ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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リオードの街

 カイオス砂漠の砂丘を歩いていたリリウス達だったが、その道中砂嵐(サンドストーム)に襲われた。

 無論、それだけなら問題なかったのだが、音も臭も探れない中で大型のサンド・ワームの奇襲に遭いリリウスが丸呑みにされた。

 

 リリウスがサンド・ワームを突き破った頃には右を向いても左を向いても砂漠ばかり。砂の中を通ってきたので匂いも追えず、取り敢えず食事していたら『人狩(ひとが)り』に絡まれ返り討ちにした。

 

 

 エピメテウスはエピメテウスで取り敢えず別れた場所の近くかつ飯が沢山ありそうな街を探し、リオードの街を目指す。

 

 リリウス・アーデを見てないか商人に聞けば、商人達が色めき立ちその中でも速い移動手段を持っていたボフマンの砂海の船(デザート・シップ)に乗ったらしい。

 

「よく信じたな。俺の名を騙る奴も結構いるらしいが」

「商人たる者、相手を見抜けねば一流にもなれませんからね」

 

 大儲けすると浮かれて大事な商機を逃すこともありますが、と冗談を付け足すボフマン。彼は浮かれて喧嘩を売ってはいけない相手を忘れ食われた者がいることを知らない。なんならリリウスだって名乗られていたが覚えてない。

 

「ところで、そちらの者達はいかがします?」

 

 と、ボフマンはリリウスが連れてきた男女を見る。

 不毛過酷なカイオス砂漠においては人間も立派な資源だ。無償で働かせられる奴隷という存在はとてもありがたい。

 

 とはいえ、その奴隷制度が外の人間に良く思われないのも知っているので言葉を濁す。リリウスの対応次第では買い取るつもりなのだろう。

 不安そうにリリウスを見る元商品達。

 

「………………」

 

 リリウスの頭の中で貞潔の女神(アルテミス)正義の女神(アストレア)が口をへの字にした。

 美の女神(アフロディーテ)はそれも人の営みでしょう? と受け入れながら、金ばらまいて全員買い取りそうだと思った。

 

「屋敷は持ってるか?」

「は、はあ………それなりには」

「じゃあそこの連中に飯と服の用意」

 

 と、金貨の詰まった袋を投げ渡す。

 

「こんな金持っていたか?」

「食い殺された死体は金なんざ使わねえだろ」

 

 ボフマンはなるほど、砂漠でモンスターに襲われた商人の死体でも見つけたのかと納得した。よくよく見ればリリウスが引きずってきた荷台の紋章はロッゾのものだ。まさか、最弱とはいえ商会四天王の一人が死んだのか? これは、荒れるぞ!

 

「急に険しい顔をしだしたな」

「そこそこの傭兵雇ってたからな。力ある商会の一つだったんだろう」

 

 ボフマンは部下に命じて荷台の布を取らせる。

 おそらくはまだ確定していないロッゾの死亡情報を自分達の商会だけで独占し、確定し知られた時に備えるのだろう。

 

 

 

 

 ファズール商会。商会四天王にこそ入れなかったが、それでも上位の大商会である事には変わりなく、保有する屋敷にリリウスが連れてきた者達を招き入れ、食事と服を与える。

 

 リリウスもめっちゃ食ってる。エピメテウスは道中歓待を受けているので酒のみだ。

 

「リリウス様。どうぞ………」

「こちらもお召し上がりください」

 

 ()()()()()()()()()()()見目麗しい元奴隷達は、自分達の美貌を理解している。恩人たるリリウスに侍るように果物を持っていく。

 後単純にリリウスが小さくて母性本能をくすぐられるのだろう。

 

「リリウス様! 助けてくれてありがとうございます!」

 

 と、素直にお礼を言うのはリリウスの視線に止まった兄妹だ。

 

「…………ああ」

 

 それだけ返す。が、兄妹達は去らない。

 

「あ、あの! 僕らをリリウス様の【ファミリア】に入れてくれませんか?」

「頑張って働きます!」

「不要だ。俺はそろそろオラリオに戻る。お前等じゃ怪物に食われて死ぬ」

 

 淡々と事実を述べるリリウス。実際、小人族(パルゥム)にすら劣る痩せ細った子供達などサポーターとしても使えないだろう。

 

「ボフマンの商会に雇ってもらえ。色々知ってから道を選べ」

 

 少なくともリリウスは選ぶことすら出来なかったのだから。

 

 

 

 

「フフ。良い街ね、活気に溢れてる」

 

 リオードの街に訪れた女神。

 美の女神フレイヤだ。その美貌に誰もが足を止め見とれている。

 

 そんな反応にも慣れたもので、フレイヤは気にせず街を歩く。実はこっそりオラリオを抜け出した彼女だが、眷族に追いつかれ、今は日差しから体を守る服を着ている。

 

 形から入るのが意外と好きなフレイヤは後で砂漠にふさわしい服でも買おうかと微笑めば、やはり人々の視線を奪う。

 

「あら?」

 

 そんな中、平然と動く人影を見つけた。この辺りの人間同様褐色の肌をした大男だ。

 周りの様子を訝しみ、視線を追いフレイヤを見る。

 その美に見惚れることなく、寧ろその目に宿るのは………迷惑そう?

 厄介なものを見たという顔だ。そのまま視線をそらしその場から去る。

 

 燃え盛る業火のような猛々しい魂………フレイヤは彼に興味を持つ。

 

「彼を追ってくれる?」

 

 誰もいないように見えるが、フレイヤの邪魔をしないように隠れている眷族達に伝えているのだ。

 

 

 

 そしてヘグニが男の後をつける。

 人目を避けるのが得意というか注目を集めたらまともに歩けない彼は、その分隠密を鍛えた。

 

 誰も彼に気付かない。

 フレイヤが興味持った男をつける。しかしあの男、かなり強い。

 角を曲がり視線から外れたので音を立てず素早く移動した。

 

「……………あれ?」

 

 いない。と言うか、行き止まり? 追跡に気づかれていた? どうしよう、フレイヤ様に叱られる!?

 

 

 

 

 ヘグニにつけられていたエピメテウスは念の為暫く遠回りしてから屋敷に戻った。

「戻ったぞ。お前の言う気配は、美の女神の眷族達だった」

「そうか。じゃあ残ってた奴隷全部買った女神ってのはそいつか」

 

 リリウスは外から流れてくる噂の神に面倒くさそうな顔をした。この強さの眷族となると、フレイヤだろう。

 

「明日、街を出るか」

 

 


 

原作フレイヤ

はじめによった街でボフマンと出会い旅の侶伴に。

 

こちらのフレイヤ

ボフマンがエピメテウスと出会いリリウスを探していたので原作より早めに追いつかれ、アレンにリオードまで送らせた。

 

因みに付いてくるのがアレンだったら「風のように速いな。だがそよ風のように軽いぞ」となってた。

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