ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
前回のあらすじ(大嘘)!
クラス全員で異世界転移したリリウスは、ありふれた天職【フードファイター】として落ちこぼれ扱いを受けていた。
そんなある日、騎士団長レオンは迷宮に挑むと言い出し、お金大好きザニスのバカのせいで一同は罠にはまり、猛毒巨獣ベヒーモスが一同に襲いかかる!!
リリウス 天職【フードファイター】。たくさん食えるだけのゴミ天職。え、食った分だけ強くなる? 知らん、なにそれ、怖。
フィン 天職【勇者】。皆のまとめ役。
ベル 天職【駆け出し冒険者】。リリウスと共に落ちて、ヒロインを次々落とす。
ベヒーモス ランチ。迷宮の製作者が難易度ミスって世界滅ぼせる黒いの生んじゃった。
ドゥルガー その昔やんちゃしすぎて迷宮に封印されてた精霊。
エピメテウス 永遠を生きる解放者最強の男。実はエヒト倒せるけど余波で世界を焼かないために同格の存在を待ってる。
エヒト お前はディナー、リリウスのディナー。
「それで主。何処までが望みだ?」
リリウスはアリィに問いかける。
元よりワルサ軍に襲撃はするが、
「ボフマンの集めた情報によると、敵の数は大凡8万」
「っ!?」
正規兵だけでなく数多の傭兵を次々取り込み規模を拡大しているワルサ軍。その数を聞き、目を見開くアリィ。
元よりワルサとシャルザードは西カイオス中域では屈指の軍力を誇るが、それにしたって。
国を守る戦力も残しながら、8万もの出兵。近年ワルサに雇われた傭兵系ファミリア【ラシャプ・ファミリア】が引き入れたのだろう。
「8万か………ここが砂漠なのは幸いか」
「森とかだと燃え広がるもんな」
が、エピメテウスとリリウスはそんな絶望的な数字を前に特に気にした様子を見せない。
「主は王族。方針を示しても、軍略を決める必要まではない。一先ず軍師として、思い付いた策を言おう」
「あ、ああ………」
『
「シャバラ、シュヤーマ、スパルナで組んで、後は俺とエピメテウス、ドゥルガーで四方から囲んで殲滅する。以上」
「いや雑っっ!?」
「え、何故?」
リリウスの作戦に思わず突っ込むアリィだったが、リリウスは首を傾げた。
「これが一番効率的だろ」
「いや効率的って、相手はワルサだぞ!?」
「手勢を集めて軍略を持って数の多寡を覆せとでも? 王の方針であると厳命するなら従うが、軍師の立場から言わせてもらえば時間かかるし現実的じゃないから却下」
つまり2人と3匹で8万の軍を殲滅するのが現実的と? あれ、そういえばドゥルガーって誰だ? こっちもペットの可能性があるのか?
「か、数は元より敵は『
「カイオスのLv.3の呼び方だったか。それで?」
「それでって…………」
「たかだか第二級。万居たところで、俺達の相手になるとでも?」
アリィは、未だに己が
「敵はお前がイスラファンに潜伏しているのを勘づいている。神が軍略に口出ししてやがるからな………他の街も襲われてるみたいだし、さっきの奴等もリオード辺りを襲う予定だったろうよ」
まあ、アリィの見せ場に使ったが。
今頃生き残りが別働隊と合流し手練を送り込んでくるだろう。それを殺し尽くせば『予想外の戦力』に警戒させ時間を稼げる。
「時間?」
「『敵の全軍』を一箇所に集結させる。ちまちま雑魚刈りなんて面倒だし、俺の『目的』もそこに集まるだろうからな」
「一箇所に集結させる?」
「討ち漏らしは無しだ。二度と挑む気を持たないぐらい徹底的に潰す」
「………さっきの何処までっていうのは?」
「? そのままワルサに攻め込んで国を滅ぼすかって意味だが?」
さらりと国一つを潰してみせるというリリウス。【ゼウス】と【ヘラ】以来のLv.8……ここまで規格外なのか。
「主。お前の役目は『餌』だ。敵も味方も一堂に会させる。出来るな?」
「…………やるさ。やってやるとも!!」
王都は奪われ、民も守れず、臣下さえ失った。醜態は既に晒し続けた。この身を捧げられずして、王族の名になんの意味があろうか。
「私を使え! 到底信じられぬその言葉が叶うというのなら! どうか私の国を救ってくれ!」
「良し。スパルナ、シャバラ、シュヤーマ」
「キィ!」
「ワフ!」
「ワン!」
リリウスはスパルナに何かを命じる。スパルナはコクリと頷くと夜空へ飛び立っていき、シャバラ達も窓から飛び降り夜闇へと消えていく。
ワルサの兵士の首が飛ぶ。逃げようとした兵士が、何かに頭を潰され、誰かが捕まり空へと昇り、別の誰かを殺す砲弾にされる。
影が通ったと思えば、命が散る。
Lv.3の隊長一人が漸く反撃した。
「と、鳥!?」
カバーのような装備を爪につけた砂漠では見たことがない鳥。困惑する隊長はしかし短文詠唱の魔法を放とうとして、羽の矢が喉に刺さり魔力が暴発。
最期に見たのは、己の頭蓋を砕かんと開かれた鳥の嘴。
Lv.3………
また別の場所では、精強なるワルサの兵はたった二匹の獣に追い立てられていた。
Lv.3の『
二匹の猟犬は空を見ながら主に命じられた時間まで長いと欠伸をした。
平穏なリオードの町はピリピリとした空気が覆う。国境の町がワルサに襲われたと聞いて不安を感じたのだろう。
そんな不安を的中させたかの如く、ワルサの兵が砂煙を立ち上げ、大声で吠えながらリオードの町に攻めてきた。
「「「うわあああああ!?」」」
「「「うひああああああ!!」」」
喉が張り裂けんばかりに挙げられた蹂躙の咆哮が響く。兵力がワルサに劣るリオードの民達の心が絶望に染まる中、駱駝に乗った女が叫んだ。
「これ以上ワルサの悪行を許すな、我が勇猛なる『
その言葉に前に出たのは、たったの3人。妙な仮面を被り大斧を担いだ
大斧の一振りがワルサの兵士を吹き飛ばし、建物より高い砂の柱が立つ。
シミターが駆け抜ければ瑞々しい肌が鮮血に染まる。
大剣が振るわれる度に、炎が兵士達を焼き尽くす。
「ワルサが攻めてきたけど滅茶苦茶強い戦士達がゴミ虫のように蹴散らしてるぞー!! そんな彼等に命令するあの高貴なお方は誰なんだー!?」
もちろんアリィだ。
ついでに言えばワルサの兵士達は攻めてきたのではなく超恐ろしい獣から逃げてきただけ。
全部リリウスが描いた自作自演。
「何だあのくだらねえ茶番は。あんなガキに何を良いように使われてやがる」
その光景を眺めながら忌々しげに吐き捨てるのはアレン。視線に気付いたリリウスはべぇ、と舌を出し中指を立ててきた。
ビキリと青筋が浮かぶ。レベル差とか、この前やられたとか知ったことじゃねえ、殺すと今にも飛びかかりそうなアレン。
「邪魔しちゃ駄目よアレン」
「…………あのガキは、貴方が狙っていたと記憶してますが」
「淀みが消えて、輝き始めた。あの子が何かしてくれたのね………このまま見守りましょう?」
フレイヤはアリィを眺めながら、目を細め微笑む。自分の手から離れてしまった少女の成長に心を躍らせる様子は、何処か母のようですらあった。
視線を流しリリウスに銀の瞳を向けるとリリウスはシャッと建物の陰に隠れた。