、私と岸峰さんだけになった。

 とはいえ、岸峰さんと初めて会った時は怖くて近寄り難かったけど、もう二人きりになってもあまり怖くなくなった。慣れたものだ。

 

「あのー…岸峰さん?」

「よし、じゃあこっちは衣装でも決めるか」

「え………!?」

 

 さっきまでの雰囲気とは打って変わって、いつも通りの岸峰さんに戻っていた。

 というより………

 

「岸峰さん衣装担当なんですか!?」

「どういう意味だよ」

 

 衣装の用意はてっきりモデルの星川さんや演劇部員のリラさんが請け負うのだと思ってたけど、これは予想外だった。

 

「ルルナ様の魅力を最大限活かせる衣装を用意できるのは私だけだからな!」

「あー、そういうこと………」

 

 その一言で納得がいった。やっぱり岸峰さんは岸峰さんだった。

 

「一応昨日も何着か候補をルルナ様に送ったんだぜ。ほら」

 

 そう言ってスマホの画面を見せてくる岸峰さん。確かに、どれも可愛らしくて星川さんに似合いそうなものばかりだ。

 ただ………

 

「これ、岸峰さんがいちいち着る必要ありました?」

 

 どの写真も、岸峰さんが衣装を着て自撮りをしているものだった。

 

「いや、最初は服だけの写真を送ってたんだが、途中からルルナ様が『伊月が着てるところを見てみたい』と言ってきたものだから………推しの要望には全力で応えないとな!」

 

 誇らしげにそう言う岸峰さん。うん、その気持ちは何となく分かるんだけど、それ以上に気になる事があった。というより………

 

「それはなんとなく分かってましたけど、毎回手で顔を隠しながら自撮りするのやめません?なんかそういう系の写真みたいになってますよ?」

 

 岸峰さんの写真はどれも目元を手で隠して撮られていた。こういう写真はネットをしていたらいくらでも流れてくるから、少し見覚えがある。

 別にそういうものに興味があるわけでは決してないので、そこら辺勘違いしないように!

 

「普段こういう服着ないから恥ずかしかったんだよ。悪いか?///」

 

 そう言いつつ少し照れた様子で顔を背ける岸峰さん。ちょっと可愛いかも。

 

「で、星川さんには褒められたんですか?」

「ま、まぁ………褒められはしたんだが………」

「???」

「………『まるで女の子みたいで可愛い』って………」

「あ………」

 

 そう言う岸峰さんの目は笑っていなかった。多分褒め言葉のつもりなんだろうけど、悪意がない分よりキツい。

 

「ハァ………私だって一応女なんだがな…」

「まぁ、星川さんと比べたら自信なくなりますよね…」

 

 やはりモデルをしているだけあって、星川さんのスタイルは誰が見ても美しいと思えるほどである。それに比べて、私なんて芋体型すぎて虚しくなってしまう。

 ま、陽キャに勝る事なんて何一つ無いので、あまり考えないようにしてますけどね。

 

「思ったんだけど、この学校って結構スタイル良い人多いよな」

 

 そんな中、岸峰さんがふとそんな事を口にした。

 

「急にどうしたんですか?」

「いや、ルルナ様ばっかり見てたから気づかなかったけど、リラも結構スタイル良いよなーと思って」

「まぁ確かに。でも、星川さんはモデルだし、リラさんもイギリス人だからスタイルも必然と良くなるのでは?」

「Afterglowの先輩達だって、はたから見れば美人の人ばっかりだしさ。そう考えたら、私たちってもっと努力しないとなって」

 

 それは一理ある。Afterglowの先輩達は皆さん美人だしスタイルも抜群だった。

 その中でも、上原先輩の双丘は同年代の人たちと比べても群を抜いている。それにあの感触、何度味わってもクセになるなぁ〜。

 あ、すみません。変態は黙りますね。

 

「私と岸峰さん、スタイルほとんど同じですもんね」

「いや、私の方が身長高いし、胸だって…………」

 

 と言いかけたところで、岸峰さんが私の胸元をジッと見て固まった。

 

「岸峰さん?」

「……………いや、何でもない」

 

 私も逆に岸峰さんの胸元を見てみると…………なるほど、私の方が少しだけ……

 

 ………あれ?もしかして、これは散々私のことを弄んできた岸峰さんに仕返しするチャンスなのでは?

 

「…………もしかして、胸のこと気にしてます?」

「なっ…………そ、そんなことねーぞ!胸なんてあっても邪魔なだけだろ!」

「ふ〜ん」ニヤニヤ...

「な、なんだよ………」

 

 これは確定ですね。ここからは私のステージだ!

 失礼致しました。仮面ライダーネタ出てしまいました。

 

「いや、岸峰さんにも可愛いところあるんだなと………」

「〜〜〜っ‼︎///」

 

 赤面する岸峰さん、堪らないですねぇ〜!

 これはちょっとクセになりそう。

 

「仕方ないですね〜。この私が大きくする方法でも教えてあげましょうか〜」

「お前もたいして変わんねーだろ!」

「いえいえ、たとえ数センチの差でも大きな違いですよ。もっと私を崇めてもいいんですよ〜?」

「お前、慣れてくるとまあまあ面倒くさいやつだな………」

 

 私が優位に立つ事なんてこの先何度あるか分からないので、ここは弄れるだけ弄っておきましょうか。

 

「いいですか岸峰さん!胸は揉むと大きくなるんです!」

「いや知ってるわ。私もやったことあるわ」

「あ、あるんですね」

 

 私の渾身の知識を披露したが、既に知っているようでした。

 よくよく考えたら、誰でも知ってますね。

 

「やってみろ」

「…………へ?」

 

 岸峰さんの急な提案に、思わず間抜けな声が出てしまう。

 

「えっと…………今何と………?」

「揉んでみろって言ってんだ」

 

 どうやら、聞き間違いでは無かったようだ。

 つまり、これはご褒美ですか!?……いや、あの岸峰さんに限ってそんな事あるはずは………つまり、これは罠の可能性も………?

 ……………………ここは慎重にいかないと。

 

「え…………あ、いや、えーと………たしかに私たちは女同士ですけど、そこまでの関係じゃ………」

「いいからやれ‼︎」

「は、はいぃ‼︎」

 

 考える前に岸峰さんの圧に負けてしまいました。私に選択肢など無かったのですね。悲しみ。

 そして私は、恐る恐る岸峰さんの胸に手を当てた。

 

「……………」ピトッ

「……………」

「…………あれ?」ペタペタ

「……………」

「………えっと、岸峰さん…?」

「なんだ?」

 

 これは、何かの冗談だろうか………?あれだけ揉めと言っておいたのに………?

 

「…………揉むものが見つからないのですが……」

「な?“面”は基本揉めないんだよ」

 

 その一言で、私は全てを察した。

 

「……………なんか、すいません」

「分かればいい」

 

 岸峰さんの胸は、あるとか無いとかの次元じゃなく、なんというか………。

 いえ、これ以上はやめておきましょう。

 

「お前は少しでもあるんだから、もっと誇りに思え」

「岸峰さん。私、応援してます」

「おう」

 

 その後、2人で牛乳を飲み合う中になったのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ?なんか前半いろいろ考えてたような気がするけど…………

 

 ま、いっか。

 

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