ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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新たな歴史

 森のそのものを焼き尽くしかねない蛇はリリウスが触れた途端、リリウスに吸い込まれるように消えていく。精霊の影も形も炎の中には存在しなかった。

 

「………勝ったか。だが」

 

 森はすっかり枯れている。もう生き物など住めぬほどに。

 エルフは再び聖地を手放さざるを得なくなったのだ。

 

「問題ない」

「なに?」

 

 エピメテウスの言葉に訝しむラーファル王。その言葉の意味を、直ぐに理解する。森の一角から色とりどりの光が見えた。

 

「…………精霊」

 

 自然と共にあるとされる種族。だが、それは正しくない。厳密には、人類のイメージよりも上と言うべきか。

 

 自然を好む精霊は豊かな土地に住むが、精霊が住むことで自然もまた安定するのだ。

 

「ラ〜〜〜〜♪」

 

 それでも自然が破壊されれば怒って暴れた後立ち去るのが殆どの精霊がその場に残るのは、一人の少女の存在。

 

 同胞の血を引く美しい少女の歌に、精霊は枯れ果てた森を癒していく。

 

 

「………皆、こんなに凄かったんだ」

「下位だろうと神の分身。奇跡の執行者だからな」

 

 濃い精霊の力に触れコリガンの血も目覚めたようだ。その気配に惹かれ集まってきた精霊達の力を借りれば枯れ果てた森の修復など訳はない。

 

「………お兄さんも?」

「後天的に精霊の力が混じってるな」

 

 それもかなりの数。特に強いのは冬精霊だが。

 精霊の気配に下位精霊も「ナカマ?」「ナカマカモ」と寄ってきている。リリウスは鬱陶しそうにしっしと手で払う。

 

「…………………」

 

 穢れた血と蔑んだ混血(ハーフ)と、劣等種族と見下していた小人族(パルゥム)に精霊が集まる姿に、エルフ達は固まっていた。

 

 

 

 

 

「…………………」

「………………」

 

 その後は勝利を祝う宴。コリガンをどう扱えばいいか解らないエルフ達の中で、結局近づいてきた少女は一人だけ。

 コリガンはその少女を知っている。

 

 虐められる中、止めようとしてくれた少女。こちらに背を向けつつも離れない騎士は、こっそり薬を置いていく人。

 

 こういう人達も、何人かいたのだった。医者が診てくれなかった母には薬を用意出来なかったが、食事や傷薬を持ってきてくれたり、過激にならないよう抑えてくれる人。

 

 味方とは言えなくとも、敵ではなかった人達が、いたのだった。

 

 

 

「「まあ、無理だな」」

 

 その光景を見て、これから変わるのかと呟いたエピメテウスの言葉を否定するのはリリウスとラーファル王。

 リリウスはともかくラーファル王にまで。

 

「今は雰囲気に酔っているだけだ。また少しずつ傲慢に戻り、今日の出来事を誇り高いとして子孫達に伝えていく」

 

 百年以上エルフを見てきたラーファル王はそう断言する。

 

「お前の場合変わったんじゃなく戻っただけだ。前提が違う」

 

 数千年の破滅願望を消し去り英雄願望を手にした男に、リリウスは本質が違うと言い切る。

 

「何千年も閉じこもり、己を肯定する時間が長すぎた。歪みに歪んだ誇りはそう簡単に戻らぬよ」

「…………なら、どうする?」

「時間をかける」

 

 長い時間で歪んだのなら、長い時間をかけ正すしかないだろう。

 

「今、子供達は外に興味を持った。リヴェリアという前例もある。旅をさせ、神の恩恵を受ける程度なら命じられるだろう」

 

 つまりは世界を知るということだろう。エピメテウスは尋ねる。

 

「愚王と蔑まれるかもしれんぞ」

「…………それもいい。どうせ、他人の勝利をかすめ取り名を残すのだ。ならば、己の行動で名を残したい」

「そうか。リヴェリアの父だな」

 

 あの女もまた己の行動に己で責任を取るつもりだった。周りのエルフ共が暴走しがちだし、暗黒期はお世辞にも責任を取れていたとは言わないが。

 

「お前達の名は必ず世の同胞に伝えよう。それだけは必ず成すと、始祖の名に誓い約束する」

 

 

 

 

「我が名はネプトゥヌス! これより我等は一心同体!!」

 

 翌日、ネプトゥヌスはコリガンと正式に契約した。

 精霊の血を引く彼女なら大精霊の力にも耐えられるだろう。

 

 コリガンはこれまでの態度を忘れたかのように拍手するエルフ達と、喜ぶ資格は無いと罪悪感から俯くエルフ達を見比べる。

 

「リリウスさん」

「…………ん?」

「世界は、綺麗?」

 

 そう尋ねるコリガンにリリウスは首を傾げた。

 

「俺の言葉で納得するのか?」

「ううん!」

 

 笑顔で返してコリガンはネプトゥヌスの槍に腰を掛け浮かび上がる。

 

「行ってくる」

「ああ」

 

 困惑するエルフ達を尻目にコリガンはリリウスから貰った仮面をつける。母が作りかけていた仮面をリリウスが完成させたのだ。

 

 顔の上半分を隠した仮面。コリガンはベッと舌を突き出す。

 

「バーカ! 滅びろエルフ!!」

 

 エルフ達が固まり、正気に戻り怒号が飛ぶより早くコリガンは木々の間を駆け抜けあっという間に見えなくなった。

 

「………………ふっ」

 

 エピメテウスは笑みを浮かべ、リリウスも吹き出していた。ラーファル王はそのお転婆姿に娘を思い出し頭を抱え、怒号を上げるエルフの中にはコリガンがちゃんと怒っていた事に安堵する者が何人かいた。

 

「俺達も行くぞ」

「ああ、あと数分で精霊の愛子を唆したと矢が飛んでくる」

 

 リリウスとエピメテウスもさっさと森を出ることにした。

 やはりそう簡単にエルフは変わらない。だが、まあ………少しずつなら変わっていくのだろう。

 


 

ダンメモって結構コラボ多いよね。

 

このファンでもダンまちとのコラボがあったし。リリウス野菜狩り尽くしそう。

 

ゴブスレ世界だとゴブスレ的にゴブリン食うのはありだろうか? 食料分荷物減らしてものを運べるとか思うのかな?

 

リリウスの武器紹介

 

防具 獣王外套

リリウスの髪の毛や皮膚、深層の獣の皮から作られた戦闘衣(バトルクロス)。賢者製作の防具で、高い防御力とリリウスの毒にも耐える性能を持つ。

リリウスのスキル発動に応じて白から黒に変化する。

自動修復機能を持つ。

 

 

釣り針

レアドロップアイテム『ウダイオスの根』と数種類の金属からなる鎖と鉤爪。増殖能力を持つ。性能はともかく硬度は第二級武装。

 

 

氷爪フロストペイン

クランプスの双角から作られた双剣。激痛を与える黒氷を生む呪剣(カースウェポン)。評価規格外。

 

 

マーダ

元々は死の七日間の際作られた万能包丁もとい剣。ヴリトラ討伐後は一番硬い鱗を削った馬鹿硬いだけの武器。シャウラとの戦いで折れた。

オリンピアで打ち直される際リリウスの血を水の代わりに使用。リリウスの捕食器官の延長。何もかも喰らい炎の燃料に変える。リリウスが死ぬと炎を吐き出し切った後ただの剣に戻る。

 

番外

包丁入れ

幼少期リリウスが使っていた包丁シリーズ入れ。

骨絶ち包丁、脱骨包丁、皮剥包丁などがある。マーダが万能包丁なので現在は【アストレア・ファミリア】に放置されている。

 

怪王(かいおう)の仮面

リリウスが異端児(ゼノス)と行動する際、顔を隠す必要があるとフェルズに言われていたのを聞き異端児(ゼノス)が集めた素材で作られた仮面。

目元は縦線が入って、口元が開閉する。そこそこ硬い。

 

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