ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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潜入

 学区。

 区と呼ばれるだけあり、小さな都市に匹敵するほどの()()()()。船とは言うが、海面スレスレを浮遊する世界最大の魔道具(マジックアイテム)と言っても過言ではない。

 

 元々は海上要塞………海の覇王リヴィアサンを討つために造られた船が役目を終え、数多のファミリアやギルドの出資により人材育成施設として利用された姿だ。

 

「世界一偉大な船にこんなボートで乗り込もうとするのは後にも先にも俺達ぐらいなものだろう」

「つまり特別ってことね!」

 

 メレンに向かう道中の街で宴を開いて無駄な時間を過ごさせた事に対する皮肉だがアフロディーテには通じなかったらしい。

 

「だが無理だな。追いつけねえ」

「そんなに疾く動いてるようには見えないけど」

「でかいからな。スパルナで乗り込むか」

「駄目よ! 一緒に入るの!」

 

 スパルナはまだ2人同時に運べるだけの『力』はないが、人一人なら一般的な成人男性でも運べる。一人、一柱、一匹一匹運べば楽なのだがアフロディーテはリリウスと一緒に学区に入ると譲らない。

 

「ある程度近づけば壁を駆け上がれるがな」

「ん〜。ヨットにすればよかったかしら?」

 

 リリウスの精霊の風か、ドゥルガーの風で船を加速できたのに。と、その時だった…………

 

「っ!」

「ばう!?」

「ガルル!」

「どぅえ!?」

 

 船が何かに衝突したかのように激しく揺れ、ひっくり返る。全員仲良く海に落ちた。

 

 

 

 

 その海にはシャチの兄弟が居た。

 親をモンスターに殺されて以来、2匹で支え合って生きて来た。

 

 子供から親の庇護なく生きていた彼等は強く育ち、鮫もこの辺りのモンスターも彼等には敵わない。

 頂点捕食者となった高い知能を持つ者は、遊びを覚える。獲物を甚振る遊びを………

 

「今夜は刺し身か…………」

 

 しかし彼等は、迷宮都市(井の中)を知らぬ大海の稚魚でしかなかった。

 

 

 

 

アフロディーテ(わたし)の眷族が海豚(イルカ)を食べようとするんじゃないわよ!」

 

 釣り針の鎖で雁字搦めにされたシャチ達が覚悟を決める中、美しい声が響いた。人と美醜が異なる異種族たる彼等も美しいと、そう感じる絶世の美の化身。

 

 言葉はわからないが自分達を助けようとしているらしい。白いのはジッと兄弟を見つめ…………

 

 

 

 

「ゴーゴー!」

「無駄な時間を食った」

 

 恩恵を与えたシャチに船を引かせるリリウスとアフロディーテ。力強い泳ぎで水を掻き分け、グングン学区へと迫っていく。

 

「じゃあアフロディーテ、舌を噛むなよ」

 

 リリウスはそう言うとアフロディーテを抱え3段重ねの特大菓子(パンケーキ)のような学区を駆け上っていく。

 

 Lv.7の身体能力で駆け上がるリリウスを捉えられるものはおらず、何かが通り抜ける音に気づいた者も風が通ったとしか思えない。

 

「それで、何処に向かえばいい?」

「一番高いところ。偉そうな奴は高いところに住みたがるのよ」

 

 そう言えばアフロディーテも高いところから見下ろすのが好きだったな、とリリウスは思った。

 

 小人族(パルゥム)の子供の中でもさらに小柄なリリウスはアフロディーテを壁や床にぶつけないように意識しながら学区を駆ける。

 

「…………見つかった」

「はあ!?」

 

 と、唐突にリリウスが呟き立ち止まる。アフロディーテに気を使ったとはいえ、Lv.7のリリウスに気付ける相手!?

 

 辺りを見回すが、それらしい人影はない。リリウスは建物の一つを睨んでいた。かなり離れているが、冒険者の五感なら見えるのだろう。

 

「貴方に気付けるなんて、どんな奴よ」

「……………獅子?」

「獅子?」

 

 学区はライオンでも飼ってるのか? とアフロディーテが困惑する中リリウスが再び走り出す。

 

「………見逃された」

「………そう」

 

 オラリオならともかく、海上で学区に侵入されたという前代未聞の異常事態(イレギュラー)の主犯を見逃すとは。悪事を始めても止められる自信があるのか、或いは人を見る目があるのか。

 

 そういえば世界で3人しかいないLv.7の1人である【ナイト・オブ・ナイト】は獅子を想起させる髪をしているのだったか。

 

 まあランクアップも可能なウチの子の方が強いけど、とアフロディーテは得意げな顔をした。

 

 

 

 

 中央にそびえる塔。オラリオにも似た構造の街をかけながら塔の中へと侵入したリリウスとアフロディーテ。

 

「ここね。お邪魔するわ〜」

「………………」

「おや?」

 

 中にいたのは金髪の男神。美の女神ではないが、美しさという点では人並み外れた神々の中でも群を抜いている。

 

 光り輝く金髪の貴公子。パチモンっぽいのを何処かで見たような気がしたリリウスは、何だかワイン呑みながらチーズでも食いたい気分。つまりどうでもいいから考えるのをやめた。

 

「久し振りね、バルドル」

 

 バルドルと呼ばれた男神は瞳を閉じたままアフロディーテ達を見据える。

 

「おや、アフロディーテ。ええ、お久しぶりです。相変わらずお美しい」

「お世辞なんていらないわ。当然の事だもの」

 

 と、髪をはらうアフロディーテ。リリウスは机に置かれていた菓子を見つめていると、バルドルは手招きして差し出してきた。

 

「それで、突然どうしました?」

「リリウスを学区に入学させなさい」

「いいですよ」

「軽!?」

 

 これにはアフロディーテもびっくり。リリウスはクッキーの匂いが染み付いた入れ物をボリボリ食べながら成り行きを見守る。

 

「学ぶ意思があれば、学区は誰でも受け入れます。アフロディーテの子。貴方は、何を学ぶためにここへ来たのですか?」

「? 別に何も………」

「ちょっ!?」

「だがアフロディーテが、主神が世界を学べと言ったんだ。だから学ばせろ………ください?」

「…………………」

 

 学区は金など求めない。必要なのは学ぶ意思。リリウスの言葉はどう聞いても学ぶ意思などなさそうに見えるが、とアフロディーテはバルドルを見る。いざとなったら『魅了』で………などと物騒な事を考え始めた。

 

「世界を学べ、ですか。貴方は世界を知りたいと思いますか?」

「……………………」

 

 リリウスが思い出すのは、何時だったか飯をくれた羊飼い。子供はたくさんお食べとサービスしてくれた酒場のおばさんに、屋台のおっさん。

 そんな名前も聞かず、顔もうろ覚えの、してきたことしか覚えてない誰か。

 

「…………まあ、知ってやってもいい………です」

「そうですか。では、改めて名前を聞かせてもらえますか?」

「リリウス・アーデ」

「おや、もしや現代のフィアナと名高い?」

「そうとも言われているわね」

 

 と、アフロディーテ。

 

「色々面倒なことになりそうだから、正体は隠していいかしら? 他種族でこの身長なら、9歳ぐらい?」

「ふむ。リリウス君、その頃のあなたのレベルは?」

「…………確か、4?」

「「えっ」」

 

 冒険者がランクアップするのは、それだけ偉業をなしたということ。言い方を変えれば、それだけ地獄を見ていたということだ。

 

 二柱の全知の神々も、さすがに想像すらしてなかった。

 

 


 

 

オリオンの矢を見て、BLEACHの映画第一弾を見て、改めて主人公と絆を育むヒロインっていいよねと思った。

 

情報力の暴力の時間だオラァ!

 

学区編終章の敵

氷獣

 

学区編終章のボス

クランプス(古代の怪物)

 

学区編のヒロイン

スカディ(女神スカジの精霊)

 

さて、どんな時期に出てくるでしょ〜か!?

そして、どんな話になるかな〜?

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