陰キャな私のバンドライフ   作:ハナルーナ

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1話 陽キャに絡まれるとロクな事にならない

 私は、自分も他人も認めるほどの陰キャである。

 そう感じるようになった理由は多々あるが、その中の一つに“恋愛経験が全くない”というものがある。

 こんな私にそういうものは無縁だと思っていた。

 

 なのに………

 

「は、花村さんって………意外と大胆………///」

 

 その一言で私はハッと意識を取り戻す。一瞬固まってしまっていた。周りを見るとクラスメイト達も同じように顔を赤くしている。あと何故か息を荒くしている人もいる。

 まぁ、無理もないよね、この状況じゃ。

 

 何故なら、私は今1人の女の子を押し倒している(・・・・・・・)のだから。

 

「ご、誤解ですぅぅぅぅぅうううううううっ!!!」

 

 こうなってしまった理由は、数分前に遡る。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

ーー

 

 

 羽丘学園高校に入学して数日経った。

 入学式ほどの緊張感はもう薄れたし、クラスにも慣れてきた感じがする。………慣れてるよね、多分。

 

 あ、そうそう聞いてください。私、友達が出来たのです!

 

 いやー、最初はクラスの空気になれてればそれでいいかなと思っていたのですが、いろいろ事情があってとても仲のいい友達が出来ました。

 え、陰キャはどこいったんだって?まあいろいろ事情があるんですよ。なんてったって友達になった子というのが………

 

「あ!あんこー‼︎おはよー!」

 

「おはよ、杏」

 

「おはようございます、杏ちゃん」

 

 教室に入ると真っ先に私に挨拶してきた3人の女の子。そう、この人達が私の記念すべき高校初めてのお友達なのです!

 

 最初に挨拶してくれたのが宇田川(うだがわ) あこちゃん。初めて会ったときは何やら1人で騒いでいてちょっとアレな子なのかな?と思いました。(人のこと言えませんが)

 ですが、実は私が大好きなオンラインゲーム『Neo Fantasy Online』通称NFOのプレイヤーだったのです!しかも、今までずっと一緒にクエストに行っていたギルドメンバーの1人でもありました!

 ひょんな事からその事を知り、ゲーム内での付き合いもあったためすぐに仲良くなれました!いやー、ゲームでの繋がりって大事ですね。わざわざ外に出て遊ばなくても家にいるだけで友達が出来るのですから。

 ちなみに、あこちゃんが私の事をあんこと呼んでいたのはゲーム内での私の名前ですので気にしないでください。

 

 と、あこちゃんの説明が長過ぎましたね。残りのお二人は手短に説明しますね。

 

「ちょっと、それは失礼じゃない?」

 

「さ、さらっと心を読まないでください、明日香ちゃん………」

 

「え?え?何があったの?」

 

 最近のJKは人の心を読むことができるのか?と心の中でツッコんでおきましょう。今井先輩の時といい、なんでそんなに私の心が分かるのですかと前に明日香ちゃんに聞いたことがある。そしたら、

 

「杏って顔に出やすいから」

 

 と返された。いや、手短に説明する時の顔ってなんですかっ!

 

 えー、話を戻しまして。この人は私のお友達の1人で戸山(とやま) 明日香(あすか)ちゃん。あこちゃんの友達だった事もありすぐに仲良くなれました。

 

 その隣にいるメガネの子が朝日(あさひ) 六花(ろっか)ちゃん。この子も(以下略

 

「ねぇ、さすがに手短すぎない?」

 

「え?え?」

 

 だからなんで分かるのですか?この時の顔ってどんな顔ですかね?私も見てみたいです。六花ちゃんは何があったのか理解してませんし。

 

 とまぁ、そんなこんなでこの3人が私のお友達の皆さんです。3人ともこんな私に優しくしてくださるとてもいい方です。

 

 え?全然陰キャじゃないじゃないか、ですか?何を言いますか、最初に言いましたけど私は陰キャですよ。胸を張って言えます。なぜなら………

 

「あ、あの………み、皆さんはさっきまで何を………」

 

「ん?普通に話してただけだよ」

 

「そ、そうですか。…………………」

 

 はい、見ての通り会話が全く続かないのであります。知り合って結構経ったはずなのに、私は常にこの調子ですよ。だって、普通に話す友達なんていなかったから、何を話していいのか分からないです。緊張します!

 それに、3人ともどちらかといえば陽キャに分類される方々ですし、本当にこんな私なんかに優しくしてくれて、もう本当にありがとうございます‼︎

 

「そういえばさっきリサ姉が来て、あんこまだ来てないの?って。またお昼休みに来るって」

 

「うぇ⁉︎あ、あの………お昼はちょっと用事がありまして………あ、あはは………」

 

 あこちゃんからその言葉を聞いてビクリとする。

 あの日今井先輩に会ってからというもの、何故か私に会いに教室に来るのです。しかも結構有名な方らしく、クラスに来ただけで大騒ぎ。そんな方に呼ばれる私の身にもなってください!できればみんなのいない時に呼んでください!でも、2人きりは怖いのでそれもNGで。

 あ、じゃあもうダメじゃん。

 

「あんこ、リサ姉に気に入られちゃってるからねー。良かったじゃん!」

 

 と笑顔で言ってくるあこちゃん。私にとっては全然良くないんですけどね‼︎

 

「そうよ。全っ然良くないわ!」

 

 すると突然私たちの会話に入ってきた1人の女の子。

 紫色のサラリとした長い髪、全てを魅了するような赤い瞳。そして、高校生でありながら出るところはしっかり出ているスタイル抜群な体。私が苦手とする陽キャの1人がそこにいました。

 というか、あなたも私の心読むんですね。あまり知らない人にも心読まれるとか、私自身が大丈夫でしょうか?

 

「リサさんがあなたの事を気にいるわけないじゃない!」

 

「え、えっと………」

 

 この人、クラスメイトの人だよね………?えーと、名前は確か………

 

「ほ、骨皮ルキナさん………?」

 

星川(ほしかわ) ルルナよ‼︎何よその女剣士になったおぼっちゃまみたいな名前は‼︎」

 

 あ、思い出した。星川ルルナさん。

 確か、中学生の頃から多くの雑誌に載っている現役モデルで、私の中のクラスの陽キャランキング第1位の星川ルルナさん。

 って、そんな人がなんで私に話しかけてくるのですかっ⁉︎あなたもあなたで今井先輩と同じくらいオーラが溢れてるんですからね‼︎目が、目がぁぁぁぁあああああ‼︎

 

「おはよールルナ!この前ライブ来てくれてたよね?ありがとー‼︎」

 

「いやいやあこちゃん。Roseliaのライブだったら例え仕事が重なってでも無理して行くよ!」

 

 ちなみに、この星川さん。モデルでありながらガチめのガールズバンドオタクだといいます。その中でも特にあこちゃんが所属している今人気沸騰中のガールズバンド“Roselia”の大ファンだそうで、最初のクラスの自己紹介の時にあこちゃんを見て失神しそうになってました。

 あなた仮にもモデルですよね?

 

「話を戻すわ、花村さん」

 

 なるべく戻して欲しくないのですが………

 

「どうしてあなたみたいな人のところにリサさんが訪ねてくるのか、ずっと疑問だったのよ!」

 

 と言って私を指さす。いや、そんな事言われても私もよく分からないです。

 入学式の日に少しだけ今井先輩とお話しして、それからというもの会うたびにいじられていた。急に後ろから抱きつかれたり、頭をワシャワシャされたり、なんなら頼んでもいないのに膝枕に寝かせられたり。もしこれで私が男の子だったら大サービスですねっ!今井先輩の膝、柔らかかったなぁ、デュフフフフフ……………あ、私も大概ヤバい人でした。

 

「リサ姉、あんこの事『なんだかウサギみたいで可愛い』って言ってたよ」

 

「それを言うなら、私もよくウサギの格好してますけどっ⁉︎」

 

「え?星川さん、それって………」

 

「っ⁉︎き、着ぐるみよ‼︎誰も雑誌の企画でバニーガール姿になったなんて言ってないじゃない‼︎」

 

「いや、まだ何も言ってないからね?」

 

 明日香ちゃんグイグイいくな〜。ほら、星川さん顔を赤くしてる。さすがは我ら四天王の切り込み隊長。ちなみに私は四天王最弱の将です。

 

「む、むぅぅううううう‼︎こうなったら、リサさんに直接どっちが可愛いか聞いてくるっ‼︎」

 

「あ、………」

 

 そう叫んで星川さんは教室から出て行こうとする。しかし私は気づいてしまった。もう少しでHRが始まってしまう時間だということに。

 さて、ここで星川さんが出て行くとしよう。

 

 星川さんが出て行く

    ↓

 先生がやって来る

    ↓

 どこに行ったか聞かれる

    ↓

 なんで止めなかったの?と言われ………

    ↓

 メッコメコォ(死)

 

 ま、まずいっ………‼︎星川さんを止めなければ………‼︎

 

「あのー、いくらなんでもそれは無いんじゃ………」

 

 明日香ちゃんが何か言ってますが、それよりも星川さんです!星川さんのためじゃない!私自身の願いのために‼︎

 

「ま、待って………」

 

 私は教室を出て行こうとする星川さんの腕を掴んだ。

 

「ちょ、邪魔する気⁉︎離しなさいよっ‼︎」

 

「は、離さない………!」

 

 ここで離したら私の穏やかな学園生活が………!

 もう穏やかじゃない気がするというツッコミはNGでお願いします。

 

「いいから、離しなさいっ‼︎」バッ!

 

「あっ……!」グラッ

 

「え?キャアッ‼︎」ドサッ

 

 い、いたた………星川さんが手を振り払った衝撃でバランスを崩しちゃった。

 あれ?何か顔に柔らかいものが………はわぁぁあ、うちの抱き枕と同じくらい柔らかい………

 

「は、花村、さん………」

 

 あれ?すぐ近くから星川さんの声が聞こえる。そういえば、何かおかしい。教室にこんなに柔らかいものがあったかな?

 

 おそるおそる顔をあげると、そこには………

 

「は、花村さんって………意外と大胆………///」

 

 そこには、顔を赤くしている星川さんがいた。

 というよりも、私が今押し倒している状態になっていた。しかも、私の顔が星川さんのたわわに実った二つの山に埋まっている状態で………

 

「え……………」

 

 周りをゆっくりと見回すと、他のクラスメイトも同じように顔を赤くしている。あこちゃん達も顔を赤くしてる。

 

 ハッ‼︎早く退かないと………

 

「はーい、HR始めるぞー」

 

 と、最悪のタイミングで教室に入ってくる担任。そして私たちのこの状況を見るなり………

 

「………あー、愛の形は否定しないが、問題は起こすなよ」

 

「ご、誤解ですぅぅぅううううううううううっ!!!」

 

 あぁぁぁああああ‼︎なんでこうなるのっ⁉︎

 私は穏やかな学園生活を送りたいだけなのにっ‼︎

 

 それからしばらく、星川さんとまともに顔を合わせられなくなったのはまた別の話。しかもなんか意識されてるしっ!

 

「良かったねー、ルルナと仲良くなれて!」

 

「よ、良くないよ!」

 

 穏やかじゃない私の学園生活は、まだ始まったばかり。




登場人物紹介

星川ルルナ
 現役でモデルをしている杏のクラスメイト。ガールズバンド、特にRoseliaの大ファンである。
誕生日:7月31日
家族構成:父1人、母1人、妹1人の4人家族
好きな食べもの:パスタ(トマト系)、おはぎ、プリン
嫌いな食べもの:セロリ、ブラックのコーヒー、ワサビ入りの寿司
マイブーム:晴れてる日に川沿いを散歩すること
自分を一言で表すと?:完璧
全体像(作成元:カスタムキャスト)

【挿絵表示】
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