運転手転生~異世界いったから旅をする~   作:TSっていいよね

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えー、実は前回まで、主人公の心を色として見える魔眼のことを忘れてまして…
なので今回からは戒めとして会った人の『色』をしっかり描写していこうと思います。
以上です。


運転手、拳を燃やす

 

 

やあ。我が名はリィリル、元運送企業で働く旅行が趣味の一般トラック運転手。

今は初めての依頼である害虫駆除をスタートしたところさ。

 

 

さて、依頼主さんに挨拶し終わって蜂の巣が出来た場所までやってきたわけだけど…正直舐めてたね、蜂のこと。

異世界だからなのか、それとも異世界だとか関係なくここが魔大陸だからなのかは分からないけど、少なくとも俺の知ってる蜂と大きさが違い過ぎるんだよ。勿論一回りくらい大きいという意味で。

何だこの蜂…デカすぎんだろ…もうちょっと小さくなろう?

 

 

まぁ、それについて俺が刺されながらどうこう文句垂れ流そうが現実は変わんないからね、ぐだくだするのはここまでにしようか。

 

ここからは蜂の駆除といこう。

というかそろそろ刺されまって噛まれまくってるのが鬱陶しいったらありゃしない。いくら不死身になってしまったといえども痛い物は痛いし、俺に限っては体積が食われた分だけ減るんだよ!奪われた俺の体積を吸収しなおすか時間経てば元通りになるけど!

 

……改めて俺の体バケモノだな…

 

 

さてさて、前置きは本当の本当にここまでにしよう。戦闘開始だ。

 

腕をパイプ代わりに魔力を拳まで持ってきて、魔術を使って()()()()()()

 

ただそうするだけで、何匹かは勝手に駆除されに俺の拳に飛び込んで来てくれている。

飛んで火に入る夏の虫ってヤツだ。楽で良いね。

…あれ?飛んで火に入る夏の虫の由来がそうなだけで意味はそのまんまじゃないっけ?ま、どうでもいいや。

 

そんなことより、言う必要は一切ないけど一応言っておこう。

俺は意外と根に持つタイプなんだ。だから蜂共…

 

「体積返せぇッ!!」

 

 

そう叫び、グッと構えた右腕を弾けるように伸ばして蜂の本丸である巣へと炎を纏った拳を直撃させる。そのまま纏っていた炎が巣に引火したらしく、ジワジワと少しずつ巣を灰に変えていく。

 

そして殴った衝撃と天井との接着面が焼かれた影響で巣が地面へと落下していく。因みに建物への引火の可能性はない。この建物は木製じゃないからね。

 

そして落下中の半壊した巣に、おまけにともう一撃を叩き込む。今度は左で。

 

最後に蜂の巣だったモノのまだ形を保っていたところを、巣の中の蜂に生き残りを作らない為に足でしっかりと丁寧に磨り潰す。もう巣ですらなくなっているようなものだからあんまり意味はないけど、念の為にね。

 

 

さて、これでとりあえず蜂の巣もろとも中にいた女王蜂含めて蜂共は駆除したし、これで内容的には一応依頼達成かな。

いやー、結構簡単だったなー。まぁ、俺が不死身のせい何だけどね。

 

 

ただそれはそれとして、体積がまだ生き残りの空を飛んでる蜂と今も尚刺して喰ってる蜂の腹の中にまだ入ってそうなんだよね。だから、こいつらも殺す。仕方ない。元々少ない俺の体積を奪うこいつらが悪いのさ。

 

そう言うわけで一度消した拳にもう一度炎を灯して──ってそう言えば説明してなかったな、炎が点く(これ)の原理。

それじゃあ残った蜂を駆除しながら話すとしますか。どうせ流れ作業だしね。

 

 

それで、何でかというと、そうだな…結論から言おう。これは魔法陣を量使ってるだけという実にシンプルな仕組みなのさ。

そこで俺見て浮かぶ魔法陣どこいったっていう当然の疑問だけど、答えは籠手の裏側。実はここに彫られてるってわけよ。

だからこの町に降りて来たときに色々スられたのは割と本気でピンチだったりしたんだよね。ホントに怖かった。

 

 

え?こんな小さい籠手なのに魔法陣なんて彫れるわけないだろって?

フッフッフ…あの事をお忘れかね?あんなに俺の感情の『色』をビビッドカラーに染めたのに?

 

さて、もったいぶらずに言うと、あの事とはズバリ『魔法陣を大きくしても魔術の出力は変わんなかった』ことだ!

 

そう、魔術の出力と魔法陣の大きさは関係ないってことをあの二日後に気付いたんだよ。もっと分かりやすく言うなら、《魔法陣がどれだろう小さくても同じ魔法陣なら出力は一緒》ということ。

 

そこからはもうこの籠手完成まで一直線よ。

因みに籠手には片方六つの計12の魔法陣が彫られていたりする。

いやー…こんな小さい籠手に魔法陣を彫る作業は本っ当に苦行だった…こうでもしないと真面な出力にならないんだよちくしょう。

 

 

 

よし、そうこうしてる内に蜂は全部殺したかな?

それじゃあ依頼主さんに報告して帰るとしますかね。あ、でも蜂の死体とかあるし掃除した方が良いかな?

 

そう思って地面を見れば、そこら中に転がりもはや絨毯と化した蜂の焼死体。中にはボロボロ…というよりもぐずぐずに崩れているものや、グチャッと潰れて中身が丸見えなものなんかのモザイク必須のR-18Gな死体も大量にある。当然、まだゆらゆら揺れる炎の燃料になっているものも。

 

 

 

「………なにも見てない。地面はキレイなままだ。そういうことにしよう」

 

思わずそんな現実逃避をする。これを誰に言うわけでもないけどさ、こう…気分的にそうしたかったんだよ。俺は悪くない。だってこんなことにしなると思ってなかったんだよ…!

 

 

うん。それじゃあ報告してくるか。どうか許してくれますように。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

いやー依頼主さんがいい人でよかった。あの惨状を見ても蜂を俺に投げつけるだけで済ましてくれるだもん。因みに『色』はしっかりマゼンタになってて純度100%のお怒りだったね。

 

…この度は誠にに申しわけごさいませんでした。死んでお詫び致します。

あ、あと投げつけられた蜂、口に入ったけど、外はカリッと中はトロリとしていて美味しかったです。また投げて貰っても?

 

 

 

はい、おふざけはここまでにして、まだまだ日は高いけど宿を探さないといけない。俺は別に野宿でも良いんだけどさ、なんせお金をスられるのが怖すぎる。

ホントに寝た瞬間にスられるからね、魔大陸は。町に降りて来たときに体験したから分かる。

 

 

そんなわけでとりあえず情報収集だ。聞き込みと洒落込もうじゃないか。…と言ってもここら辺誰も居ないんだけどね。

ま、仕事もせずにそこら辺をほっつき歩くバカは居ないってことだ。実に健全な町だね、一部の治安以外は。ここに君臨する者の子として誇らしいよ。

 

 

まぁそんなこと言っても聞き込み出来ないのは困る。

さてどうしようか…うーん、露店とかなら聞けるかな?最悪金払えと言われても払えるくらいには今手持ちあるし…そうしようかな。

 

 

そんなわけで、お店を夢見てあたりを散策していく。そのついでにランニングも。

トレーニングなんかは出来るときは積極的にやらないと、結局いつやるの?ってことになっちゃうからね。明日やろうはバカ野郎ってホント良い言葉だよ。まだまだクソガキだった小学校の夏休みに、身をもって実感したんだよなぁ。

 

 

そう感傷に浸っていると、ぽつんとした一つ露店を発見する。ここら辺は人通り少なそうなのに商売やっていけるのかな?…なんでそんなとこで店探してんの?俺は。まぁいいか。

 

その露店に近寄って見てみれば、どうやらここはアクセサリーを売ってるらしい。まぁ、確かにアクセサリーショップなら一人でも商品を買ってくれたら、一応明日のご飯にはありつける…のか?

 

そんな疑問を抱きつつ、店主か店番かは分からないけど、店の中に座る三本角が特徴的な幼い見た目にオッドアイを持つ女性に話しかける。

因みに纏っている『色』は薄い暗い山吹色、つまり今これといった感情は感じてないらしい。精神状態も普通の範疇だね。

 

 

「冒険者向けの宿ってどこにある?」

 

さて、いきなり本題で悪いけど聞き込みをさせて貰おうか。もう日が傾き始める時間帯なもんで早めに宿を見つけたいんだよ。

 

あ、敬語で話しかけないのは相手側に不審がられない為ね。だってまだ10歳にもなってない子供が完璧といっていいような敬語使ってたら不気味でしょ?あと単純にこの異世界、少なくとも魔大陸じゃ敬語の方が浮くから仕方ない。

 

 

そんな感じでだらだら心の中で呟いていると、お店の女性から声が返ってくる。

 

「お生憎様、ウチは客としか話さないんだ。なんせこんなとこに構えるような店なもんでね」

 

おぉ、見た目に反して姐御口調。

まぁそれはさておき、この露店はやっぱり儲かってないらしく、何でもいいから買ってくれって言われてしまった。

 

それじゃあ何買おうかな。安めのやつが良いんだけど………え!?ちょっと待って一つ緑鉱銭1枚!?高っ!?露店で売買するような商品じゃないってこれ!?

えぇ~…流石にこれは買えないな……うん、一番安いやつ買おう、一番安いやつ。不幸中の幸いで今見たのは一番高いやつだし。

 

それで一番安いのだと……え、それでも鉄銭6枚!?……いや…でも、仕方ないか…

 

 

「じゃあこれを買うかな」

 

「はいよ」

 

そうして一気に所持金の約六分の一が一度で消え去った代わりに、角に付けるアクセサリーを手に入れた。

見た目は、全身銀色のイバラを模した物で、分かりやすく例えると腕輪のような感じ。腕輪と違うのは長いってところぐらい。

悔しいけどオシャレかつスッキリしたデザインで、正直この値段にしては安いな思ってしまった。全然高級品なんだけどね!

 

 

「それで…冒険者向けの宿だっけ?それなら『狼の足爪亭』ってのが左に曲がった奥の方にあるよ」

 

「ありがとう」

 

…結構近いところにあるじゃん。ちょっと損した気分。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

あれから少し走って、あの店の女性から教えてもらった『狼の足爪亭』に無事到着した。

見た目は結構ボロいんだけど安全面とか大丈夫かな?

いや流石にそこまで治安悪くないか。リカリスをなんだと思ってるんだよ俺は。

 

さて、それじゃあまだ早いけどチェックインしようかな。今日は初日だし依頼も1件やったしね、成果は十分でしょ。

 

 

そしてギシギシ床を軋ませながら中に入り、受付の人に泊まる旨を伝えると、ぶっきらぼうに返答が返ってくる。

 

「何泊だ?」

 

「とりあえず3泊で」

 

「あいよ。食事はどうするんだ?朝夕で石銭1枚だ」

 

「あー…それじゃあそれも」

 

まぁ、食事は必要ないと言っても食べれることに超したことはないからね。一日石銭1枚でありつけるのはありがたい。

 

「屑鉄銭1枚と石銭8枚だ」

 

「これで」

 

そう言いながら屑鉄銭2枚を渡す。お釣りがでるのは申し訳ないけど、石銭はもってないから仕方ないよね。

 

「釣りだ」

 

そう言ってしっかり石銭2枚を返してくれる。

ぶっきらぼうだけどこういう金勘定はちゃんとしてていいね。『色』を見ても悪感情は感じてないみたいだし、案外真面な人である証拠だ。ここがアメリカならチップを渡してたよ。

 

……だから俺はリカリスをなんだと思ってるんだよ。ここは魔境か何かか。魔大陸だったわ。

 

 

 

 






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