ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
前回のあらすじ(大嘘)!
深夜の学校で謎の男達の戦いを目撃したベル・クラネル!
槍の男に刺されたかと思ったが生きていて、しかし再び襲われる!しかしサーヴァントセイバーを名乗るジャガ丸くん好きの女剣士に救われ、さらに同じ学校のレフィーヤがやってきた!
彼女に聖杯戦争について聞いたベルは教会に行き神父ヘルメスに聖杯戦争参加を表明!
その帰路、母を名乗る女がバーサーカーを連れ現れて!?
ベル セイバー・アイズ
レフィーヤ ライダー・アルゴノゥト
??? ランサー・ディックス
アルフィア バーサーカー・ザルド
リリウス アーチャー・ドゥルガー(精霊)
エトン アヴェンジャー・エピメテウス(!?)
シル アサシン・クロエ
リリウスは妹をクソゴミカス親父から解放する手伝いをするとあっさり仲間になるぞ! エトンと一、二を争うマスター最強格だ! 以上、嘘あらすじ。
余談だが、アサシンは座に帰りたいと思ってる。
シャルザードの隠し砦。ひとまずアリィをそこのシャルザード軍と合流させる。
駱駝などより遥かに速い『
「……………」
「考え事か、若き王」
流れていく景色を眺めるアリィに声をかけたのはエピメテウスだ。
「………彼の言葉を思い出していた。国を救うための人形になれと」
「………………」
「彼は何故、私を彼処まで嫌う」
「お前が責務を全うしない王だからだ」
その言葉に息を呑むアリィ。
「王とは、貴族とは、民から金を受け取る代わりにその財を以て国を守るものだ。それを行わぬ愚行を、俺は見たことがある」
何処か怒りを滲ませるエピメテウス。アリィが知る由もないが、英雄エピメテウスは確かに国から支援を受けていたが、英雄の力を借りるために他国から集められた金に比べたらその額はあまりにも少ない。まあ、金があったところで結果が変わったかと言われれば話は別だろうが。
「だが、俺はお前を王として見ていない。ここにいるのは王族に生まれただけの小娘だ。そういう意味では、リリウスの方がよほどお前を『王』として見ている」
だから、ボフマンの借りを返す手段の一つとして国を救う、という仮定の道具として扱える。
「あの男に従えば、少なくとも『王』としてあれるわけか」
ただし、国を動かす為の道具として。あの男に地位を与え取り込むことに成功した国があるとすれば、その国は数年の後王族が変わらぬまま支配者が変わることだろう。
「それは違うな。リリウスが王としてお前を使うのは、お前が何も成そうとしないからだ」
「なに? どういう意味だ。私は、国を救おうと…」
「その為に何をしている?」
「────!!」
何もしていない。何かをしようとはしたが、今はただ流されるまま。
「お前は国が救われて欲しいのだろうが、救うための手段を何一つ考えていない」
「それは、軍と………合流して…………」
「意志なき者の意思など無用。国の未来を見なくてはならないお前は、王の帰還を待つ民よりも未来を見ていない。だから、彼奴はお前を使ってやってるんだ」
いっそ残酷なほど、リリウスはアリィという『王』を尊重していた。国を救うことは過程の一つに過ぎずとも、国を救うからこそその国の『王』を立てているのだ。
「だが、だが私は………私は弱いんだ。英雄のように、強くあれない……彼奴のように強ければ、私だって」
「その弱音を彼奴は理解出来んだろうな」
「はは。そうだろうな、あんなつ──」
「弱いからこそ、理解出来ない」
「……………何?」
奴の主神に聞いた話だが、と語りだすエピメテウス。
それはリリウス・アーデの半生。
生まれて直ぐに搾取され、蔑まれ、奪われ続けた男の話。
それに抗うと決めた少年の話。
或いは強者に媚びへつらっても生き延びることは出来たかもしれないが、従っていれば生かし続けてくれるなどという期待を奪う者に持つはずもなく、ただただ力を求め続けた獣の話。
「意志を放棄することは即ち死ぬ事だ。死にたくない、だが己の意志を通す勇気もない………そんな誰もが持つ考えを、彼奴は理解出来ない」
なにせ何もせずとも生きていけた大勢の者達とは、まるで違う世界で生きてきたのだから。
特にオラリオの貧民街とも呼べるダイダロス通りすら、リリウスより不幸な人間など見かけなかっただろう。
助け合いだの施し合いだの………そんな綺麗事を当たり前とする者がたくさんいた。
「未来への展望もなく、不安に足を止めるような『王』にリリウスは言葉など求めない。今のお前は、話し合う価値にすら届いてないと知れ」
「なら、私はどうすれば…………」
「進み続けろ。間違いかもしれないと怯え、正しいと信じ前を向き………己で道を見つけ進み続ける。王のその背に、民は続くのだ」
エピメテウスはそう言うと船の中へ戻っていった。
シャルザードの隠し砦にて、ダグラスは頭を抱えていた。
アラム王子………否、アリィ王女の性別が知れ渡り、動揺する兵達。王が殺害された今、王座を王子が継ぐと思われていたが、女だったのだ。
ダグラスはそれを知っていたし、王子として振る舞う彼女を支えるつもりだった。だが、知らされていなかった兵士達の動揺は大きい。
不敬、と思うも声には出さない。忠誠心があるからこそ、隠されていた事にショックを受けたのだ。どうしたものか、頭を悩ませる。と、その時………
「ダグラス隊長! 外に、篝火! ワルサです!!」
「っ! 見つかったか、総員戦闘準備!!」
隠し砦ゆえに防衛に向いた作りとは言えない自然の要塞。精強なワルサの兵士達に、何処まで持つか。
と、外を覗き見えたのは炎。
Lv.1では決して放てぬ、昇華を成した者が放てる業火が迫り…………
「あぐ」
消えた。
目の前に現れたのは、砂漠の
「お、お前は?」
「………味方だ。アリィ王女の命を受け、救援に来た」
救援? とその矮躯をみる。しかし、今まさに魔法を消し去ったのも事実。それに、アリィの真名を知っている。
「ほほお! まさか我が炎を打ち消す猛者がいるとは!」
と、ワルサの兵の隊長らしき男が叫ぶ。
「さぞや名のある
「……………」
少年は無言で仮面を被る。顔全体を隠す仮面は、縦に裂けた複数の隙間に眼球の様に加工された宝石が埋め込まれた、角の生えた仮面。
まるで怪物を思わせる不気味な仮面だ。
「我が名は神ラシャプの恩恵を賜いし戦士マルザナ! 是非とも、互いの誇りを賭けて競い合おうではないか!」
少年は無言で飛んできた矢を撃ち落とす。
矢は背後から飛んできた。振り返れば、隠し砦が存在する岩山の上にワルサの兵士がいた。
この場所はすでに包囲されているという事だろう。
しかし、少年はそれを見越して警戒していた。
今、矢を払う動きをダグラスは見えなかった。間違いなく、自分より強い。つまり、この場の誰よりも。
アリィの命を受けたと言うことは味方。不安げに少年を見ると、少年はスッとワルサの背後を指差す。
「ワルサの兵よ! 聞け!!」
「!?」
「あれは……」
そこにいたのは巨大な猟犬に跨る薄紫の瞳をした、美しくも気高さを感じさせる少女。
「その紫の瞳! よもやアラム王子か!? ははははっ! 流石ラシャプ様! 御身の目はまさに全てを見通す天眼なり!!」
神ラシャプは文字通りの神の視点を持って姿をくらませた王子の居場所を探り当てたようだ。
「それで? 王族の言葉とあらば、拝聴いたしましょうぞ! 綺麗な声であれば、我等も戦の後の癒やしに期待できますからなあ!」
ゲラゲラ、グフフと野卑な笑い声が聞こえる。王族に対するその態度にシャルザードの兵士達は今にも飛び出しそうなほど怒りを覚えるが、止まったのは他でもない彼等の王が片手で制したからだ。
「お前達の蛮行を、私は許さぬ! 逃げるだけの無能な王子だと侮るな! 私は王家存亡の時に力を貸すという盟約の、【伝説の戦士達】と合流していたのだ!」
伝説の!? と少年を見る。恐らくは最弱種族とされる
「はははは! それは素晴らしい! ですが、貴方を殺してしまえばそれまで! 単騎で姿を現すとは、なんと愚かな!!」
「っ! 姫様!!」
弓兵が構え、マルザナが詠唱を始める。
「! 貴殿は王子の命を受けたのだろう!? 止めてくれ!」
「不要だ」
アリィの乗る猟犬が吠える。途端に固まるワルサの兵士達。
猟犬が駆け抜け、アリィはマルザナの首を切り落とした。
「…………お前達の将は討った。戻って本隊に伝えろ。シャルザードの王は、ここに健在だと!!」
「っ!!」
その凄みに、体が自由になったワルサの兵士達は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
アリィは砦へ振り返る。その姿に、砦中から歓声が響いた。
期待と希望に満ちる瞳に、アリィの瞳が揺れ、光が灯り始めたのを少年だけが見つめていた。
シャバラの第三の発展アビリティは『咆哮』だよ!