ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
リリは原作でもモンスターに化けると服が消えたりして、フィンやレットに化ける際服なども変わっていた。この事から所持しているものの姿も変えられると思われる。前回の小石を金貨に変えていたのもそれの応用。
じゃあなんでウォーゲームで制服奪ったか聞かれたら、多分魔力消費を抑えるためじゃないかな。後獣人眷族の鼻を誤魔化すため。
バベル二階の食堂にて、空を見上げながらふと師匠は今何しているのだろうとふと思うベル。
師匠であるリリウスが数日潜り、暫くソロで活動していたベルからすればサポーターは確かに欲しい。
現れるモンスターの数が増え、当然魔石やドロップアイテムも増えるのだから当たり前だ。
だけど、エイナに子供のサポーターには気を付けろと言われてるし。
(でも昨日のお礼なら、偶然?)
少なくともあの男は金を奪われた様子ではなく、持っている金を奪おうとしているようにしか見えなかった。
偶然、金を奪おうとする冒険者に出くわして、そのお礼。
「その、同じ派閥の人と組まないの?」
「リリはこの通り小さいですから、役に立たないと邪魔者扱いにされてまして。肩身が狭く、ホームにも居場所がないぐらいですし」
「邪魔者………?」
「安宿で過ごしてますけど、そろそろお金も厳しくて」
仲間外れを受けていると聞いて、ベルは思わず面食らってしまう。ベルにとっては【ファミリア】とは家族で、家族を蔑ろにするなんて考えにも及ばなかった。
簡単に信じていけないと思いつつも、衝撃の事実に軽い目眩を覚えた。
「…………?」
ベルの視線に可愛らしく首を傾げる少女。不安そうな上目遣い。ベルはふと、祖父の言葉を思い出す。
『ベルよ。可愛い女の子がお主を騙したら、お前はどうする?』
『え? それは、かなしいよ』
『判断が浅い!』
『いたい! なんでぶつの!?』
『男なら、騙されても許す男になるのじゃあ!!』
「…………………」
どうせ、大して金のない貧乏ファミリア。騙されたら、その時だ。騙されてもヘスティアの迷惑にならない程度に被害が済むように気を付けよう。
「えっと、じゃあお願いしようかな。君は………ええと」
「リリルカです。どうぞ、リリとお呼びください」
「リリ…………あ」
「?」
「あの、ひょっとしてお母さんが違うお兄さんがいたり………」
と、ここまで聞いて失礼だったと慌てて己の口を塞ぐベル。リリは僅かに目を見開く。
「…………どうして?」
「その、君が師匠に似てたから………」
「似てるだなんて、そんな! お兄さんの師匠は、リリウス・アーデ様でしょう? リリなんかと、似ている筈がないじゃありませんか」
笑顔で言い切るリリ。ベルには何故か、その笑顔が泣いているように見えた。
強い。それがリリのベルへの感想。
冒険者なりたて。一ヶ月に届くか程度の新人の動きではない。
師が良いとしても、ステイタスの成長を考えれば純粋な才能が桁違いなのか…………それにしたって、ランクアップの最高速度が1年と考えるとやはり異常。
ランクアップまで1年は2人いるらしいが、その内片方は情報が少ないが病弱であったという情報を得ている。もし、その彼ないし彼女が健康であったならこの速度?
(………そう言えば、連れている犬と鳥、Lv.4と3)
動物がオラリオ有数の上級冒険者並みとかちょっと訳が解らないが、都市の外でそれだけの存在を育てた実績…………発展アビリティはこれまでの行動が反映されるなら或いは? それか、類似するスキルに目覚めている可能性もある。
もし、自分が………と考え首を振る。これ以上、まだ足を引っ張ると言うのか。
しかし、戦闘中は隙がない。後ろに目がついているのかと思う程避ける。新人殺しと呼ばれるキラーアントの群をあそこまで一方的に殺す新人初めて見た。
「…………あ」
死体を一箇所に集めていくリリはふと壁に亀裂が走るのに気付く。
「わああ! ベル様、また生まれます!」
「シッ!」
リリの言葉に即座に反応したベルが生まれてくるキラーアントの首を蹴る。首がグルリと回転し、絶命した。
「う〜ん、これはリリでは届きませんね」
ピョンピョンと本当にウサギのように跳ねるリリ。壁から抜け出ること無く絶命したキラーアントの死骸はそれなりの高さがあり、ベルが代わりに取ることにした。
ヘスティア・ナイフを抜く前に解体用のナイフを渡されるも、慣れないナイフで少し梃子摺った。
「それじゃあ、今日は引き上げましょう」
「え? もう? まだ戦えるけど」
「いけません! ベル様が戦ったモンスターの中にパープル・モスが混じってました。あれは毒を使うモンスターですよ」
パタパタ腕を振るうリリの言葉に、そう言えばとエイナの授業を思い出すベル。多くの冒険者はこの経験を経てランクアップ時に『耐異常』に目覚めると聞く。
「早めに戻って、治療院に向かいましょう。大丈夫、リリに任せてください。一度も戦闘なく地上に送りますよ」
ふふん、と胸を張るリリ。可愛らしい態度にほっこりするベル。
他の冒険者の通ったルートを辿り、一時的にモンスターの居ないそこを抜けて地上に戻る。
「本当に良いの?」
リリは、お金を受け取らなかった。今回はお試し。ベルだって見極めるために組んだ。想像以上に優秀だったが。
「今日はありがとうリリ。本当に助かったよ。また明日も頼んでいい?」
「ええ。では…………」
「…………なまくら?」
キラーアントの甲殻を切り裂く業物だったナイフは、今やその切れ味を失い刀身が死んでいた。
「それにしても、お人好し。普段なら、
道中サポーターを労わり、モンスターを倒してくれという要求に文句もなく応える冒険者など初めてだ。
その清廉潔白な姿が、妬ましい。
あれは愛され育った者だ。あれは汚れを知らない者だ。あれは腹を満たすために生ゴミを漁ったことも、泥を啜った事もない。
無意識だろうが、ダンジョンで常に何かの影に怯えていたのが気になる。下に向かう連絡路に繋がるルートへ時折視線を送り、大きな音に肩を揺らす。恐らくは数週間前のミノタウロスにでも襲われたのだろう。
モンスターが怖い、なんて言えば嗤い、甘えるなと殴る冒険者なんて珍しくもないが、彼にはそんな経験も無いらしい。
神と眷族だけのたった2人の【ファミリア】だからだろうが、ヘファイストス・ファミリア製の武器を与えられるぐらいには愛されている。
なんでわざわざそんな奴を。そう思ってしまうのは、自分が未練がましいからだろう。
「…………兄様は今、何をしているんでしょう」
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ダンジョン???階層。
突如として現れた、広大で頑強な
他の
故に、そこで暴れる者達はダンジョンにとってイレギュラー。
業火を纏う大蛇、雷を纏う竜人、毒針を持つ蟲人、漆黒の風を纏う黒髪の
蟲人が音速を超え空気の輪を作り出しながら吹き飛び壁に激突した。罅割れるのみで、崩れない。
竜人の放つ雷と小人の放つ雷が壁や床、天井を焼く。されど砕けぬ。
蛇が炎を吐き出せば、ちょっと熔けた。
だが、崩壊しない。それどころか、通常の修復機能を超えた速度で直る。
「オオオオオオ!!」
「…………!!」
蛇が尾を叩きつければ空間全体が揺れるような衝撃。されど、蛇はその尾を引き戻せない。
「!!」
嘗ての繰り返しになるものかと、蛇は鱗を過剰回復させ脱皮した。薄くなった鱗が完全に噛み砕かれる。
蛇が放った熱線の如き火炎流。大気中の酸素を飲み込みながら突き進み、炎の蛇に食われる。
「らぁ!」
「ガッ!!」
蛇の側面に拳が叩き込まれ、眼窩底骨折で右目2つが垂れる。
「シャア!」
「!!」
蛇が吐き出すのは黒い液体。リンカルスの様に吐き出された猛毒だ。
ついでに言えば、燃焼速度がとても速い………要するに爆薬でもある。
「カハア!」
吐き出された炎に引火。瞬時に超高温の炎となり大気を膨張させ大爆発。
その炎は、しかし渦巻き爆発の中心に集まる。
「アグニ」
生み出される炎の槍。莫大な熱量を圧縮した炎槍が放たれ、再び轟音。
竜人と蟲人が吹き飛ばされた。
「グギャアアアア!!」
「ガアアアアア!!」
傷だらけの蛇。対して、目立った傷のない小人。実力差は歴然。されど蛇の闘気は衰えず。
青い炎と黄金の雷が薄暗い空間を照らし………。
「皆〜、ご飯よ〜!!」
聞こえてきた声に、戦闘は終了した。
【
ダンジョンに新しく出来た超広大かつ超硬の壁や天井で覆われた空間。闘技場同様唐突に生まれた。何の意味があるのだろうと首を傾げたリリウスを、フェルズ達は殴って良い。現在はリリウス達の遊び場として使用される。
そろそろ200話。みんなは何が読みたい?
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シヲモトメルノハ【タナトス】
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チカラヲモトメルノハ【フレイヤ】
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