ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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聖女の再会

前回のあらすじ(大嘘)!

 

 お食事処『ザルド』の跡取りベル・クラネルは、伯父のザルドに言われ料理を学ぶオラリオ学園に通うことに。そこで、神の舌と呼ばれる舌を持った少女と出会う!!

 

 

ベル 伯父の経営するお食事処『ザルド』の跡取り。努力家で、高い発想力を持つ。

 

ザルド ベルの父の兄。元第二席。

 

アイズ じゃが丸くんの素材、揚げ時間を完璧に理解する神の舌を持つ。ベルを合格させた。

 

レフィーヤ アイズの付き人。エルフだけあり薬膳を使った健康的料理を得意とする。

 

春姫 実家の旅館を継ぐべく奮闘中。妄想癖が強く、料理に失敗しがち。

 

オッタル オラリオリゾートの総料理長兼取締役会役員。元第一席だが、ザルドが地位に興味なかったからでいずれ超えることを目標にしている。

 

シル なんで入れたの此奴。

 

リリウス 現第二席。ジビエが得意……というかサバイバルが得意。

 

レオン 現第一席。食材にもモテる。

 


 

 リリウスの【狂餓禁食(プレータ・ナンディン)】は食った分だけ回復に回すというスキル。治療とは違う。

 

 実際にあるように、折れた骨がズレてくっついたり、骨の破片が神経に入り込んだり、傷口の修復が歪んでうまく動かなかったり。

 

「特に1年前の傷が酷いですね………よく放置してましたね貴方」

「そうか」

 

 痛みに鈍くなり不調に気付かなった。リリウスが再生時に支障を来す程の傷を負う敵ともなれば、それを食ってステイタスを大幅に上げ、不調をそのズレと思ったままだったのだろう。

 1年前に至ってはランクアップによるズレは冒険者なら体験するものだし。

 

「これは火傷に切り傷、打撲に…………かなり無理やり治してますね。いえ、これはもう直しているとしか」

 

 傷跡の残った体に指を這わせながらアミッドは目を細める。

 リリウスの事だから傷が塞がればそれを見せるなんてことはしなかったのだろう。その結果がこの体だ。

 

 そして、一際目を引くのが背中と胸の傷。何かが体を貫通したような………つまり心臓を貫いたかのような傷跡。

 

 刻まれた傷は彼の軌跡。Lv.7からLv.8に成るほどの偉業。一人で深層に乗り込み階層主を半殺しにする、でさえ足らぬ偉業を超えた証。

 

 自分がいればこんな形で傷を残さないと思いながらも、自分がいても彼がここまで傷付く戦いに巻き込まれただけで死ぬと理解出来るアミッドはただただ無言で傷を眺める。

 

「…………何故、何も言わずに出ていったのですか?」

「勝手にいなくなることが悪い事だと自覚してなかった」

「今はしているんですか?」

「まあ……」

「なら、良いです。治療を始めましょう」

 

 リリウスはチラリと台に置かれた器具を見る。

 

「具体的には?」

「ズレた骨を治すのと同じです。一度壊してから治します……安心してください。必ず治します」

 

 だから拷問器具みたいな道具が揃えられていたのか。

 

「とは言えLv.3の私ではLv.8の貴方を傷つけられるとは思えませんし………ガレスさんかオッタルさんに…」

「自分でやる。で、まずは何処を壊せば良い?」

「……………そうやって痛みに鈍感なのも、今の身体の原因ですからね」

 

 

 

 

 治療室が嘗てない程に血に染まる。手術だってやるアミッドは当然大きな傷も見慣れているが、今回ばかりは流石に精神にきたのか顔が青い。が、おかげで……

 

「おお、体が軽い。皮膚や肉が引っ張られる感覚がない」

「あるべき形に戻しただけです。今後は少しでも違和感を覚えれば来てくださいね」

「ああ、頼りにしで!?」

 

 体の感覚を確かめるように蹴りや拳を空に放っていたリリウスは、ピョンと跳ねれば床が砕け、天井に頭が突き刺さる。

 

 跳びすぎたらしい。

 頭を抜こうとするが、天井の一部を握り潰してしまった。

 

「…………今抜きますね」

 

 小柄小人族(パルゥム)とヒューマンだが小柄なアミッド。ンー、と手を伸ばすも届かず、椅子を持ってきて引っこ抜く。抜けた衝撃でバランスを崩した。

 

「きゃあ!?」

 

 床に倒れそうになったアミッドを、リリウスが空中で引き寄せ上へ。ゴン、と頭をぶつけるリリウスだったが床の方が凹んだ。

 

「………す、すいませ──っ!?」

 

 リリウスが下で、アミッドが上。体を庇うように突き出した手はリリウスの横。ちょうど押し倒す形になっているのに気付いたアミッドは目を見開いて固まる。

 

 互いの息がかかるほどに顔が接近し、後少しで唇が触れ合いそうな距離。アミッドの思考が白く染まり始め…………まさにその瞬間

 

「そこまでだよアミッドちゃん! なぁんて、勘違いだとは思…………お、おも…………思ってたのにぃぃ!?」

 

 アーディが入ってきた。

 

「アーディさん?」

「ア、アミッドさんが聖女から性女に転職して幼気な少年を攫ったって、その子が白髪だって聞いて、勘違いでリリウスを治療してるだけだと思ったのに!!」

「せい!? ご、誤解です!」

「大人のお医者さんごっこなんて、神様の言葉だけだと思ってたのに!」

 

 と、アミッドの下からリリウスを引っこ抜くアーディ。

 

「エッチなことはいけません!」

「だから誤解です!! それと、最後の検査がまだなので返してください!」

 

 騒ぐ2人の女に挟まれリリウスはアーディの自分への呼び方変わったなぁ、とだけ考えていた。

 

 

 

 

「じゃあ本当に、え………エッチなことはしてないんだね?」

「してない」

「してません」

 

 あの後、騒ぎを聞きつけやってきた【ディアンケヒト・ファミリア】の団員が血でべっとり汚れた部屋に気絶したりしてアーディも冷静になった。

 

 話を聞き、とりあえず納得する。

 

「それじゃあ………今更だけどおかえり、リリウス」

「……お帰りなさい」

「…………ただいま」

「ん〜〜!!」

 

 アーディはそのまま抱きついた。昔もよく抱きついていたが、数年ぶりに抱擁にご満悦の様子。

 

「でも体の感覚の誤差かあ。やっぱりダンジョンに潜るの?」

「それが一番手っ取り早いが、俺の感覚のズレを直せる階層だと万全じゃないまま向かってくるだろ」

「5年ぶりだからねえ」

「……………?」

 

 アーディとリリウスは、どうやら共通の誰かを想像しているらしい。しかし、それが誰かを言わないようにしている。

 

「……………」

「あ、大丈夫だよアミッドさん。これは2人だけの秘密じゃなくて、アリーゼ達やお姉ちゃんも知ってるから!」

「別に気にしていません」

 

 プイとそっぽを向くアミッドに、アーディは目を輝かせた。

 

「アミッドさん、かわいい!」

「!?」

 

 そのまま抱きしめた。

 

「あ、そうだリリウス」

 

 アミッドを抱きしめたまま、何かを思い出し顔を向けるアーディ。

 

「ギルドがね、なるべく目立つな〜ってさ。【ロキ・ファミリア】の遠征が………なんだっけ?」

「? 遠征はこの前終わったと街で噂してたが?」

「あれは遠征に向けた資金集めだよ。まあ、他の派閥からしたら遠征じゃないといけない階層なんだろうけど」

 

 つまり本格的な大規模遠征がこの後行われるということだろう。なればロイマンの考えも読める。

 

「俺にはオラリオの名声なんて興味ねえ。従わせてえなら誠意を見せろと伝えておけ」

「めーせー?」

 

 ロイマンとしてはオラリオは最盛期であると喧伝したい。Lv.8のリリウスはまさしく看板になるだろうが、1個人だけでは薄い。

 

 だから【ロキ・ファミリア】の遠征。誰もが注目するそれが成功すれば良し。リリウスの話題に隠れることなく世界に知れ渡ってから改めてリリウスも喧伝する。

 

 失敗に終わったら終わったでさっさとリリウスを喧伝し、失敗の事実を世間の目から隠す。

 

「んなことより体の感覚戻すのと剣だな」

「リリウスの感覚の調整って…………地上でやるには【猛者(おうじゃ)】しかいないんじゃ」

 

 エピメテウス辺りなら出来るだろうが、冒険者登録の際担当になった職員が教育熱心で基礎知識をつけることから始められ、暫く勉強するらしい。

 

「うーん、お姉ちゃんに頼んでみよっか? Lv.6は私とお姉ちゃんの2人だけど、第一級の数ならオラリオ1だよ」

「Lv.5か…………」

 

 正直足らない、というのがリリウスの意見。と、その時………

 

「話は聞かせてもらったわ!」

「アリーゼ? 何故お前まで」

「聖女ちゃんが性女ちゃんになって若い子を攫ったって聞いて、念の為」

 

 アリーゼの耳に届くまで噂が広がったようだ。アミッドは泣いて良い。

 

「貴方の調整、【アストレア・ファミリア】がお手伝いするわ!」

 

 少数精鋭。故に大派閥にこそ組み込まれていないが、それでも所属するLv.6の数は【ロキ・ファミリア】や【フレイヤ・ファミリア】と同じ3人。

 

 個々の極みの【フレイヤ・ファミリア】は勿論、団としての【ロキ・ファミリア】とも僅かに違う、隊の力の【アストレア・ファミリア】。同数の眷属で争えば、先達のLv.6が所属する2つの派閥にも引けを取らないと言われている。

 

 

 

 

 

「で、闘技場かよ………面倒くせえなあ」

 

 愚痴るライラ。なにせ相手は正真正銘世界最強。化け物みたいに強かったあの魔女よりも位階が上で、しかも時間制限なしときた。

 

「あ、あの! サインください!」

「? ああいいよ」

 

 その最強は同族の少女にサインをしていた。普通の筆記体だ。

 因みに小人族(パルゥム)のシャウは【勇者(ブレイバー)】の栄光よりライラのような弱くとも抗うのが憧れ。リリウスを当初は宣伝通り才能に恵まれていたと思ったが、ライラに逆境の中で育ったと聞いて憧れ始めた。

 

「あのお方の胸に、羨ましい、妬ましい………!」

 

 ウランダはこの通りアストレア様ラブ勢なので抱きしめられたリリウス相手にやる気………殺る気ビンビン。

 

 リリウスに噛みついていたセシルは真っ当にやる気だ。イセリナは緊張からか、耳が忙しなく動いている。

 

「ワウ!」

「ガウ!」

「ピィー!」

「うおおお!!」

 

 見学は犬2匹と鳥一羽と象一頭。それからアーディとシャクティ他数名の幹部。

 

「まー、そんなに緊張するなよイセリナ。あくまで鍛錬だ、別に死ぬわけじゃ………」

「…………あ」

 

 剣の素振りをしていたリリウスだったが、唐突に剣が冷気を纏い闘技場よりも高い巨大な氷塊が生まれた。

 

 リリウスの反応からして、意図せぬ結果のようだ。

 

「…………死ぬかも」

「ライラ先輩!?」

 

 


 

 その頃のマーダ。神ゴブニュが調整中。まだまだ粗が残っているが、努力が見て取れる良い剣だ、との評価。

 

ゴブニュ

 いい剣だがそれはそれとして熱する為の炎を自分で放つ剣に、ちょっと引いた。

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