ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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帰還

前回のあらすじ(大嘘)!

 

 駒王学園に通い、ハーレムを夢見る少年ベル・クラネルは、ある日女の子に告白されデートする事に! しかし、何故か殺されてしまう。そんな夢を見た………そしてそれは夢ではなく、彼は悪魔として新しい生を得ていたのだ!

 

ベル 転生悪魔。極めれば大神の雷に匹敵する力を振るえるロンギヌス『雷霆の剣』所持者。

 

ヘスティア 貴族悪魔。領地内で死なせてしまったことに土下座して謝った。貴族なのに。

 

ヴェルフ ベルの親友。魔剣を創造する、レアだが普通の神器所有者なのだが魔剣の威力がおかしい。

 

リリ はぐれ悪魔になった兄がいる。とても力持ち。

 

ロキ 学園に通うもう一人の貴族悪魔。

 

四大魔王 アルバート、エピメテウス、アルゴノゥト、アルフィア。

 

リリウス SSS級はぐれ悪魔。その昔インドにて復活を果たそうとした竜王ヴリトラを討伐。それすら彼が人間であった頃の話である。

 

ザニス リリとリリウスの元主。食料と妹の安寧を約束してたのに破ったので消し飛んだ。

 

ヘルン ベルを殺した堕天使。実は命令違反をしているらしい。

 


 

 リリウスは何でも食える。木でも、石でも、何でもだ。【天喰餓鬼(マハーグラハ)】というスキルは、万物を餌とする獣を生み出した。

 

 でも、満たされない。【狂餓禁食(プレータ・ナンディン)】は下界で初めての成長補正スキルだが、その代償に常に餓えることを強いる。

 

 故にリリウスは、腹が減っている程度では本来ならそこまで苛立たないのだが、それはそれとして飯を奪われるのは許せない。ましてや、自分より弱い奴に。

 

 これがただの野生であれば、その獣を殺して獲物を取り戻すか肉が増えるかだが、極彩色の芋虫型………古代にも居なかった新種のモンスターが持つ腐食液は己すら溶かす。

 

 次会ったら凍らせて食うと、普段なら思いつくのだろうが今は苛立ちそんな事も考えず、とりあえず殺すと呟き頂点捕食者の殺気が漏れる。

 

 下層のモンスターすら裸足で逃げ出す威圧感に、周囲は一度だけ災害の前兆の如く動物が騒いで、今は静かなものだ。

 

 などと思っていると、ガラガラガタガタと車輪が跳ねる音が響く。

 振り返ると全力で駆ける馬車と、その後を追う数匹の芋虫。

 

 リリウスの殺気が膨れ上がるも、自爆前提の生態故か、或いはそもそもそんな機能がないのか恐怖を覚えず向かってくるモンスター。ちなみに馬は泡吹きながら走ってる。それでも主人の命に従う姿にシャバラ達も感心。

 

 馬車が通り過ぎる。あれだけ執拗に馬車を追いかけていたモンスター達は、何故かリリウスへと標的を変える。視線は………髪? 白髪に反応している?

 

 まあ良い、死ね。

 

 振るわれた剣が大気を蹂躙し、ただの風を魔法………否、魔砲を凌ぐ破壊の渦へと変える。

 

 モンスター達は剣の余波でこの世から消え去った。

 暫くモンスターと共に抉れた大地を見つめるリリウス。

 

「チっ!」

「…………へ?」

 

 思わず舌打ちすると、戸惑いの声が聞こえた。振り返るとリリウスと同じ白髪の少年がいた。先程すれ違った馬車に乗っている。

 

「ああん? 何だてめぇ等」

「あ、あの………!」

 

 怯え言葉を選ぼうとする少年。と、リリウスの頭をエピメテウスが叩いた。

 

「他人に当たるな馬鹿者」

 

 岩をも砕くエピメテウスの拳骨に頭を押さえるリリウス。ジロリと睨むが無視された。

 

「すまんな、先程の芋虫に何度か襲われ、その際に食料を溶かされ腹をすかせているんだ」

 

 その言葉を肯定するように、猛獣の唸り声のような腹の音が聞こえてきた。リリウスは腹をさすり、ふとシャバラ達に視線を向けた。

 

「……………そう言えばお前等、元々非常食だったか」

「「「!?」」」

 

 ビクッと震える2匹と一羽。直ぐにでも逃げられるように後ずさる。

 勿論本気で食う気はないが、それはそれとして一口ぐらいなら、と思っていると少年が馬車の中から何かを取り出す。

 

「こ、これ、どうぞ!」

 

 干し肉。後硬いパン。

 保存の効く食料………恐らくオラリオへ向かうだろう少年への村人の餞別か、或いは彼自身が旅の支度として用意した物。

 

「…………お前」

「はい?」

「…………それはお前のだろ」

「えっと、でも助けてもらったし………それに、お腹が空いて友達にあたって、それで喧嘩別れしちゃったら、きっと悲しいから」

 

 

 動物が逃げられる前提なのは、彼が冒険者を良く知らぬ証拠だ。そんな田舎者がオラリオに来る道中の食料を渡す。

 

 きゅうう〜、と小さな腹の音が鳴る。今度の発生源は少年。腹を空かせているようだ。 

 

「……お前、名前は?」

「えっと、ベル………ベル・クラネル」

「そうか、借りは返す。見かけたら遠慮なく声をかけろ」

 

 リリウスは干し肉とパンを受け取り食べ始めると、そのまま歩き出す。

 

 エピメテウスが去り際にベルに振り返り声をかけた。

 

「………お前は、あの都市に、何を求める。英雄達を見て、詩でも収めるか?」

「え? あ、いや……そ、そんなに頼りなさそうですかね? 一応、吟遊詩人とかじゃなくて冒険者を目指してるんですけど」

「冒険者?」

「はい、英雄になりたいんです!」

「…………英雄……そうか」

 

 ベルの言葉に、エピメテウスは笑った。馬鹿にしているような笑いではなく、何処か納得したような………。リリウスは珍しいと振り返る。

 

「なら精々、走り続けることだ」

「は、はい! あの、ありがとうございます!」

 

 

 

 

「知り合いか?」

「似ているだけだ…………」

 

 本当に、良く似ていると微笑むエピメテウス。

 

「…………長生きは、してみるものだな」

「そういうものか」

「そういうものだ」

 

 

 

 門から入ると面倒な事になると察したリリウスは、壁を駆け上がっていった。エピメテウスはちゃんと門に向かっていった。

 

 数年ぶりに戻って来たオラリオは、結構変わった。

 ふと、人集りが目に映る。【ロキ・ファミリア】だ。格好からして遠征帰りだろう。

 

 先発隊と後発隊に分けたのか、あれが全員かは知らないが変わらないな。ロキの趣味、容姿で集められた者の中でも才能があるものを特に目立たせ、名声を得る。

 

 あのアマゾネスの姉妹は見たことない顔だ。血の匂いが濃い。人ではなく、モンスターの。他に()()のは、あの山吹色の髪のエルフか。

 

 アイズは大きくなってる。ヒューマンは……と言うか他種族は本当に大きくなるな。

 

 とりあえず帰ってきた事をソーマに報告に行こう。

 

 

 

 

「ランクアップ出来る」

「……………何だと?」

 

 一年ほど前にLv.8(世界最強)になったばかりなのに?

 そう、ばかりだ。1年とは、冒険者からすればランクアップ期間としても短い。というか、ここ1年でランクアップするような事した覚えはないのだが。

 

「ステイタスは、まだ成長する余地はある。どうする?」

「…………」

 

 Lv.8のステイタスを上げるとなると、相応の相手が必要で、リリウスは心当たりがある。

 

「ダンジョンに向かう」

「そうか」

「………そう言えば、彼奴は?」

「……………数日前に姿を消した。恐らくは、お前に会わないため」

「………………そうか」

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