ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ベル・クラネルは英雄になりたい。物語に登場し、誰も彼も笑顔にする、そんな英雄になりたい。
後ハーレムの主にもなりたい。
英雄になれば可愛い女の子とも仲良くなれる、と祖父は言っていた。
怪物に襲われる少女を救ったり、酒場の可愛い店員にその日の冒険譚を語り仲を育んでみたり、時には野蛮な同業者からエルフの少女を助けたり、時には、時には、時には………!
そんな冒険を夢見る世間知らずな少年。それがベル・クラネル。
祖父の死後、語られた英雄譚と夢を胸に世界で最も熱い街、オラリオへ向かう。そんな道中………
「ピギャアアアアア!!」
「うわあああああ!?」
「ひいいい!!」
ベルが乗った馬車はモンスターに襲われていた。聞いたこともない極彩色の芋虫のようなモンスターの群。
毒々しい見た目の悍ましい怪物。ベルの悲鳴と御者の悲鳴が咆哮に掻き消される。
ああ、このまま僕の冒険は終わってしまうのか。まだ始まってもないのに!!
涙目になりながら、ベルは御者の背中を見る。自分が囮になれば、この人だけでも………と、その時、馬車が人影の横を通り過ぎる。
「!? 逃げてください!!」
ベルが思わず叫ぶ。モンスターは一瞬人影とベルを見比べるような動きをして、人影へと襲いかかり………。
「…………え?」
モンスターの群が吹き飛んだ。剣の一振り。たったそれだけでモンスターの群が殺し尽くされた。
人智を超えた一撃は、間違いなく神の眷族。つまりは、冒険者!!
御者が馬を止め、礼を言うために方向転換する。ベルも初めて出会う冒険者に思わず胸を高鳴らせる。と………
「チっ!」
「…………へ?」
舌打ちが聞こえた。人影………ベルと同じ白髪の人物は滅茶苦茶不機嫌そうな顔しており、ベルのみならず御者や馬も思わず震える。
「ああん? 何だてめぇ等」
「あ、あの………!」
「他人に当たるな馬鹿者」
と、ベル達を睨んでいた子供は褐色肌の男に頭を叩かれる。
「すまんな、先程の芋虫に何度か襲われ、その際に食料を溶かされ腹をすかせているんだ」
その言葉を肯定するように、猛獣の唸り声のような腹の音が聞こえてきた。子供はジッと2匹の犬とその背に乗る一羽の鷲を見つめる。
「……………そう言えばお前等、元々非常食だったか」
「「「!?」」」
ビクッと震える2匹と一羽。直ぐにでも逃げられるように後ずさる。
白髪の子供はジッと見つめている。冗談なのか本気なのか…………と、その時ベルはハッと袋を取り出す。
「こ、これ、どうぞ!」
村を出る時もらった干し肉。後硬いパン。
白髪の子供はジッと食料を見た後、ベルを見る。
「…………お前」
「はい?」
「…………それはお前のだろ」
「えっと、でも助けてもらったし………それに、お腹が空いて友達にあたって、それで喧嘩別れしちゃったら、きっと悲しいから」
動物が逃げられる前提なのは、ベルが冒険者を良く知らぬ証拠だ。そんな田舎者がオラリオに来る道中の食料を渡す。
きゅうう〜、と小さな腹の音が鳴る。今度の発生源は、モンスターに襲われ昼食の機会を逃していたベルだ。
「……お前、名前は?」
「えっと、ベル………ベル・クラネル」
「そうか、借りは返す。見かけたら遠慮なく声をかけろ」
干し肉とパンを食べ始める白髪の子供は、それだけ言うと歩き出した。
「………お前は」
と、今度は褐色肌の男が話しかけてきた。
「あの都市に、何を求める。英雄達を見て、詩でも収めるか?」
「え? あ、いや……そ、そんなに頼りなさそうですかね? 一応、吟遊詩人とかじゃなくて冒険者を目指してるんですけど」
「冒険者?」
「はい、英雄になりたいんです!」
「…………英雄……そうか」
ベルの言葉に、男は笑った。馬鹿にしているような笑いではなく、何処か納得したような………。
「なら精々、走り続けることだ」
「は、はい! あの、ありがとうございます!」
おまけ
第二位の英雄堕落の情報力パンチ弱
「故に告げよう。今のお前達に相応しい言葉を。怠惰なる者よ、お前達こそ【冒険者】。これまで通り、堕落を貪れオラリオ。下界は俺達が救ってやる」
英雄堕落の英雄が誰とはいってないもん
そろそろ100話。皆が読みたい情報の暴力は?
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英雄邂逅(ベル君との出会い)
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英雄堕落(アイズ達の前で異端児かばう)
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リリと勇者の会話(18階層)
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リリとアキの会話(異端児逃がすあたり)