陰キャな私のバンドライフ   作:ハナルーナ

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3話 バンド?なにそれ美味しいの?

 なんて事ないある日の昼下がり。

 いつも通り、あこちゃん達とお昼ご飯を食べていた私だったのだが、その平穏は一瞬で崩れ去る事となる。

 突然現れた、彼女(星川さん)によって………

 

「花村さん、バンドやろう‼︎」

 

「…え?」

 

 突然の出来事で一瞬理解できなかった。しかし、彼女が何を始めようとしていたのかはなんとなく分かった。

 だから私は、そんな彼女に対して笑顔でこう答えるのであった。

 

「イ・ヤ♡」

 

 ~完~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあボーカルね!」

 

「聞こえませんでしたか?」

 

 はっきりイヤと言ったのに何が聞こえたのかなこの人は。

 

ーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

ーー

 

 

「はい、というわけでやって来ましたライブハウス“CiRCLE(サークル)"!今日のゲストは仲良し幼馴染5人組で結成された本格派ガールズロックバンド、Afterglow(アフターグロウ )の皆さんでーす‼︎」

 

「イェーイ‼︎」

 

「よろしく〜」

 

「いや、どういうわけ………?」

 

 私も、多分見ているみなさんも何が何だか分かってないと思うので、一応説明しておきましょう。

 私は今、星川さんに半ば強引に誘われる形でこのライブハウス“CiRCLE"さんに来ています。そして、今私の目の前にいる5人組の皆さんが、ガールズバンド“Afterglow"の皆さんです。ちなみにリラさんもいます。

 

 こうなってしまったのは今日のお昼時の事。私をバンドに誘った星川さんが、

 

『今日Roseliaのバンド練見に行きたいんだけどいい?』

 

 と、あこちゃんに聞いたところ、

 

『ゴメーン‼︎今日練習お休みなんだ〜』

 

 と返されたので星川さんがガッカリしているところに、

 

『あ、でもお姉ちゃんのバンドなら協力してくれそうかも!聞いてみるね!』

 

 となった事により、現在に至る。

 いや、私関係ないじゃん。リラさんもだけど。なんでここに連れてこられてるの?

 

 そして、今は自己紹介をかねてフロントで談笑している。知らない人たちの中にいるの、やっぱり慣れない〜っ!

 

「ねぇ星川さん?なんでこんな事になってるの?」ヒソヒソ…

 

「言ったでしょー、バンドしようって。その参考アーンド見学〜」

 

「イヤって言いましたよね⁉︎バンドなんて、陽キャがやっているイメージランキング第1位ですよっ⁉︎」

 

 勢いあまって叫んでしまったせいでシーンとなってしまった。

 あぁ、すみません!現役の人たちを悪く言うわけでは………

 

「あ、す、すみません………」

 

「お、おう……杏、だっけか?あこからよく話は聞いてるよ。今日はよろしくな」

 

「え、あ、は、はい………!よ、よろしくお願い…します」

 

「あっはっはっ!そんなに緊張しなくても大丈夫だよ!」

 

 この人があこちゃんのお姉さんでAfterglowのドラムをやっている“宇田川(うだがわ) (ともえ)”先輩………あこちゃんにあまり似てないなぁ………あ、でも元気があるところはあこちゃんに似てるかも。

 

「リサ先輩からよく話は聞いてたけど、本当にちっちゃカワイイ〜‼︎ギューってしてもいい?」

 

「や、やめてくだ………」

 

「ギューッ‼︎」

 

「拒否権なしですか………」

 

 そして、このいかにも陽キャっぽい“上原(うえはら) ひまり”先輩。今井先輩に似てガツガツくるから少し苦手かも………でも背中に当たるこのふくよかな感触、たまらなぁ………うへへぇ、

 

「花村さん、やっぱりそっちの気があるんじゃ………」

 

「やっぱりって何⁉︎」

 

「ダイジョーブ!百合というものは尊いものだと聞きましタ!存分にやっちゃってくだサイ!」

 

「何がどう大丈夫なのかな⁉︎」

 

 もうこの前から私いろいろやられっぱなしだよ!あらぬ誤解生まれすぎだよ!

 ていうか、ツッコミ役の人早く登場して!そろそろ私いろいろとキャパオーバーしそうだから!早く出せ作者‼︎←すみませんby作者

 

「巴、ひまり。あまりくっつくと迷惑でしょ」

 

「おっと、そうだな。ほら、ひまり」

 

「はーい。また後でギューってさせてねっ!」

 

「あ………」

 

 Afterglowのボーカル担当、“美竹(みたけ) (らん)”先輩の一声により、やっと上原先輩から解放された。はぁ〜、危なかった。これ以上あの柔らかさにあてられてたら、私自身どうなっていたことか。だけど、あの感触はもうちょっと堪能していたかったかも………そろそろ私ヤバいな。

 

 それにしても、幼馴染5人で結成されたバンド、Afterglowか……あこちゃんのバンドといい、最近は本当にガールズバンドが増えた気がするなぁ。星川さんもバンドやりたいって言ってたし。

 

 私はやらないけど!やる気ゼロだからね!

 

「大丈夫、杏ちゃん?」

 

「あ、はい……えーと…」

 

「あ、私は“羽沢(はざわ) つぐみ”。Afterglowでキーボードを弾いてるんだ。よろしくね」

 

「あ、よろしくお願いします…」

 

「ごめんね。ひまりちゃん、可愛い後輩が出来たから興奮してたんだと思う」

 

「あ、いえ。私も少し堪能させ……癒やさせていただきましたし、大丈夫ですよ」

 

「そう?良かった!あ、私の家商店街で喫茶店やってるんだけど、よかったら今度来ないかな?」

 

「そうなんですか。ぜひ今度行かせていただきます」

 

 巴先輩や上原先輩の勢いが凄くて気づかなかったけど……。羽沢先輩、今まで会ってきた中で最も普通の先輩だ。

 もっと言うと、今までで一番話しやすい気がする。

 ていうか、今まで会ってきた先輩達はロクな人がいなかったもん。今井先輩はグイグイ来るし、瀬田先輩は儚いだし、大和先輩はアイドルだし(リラさんから聞いた)

 その中でも、羽沢先輩は至って普通。普通としか言いようがない。友達に一人や二人はいそうな普通の人だ。さすがはガルパピコで『大いなる普通』という異名を付けられたことはある。あ、別にバカにしてるわけじゃないです。

 

「どうしたの?」

 

「あ、いえなんでも」

 

 あぶないあぶない。羽沢先輩に私の脳内を知られてしまうところだった。何度も言うけど、バカにしてるわけじゃないので。

 あれ?そういえばさっきから一人足りないような………確か、Afterglowのギターの………

 

「って、パン食べてるし!」

 

「あー、モカちゃん今日日直で忙しくておやつ抜きだったから………」

 

「ん〜?杏ちんも食べる〜?」

 

「モカ、そろそろスタジオ行くよ」

 

「え〜、モカちゃんはお腹がすいて動けませ〜ん。あと10分待って〜」

 

 な、なんかマイペースな人だな〜………

 Afterglowのリードギター、“青葉(あおば) モカ”先輩。最初に会った時、うまく言えないけど、何やら只者ではない気配を感じた。

 私からしたら陽キャの部類ではあるけど、何やら仲良く出来そうな予感………

 

「んー、どうしたのー、じっと見て〜。やっぱりパン、食べる〜?」

 

 と、すでに3つ以上は食べてる青葉先輩がパンを差し出してくる。その食欲はどこから………でも、パン美味しそう………

 

「じ、じゃあお言葉に甘えて………」

 

「ん、遠慮しないで食べてくれたまえ〜」

 

「あー、いいなー!花村さん、パンもらえてー!」

 

「なるほど、ジンシンショーアクジュツはこうやて使うデスねっ!」

 

「だから人聞き悪いこと言わないで!」

 

 やはりリラさん刺客だな!さっきから空気読めてないよ!一言余計だよ!

 

「さて、それじゃひと段落したところでスタジオに向かいまーす!」

 

 上原先輩がスッと立ち上がって、やっと本題に入る。そういえば、上原先輩がAfterglowのリーダーだって聞いた時は少し驚いた。見た目からして美竹先輩だと思ってたから。

 

「今日は可愛い見学者もいることだし、いつも以上に頑張るよー!それじゃみんな、張り切っていこー!えいえいおー‼︎」

 

「「「「「「「……………………」」」」」」」

 

「もー‼︎ここはやるべきでしょー‼︎」

 

「あ、すみません……いきなりだったので………」

 

「これが噂のひまり先輩のえいえいおー……!」

 

「なるほど、みんなでやると見せかけて誰もやらない……ネタとしては悪くないデス!」

 

「リラさん………だから空気を………」

 

「もー‼︎」

 

「あっはっはっはっ!いやー、やっぱ私らはこうじゃないとな」

 

「うん、いつも通り、だね」

 

「あ、あはは………なんかごめんね、ひまりちゃん」

 

「いいよー。ひーちゃんその調子ー」

 

「みんなまでー‼︎」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

ーーーーー

 

ーー

 

 

「いやー、凄かったね、Afterglowの練習風景!」

 

「ハイ!オサナナジミ同士、息ピッタリって感じデシタ!」

 

「うん、凄かった。演奏もだけど、こう………一人一人の勢いというか、ね………」

 

 特に上原先輩。あの後も何度も何度も抱きついてきて大変だった。あの2つの爆弾に何度意識を飛ばされそうになったことか………あの人は要注意人物として私の心に留めておこう。あと今度、成長の秘訣について聞いてみよう。

 

「ルルナさんっ!ワタシ決めました!ルルナさんのバンド、入りマス!」

 

「おっ、ありがとう!やっぱり実物を見るとやりたくなるよね〜」

 

「えっ⁉︎リラさん、どういうこと⁉︎」

 

「ワタシ、少しだけギターの経験あるデス!ルルナさんから誘われて少し迷ってましタが、Afterglowの演奏を聴いてケツイしましタ!」

 

「だからリラさんも来てたんだ……」

 

「花村さんはどう?気持ち変わった?」

 

「まぁ、たしかに演奏はカッコ良かったですけど………」

 

「でしょ?」

 

 たしかに、すごくカッコ良かった。

 巴先輩はイメージ通りすごくパワフルにドラムを叩いてて、羽沢先輩は演奏中でも全体を見渡している感じだった。青葉先輩はマイペースな人だけどギターを弾いている時は別人みたいだったし、上原先輩は堂々とした演奏で全体を支えていた。

 そして、美竹先輩。力強い歌声とパフォーマンスに圧倒されてしまった。バンドのことをよく知らない私でも、少しの間我を忘れて見入ってしまった。

 

 つまり、何がいいたいかというと………

 

「すごいですね、バンドって………」

 

「花村さんもようやく気づいたね、バンドの魅力に」

 

 そっか………この気持ちを知って欲しいから、星川さんは私を連れてきたんだ。

 

  ちょっと強引だったけど、でも………

 

「星川さんがやりたくなる気持ち、少しは分かったかもです」

 

「でしょ〜!ね、やってみない?花村さんなら良いボーカルになれるよ〜‼︎」

 

「…学校でも思いましたけど、なんで私ボーカルなんですか?」

 

「花村さんって意外と声が綺麗だし、歌も上手そうだなーって思って〜。ちなみに私はベースね!」

 

「………ちょ、ちょっと考えさせてください」

 

「えー?なんでー?」

 

「アンさん、ボーカルしてくだサイよー!」

 

「そ、それだけは断じてイヤ〜‼︎」

 

 バンドはカッコいいと思ったけど。

 私がやるかどうかはまた別の問題なのですよ、はい。




「あれー?」

「どうした、“くいな”」

「あの子って、モデルの星川ルルナじゃない?」
 
 杏達3人が歩いている後ろでそう呟く、くいなと呼ばれたポニーテールの少女。そしてもう1人、その言葉に反応して怪訝な表情をするショートヘアの少女。
 
「………そうだね」
 
「最近星川さんとよくいるよねー、あの人達。まぁ、“伊月(いつき)”的には面白くないかもだけどー。ねぇ、どう思う?友達だと思う?」
 
「さぁね。でも………」
 
 くいなの言葉を適当に返しつつ、ショートヘアの少女、伊月は杏の方をじっと見つめていた。
 
「ちょっと、邪魔になってきたかな」
 
「うわー、悪い顔してるわー」
 
 to be continued………
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