なんて事ないある日の昼下がり。
いつも通り、あこちゃん達とお昼ご飯を食べていた私だったのだが、その平穏は一瞬で崩れ去る事となる。
突然現れた、
「花村さん、バンドやろう‼︎」
「…え?」
突然の出来事で一瞬理解できなかった。しかし、彼女が何を始めようとしていたのかはなんとなく分かった。
だから私は、そんな彼女に対して笑顔でこう答えるのであった。
「イ・ヤ♡」
~完~
「じゃあボーカルね!」
「聞こえませんでしたか?」
はっきりイヤと言ったのに何が聞こえたのかなこの人は。
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「はい、というわけでやって来ましたライブハウス“
「イェーイ‼︎」
「よろしく〜」
「いや、どういうわけ………?」
私も、多分見ているみなさんも何が何だか分かってないと思うので、一応説明しておきましょう。
私は今、星川さんに半ば強引に誘われる形でこのライブハウス“CiRCLE"さんに来ています。そして、今私の目の前にいる5人組の皆さんが、ガールズバンド“Afterglow"の皆さんです。ちなみにリラさんもいます。
こうなってしまったのは今日のお昼時の事。私をバンドに誘った星川さんが、
『今日Roseliaのバンド練見に行きたいんだけどいい?』
と、あこちゃんに聞いたところ、
『ゴメーン‼︎今日練習お休みなんだ〜』
と返されたので星川さんがガッカリしているところに、
『あ、でもお姉ちゃんのバンドなら協力してくれそうかも!聞いてみるね!』
となった事により、現在に至る。
いや、私関係ないじゃん。リラさんもだけど。なんでここに連れてこられてるの?
そして、今は自己紹介をかねてフロントで談笑している。知らない人たちの中にいるの、やっぱり慣れない〜っ!
「ねぇ星川さん?なんでこんな事になってるの?」ヒソヒソ…
「言ったでしょー、バンドしようって。その参考アーンド見学〜」
「イヤって言いましたよね⁉︎バンドなんて、陽キャがやっているイメージランキング第1位ですよっ⁉︎」
勢いあまって叫んでしまったせいでシーンとなってしまった。
あぁ、すみません!現役の人たちを悪く言うわけでは………
「あ、す、すみません………」
「お、おう……杏、だっけか?あこからよく話は聞いてるよ。今日はよろしくな」
「え、あ、は、はい………!よ、よろしくお願い…します」
「あっはっはっ!そんなに緊張しなくても大丈夫だよ!」
この人があこちゃんのお姉さんでAfterglowのドラムをやっている“
「リサ先輩からよく話は聞いてたけど、本当にちっちゃカワイイ〜‼︎ギューってしてもいい?」
「や、やめてくだ………」
「ギューッ‼︎」
「拒否権なしですか………」
そして、このいかにも陽キャっぽい“
「花村さん、やっぱりそっちの気があるんじゃ………」
「やっぱりって何⁉︎」
「ダイジョーブ!百合というものは尊いものだと聞きましタ!存分にやっちゃってくだサイ!」
「何がどう大丈夫なのかな⁉︎」
もうこの前から私いろいろやられっぱなしだよ!あらぬ誤解生まれすぎだよ!
ていうか、ツッコミ役の人早く登場して!そろそろ私いろいろとキャパオーバーしそうだから!早く出せ作者‼︎←すみませんby作者
「巴、ひまり。あまりくっつくと迷惑でしょ」
「おっと、そうだな。ほら、ひまり」
「はーい。また後でギューってさせてねっ!」
「あ………」
Afterglowのボーカル担当、“
それにしても、幼馴染5人で結成されたバンド、Afterglowか……あこちゃんのバンドといい、最近は本当にガールズバンドが増えた気がするなぁ。星川さんもバンドやりたいって言ってたし。
私はやらないけど!やる気ゼロだからね!
「大丈夫、杏ちゃん?」
「あ、はい……えーと…」
「あ、私は“
「あ、よろしくお願いします…」
「ごめんね。ひまりちゃん、可愛い後輩が出来たから興奮してたんだと思う」
「あ、いえ。私も少し堪能させ……癒やさせていただきましたし、大丈夫ですよ」
「そう?良かった!あ、私の家商店街で喫茶店やってるんだけど、よかったら今度来ないかな?」
「そうなんですか。ぜひ今度行かせていただきます」
巴先輩や上原先輩の勢いが凄くて気づかなかったけど……。羽沢先輩、今まで会ってきた中で最も普通の先輩だ。
もっと言うと、今までで一番話しやすい気がする。
ていうか、今まで会ってきた先輩達はロクな人がいなかったもん。今井先輩はグイグイ来るし、瀬田先輩は儚いだし、大和先輩はアイドルだし(リラさんから聞いた)
その中でも、羽沢先輩は至って普通。普通としか言いようがない。友達に一人や二人はいそうな普通の人だ。さすがはガルパピコで『大いなる普通』という異名を付けられたことはある。あ、別にバカにしてるわけじゃないです。
「どうしたの?」
「あ、いえなんでも」
あぶないあぶない。羽沢先輩に私の脳内を知られてしまうところだった。何度も言うけど、バカにしてるわけじゃないので。
あれ?そういえばさっきから一人足りないような………確か、Afterglowのギターの………
「って、パン食べてるし!」
「あー、モカちゃん今日日直で忙しくておやつ抜きだったから………」
「ん〜?杏ちんも食べる〜?」
「モカ、そろそろスタジオ行くよ」
「え〜、モカちゃんはお腹がすいて動けませ〜ん。あと10分待って〜」
な、なんかマイペースな人だな〜………
Afterglowのリードギター、“
私からしたら陽キャの部類ではあるけど、何やら仲良く出来そうな予感………
「んー、どうしたのー、じっと見て〜。やっぱりパン、食べる〜?」
と、すでに3つ以上は食べてる青葉先輩がパンを差し出してくる。その食欲はどこから………でも、パン美味しそう………
「じ、じゃあお言葉に甘えて………」
「ん、遠慮しないで食べてくれたまえ〜」
「あー、いいなー!花村さん、パンもらえてー!」
「なるほど、ジンシンショーアクジュツはこうやて使うデスねっ!」
「だから人聞き悪いこと言わないで!」
やはりリラさん刺客だな!さっきから空気読めてないよ!一言余計だよ!
「さて、それじゃひと段落したところでスタジオに向かいまーす!」
上原先輩がスッと立ち上がって、やっと本題に入る。そういえば、上原先輩がAfterglowのリーダーだって聞いた時は少し驚いた。見た目からして美竹先輩だと思ってたから。
「今日は可愛い見学者もいることだし、いつも以上に頑張るよー!それじゃみんな、張り切っていこー!えいえいおー‼︎」
「「「「「「「……………………」」」」」」」
「もー‼︎ここはやるべきでしょー‼︎」
「あ、すみません……いきなりだったので………」
「これが噂のひまり先輩のえいえいおー……!」
「なるほど、みんなでやると見せかけて誰もやらない……ネタとしては悪くないデス!」
「リラさん………だから空気を………」
「もー‼︎」
「あっはっはっはっ!いやー、やっぱ私らはこうじゃないとな」
「うん、いつも通り、だね」
「あ、あはは………なんかごめんね、ひまりちゃん」
「いいよー。ひーちゃんその調子ー」
「みんなまでー‼︎」
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「いやー、凄かったね、Afterglowの練習風景!」
「ハイ!オサナナジミ同士、息ピッタリって感じデシタ!」
「うん、凄かった。演奏もだけど、こう………一人一人の勢いというか、ね………」
特に上原先輩。あの後も何度も何度も抱きついてきて大変だった。あの2つの爆弾に何度意識を飛ばされそうになったことか………あの人は要注意人物として私の心に留めておこう。あと今度、成長の秘訣について聞いてみよう。
「ルルナさんっ!ワタシ決めました!ルルナさんのバンド、入りマス!」
「おっ、ありがとう!やっぱり実物を見るとやりたくなるよね〜」
「えっ⁉︎リラさん、どういうこと⁉︎」
「ワタシ、少しだけギターの経験あるデス!ルルナさんから誘われて少し迷ってましタが、Afterglowの演奏を聴いてケツイしましタ!」
「だからリラさんも来てたんだ……」
「花村さんはどう?気持ち変わった?」
「まぁ、たしかに演奏はカッコ良かったですけど………」
「でしょ?」
たしかに、すごくカッコ良かった。
巴先輩はイメージ通りすごくパワフルにドラムを叩いてて、羽沢先輩は演奏中でも全体を見渡している感じだった。青葉先輩はマイペースな人だけどギターを弾いている時は別人みたいだったし、上原先輩は堂々とした演奏で全体を支えていた。
そして、美竹先輩。力強い歌声とパフォーマンスに圧倒されてしまった。バンドのことをよく知らない私でも、少しの間我を忘れて見入ってしまった。
つまり、何がいいたいかというと………
「すごいですね、バンドって………」
「花村さんもようやく気づいたね、バンドの魅力に」
そっか………この気持ちを知って欲しいから、星川さんは私を連れてきたんだ。
ちょっと強引だったけど、でも………
「星川さんがやりたくなる気持ち、少しは分かったかもです」
「でしょ〜!ね、やってみない?花村さんなら良いボーカルになれるよ〜‼︎」
「…学校でも思いましたけど、なんで私ボーカルなんですか?」
「花村さんって意外と声が綺麗だし、歌も上手そうだなーって思って〜。ちなみに私はベースね!」
「………ちょ、ちょっと考えさせてください」
「えー?なんでー?」
「アンさん、ボーカルしてくだサイよー!」
「そ、それだけは断じてイヤ〜‼︎」
バンドはカッコいいと思ったけど。
私がやるかどうかはまた別の問題なのですよ、はい。
「あれー?」
「どうした、“くいな”」
「あの子って、モデルの星川ルルナじゃない?」
杏達3人が歩いている後ろでそう呟く、くいなと呼ばれたポニーテールの少女。そしてもう1人、その言葉に反応して怪訝な表情をするショートヘアの少女。
「………そうだね」
「最近星川さんとよくいるよねー、あの人達。まぁ、“
「さぁね。でも………」
くいなの言葉を適当に返しつつ、ショートヘアの少女、伊月は杏の方をじっと見つめていた。
「ちょっと、邪魔になってきたかな」
「うわー、悪い顔してるわー」
to be continued………