ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
炎で再現されたリンドヴルム。その背に乗るのは、戦いの後アフロディーテにシャウラと名付けられたアンタレスの子供。
機動力最強クラスの
『グオオオオオ!!』
『キェェェェェ!!』
高速機動のリンドヴルムが飛び出す。炎を推進力とすることで、速度はオリジナルを越している。
されどリリウスもあの時より成長した。大量の氷柱が出現し、氷の森が生まれる。
『ギイイ!』
『キィ…』
即座に距離を取るのは、なるほど大した速度だ。減速せず方向転換など、蜻蛉以上の飛行性能。だが蜻蛉のような広い視界を持っていない。
リリウスを探す為に、一度止まった。その僅かな一瞬でリリウスは接近し蹴りを放つ。
『キイィ──!!』
「っ!!」
止められた。リンドヴルムを狙った一撃を、シャウラが二本の腕で受け止める。
並のモンスターとは比較にならない硬度とはいえ、速度のためにある程度犠牲にしているシャウラ。本来なら砕けるはずの甲殻は罅が入る程度。
膝関節が軋み、僅かに欠ける。全身の関節をクッションに受け流した。完全に受け流せなかったようだが、傷は即座に癒える。
回復力は月の光がなければ行えなかった本物より遥かに上。
『グオオオ!』
「がっ!」
リンドヴルムが吠えると雷が襲いかかる。炎の形をしていても、万能の
硬直したリリウスから距離を取るリンドヴルムの背でシャウラが腕をリリウスに向け、光が降り注いだ。
オリジナルは精霊の力だったが、これは技の再現。リリウスの【
「凍り付け!!」
フロストペインに
「リリウスゥゥゥッ!!」
無力な少女の言葉だけが、虚しく響く。
男は剣を抜いた。その時より男は、炎と共にあった。
力を手にした男は万の魔物を焼き尽くした。その光景は多くの民の胸に
男は戦い続けた。英雄と崇められながらも虚栄心に浸る間も、達成感に打ち震える暇もなかった。
痛哭を、嗚咽を止めるために西へ東へ戦い続けた。
傷の付かぬ日などなかった。それを側で見る兵士達は、何時も気が気でなかった。
彼は確かに英雄だった。彼は確かに隔絶していた。だけど、一人ではなかった。
共に戦う仲間がいた。
けれどやはり彼は隔絶していて、彼の仲間は彼を残して死んでいく。
当然だ。彼は万能ではないのだから。
だが、それを理解してくれない民もいた。
最愛の夫を返せと、女が泣いた。
何も救えないくせに英雄を名乗るなと男が叫んだ。
それでも男は申し訳無さそうに俯き、剣を振り続けた。
「………………あ?」
どうやら気絶していたらしい。防御が貫かれ、追い打ちのごとく降り注ぐ光の雨。手足の2本は吹き飛んでるかと思ったが、無傷と言わないまでも五体満足。
リリウスを炎が包んでいた。だが、熱くはない。
「…………お前等」
リリウスが水底に押し込んだ『天の炎』の炎人達がリリウスを取り囲む。リリウスを包む炎も彼らが形を変えたものだろう。
──幼き戦士よ
頭の中に響く声。恐らくは、彼等の………。
「リリウス! っ! 炎人?」
追いついたイリアは、炎人達を見て驚愕するも、しかし直ぐに困惑する。
「…………魂がない? いや、それよりもこれは……まだ穢れていない『天の炎』……」
──幼き戦士よ
「………なんだ?」
「リリウス?」
「此奴等が話しかけてきた」
と、リリウスが炎人達を指差すも、イリアには聞こえていないようで首を傾げる。
──力を貸してやる
そう言うと他の炎人達も形を崩し、リリウスの周りに集まる。
──我等の声を、我等が友に届けてくれ
──我等の友を止めてくれ
──止めてくれるなら
『グオオオオオオッ!!』
『キィィィ!!』
土煙が晴れ、リリウスの姿を確認したリンドヴルム達が迫る。イリアが叫ぶよりも早く、彼等はリリウスの首へ牙と爪を突き立てるだろう。
炎人、炎獣、悪夢を払う方法は2つ。一つは細かく散らせるだけの力で破壊する。しかしこれは、一定以上の力を持つ悪夢達には厳しいだろう。
2つ目は、より強力な炎で焼き尽くす事。
それこそ現最強の魔導士でも連れてこなければならないだろう。
リンドヴルムとシャウラは、それだけの規格外。
「っ!?」
『『─────!?』』
それが、
リリウスが持つ炎の剣から放たれた炎に。
──止めてくれるなら
──我等はお前の力となろう
「…………リリウス? その炎は、一体」
「………………………知らん」
「…………ええ」
リリウスは炎の剣を見る。その形は、ザルドの持っていた大剣と同じ形。
纏う炎の量や形も操れる。
力を貸す………文字通り、炎の彼等はその身をリリウスに与えた。
「…………リリウス?」
「面倒事押し付けやがって」
「…………?」
「まあこれなら………行くぞ、イリア」
と、リリウスが歩き出す。
イリアも慌ててその後について行く。
「……………都が」
炎のドームに触れた箇所は熔け、そこに近い場所もかなりの高温だろう。そして、都を徘徊するのは超大型級の炎の怪物達。
どれか一つにでも見つかれば、残りもやってきて蹂躙される。
「どうするの、リリウス…………」
「………………」
リリウスは瞳を閉じ、剣に宿る炎に意識を向ける。
想像するのは、最強の存在達。
炎が溢れ出し、リリウスの記憶を象る。
それは最強の魔女。
それは最強の戦士。
それは最強の騎士。
「勝てとは言わねえよ。だけど、その姿で負けることは許さねえ」
『『『……………』』』
炎の人型は、当然言葉など介さない。
「行け」
その言葉と同時に、炎の怪物達の元へと走り去った。
「強敵はこれでいいだろ。雑魚も湧いてる………」
剣を振るう。軌跡に残った炎から溢れるのは無数の炎人。
「行くぞ。剣を造りに」
リリウスは、再びオリンピアの都へと足を踏み入れた。
再生怪人は成長描写。はっきりわかんだね。いや、天の炎なければ殺されてたけどね。
リリウスとエピメテウスの比較
生まれた環境
リリウス
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周りも親もクソ。妹がいたから破壊者にならなかった男
エピメテウス
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あの時代で毎日祈れるなら、そこそこ良い方。
才能
リリウス
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ないわけではないが、生死を分かつ中で手に入れた観察眼利用した後付け才能。
エピメテウス
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炎が効かない古代の怪物相手に生き残ってんだから半端じゃねえって。
始まりの環境
リリウス
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言わずもがな。
エピメテウス
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崇められた。
その後の環境
リリウス
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周りに恵まれた。石投げる奴はいるけどその時攻撃してくるやつ以上の認識無し。
エピメテウス
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戦わねえくせに文句だけは一丁前の屑ばかり。
反撃の速さ
リリウス
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年下には若干甘いが、基本即反撃
エピメテウス
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自分が言われる分には我慢する。仲間の名が残されず愚物の兵として世界に笑われてると知り漸く。
特殊才能
リリウス
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神の鎧すら食い千切るルール無用の魔法は、実はカサンドラ達同様下界の住人が宿す神の予想すら超える未知の具現。
エピメテウス
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本人自身には、炎を操れる才能以外に特に無し。