作品の内容とは直接関係ないうんちくが多いので、読み飛ばしても問題ありません。
【登場人物紹介】
『隣の国の王子』
エドワード六世。隣の国(大ブリテン王国)の第一王子。十二歳。性格は真面目で勇敢だが少々気弱。よく沼に沈む。今作のヒロイン(?)。
細剣を用いた決闘剣術を修めており、若くして実戦の域にまで昇華させている。病弱を克服するため、また教養の一環として嗜む程度に始めたものだが、思わぬ才能の開花によりその世界にのめり込んだ。生前の曇王とは何度か面識があり、公の場で出くわしては剣術談義に花を咲かせていた。
原作においては年齢はもう少し上で、「死体でも構わない」と言って白雪姫を棺ごと持ち帰ろうとした剛の者。本作では読者に好かれるキャラにするべく手を加え、現在の健気なショタに落ち着いた。
白雪姫に登場する王子をエドワード六世にしたのは、筆者の拡大解釈という名の思いつき。彼は生まれつき体(特に肺)が弱く、史実では十五歳でこの世を去ることになる。
『顧問官』
サー・ウォルシンガム。いや誰だよコイツ、と言われるであろうキャラその1。歳は三十代前半。ウィリアム・セシルにその才覚を見出され、若くしてイングランド王室を支える顧問団に列席。国内外で暗躍する密偵たちの統率者でもある。史実では彼らを巧みに用い、エリザベス一世の暗殺を十回以上未然に防いだと言われている、常軌を逸した切れ者。
本作ではその知能の高さに加え、イングランドにひっそりと伝わる謎武術『バリツ』を修得している。おまけにその高速思考により視界外の敵の動きや飛び道具の軌道すら確率論的に予測できるため、作中に登場する純粋な人類の中では最強格であると思われる。
ちょっと何言ってるか分からないです。
『槍の騎士』
サー・ウォルター・ローリー。いや誰だよコイツ、と言われるであろうキャラその2。自他共に認める色男。従者として王子を側で支える。
魔女抹殺のために用意した銀の槍がトレードマーク。しかし槍だけでなく、剣や銃も難なく使いこなす。実戦経験が豊富で、魔女すら容易く無力化できる実力の持ち主であるが、その型破りな性格から王宮には敵も多い。
貴族でありながら冒険家でもあり(実は珍しいことではない。冒険というのは元々貴族のものだった)、様々な未開の地に自ら足を運ぶが、成果を出すことはできなかった。その際、史実においては多くの部下や実の息子を亡くしているが、この世界では誰も犠牲者を出していない。また彼は劇作家としての一面もあり、演技指導のため劇場に赴くことも多々あったらしい。
サー・ローリーには様々な逸話があるが「ドMだから」という理由をつければ納得できるものが多いため、こういうキャラ付けになった。
『ランツクネヒト』
近世に登場した最凶の傭兵集団。いや誰だよコイツら、と言われるであろうキャラたちその3。
マスケット銃による戦列歩兵が基本戦術となった近世初頭において、銃を怖れず彼らに特攻し、眉唾な話だが武器で弾丸を叩き落としたという逸話さえ残されている。狂気的なほどに勇敢で、また極めて残虐でもあったらしい。しかし古今を問わず人間というのは戦場で生き残るために残虐にならざるを得ないので、ランツクネヒトが特別狂っていたかと言われると首を傾げざるをえない。
彼らは道化師のような華美な衣装に身を包んでいたが、これは雇い主だったローマから「お洒落くらい好きにさせてやりなよ。危険な仕事なんだし」と許されていた。しかし史実では後に報酬未払いのために襲撃されたり、本作でも曇王が国を立ち上げた際にあっさり裏切られたりしているので、この時代のローマはつくづく持ってない。
【その他解説】
『隣の国(大ブリテン王国)』
現在のイギリス。エリザベス一世の威光の元、優秀な人材が集い、安定した治世が実現していた。『この国』にたびたびちょっかいをかけており、曇王の崩御を機に顧問官ウォルシンガムを派遣、小規模な軍と密偵たちの指揮を一任している。
史実のイギリスの大陸の支配はと言うと、当時はカリーとかいうご飯にかけたら美味しそうな名前のちっさい海沿いの領地しか持っていなかった。後にそれすらもあっさり奪われている。黄金期とか言われてるのに恥ずかしくないの? ざぁ~こざぁ~こ♡
エリザベス一世の時代の国名は史実では『イングランド王国』であり、スコットランドやウェールズを統合した大ブリテンを名乗るのは次代のアン女王の時である。「何で黄金期に大ブリテン名乗らなかったの?名乗っても良かっただろ。名乗れよ!」という筆者のよく分からないこだわりにより史実に先取りした形となった。他にもエリザベス一世が弟のエドワード六世よりも早く王位を継いでいたり、史実とは異なる歴史が流れている。
『太陽の沈まぬ国の無敵艦隊』
ちょうどこの時代、イギリスはスペインの無敵艦隊をアルマダの海戦で打ち破り、海洋世界に覇を示した。
しかし実情はどちらかと言えば、勝利したと言うより向こうが勝手に自滅したという言い方の方が正しい。無駄に大きい船ばかり用意した結果、小回りの利くイギリス船に大砲が当てられず、挙げ句勝手に座礁したり嵐で沈んだり、ダメだと思って帰ろうとしたらまた嵐にあったりで、祖国に帰れた船はたった数隻だけという、無敵www艦ww隊wwwwと笑われても仕方の無いグタグタっぷりであった。横っ面をスペイン絶対殺すマン、サー・ドレイクに何回か叩かれたせいもあるが、天気が悪くて海が荒れていたことが彼らの敗北の大要因である。
なお無敵艦隊の指揮をローマ教皇より推薦されたとある貴族は、この作戦が上手く行かないのを何となく察していた節があり、「俺には荷が重いっすwwマジ勘弁してくださいwwwホントwww無理wwww」といった断りの手紙を何通も教皇に送っていたという。結局無理やりやらされる羽目になったが。
『エドワード六世の影武者』
顧問官が王子の影武者についてさらっと触れていたが、あれは1800年くらいにアメリカで書かれた童話『王子と少年』が元ネタ。
顔がクリソツな貧民街の少年が王子と入れ替わって生活したり友情を育んだりする話。彼らの絆はこの世界においても健在である。
『十字軍』
皆さんお馴染み、欲と利権に塗れた狂信者たちの大進軍。狩人は馬鹿にしていたが、基本的には強くて怖い。大軍を食わせるために食糧を略奪するのは仕方ないとして、某都市での虐殺ははさすがに擁護できない。しかし厨二病心をくすぐる名将たちの熱いバトルが数多くあった。
ちなみに広義の意味では、教皇が軍の編成を命じたり援助したりすればそれは神の軍団という意味での十字軍である。そのため上記で触れたスペインの無敵艦隊も実は十字軍だったのではないかという説が強い。
『曇王の近衛兵たち』
鎖帷子を身に纏い、長剣や斧、クロスボウで武装した兵士たち。やられ役。
鎖帷子というのは前時代的だが本来は高価な品であり、殺した敵軍から鹵獲したり壊れたら直して再利用するのが常である。近年この国は財政難で、装備を新調する金も直す余裕もなかった。まともな状態ならそれなりの防弾性能が期待できただろう。
『リボルバー拳銃』
西部開拓時代のイメージが強いが、あの時代のアレこそリボルバーの完成形であり、この時代のものはまだまだ試作段階であった。
回転式の弾倉を作ることで装填なしに連続で撃てるようにするという発想は悪くない。しかし16世紀のリボルバーは撃つたびに弾倉を手動で回転させねばならず、戦場でそんなことをやっていると焦って力加減を間違え壊すか外すかしてしまう。それぐらい繊細な造りのものが多く、おおよそ実戦には向かないとされていた。
頑丈かつ壊れてもすぐ直せるくらいシンプルな造りが兵器として望ましいのである。
『栄光の手』
屍蝋化した人間の死体の手から作られる
地の文では『死体の腕を模した蝋燭』と語られているが、実際は本物の死体を蝋燭に使えるように加工したものである。『死人返り』の腕を切り取って『先生』が作成したものだが、それを言うと潔癖症の狩人が嫌がるので何も教えていない。
劇中では語られていないが、小人たちは死人たちから腕を切り取り『栄光の手』を作成、それを国外で売ることで多大な収入を得ている。彼らの食事がそこそこ豪勢なのはそういう理由がある。
しかし狩人の冒険の役に立っているかと言われるとそんなことはなく、もっぱら尻から火を噴くというしょうもないギャグのネタとして使われている。
『それは劇薬だが、全ての病を癒すであろう』
サー・ウォルター・ローリーが処刑人の断頭斧を見たときに言い放ったという台詞。彼は首を落とされる最期の瞬間まで笑みを崩さなかったと伝えられている。
『Honi soit qui mal y pense(悪意を抱く者に災いあれ)』
イングランドにて十四世紀に設立され、現代まで続く『ガーター騎士団』の決めゼリフ、というか謳い文句。
騎士団設立時は黒死病が猛威を振るっており、欧州人口の約三割がその餌食になったと伝えられている。各国は魔女や悪魔の仕業であることを確信し、名のある聖職者や騎士に死の病を操る黒幕を探させていた。そんな時代に上記のような決めゼリフとともに生まれた騎士団なら、間違いなく人に仇なす魔の軍勢を狩ることが真の目的に違いない。そんな筆者の熱い厨二病的妄想から爆誕したのが、本作のガーター騎士団である。
いやでもコレマジであると思うよ。だって設立時期が当時のイングランド王の娘が黒死病で亡くなった直後くらいだし。あんまり大切にはしてなかったみたいだけど、失ってから気づくことってあるじゃん? 復讐してやりたいと思うのが親心じゃん? いやマジでこの説推すわ。
ちなみに史実においては王侯貴族が賜る勲章であり、現代では貴族じゃなくても人類の発展とかに寄与するようなスゴいことをすると貰える。日本人にも何人か貰えた人がいたはず。
勲章もらった人の全てが実は騎士団の一員であり、人知れず魔の軍勢と戦っているという設定だったら熱い……熱くない?
『16世紀の戦列歩兵』
もううんちく書くの飽きてきたので簡単に言うと、銃兵と木製の長い槍(パイク)を持った兵士たちを密集させた隊列のこと。銃兵を敵の突進から守れるし、装填時の隙も減らせる。これら戦術の発達などが革新をもたらし、騎士はお役ご免になったらしい。17世紀に入ってからは銃剣が槍の代わりを担うことになる。
隣の国の兵士たちは戦列歩兵を作るには数が少なかったものの、なんとか気合いで誤魔化した。
『キャラクターの年齢』
史実に実在するキャラの年齢が作中設定と噛み合っていない。王子はこの時代まで存命ならもっと歳を食っているはずであり、逆に顧問官や槍の騎士などはもう少し若い計算になる。まあ、お伽話の世界ということで勘弁してください。全部史実の通りにしようとするとすごく面倒くさいのです。
中世ヨーロッパ的世界観、通称ナーロッパがもてはやされる理由も分かる。面倒くさいから。これに尽きる。
『本作のタイトルについて』
本作の超カッコイイタイトル『GRIM WOOD』だが、実はスペルが違う。『グリム童話の森』なら正確には『GRIMM WOOD』であり、『GRIM WOOD』では和訳すると単に『険しい森』になってしまう。
ダセえwww クソワロタwww 今さら気づいても遅えよwwwww
もうAIに書かせた絵にも『GRIM WOOD』って超絶カッコイイロゴ入れちゃったし。もうやってられないので険しい森で行く。
ふーんだ。いいもん別に。間違ってないもん。険しい森だもーん。
歴史解説的な部分はおそらく普通のストーリーの倍以上時間をかけて書いてます。どう考えても誰も読まないのに何でそんなに時間をかけるのか。
そもそも真面目ぶって頑張って書いたって面白くなければしょうがないんですよね。意識高い系な奴が大したことない頭を必死に振り絞って書いた物より、煮え滾る性欲を持て余す剛の者がイカ臭い手でキーボードぶっ叩いて衝動的に書き上げた物の方が面白いに決まってるんです。文学ってのは本来そういうものなんですよね。三島由紀夫も似たようなこと言ってました。戦後文学の最高峰にして自走式性癖博覧会、三島が言うんなら間違いありません。