ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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災厄の欠片

「閉じ込められたです。一人一人脱出させるのは不可能じゃねえですが」

 

 スパルナの背を踏みながら空へと飛んでいったリリウスはそのまま飛び降り地面に枝で絵を描く。

 蠢く木も、菌糸の筋肉で動く瓦礫も現在リリウスの炎に焼かれ、地面は凍りついている。

 

 菌糸類対策だが、長くは続かないだろうと炎の奥からこちらを睨むモンスターの群を見るリリウス。

 体から茸を生やしたその姿は、冬虫夏草を思わせる。

 

「此奴等もどうする…ですか? 茸が少ねえのならやれるですが」

 

 茸が根を張ってるだけの個体は体が脆い。茸が大きく、体の半分以上を覆っている個体は逆に切りにくい。

 

「残していくのは、危険だね」

「…………まあ」

 

 リリウスの裏拳が炎の壁を飛び越えてきたモンスターの頭部を破壊する。当然、茸が神経を侵しているモンスターはまだ動こうとしたが炎に包まれ焼き尽くされた。

 

「脱出は可能かい?」

「無理だな」

 

 胞子の結界は分厚く、中にかなりの茸があるのは間違いないだろう。

 

「そんなに大量繁殖してるの……?」

「茸は世界最大の生き物だ。根が本体なんだ」

 

 毒の胞子を吐き出していたのも、モンスターや人の死体を操っていたのも、全て同じキノコ系モンスターの一部だろう。ここまで出来るモンスターなど知らないから、確実とはいえないが。

 

「だがスパルナについた胞子も死体の茸も匂いは同じだ」

「キィ………」

 

 水で洗われながら偵察してきたスパルナが一鳴き。

 『耐異常』を持たずとも、少しかかる程度なら問題はないようだ。逆に、『耐異常』を持っていようとあの霧の如き胞子の中を通れば茸を植え付けられるだろう。

 

 肉体が生きていても操れることを考えれば、生きてる間に渡り切るなんて甘い現実は待っていない。強制的に足を止められて終わりだろう。

 

「俺とレオンせんせーなら突破出来るだろうが」

「彼等をおいていくわけには行かないよ」

「そうか…です………」

「キィ」

「…………ん? そうか。じゃあ向かってみるぞです」

「……………何が?」

「胞子の結界内で、襲われてないところを見つけたって」

 

 

 

 先程の村は胞子の結界の中心地に近かった。その村は、そこから少し離れた隣村。

 道中寄生された魔物やされてない魔物もいたが、村に近づけずウロウロしていた。

 

「!? お前等は何者だ!」

「我々は学区の派遣隊だ! 異変の調査をしている!」

「学区? 学区だと!?」

「本当か!」

 

 と、嬉しそうな顔をする見張り達。ルークが言っていた光景はこれか。

 リリウスは村に踏み込む際、村の奥を見る。

 

「…………モンスターの欠片?」

「あれは、黒竜様の鱗だよ」

「黒竜…………」

 

 永い永い人類と怪物の戦争。神時代はその半分も経っていない。永く続いた英雄時代の最大の英雄譚は、黒竜の敗退。

 

 何度か『大穴』の前まで辿り着いた英雄達ですら勝てなかった最強のモンスター黒竜。

 片目を奪われ、鱗を砕かれオラリオから逃げた際に鱗の欠片を幾つか落としたという。これはその一つだろう。

 

 欠片とは思えぬ強大な気配が、他のモンスターを寄せ付けないらしい。

 

 

 

 

「異変は2日前からか。なんで今になって………?」

「…………………」

 

 間違いなくリリウスのせいだろう。と、リリウスは村の外を見る。

 モンスターの気配に紛れる精霊の気配。

 沼の王に似た、モンスターと精霊の混合種。

 

「おいちっこいの」

「ナ、ナノです」

「シュヤーマを貸してやる」

「え?」

「さっきの回復魔法はこいつの魔法。上に乗って代わりに詠唱を唱えろ」

 

 Lv.2だけあり、エルフよりも魔力がある。魔力を共有するシュヤーマを学区の生徒で一番使えるのはナノだろう。

 

 もう一人の教師は前衛だし。

 

「君達は此処に残って村人を守ってくれ。騒動の元凶は私とリリスで討とう」

「ん……」

「レオン先生! 俺達は…………!」

「お前は村守ってろよ」

 

 と、リリウスはルークに言う。

 

「目的を間違うな。お前は救いたいんだろ」

 

 早く世界を救わなくてはという強迫観念に迫られ、強さを求めるあまり周りを見れなくなるようでは意味がない。

 

「俺のようにはなるな」

「あんたの、ように………?」

「は? 俺がなんだって?」

 

 無意識に呟いた言葉だったのか、思わず問い返したルークの言葉に首を傾げるリリウス。

 

「モンスターが来ないとも限らねえんだ。まあ、ビビらねえ奴ならお前等の出番はねえが」

 

 

 

 

 黒竜の鱗。それは確かにモンスターを遠ざける。

 強大な力の欠片に、怪物は本能的な恐れを覚えるからだ。

 

 だが、例外もある。

 

「……………?」

 

 雲の引き裂く赤い鱗。火炎の竜、ファイアドレイクは唐突に振り向く。懐かしい気配を感じた。

 

 その竜は、恐れない。黒竜を恐れないわけではない。だが、()()()()()()()()

 竜の谷より抜け出た脅威の一匹。国を焼く炎が黒竜の欠片を目指す。

 

 


 

 

流石に穢れた精霊と戦わせるほど鬼畜じゃないよ。

だからLv.4のドラゴンあげるね。

ところで黒竜の鱗を竜種が食ったらどうなるんだろうね?

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