運転手転生~異世界いったから旅をする~   作:TSっていいよね

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多分長く続かない


旅路その0 魔王城の転生者
プロローグ.運転手、生まれ変わる


 

 

やぁ。俺は運送企業で働く旅行が趣味の一般トラック運転手。絶讃残業中さ。

 

ん?別に今は夜中でも何でもないだろって?

はっはっはっ!良い着眼点だな!飴ちゃんをあげよう。サルミアッキでいいかな?

んで、何でこの時間帯で残業かっていうとね…昨日からこのトラック(我が相棒)に乗って日本中を走り回ってるからさ!無論、仕事でね!

 

マジで「仕事量ミスッちゃったんだけど明後日の夜までにできるよね?」とかいったクソ上司許すまじ…!!

 

ま、そんなわけで途轍もない眠気と疲労に抗いながら運転してるのさ。そんな俺を応援してくれるって方はチャンネル登録とグッドボタンをクリックしてくれよな!

 

…はぁ……何意味分からないこと考えてるんだよ俺。

チャンネル登録?グッドボタン?そんなん動画撮ってないからあるわけないだろふざけるな!死ね!

は?ふざけてないが?何とか意識を保つために頭トばしてるだけだが?

 

 

スゥ…はぁ……………やばい。頭も眠気もマジでやばい。どのくらいやばいかっていうとね………やばいくらいやばい。

 

 

マジ…寝みぃ……流石二徹……普段から小学生もびっくりな健康的な生活してた俺にこうかはバツグンだ…

 

 

ほんっっっとに…眠───

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、ドンッ!という衝撃で()()()()()

 

何事かと鉛のように重い瞼を無理矢理こじ開けると、何も見えなかった。

 

いや、違う。

 

僅かにだが光は感じる。

何かが俺の目を塞いでるのか…!?

 

そう思い何故か震える右腕で視界を遮るナニカを取り除こうとすると、そこには瞼を突き破る鋭い破片。

 

視界を塞ぐナニカ、震える右腕、瞼に突き刺さっている鋭い破片…

 

ここまでくれば流石に分かる。

事故だ。俺の居眠りが原因の交通事故が起きた。

 

そして俺の視界を遮る物はこのフロントガラスの破片によってついた傷口から流れ出た自分自身の血。

 

それが分かると今まで忘れていた痛覚が追いついてくる。

 

「───ッ…!!!」

 

 

激痛だ。今もなお鋭い痛みを与え続けるガラス片、そこからジクジクと流れた血が浸透圧で目に攻撃を繰り出し続ける。

 

その他にも、左横腹、両脚、そして喉。

その全てから鋭い突き刺すような痛みと鈍い響くような痛みが、痛覚の信号が脳に送られてくる。

 

それらの原因を、痛みの要因を俺は調べなかった。

 

否。

 

俺は既に身体全身に奔る痛みで何も出来なかくなっていた。

というか、俺から零れていく血が多すぎて首から下の感覚がないといっても過言ではない程に体が()()なってきている。

 

死が何も見えないはずの視界に映り込んできて無様に転がる俺を見下してくる。

 

そして死は無機質なその腕を俺に向けてゆっくりと伸ばしていく。

 

俺は直感的に理解する。理解してしまう。

 

 

これに触れられたら死ぬ。

 

 

嫌…だ…

 

嫌だ、嫌だ…

 

死にた…くない…

 

死にたくない…

 

まだ死にたくない…

 

まだ死にたくないんだ。

 

まだまだやり残したことがあるんだよ…

 

来週発売の漫画の新刊とか…まだやり込み切れてないゲームとか…

 

それに両親に真面に親孝行もしてやれてないんだ…そうだな…例えば両親を旅行に連れてってやるとか。

 

そうだ。旅行で言えば俺は日本ばっかりでまだ海外に行ってない。

 

あと数年…いや来月まで、それまででいい…やり残したことをやる時間をくれよ…

 

 

そうして命乞いですらない神頼みをしても死の手は止まらない。変わらずゆっくり伸びる腕から必死に逃げようとしても俺は動けない。

 

そうして触れられるかどうかの瞬間。

突如謎の浮遊感と弱い光を感じ、死がどんどんと上へ離れていく。

 

…違うな。俺が落ちていってるのか。

 

 

見えない目に光を感じのを最期に俺の意識はこの状況を現すように落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

──目が覚める。

 

 

俺はもしかしたら生き残ったのか…?

 

そんなことを考えながら目を開くと、朧気ながらも知らない天井が視界に飛び込んできた。

 

…ちょっと待ってほんとに知らないこんな天井!?

日本にこんな豪華というか何というか…とにかくギラギラした天井の病院とかあんの!?

 

日本ってスゲー!?

 

 

「■■■■■■■」

 

俺がそんな馬鹿なこと考えていると、遠くから誰かの声が聞こえてくる。

 

けれどその声は何と言っているのかが分からない。もしかしなくともあの事故で耳に後遺症を患ったのだろう。

何と言っているのか分からないのは今後不便で仕方がないだろうが、あれだけボロボロになった俺が生きていること自体が奇跡だ。今はその事に感謝しておかないとな。

 

さて、とりあえず起き上がってあの声の主を探すとしよう。なんせ俺はまだこの状況が全くと言っていいほどに分かってない。

ひとまず看護師さんに医者を呼んで貰って今この状況を聞かないと。

 

それじゃあ起きあが──……?…起きあが──……え?起き上がれない…?いやまて、もう一回、もう一回試しそう。

 

そして起き上がろうとするが、当然起き上がれなかった。

 

oh……マジかよ…

俺の身体後遺症ありまくりじゃん…

 

 

「■■■■■」

 

あっ、さっきの声だ。声の主さん、大分近付いて来てるけど相変わらず何言ってるか分からない。

というか結構子供っぽい声質なんだよな…もっと言うとロリって感じの声。

この謎にギラッギラした病室に迷い込んじゃったのかな?

 

 

何て考えていると、その声の主であろう者がひょっこりと顔を覗かせてる。

 

その子供はどこの国かは分からないが、少なくとも日本人ではない顔つきで、赤紫色の長髪にピンクと紫のオッドアイ、にんまりと開いた口にはギザギザした歯を覗かせている。

そして何より目につくのは頭に生えた二本の黒い角と、ほとんど大事なとこしか隠れてないような衣装。

ついでによく分からない黄色のオーラ的なナニカを纏っていた。

 

何だ!?この幼女!?こんな子日本にいんのか!?というか親はどんな教育してんだよ!?髪染めてカラコン入れて挙げ句の果てにはこんな服だぞ!?角も付けてるし!あとそのオーラ何!?

 

すると、その幼女は突拍子もなく俺を持ち上げようとしてくる。

 

うお!?ちょ、辞めなさい!

すっころぶぞ!

 

「■■■■■」

 

しかし転ぶ何てことはなく幼女はしっかりと俺を持ち上げ抱っこする。

 

…さて、何で俺はこんなちまっこい幼女に抱っこされてるんでしょう?

 

俺、ちゃんと平均的な成人男性だよ?

そりゃ、事故から中々意識が戻らなくてしっかりと栄養が採れてなかった~とかで体重が減ったとかはあるだろうけど、それでもさ、身長とかの関係でこんな幼女に抱っこできるわけないじゃん。

 

え?もしかして俺の下半身ないの?そうなの?

 

 

もしそうなんだとしたら逆に何が残ってるんだよ俺の身体は…

 

もうやだふて寝する!

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

やぁ。久しぶりだね。俺は元運送企業で働く旅行が趣味の一般トラック運転手。今は六本腕の肌の黒い大男に抱っこされてるところさ。

 

さて、おふざけはここまでにしてあれからだいたい1年くらい経った。

こんだけ経てば流石に分かる。

 

俺、生まれ変わりましました。

 

しかも異世界。

 

なんなら魔族に。

 

もっというなら魔王の子として。

 

 

魔王…!?もしかして俺って将来勇者に殺される!?的な心配はつい2週間前くらいまで感じてたけど、どうやらこの世界は王道RPGな世界じゃないらしい。

 

と言うのも、何とか母上と父上の言葉を覚えて…あ、そうそう。今俺を抱いてる六本腕の大男が父上ね。そんでその横にちまっと佇んでいるあの時の幼女が母上。

 

豪放磊落な父上とちっちゃくて自信家な母上という凸凹夫婦が俺の生みの親なのだ。一見ドライな夫婦に見えるかもだが父上の方が母上にべったりなのがカワイイ。

 

閑話休題。

 

それでどうして勇者に殺されないかというと、そもそも肝心の勇者がいないのだ。というか過去の人物。

 

なんか母上が俺に「数千年くらい昔に妾を殺した空が青色じゃなきゃ嫌だとか言う頭のおかしい勇者がおったんじゃがの、ほんと頭のおかしいヤツじゃった」っていう内容の薄っぺらい話を聞かせてくれてね。

それで知った。

 

あ、そういえば母上も父上もなんか不死魔族っていう種族らしくて死なないんだよね。

正確には母上は死にづらいだけで死ぬらしいんだけど500年で復活するらしい。

父上はマジで死なない。体を粉微塵にしても死なない。ちょっとキモい。

 

ま、そんなお二方の子供である俺も当然死なないのさ。フッフッフ…どうだ?恐ろしいか?

 

ま、でも多分父上みたいに完全に死なないとかじゃないんだろうけど。

 

 

それじゃあそろそろ寝るわ。まだ1歳の子供の体じゃ眠気に抗えんのだ。

そんじゃ。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

さて、緊急事態だ。緊急じゃないけど。

なんと父上より母上の方が位が高いらしい。

そう。魔王の父上よりも上なのだ。

 

何でも母上は魔界大帝と言うものらしい。

意味がわからない!

 

いや、別に母上が嘘を吐いてるって思ってるわけじゃない。ただ単純に魔王より上って何?って困惑してるってだけね。

 

だってさ、魔王よ?物語のラスボスよ?その上って何だよ。裏ボスってか?残念ながら違うんだなそれが。

 

曰く母上の下に魔帝がいるんだと。

ん~…いや、少し違うか。母上が魔帝の中でも頭一つ二つ飛び抜けてるって感じだ。

しかも母上の上に魔神ってのがいるんだと。

 

おかしいな…この世界のインフレが止まらねぇ…

魔王が位的に下の方とか…おかしいだろ…

 

だって魔の王だよ?魔族の王様が……ん?

 

………あ!そうじゃん。魔王って魔族の王様じゃん。

父上も母上も政治的なアレソレどころか仕事してるとこみたことないから実際そうなのか分からないけど、魔王って人の王様みたいに普通に魔族の王様ってだけなんでは?

 

んで魔帝ってのがまぁ、単純に力の強い国の王と。

母上は…始皇帝か。

 

はぁー、納得いったわ。これが本当かは知らんけど。それでもモヤモヤし続けるよりは全然マシよ。

 

 

これで心置きなく眠れるわ!夢の中で会えたらまた逢おう!

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

()()()()のどうだ?フィアンセよ」

 

黒曜石のような黒い肌を曝け出す六本腕の大男が自らの城に帰り、我が子の様子を妻に聞く。

 

「今はもうスヤスヤ眠っておるわ。あともうフィアンセじゃなくてハニーじゃな」

 

「おお、すまない!癖が抜け切れてなくてな!」

 

がっはっはと豪快に笑うこの男は世界に名を轟かせる『知恵の魔王』、バーディガーディ。

その彼の前に立つピンク髪を揺らす幼女は、世界に不名誉な名を轟かせる『魔界大帝』、キシリカ・キシリス。

そしてここにはいないが二人の子供の1歳三ヶ月の赤子、リィリル。

この三人で構成された不死魔族の一家に、少しばかり不穏な話題が上がる。

 

「それでなんだが…リィリルは少しばかり寝過ぎじゃないか?」

 

リィリルまだ赤子ではあるが、既に1歳で活動時間が半日ほどまで延びてくる時期だ。

しかしリィリルはまだ一日に17時間ほど寝ており、活動時間が産まれたばかりの頃と変わらないのだ。

 

「そうか?まだ赤子だしこんなもんじゃないかの?」

 

当然、成長の遅い赤子という理由等ではない。

その原因には前世が関係してくる。そう、何故かは分からないがリィリルには前世の記憶が残っている。

 

結論から言うと、リィリルはストレスによって過眠症を患ってしまっている。

 

勘違いされないよう言っておくが、別に前世でイジメや虐待されていた事実は一切ない。

むしろ逆で、前世がいいものであったからこそこうなってしまったのだ。

前世への未練や、残してきた家族などの大切な人たちへの心配。そして今世での不安。それらがリィリルを精神的に追い詰めている。

分かりやすく例えるのならば、リィリルは極度のホームシックになっていた。

 

無論、この精神状態は放っておくのはよくない。放っておいでも治るわけがないのだから。*1

それに『知恵の魔王』が気付けるかが重要なのだが…

 

 

「うーむ…まぁそれもそうだな!」

 

そもそもバーディガーディは馬鹿の中では知恵のまわる方と言うだけのため、我が子の容態に気付けなかった。

 

 

 

 

*1
治る状況でも放っておくのはよくないぞ!これはあくまでも魔大陸でのお話だ!ぐちぐち言わずに病院へいこう!




前世に未練ありまくりで転生したら普通はこうなるよねって
あとこの主人公ずっと正気じゃないな
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