ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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神の言葉

「…………本当に、イリアが……貴方がプロメテウス様なのですか?」

「ずっと私達の隣にいた…………?」

「ああ。そうだ………疑われぬよう、無能を演じた。もとより地上においては零能故に」

 

 あの性格(キャラ)も疑われぬために被った仮面だったのだろう。

 

「欠点を作った方が、疑われないからな。隣人となる神々もいるオリンピアの外と異なり、誰もが神を信奉するが故に」

「じゃあ、私達の前で何度も同じ失敗をしたのも?」

「そうだ」

「お使いを頼んで迷子になって1日中迷子になったのも演技だったのだわ?」

「そうだ。私よりあの街に詳しいものも、そうはいない」

「料理の配膳中、すっ転んでよりによってエピメテウス様をスープまみれにしたのも演技だったのだわ」

「そうだ。ただの巫女でありながら他の巫女より近づく口実になった」

「風邪を引いたレア様のお見舞いとしておかゆを作ろうとして、調理場を焼き尽くしたのも演技だったのですね……」

「………………………………………………そうだ」

 

 全ては神が完璧な存在と信じ、神託となればいかなる事も実行してきたオリンピアの民の目を欺くため。

 ポンコツで、でも頑張り屋。人懐っこく、何処か嫌いになれない、そんな仮面(キャラ)を作り続けた。

 

「では……では、我々との友情は、全てまやかしだったのですか?」

「………真実、私はお前達の前で仮面を取ったことはない。偽りだったと言われてしまえば、否定できぬ」

「「っ!!」」

「でも、この数百年。本当に楽しかったよ」

 

 そこは神としての顔ではなく、娘としての顔で答えた。その悲しそうな笑みに2人は何も言えなくなった。

 

「ずるいのだわ、イリアは昔から」

「そんな顔されたら、許すしかないじゃない」

「………すまない」

 

 今度は神として謝罪した。

 

「貴方達、剣を納めなさい」

「この方こそ、我等が従うべき神託の源。主神プロメテウス様であられる」

 

 巫女の言葉に戸惑いながらも跪くオリンピアの民。少なくともこれでオリンピアの民は邪魔しなくなる。

 

「これは、エピメテウス様の暴挙なのですか?」

「ああ。私は、あの子の憎しみを晴らしてやることが出来なかった」

 

 その言葉に誰もが俯く。つまり、知っていたのだろう。エピメテウスの中に存在する、世界を焼くほどの恨みを。

 

 人々の為に戦った。共に戦う戦友(とも)を失いながら、国を救い続けた。その果てに『愚物』と嘲笑われ、貶められた英雄。

 

「そこまでは予想していた。それだけなら、対応出来た。だが最早、事態は私の先見を越えた」

 

 ただの力の塊でしかなかった『炎』は穢れ、自意識まで持った。穢れただけなら対処できたが、自我を手に入れるなど予想もしてなかった。

 

「だからリリウス。エピメテウスを、止めてくれ」

「まあ、止めなきゃ死ぬからな」

 

 下界纏めて焼き払われて。そしてリリウスが止められないのなら、誰にも止めることは敵わない。何よりアフロディーテを助けるためには、彼奴が邪魔だ。

 

「………奴が持つ剣は神創武器。『神の腸を啄む鷲(エトン)』………だが恐らく、お前のあの魔法は神創武器すら破壊する。神の武器を人が破砕するなぞ前例はないが」

「ドゥルガーとの合わせ技だが、前例はあるぞ」

「……………え?」

「アレスの鎧は確かに漆黒の怪物にも壊されていたが、再起動したのを壊したのは俺の魔法だ」

「…………………そうか」

 

 先見の神ですら予想できなかったらしい。

 恐らく恩恵の魔法という形で出てはいるが、『歌姫の歌』や『凶猛の魔槍』と同じ、下界の未知………リリウスの中で眠っていた『未知の可能性』を発現させたのがあの魔法なのだろう。

 

「お前は、つくづくエピメテウスと真逆だな」

「?」

 

 

 

 

 巫女と兵士達には避難を命じた。何百年も共にいた巫女が実は神だった等と言われても誰が信じるのか。

 何より、エピメテウスにプロメテウスの存在を知られるのはまずい。プロメテウス自身、エピメテウスがそれで救われるというのなら神をも殺す剣の前に身を差し出せるが、それは今ではない。

 

「…………何時までついてくる?」

「『穢れた炎』が消滅するまで。それは、私が見届けねばならない…………だから、お願い。私を連れて行って」

 

 と、(イリア)の姿で懇願するプロメテウス。

 リリウスが返事しようとした瞬間、吹き飛ばされた。

 

「…………え? リ、リリウス!?」

 

 そこに現れたのは4枚の翼を持つ竜。遠目からでも確認できた超大型級と共に生み出されるも、誰も気づかなかったリリウスの記憶に強者として残された者()

 

『グルルルル!!』

『キィィィィッ!!』

 

 炎に包まれた竜の背に、同じく炎に包まれた人と蠍を混ぜ合わせたかのような異形が騎乗していた。

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