ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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星屑の乙女達

前回のあらすじ(大嘘)!!

 

 大英雄エピメテウスが後見人のリリウス・アーデ。魔法世界に期待を寄せられる彼が卒業後の修行の場として選ばれたのは学区での教師!?

 

リリウス 若き魔法使い。現在修行の身。超強い。

 

レオン リリウスの同僚となる教師。超強い。目視困難な速度のゲンコツを不良に放つ。

 

アーディ リリウスの生徒。クラスを明るく盛り上げる。

 

アリーゼ リリウスの生徒。最初に契約する。

 

アミッド リリウスの生徒。保健委員。

 

ベル リリウスの生徒。魔法世界関係者。成長性EX。

 

ディム リリウスの生徒。その正体は未来人でリリウスの系譜。未来の大戦をなくすのが目的。

 

アルフィア 教師だが学園長より権力を持ってると噂。超強い。

 

フェルズ オラリオ地下図書館の管理者。そこそこ強いが、アイテムをたくさん作るドラ◯もん枠。

 

エピメテウス 大英雄。炎の魔法を極めている。世界を救ったことがある。リリウスとリリウスの妹を拾い育てた。

 

パンドラ エピメテウスに力を封印され、学園に通うことを強制された炎の大精霊を超えた何か。封印解除にリリウスに宿る黒の力を狙っている。

 


 

 Lv.6が3人にLv.5、Lv.4が4人ずつ。Lv.3が1人とLv.2が3人。

 オラリオの大半の派閥が裸足で抜け出し、深層にだって挑めるメンバー。

 

「だけど、大丈夫かな? アリーゼ達はともなく、セシルちゃんとか心折れちゃうんじゃ」

「セシル達なら大丈夫よ」

 

 アーディの不安そうな言葉にアストレアが笑う。彼女が言うなら、大丈夫なのだろうか? でもこの神様、修行のために勝てなくはないけど『覚醒』しなければそのまま殺される様な相手と戦わせて微笑むスパルタだしなあ。

 

 神々の言葉だが、とにかく厳しい事を指すらしい。

 

「ところでアーディ……貴方、モンスターじゃなくても懐かれるのね?」

「あ〜、あはは。なんか凄く懐かれて」

 

 別の場所で観戦するつもりだったシャバラとシュヤーマだが、何故かアーディへと寄ってきてシャバラは膝にシュヤーマは肩に頭を乗せていた。

 

 犬の高い体温が熱い。というかこの犬、下手な団員より強いのが気配で伝わってくるんだけど。

 

「リリウスの仲間らしいわ。今は【ソーマ・ファミリア】ね………」

「眷属なんですか?」

「Lv.4ですって」

「4………」

 

 小規模、中規模どころか三大派閥を除いた大派閥で団長をしていてもおかしくない位階なのだが。まあLv.7が8になるほどの冒険に交ざっていたならおかしくはないのかな?

 

「そろそろ始まるわ」

 

 

 

 

 剣の刃を氷で覆い尽くすリリウス。本来はこの程度にする予定だったのだろう。

 

「わざわざ面倒だな。模擬刀にすりゃいいのに」

Lv.8(おれ)の力に耐えられる武器があればな」

 

 その言葉にセシルが僅かに肩を揺らした。実は彼女、鍛冶師でもあるのだがリューがとある存在との戦いの最中に使っていた武器が壊れてしまうというハプニングがあったのだ。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

 グッと足に力が入るのを見逃さぬ前衛。油断はなく、動き出す瞬間を捉えるつもりでいた。だが……

 

「っ!?」

「リオン!?」

 

 金属音が響きリューが弾かれたように吹き飛び、闘技場の一部が爆発した。

 

「跳びすぎた」

 

 今度は距離があったので頭から突っ込むことはなかったが、足が石造りの闘技場に突き刺さっているリリウス。

 

「速っ………」

 

 都市最速とされているのは【女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)】ことアレン・フロメールだが、では2番目は誰か?

 

 それは【疾風】の名を冠するリューだ。魔法剣士でありながら純粋な前衛にも迫る彼女は二つ名の示す通り戦場をかける風となる。そのリューが何とか反応だけ出来た速度。

 

「抜けた」

 

 と、足を引っこ抜いたリリウスに接近した輝夜とアリーゼ。

 

「【花開け(アルガ)】!!」

 

 戦闘であり、勝ち目の見えぬ、しかも本人も制御をミスする可能性があるという逆境であり、測るまでもなく遥か格上の大敵交戦。全条件達成により、【正華紅咲(ルブルード・べギア)】による全ステイタス高域補正。

 

 近接戦闘時。魔法発動時。【正闘正火(バトレアテ・アシラス)】によるスキル効果の増加と魔法効果の増加。

 

 Lv.6という上級冒険者の中でも規格外の火力となって、業火が闘技場の一角を焼き付くす。

 

「ノオオオオオオオオオ!?」

「うお!? どうしたガネーシャ様!」

「ほら、責任は俺が持つって言っちゃったから」

「ああ、修繕費ガネーシャ様持ちか」

 

 ていうかあれ、死んだんじゃと思う数名の団員達。Lv.7だって無防備に受けちゃ駄目な威力だ。

 だが、輝夜は既に飛び出していた。リリウスはモウモウと立ち込める煙の中。されどあの一撃を前に吹き飛ばされもしていないだろうという確信から、煙が晴れる前に放つ。

 

「【禍つ彼岸の花】」

 

 それは彼女の一族の名を冠する魔法。居合に魔法を組み合わせた『魔と刀』の複合抜刀術。

 

「【ゴコウ】!!」

 

 生み出されるは5つの魔力の斬撃。一つ一つが竜すら切り裂く必殺の刃が煙を切り裂きながら進み………。

 

「やはり、通じないか」

「バキ……」

 

 全て口で受け止め、鋭い牙で噛み砕かれていた。

 

「え? 魔法………ええ?」

「ボサッとすんな! 言ったろ、彼奴は魔法を食う! けどダメージを無効化してるわけじゃねえ!」

 

 ライラがそう叫び飛去来刃(カルニボア)を放つ。新入り組は、聞くのと見るのでは衝撃が違いすぎていたが直ぐに我を取り戻す。

 

「……………」

 

 飛来するブーメランを身体を軽く傾け躱すリリウス。そのままライラは勿論セシル達に攻撃も出来るだろうにしないのは、あくまで体を慣らすための準備運動だからだろう。

 

 トントンと軽く跳ねるリリウスへ迫るアリーゼと輝夜の剣と刀。Lv.3のセシルで漸く軌跡が見える神速の斬撃をリリウスは躱していく。

 

 刻まれる傷は、アリーゼ達の強さ以上にリリウスの心身の差異の証。事実一度刃が振るわれる度に、傷付く回数も深さも減っていく。

 

「あっ!」

「っ!」

 

 とうとう2人の動きを捉えたリリウスは、輝夜の刀を踏みつけアリーゼの手首を掴む。

 持っていた剣は2本だったはず。ならば、空いた左手に持っていた剣は何処に!?

 

 その答えは直ぐに解った。リリウスの顔に影が差し、攻防の最中に上に投げていたフロストペインの片割れを口で咥えるリリウス。

 

 首を振り、接近していたリューの翡翠の木刀を弾き飛ばす。

 

「チィ!」

「やぁ!」

 

 リューの纏う魔力に気付いた輝夜が剣を手放しアリーゼが爪先でリリウスの親指の付け根を蹴り一瞬だけ握力を弱めその場から離脱する。

 

 入れ替わるように降り注ぐ、流星雨の如き風を纏う星光。大規模な破壊も可能な対軍魔法とも呼べるそれを、たった一人に放つ。

 

 迫りくる星屑に対するは、漆黒の剣舞。回避も精霊の力による迎撃も出来ただろうに、敢えて剣で魔法を破壊していく。

 

「7回か…………」

 

 最後の一つを噛み砕き、リリウスは被弾回数を数える。その7度の被弾でもまるでダメージを受けてない。魔力を食う体質による威力軽減もあるだろうが以上に、Lv.8の前衛の耐久は規格外。

 

 特に、リリウスの体はアミッドに整えられるまで歪んで治る程の傷を負ってきたのだ。Lv.7の時点で、SSSという限界突破したその『耐久』は正真正銘の規格外。

 

 体は本調子なれど不調の体で戦い続けたつけとして、心身のズレで一応は弱体化している殺せないが故の不死の英雄。それが一分一秒毎に弱体化の解除どころか強くなる。

 

 ザッと闘技場の中央に戻って来るリリウスは、やはり第一級をして目で追うことも難しい超高速。

 なんだこれは、悪夢か?

 

「!!」

「ラア!!」

 

 加速したノインの剣と風の爪を纏うネーゼが迫る。セルティとリャーナの魔法も放たれていて………

 

「わっ!!」

 

 たった一言で纏めて吹き飛ばされる。嘗て【アストレア・ファミリア】をたった一人で蹂躙せしめた灰色の魔女を彷彿させる音の嵐。

 

 あの時よりレベル差は少ないというのに、あの時同様勝てる気がしない。

 

「さっすが、私が目をかけた雄!!」

 

 だが、アマゾネスのイスカは寧ろやる気に満ちている。振るわれる拳を受け止め……予期せぬ衝撃に体がぐらつく。

 

「私の魔法、忘れちゃった?」

「………ああ」

 

 二重拳打。第一級の拳打を一度に2度放てる、地味だが中々厄介な攻撃。それでも、意識してなかったリリウスのバランスを崩す程度だったが………。

 

「………っ!」

 

 姿勢を戻そうとするが、意識を体が受け取るまで刹那のズレ。とは言え、魔法を放ったばかりの後衛の魔法はこず吹き飛ばしたネーゼ達は勿論アリーゼ達も直ぐには………

 

「【開け、私の復讐(こい)】……【ルナウス・ウルフズベイン】」

 

 巻き起こるのは『強い重圧』と『拘束感』。魔力の流れと声に視線を向ければ、ウランダが両膝をつき蹲っていた。

 

 漆黒の魔力の杭を両手で胸に突き刺すウランダ。

 

「痛い……痛いけど、もう離さない! うふふ…………!」

 

 魔法………ではなく『呪詛(カース)』。自身を苛み苦痛を受ける代わりに『能力低下(ステイタスダウン)』に『強制停止(リストレイト)』。

 

 魔力を喰らうが、その呪いは供給性。一度発動したら影響を与えた魔力が消えるまでな【ラシャプ・ファミリア】のエルフの『呪詛(カース)』と違い、魔力が続く限り効果を及ぼす。だが、所詮はLv.2………力任せに拘束を破ろうとするリリウスは、その魔力に気付いた。

 

 リュー? いや、この膨大な魔力は………

 

「吹き飛ばしなさい、ユーフィ!!」

 

 目だけ動かせば巨大な牝馬に乗ったセシルの姿が。魔力で体を形成する巨馬は空を駆け、真空の角をリリウスに向ける。魔法で作った馬………否、()()()()()()()()()

 

 奇しくも小人族(パルゥム)の英雄の、最期の一槍の如き精霊馬の突撃がリリウスへぶち当たり、闘技場を駆け抜け壁へ激突する。

 

 まともに食らったように見えた。第一級ですら葬る可能性がある精霊の突撃………しかし………

 

「………腕?」

 

 リリウスの肩から生えた白磁の肌を持つ腕が握る剣が(ホーン)を受け止めていた。そして……

 

「キヒヒヒ。中位とは言え、この時代に妾以外にも人間と契約する同族がいたとはのう」

 

 少女の声が聞こえ、ユーフィと呼ばれていた精霊馬を押しのける。力負けしたユーフィはたたらを踏み、その目を見開いていた。

 

「勝手に出るな、ドゥルガー」

「面白そうだったから、ついな」

 

 そう言ってリリウスの中から現れる10の腕持つ白い肌の異形の少女。

 

「げぇー! カーリー!? 否、あれはドゥルガー? つまり、リリウスはガネーシャ!!」

 

 ガネーシャは知っているらしい。他の連中も、別に説明されるまでもなく理解する。彼女は精霊だ。それも、ユーフィよりもさらに高位の大精霊。

 

「………ぁ……」

 

 格上の同族に怯えるように後ずさるユーフィ。しかし背中に乗せているセシルがそれでも闘気を失っていないのに気付き踏みとどまる。

 

「ほぅ………?」

「手を出すなドゥルガー。俺の獲物だ」

「むぅ………」

 

 とは言え素直に従うドゥルガー。リリウスは【アストレア・ファミリア】を静かに見据える。

 身体の感覚が戻って来て、楽しくなってきているのだろう。

 

「だとしても、降参なんてしてあげない。行くわよ、皆!」

 

 アリーゼの言葉に【アストレア・ファミリア】の面々は笑う。たかが模擬戦、されど戦い。相手が格上だろうと、彼女達は諦めない。

 

 この後滅茶苦茶蹂躙された。

 

 

 

 

「怪我人は何処ですか?」

 

 そして、アミッドがやってきた。リリウスの調整が終わる頃に来るように言われていたが、倒れている【アストレア・ファミリア】を見て結果を察した。

 

「ワフ?」

「犬? 何故こんな所に………」

「バウ!」

「きゃあ!?」

 

 この後滅茶苦茶ペロペロされた。

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