【登場人物紹介】
『幸せ』
満を持して登場したシャブ漬けの小人。明らかに出る作品を間違えてるというか、一人だけ世界観が違う気がする。作者が一番好きなキャラ。
言動を一つ一つ深読みするとコイツのバックボーンが何となく見えてくるが、正直それほど考察する価値もない。
だってもう出てこないし。
『照れ屋』
満を持して登場した七人の小人最後の一人。
照れ屋というかお前どう見ても忍者だろという感想以外ない。ネタバレすると手裏剣も投げるし分身の術も使う。
作中最強は『先生』だが、最も厄介なのはこの男と思われる。
『密偵たち』
顧問官子飼いの『隣の国』の暗部。国内外において暗躍するイングランド王室最高の盾であり、また矛でもある。
この時代で黒人にスパイは無理だろとか野暮なツッコミをしてはいけない。貴方今のご時世にそんなこと言ったらポリコレ警察に蜂の巣にされますよ?
『飲んだくれのジジイ』
狩人が酒場で会った顔見知りのジジイ。軽く数世紀くらいは生きているらしい。黒死病に小氷河期と中世の暗黒時代を生き延びてきた歴史の生き証人。
小人たちと比較すると『先生』よりは若く、『怒りんぼう』よりは年上。大体『寝ぼすけ』と同い年くらい。
ネタバレすると最後の方で狩人たちと敵対する。
『壮年の兵士』
実は十二話にも登場しており、顧問官に代わって戦列歩兵を率いていた老練の兵士。個性的な面子が揃う中、唯一の常識人なので影が薄い。それなりに歳を食っているが良い身体♂をしている。
実在したイングランドの将軍にしようと考えていたが、面倒くさくなったのでやめた。あの時代に活躍した将軍あんまり名前が残ってねえよ。
【その他解説】
『エリザベス女王について』
王子の腹違いの姉。知性と教養に満ちたイギリスにおける女王の代名詞。王子との年齢差を考えると、このときはまだ二十代そこそこと思われる。
史実においてはエドワード王子メアリー女王ときて、三姉弟の中では最後に王位を継いでいる。
身内や親族の命がゴミのように使い潰され、自身も無実の罪で二回くらい処刑されそうになった経緯から、彼女は死刑に対しては消極的だったという。事実イングランドの王座を狙った反乱の首謀者を捕らえた際、その処刑に真っ先に反対したりしている。
では聖女のように慈悲深くおしとやかな人柄だったのかと言われるとそこは微妙なところで、理知的ではあったが口は悪く、やたらキレやすいことで知られていた。
特に口うるさくねちっこい性格の人間が嫌いだったようで、ウォルシンガム顧問官とか相当嫌われていたらしい。まあ彼は女王のことをプロテスタントの旗印として祭り上げようとする狂信者だったので、事なかれ主義の女王にしてみればウザいヤツ筆頭扱いも無理はなかったと思う。
ちなみに槍の騎士ことローリー卿は顔が良いので普通にお気に入りだった。面白え女である。
『一口がでけえな』
白雪姫が囓った毒りんごを見たときの狩人の台詞。昔の本の挿絵も最近出版された絵本でも、大体りんごの歯形は信じられないほど大きく描かれている。あの小さなお口からは考えられないほど顎の可動域が大きい。
もしかして白雪姫は恐竜か何かだったんじゃないすか?
『先生の仕込み杖』
わりと最初の頃からちょくちょく居合を放つ場面があったので、勘の良い方なら彼が座頭市だと気づいていたと思う。真空波をバンバン飛ばしているのでもはや剣術というより魔法に近い。
あんまり関係ないけど勝新太郎のあの抜刀の勢いを殺さず手元でくるくる刀を回転させる動きはメチャクチャかっこいい。筆者が包丁でマネしようとしたらすっぽ抜けて天井に突き刺さってしまって抜くのが大変だった。
『薬草誌』
ニコラス・モナルデス著の実在する書物。改定版とかが何度も出ている大ベストセラー。新大陸(アメリカ)で発見された多くの薬草、香草についても扱っており、インディアンから仕入れた情報を鵜呑みにし、「煙草はマジで身体にいいよ」と喧伝している。
そのためヨーロッパでは煙草の一大ブームが巻き起こるのだが、発起人は他でもないローリー卿その人だったと伝えられている。
生まれつき肺が弱いエドワード王子を副流煙で攻撃した罪は重い。
『……ヴァルデック王って誰だっけ?』
ときどき筆者の言葉を狩人が代弁する一例。
『全然暖かくならんぞ。やっぱ暖炉なんてクソだな』
この時代の暖炉は煙突とかいう空調設備込みでマジでクソであり、火の側以外は全然暖かくならなかった。むしろ燃やせば燃やすほど室内の暖かい空気が煙突から逃げていくというクソ仕様。
貧乏人が常用している火鉢の方が暖房器具としては優れていたらしい。
『……あの羽ペンは、元々握っていたのではなかったか?』
『何を握っていたというのだ?見間違いだろう』
槍の騎士のドMマジックによる運命の改変。
一連の流れの最初の方を捉えると羽ペンが重要アイテムであると思われがちだが、これ自体はただの筆記具でありそれ以上でも以下でもない。
ただ彼のドMマジックの発動条件には筆記具が最重要であり、そのためまず始めに一度羽ペンが手元にあるという事実を創る必要があった。
運命の改変はこの世界の神にすら成し得ぬことであり(神は全知全能でありながら、人が堕落する未来を知りつつそれを止めることができなかった)、いくつか制限があるもののまさしく神を超えた力である。
何故槍の騎士がそんな力を持っているかというと、作中人物の中で彼だけがこの世界が『お伽話の中の世界』であることを知っている狂人だからである。
ちょっと何言ってるか分からないです。
『ずっと恋い焦がれてたぜ。テメエによぉ!!』
魔女を見るや否や速攻殺しにきた『怒りんぼう』のセリフ。
正直ここだけが彼のハイライトというか、ここ以外にろくな活躍がない。さんざん武闘派であることを強調しておきながら、実際の強さは小人たちの中でも下から数えた方が早い方である。
座頭市やくしゃみ(戦略兵器)、シャブ中や忍者などチートキャラが多いなか、怪力だけで上位に食い込むのは難しい。
ちなみに強さの順は概ねこんな感じである。
『先生』≫『寝ぼすけ』≫(超えられない壁)≫『照れ屋』≫『幸せ』≫『くしゃみ』≫『怒りんぼう』≫『おとぼけ』
『魔女の氷刃』
接近戦でやり合って痛い目を見たので、遠距離攻撃主体に切り替えた結果そこそこ強くなった。様々な形状に氷を変化させて飛ばしているが、中でも針状の氷刃は音速の壁の突破に耐えうる強度と形状を誇っており、現代のライフル弾以上の威力と貫通力を持つ。
これをひたすら遠くから連射していればまず負けないはずだが、魔女様は戦闘IQが残念な人なので何だかんだ前に出たがる。
『まさに幸せの絶頂である』
ぶっちゃけコレが言いたかっただけみたいなところはある。
『瀉血』
理髪店が医者を兼任していた中世、具合が悪くなったらとりあえず血を抜くという医療法が確率されていた。人体における四つの体液のバランスが崩れることにより人は病気になるという考えに基づいているが、事あるごとに血を抜きまくるため失血死する患者が激増。医者にかかっても病気が治らないどころか、医者にかかったら死ぬという地獄だった。
だがこんな医療法でも名医と言われる方々は実在しており、そういう人たちほど当時の西洋医学をあてにしない我流のモグリが多かったという。
『顧問官のバリツ』
前解説で彼はシャーロックホームズも会得していた謎武術『バリツ』の使い手であると解説したが、具体的には合気道をイメージして書いている。
なお史実のバリツは東洋武術と西洋のステッキ術(棒術?杖術?)を融合させた実戦的武術『バーティッツ』の誤植であるという説が有力らしい。
『聞いたぞ! お前さん、お姫様をぶっ殺したんだって?! ダハハハハハハッ!!』
なにわろてんねん。
『女神信仰』
神の寵愛を受ける人間はあらかじめ決まっており、お前たちのような愚かで卑しい者たちはたぶん救ってもらえない。それでも自己を律してひたすら祈れ、という当時の教えは貴族以外の貧民たちには受けが悪く(当然だが)、彼らはイエスではなくその母親に慈悲を求めた。現代にも残る大聖堂の多くはこうした聖母マリア信仰をでかでかと打ち出しているものが多い。
教会側が流行りに乗った結果なわけだが、厳格な教えを求めるヴァチカンにとって女神信仰は目の上のたんこぶであった。
『神の御子』
本著では預言者イエス・キリストを指す。
ちなみに『鏡』が散り際に洩らした『御子の万雷』という言葉は、叙事詩『失楽園』においてイエスがルシファーたちに向けて放ったえげつない攻撃のことである。これによりルシファーたちは天界から地獄へと落とされ、堕天使となった。
『蝿の王』
『鏡』の正体、というか本体の悪魔の真名。地獄を統べる大魔王サタン(ルシファー)の右腕にして参謀。みんな大好き七つの大罪においては『暴食』を司る悪魔界の超大物である。聖書などでは「力だけならサタンより上」とさえ語られており、ぶっちゃけ魔女様ごときが顎で使っていい存在ではない。
『失楽園』においてはやたらとヘタレな言動が目立ち、野心とカリスマに溢れた超絶かっこいいサタンと対になるような描写が多い。具体的には地獄の悪辣な環境に適応するため真っ先に美しい天使の姿を捨てていたり(サタンは最後まで気合いでイケメン天使の姿を保っていた)、口を開けば「諦めましょう」だの「妥協しましょう」だのおよそ大悪魔とは思えないクッソ情けないセリフを吐き、そのたびにサタンにしばかれたりしている。
ヘタレのくせに内に秘める実力は本物、というキャラ付けはなかなかにあざといと思う。少なくとも日本なら大人気間違いなしである。
『失楽園』
ジョン・ミルトン著のサタン(ルシファー)を主人公に据えているとしか思えない叙事詩。
ここまで読んでもらえれば分かると思うが、筆者は失楽園が大好きである。特にサタンのキャラづけが至高であり、失楽園のサタン以上にかっこいいサタンを見たことがない。
先述の通り野心とカリスマに溢れ、神(とイエス)への凄まじい復讐心を原動力にして突き進むが、同時に人間的な葛藤も併せ持つという男女を問わず魅了するであろう男の中の男。それでいてセリフ回しもウィットに富んでおり、皮肉も切れ味が鋭い。もうマジで名言しか吐かないんですよこの人。
特に筆者のお気に入りは、エデンの園の美しさを目の当たりにして揺らぎかけた己の復讐心に再び火を灯すときに放つセリフである。たぶんググれば出てくると思うが、マジで一読を薦める。サタンファンになること請け合い。
後半失楽園の宣伝しかしてなくて草。