ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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襲撃

「一応聞くけど、痴情のもつれじゃないんだね?」

「ああ、その…………誘われて、な。買わないかって………解るだろ?」

 

 と、男達に同意を求めるハシャーナ。

 

「ん〜、僕は立場もあるしね。それに、子を作るのは同族だけと決めているんだ」

「は? 今、団長なんて言った? 何も言ってないわよね」

「ひぃ!?」

 

 肩を竦めるフィンにティオネが光の消えた目で近くのレフィーヤを見つめ尋ねる。

 

「生憎と、この体は枯れて久しい」

 

 エピメテウスはふっ、と笑う。

 

「解らん」

 

 リリウスはただ単純に一言。ハシャーナは項垂れ、アーディがポン、と肩に手を置く。

 

「仮にも冒険者依頼(クエスト)受けて、やる事が終わったからって素性も知らない人についていくのは駄目だよ。お姉ちゃんに叱ってもらうね」

「………………」

 

 とうとう手を突くほど落ち込むハシャーナ。女性陣の視線がきつい。

 

「………買うって?」

 

 アイズだけは、意味を理解できず首を傾げていた。

 

「まあ、狙いは俺が取ってきたもんだろうが」

「それは何処にあるんだい?」

「運び屋に渡したよ。のんびりしてりゃ、まだリヴィラにいると思うが」

「回収したら見せてもらえるかな?」

「生憎、守秘義務がある」

 

 と、首を振るハシャーナ。

 

「ちょっとあんた、せっかく団長が力貸そうってのに」

「貸さねえならそれでいいさ。どの道世界最強の助力は得られるしな」

 

 と、リリウスに視線を向けるハシャーナ。なるほど、Lv.9の彼が味方なら、ハシャーナも確かに安全だろう。

 

「君が誰かのために力を貸すなんて、珍しいね」

「探られるまでもなく共通の隠し事がある。まあ、判断する材料なく想像に過ぎらせるのも無理な類だ」

 

 逆に言えば、材料さえあれば答えにたどり着けるとリリウスは思っているらしい。後、狙われた何かを直ぐに隠そうとしていない態度からして、その隠し事と今回の件は無関係とまでは言わなくとも別物だろうと予測する。

 

 リリウスとハシャーナの隠し事。【ガネーシャ・ファミリア】も関わっているのか、個人的か。リリウスが都市を出た理由と関係あるとするのは、強引か?

 

「まあ、それはそれとして手伝うよ。敵対派閥でもないんだ。助け合って損はない筈さ」

「手伝うつったってよぉ、そもそもハシャーナを襲った奴がまだ街に居るのか?」

 

 目撃者たるハシャーナが死んでいたならともかく、生きているのだ。ならとっとと逃げるのが最善。ボールスの言葉は何も間違っていない。だが……

 

「「街に居なくても、また現れる」」

 

 リリウスとフィンの言葉が重なる。リリウスが眉間に皺を刻みフィンがニコリと微笑みティオネが嫉妬に震える。

 

「殺してまで奪おうとしたんだ。場所が解らないから帰ります、なんて相手でもないだろ」

「少なくともそれがもう手の届かぬ範囲にあると結論づけるか、破壊されでもしない限りは現れると思うよ」

「でも、実際面倒事嫌って逃げてるじゃねえか」

 

 ハシャーナにとどめを刺さず、他の冒険者に目撃される前に消えた。それは確かに面倒事を嫌い逃げたようにも見える。

 

「準備してんだろ」

「ああ? 準備?」

「リヴィラは掘っ立て小屋ばかりとはいえ、確かに街で、人も多い。敵が第一級と仮定しても、一人残らず全滅は無理だ。それこそ、Lv.7以上だろうとね」

「俺は出来るぞ」

「恐らく俺も」

 

 リリウスが挙手しエピメテウスも続く。

 

「君は?」

「【ソーマ・ファミリア】のエピメテウスだ」

「エピメテウス!?」

 

 ばっ! とティオナが振り返る。

 

「じゃあじゃあ! 現代のフィアナと一緒に聖地に眠るモンスターを倒した英雄の子孫!? 初代エピメテウスの系譜!?」

「英雄だったかは知らんが、まあ初代と呼ばれるエピメテウスと同じ血が流れているな」

 

 一滴違わず同じ血が。

 

「英雄だよ! 愚物とか言われてるけど、私エピメテウスの物語大好きだもん! 一番はアルゴノゥトだけど、やっぱり愚物と愚者だから、無関係じゃないと思うんだよね」

「ああ〜、その話したね! アルゴノゥトがエピメテウスに憧れてるかもって話!」

「したした〜!」

 

 ティオナとアーディが楽しそうに話す。どうやら英雄談義を良くしているようだ。

 

「…………エピメテウスの物語が、好きなのか?」

「うん! 何度倒れても立ち上がって戦い続けるエピメテウス! すっごく、憧れるよね!」

「きっとエピメテウスの仲間達も、そんな彼の背に憧れたんだろうなあ」

「………………そうか」

 

 

 

 

 リヴィラの街が見渡せる丘で、女は冒険者を眺める。幸いにも、彼女が街を離れてから街を出た冒険者は居ない。

 

 因みに幸いなのは彼女ではなくその冒険者だ。街を出て居れば、彼女の目的を持っていようとなかろうと殺され積荷を奪われていただろう。

 

「…………………」

 

 女の人並み外れた視線はリヴィラの外壁を彷徨く冒険者達何名かで止まる。

 

「………強いな」

 

 新たに加わった金髪の女剣士、小人の槍使い、アマゾネスの姉妹に、緑髪のエルフ。

 そして、褐色肌の大男に…………白髪の小人。恐らくは報告にあった世界最強。

 

 『協力者』曰く、決して敵対してはならない相手。

 なら混戦に持ち込み、相手しなければ良い。

 

「あ、あ………カリカリ、カリリ……」

「かた、かきかたたき………!」

 

 女の近くで呻く人を外れた人でなし達。出来損ないの混成種(ハイブリット)。胡散臭い研究者の寄越した使い捨ての失敗作。

 

 まあ、使い勝手は悪いが混乱を齎すには十分だろう。女は草を取り出し唇に当てる。

 最悪回収できずとも、破壊は行う。街ごと磨り潰す。

 

 

 

 

「モンスターの群………」

「水の中に隠れてやがったな」

 

 リリウスや獣人冒険者の鼻に引っかからずに現れた無数のモンスター。蛇のように長い体を持った食人花の大群が突如として現れた。

 

 そう、隠れていた。モンスターの生まれぬ階層に、見つからぬように潜む。待ち伏せをするモンスターは確かにいる。だが、このモンスターは明らかに違う。

 

「強盗犯は調教師(テイマー)か!」

 

 フィンが戦慄する中、騒がしく逃げ惑う冒険者の中ふらふらと歩く影を見つける。

 襤褸布を纏ったその人物()は、何故か食人花に襲われていない。

 

「…………!」

 

 不意に、ゴギンと首が此方に向く。

 

「こここここび、媚小人! みみつ、みつけたあああ!!」

「なっ!!」

 

 襤褸布が不自然に膨れ上がり、現れたのは食人花の蔓。フィンは咄嗟に弾き、すぐ真横の地面が砕ける。

 Lv.3………いや、4はある。

 

「ころ、ころす! あの人を、あの人人あくまで悪夢をおおお!!」

 

 顔が葉脈で侵食されているが、女とは解る。首元から生える口は、食人花の物。モンスターに寄生された?

 

「しねえええ! りりうず、ああぁーで!!」

 

 


 

シャラン

ダンメモに登場。27階層の悪夢で夫を失いフィルヴィスを恨み続けていた人。恨みのままに行動して、仲間に切り捨てられた闇派閥。何でこの人の名前出したかって? 何でだろうね。

 

謎の女

小人族と白髪を執拗に狙ってくるぞ!

 

 

因みに、フィンはリリウスが成長を早めるスキルがあると予想しているので追い付くことを完全に諦めてます。たまに自分も同じスキルがあれば、と考えたりもするけどね。

 

そうなったら自分の腕食って血を啜って失血死するけど。

そろそろ200話。みんなは何が読みたい?

  • シヲモトメルノハ【タナトス】
  • モトメルノハ【ディオニュソス】
  • チカラヲモトメルノハ【フレイヤ】
  • ヒビカスノハ【ゼノス】
  • ドウケルノハ【ロキ】
  • 勇蹄再演【バロール戦】
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