ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
オリジナルを書いてて思った。自分は主人公TUEEEEしたいけど、同時に敵TUEEEEしないと満足出来ないんだ。
チート主人公が弱いものいじめをするにはするけど、ちゃんと強さの指針となるやばい敵と戦ってこいつに勝つとかマジ強えとか、現在敵無しでも過去に倒した敵やばと思える描写がないと満足できない体になっちまったんだ。
だからオリジナルの方の主人公やリリウス達がこれからも苦しいのは致し方ないんやぁ
それは両者にとって、久方振りの敗北であった。
リリウスは大凡1年ぶり。オリンピアにて炎が見せる悪夢の英雄以来。
ヴリトラは何処かの階層で出会った夜闇を濃縮した多頭の蛇竜以来。
どちらも敗北したが撤退出来て、最終的には勝利した。
だから無意識に思っていた。自分を殺せるのは
その思いあがりも砕かれた一人と一匹の下に向かうフォモールの大群。
両者は直ぐ様彼等を喰らい、しかし棍棒が叩きつけられる。
多少の怪我なら殺して糧とするが、傷も深い彼等では回復よりも負傷が勝る。
視界が赤く染まる。かと思えば黒ずむ。
死が近づく。久方振りの感覚に…………両者は互いを見据える。
そもそも、そもそもだ。
自分達は約6年ぶりの再戦だった。互いに宿敵と定めた好敵手。ヴリトラに至っては、彼と戦う為なら何度だって蘇る程に求めていたのだ。
それを邪魔された。ふざけてんのか?
しかもとどめを刺さず次の目的を果たそうとする。
もう一度いう。ふざけてんのか?
それはバロールへの言葉ではない。戦いを邪魔される程度の力しか得ていなかった、そして見逃される形で生き残ろうとしている弱い己への言葉。
こんなところで敗北して、世界を救えるのか?
破滅の化身たる黒竜に抗うと、滅ぼすと、そう決めたのだろう。ならば立て!
ここは死地ではなく、あれは己の死ではなく、ただの通過点でしかないのだから。
もっと力がいる。雑魚をいくら食らったところで足しにもならない程の、極上の肉。と、リリウスはヴリトラを見る。ヴリトラも目を細め………
咀嚼音が聞こえた。
地上を目指すバロール。眼前に溜まる光は臨界寸前。
58階層に出現するヴァルガング・ドラゴンなどは5階層ほどぶち抜いて52階層の冒険者へ攻撃するが、この一撃は10階層以上に容易く大穴を開けるだろう。
前回の漆黒のモンスターは18階層で止められたが、バロールがその階層に現れた時点でオラリオは既に
それだけの怪物。それだけの暴威。
今から冒険者を派遣したところで間に合わず、仮に間に合うとしても辿り着く前に消滅するだろう。
誰に止められることもなく紅の破滅を放とうとするバロールは、不意に振り返ろうとしてその顎を何かに叩かれる。
「────!?」
顎の骨が砕け土台を失った牙が張り付く肉を千切りながら吹き飛ぶ。蓄積されていた光は明後日の方向に飛びダンジョンの壁を破壊しながら薙ぎ払われた。
新たに生まれた破壊者が
動きが先程とは比べ物にならない速度だ。
そしてそれは、バロールの下顎を殴ったリリウスにも言える事。
「!!?!?!!!??」
バロールは困惑する。確かに彼等は強かったが、それでも自分に届くほどではなかった。それが今、こうして自身に迫るだけの力を手にしている。
理屈は簡単。リリウスはヴリトラを喰らい、ヴリトラはリリウスを喰った。それだけだ。
ただし結果を詳しく言うのなら、リリウスはLv.8階層主に迫るスペックを持つヴリトラを喰らうことで
「カアアア!!」
ヴリトラの体をバチバチと、まるで空間に走る亀裂のような紫電が覆い、光が放たれる。
「ガア!」
放たれる熱線。今度は、拮抗。
熱量は兎も角、速度と威力が上がっている。
「らぁ!」
「ガッ!」
リリウスの踵落としが頭蓋に響く。無理矢理下げられた頭は光線を地下に放ち、ヴリトラの光線がバロールの体を焼く。
「オ、オオ──オオオオオオオ!!」
魔力を燃やし、再生させながら焼滅に耐えるバロール。両腕を振り下ろせば階層が揺れ、その衝撃でヴリトラの身体が浮き上がる。
「!!?」
ヴリトラも予期しなかった光景にほんの一瞬困惑し、光線も大地を消し飛ばしながら下の階層に打ち抜く。58階層でヴァルガング・ドラゴンが2匹消し飛んだ。
「ゴアアア!!」
「ガッ! グギャアアア!!」
長腕を叩きつけた衝撃で跳躍していたバロールは宙に浮いたヴリトラへ接近し爪を振るう。
爪は容易く突き刺さり、地面に叩きつけられたヴリトラへ深く深く沈み込み肉を裂き内臓を貫く。と、同時にバロールは体中の神経にヤスリを掛けられたかのような激痛を感じる。
「ギアアアアア!!」
「────!!」
バチバチとバロールの体表で弾ける紫電。当然、その中ではより強力な雷が駆け巡っている。
ヴリトラの雷だ。抜こうにも、体が動かない。その隙を逃すはずもなく迫る餓えた獣の気配にバロールは焼けた神経を回復させながら振り返る。
「あぁっ!!」
「────!!」
不可視の音速の砲弾が顔に当たる。潰れこそしなかったが、目に衝撃が伝わりドロリと房水が溢れる。
視界を喪ったバロールは確証はなく、しかし確信して首を反らす。
「チッ!」
死角を作り不意を突いた筈なのに躱された。そのまま頭突きを喰らう。
「グルアアア!!」
「グオ!?」
ヴリトラは意識がそれた瞬間を狙い体を波打たせ爪を抜くと、長大な尾を鞭のように振るう。
元より重量はヴリトラが上。壁まで吹き飛ばされたバロールに向かい口を開くリリウスとヴリトラ。
「アアアアア!!」
「ゴアアアア!!」
不可視の音の砲撃が這い出そうとしたバロールの体を再び壁に張り付け、ヴリトラの熱線が胸に当たる。再生を徐々に上回りながら
「【駆け抜けよ陽光。暁よ、夜闇を払え。天に刻め、光の軌跡】【バースカラ・キラン】!!」
更にリリウスの光線。2つの光線が一つとなって
バロールは視界が戻らぬまま胸の前に光線を放つ。
2つの光線は混ざり、逸らされた。ヴリトラが一息ついた瞬間顔を持ち上げ薙ぎ払う。
バロールは回復した視界に己の敵を写した。
此奴等、何故まだ戦う?
勝負はついたろう。確かに強くなったが、それでも単体では自分の脅威にはならない。
勝てない戦いに、何故?
理由は知らない。けど、この光景を知っている。
金色の髪を持つ者を先頭に、文字通り命を賭して駆け抜ける騎士達。最後の一人となっても、炎の中から突き進む、衰えることなき意志を宿した瞳。
生まれた理由のみを全うし続けた怪物は知らぬ。それが『勇気』と呼ばれる事を。
穴の縁にて孤独に、世界に向かう同胞を見続けた怪物は知らぬ。それは『託す』行為だということを。
何も知らぬ。だが、すべきことは知っている。
滅ぼす。消し去る。この世に存在を許さぬ。
だがそれは人類への怒りではない。神の子への嫌悪ではない。それこそが、魔物の海を越え、光の雨を駆け抜け、我が命へと迫らんとする者達へ返せる、唯一の言葉だから。
「オオオオオオオオオッ!!」
ヴリトラの熱線は、確かにバロールの魔石を半分以上消滅させた。普通、如何なるモンスターも絶命の一撃。
だというのに、滅びない。
体の端から灰化が進み、崩れ始めているのにその威容は健在。
しかし、それでも崩れ始めているのだ。戦う必要もなく、時間を稼ぐのが正解。だというのに、リリウスもヴリトラも逃げる気も、時間を稼ぐ気にもならなかった。
「オオオオオオオ!!」
バロールの両腕が一気に灰と散る。体を繋ぎ止めていた魔力は、眼前に収束する。
正真正銘、最大最期の一撃を前に避けるではなく、迎え撃つ。
「ヴリトラ。全部やるから、全部よこせ」
リリウスがすべての魔力を炎へと変じれば、ヴリトラの炎がより激しく燃え上がり、マーダに吸い込まれていく。
現れたるは万物を喰らう炎。
全てを取り込む簒奪の炎をヴリトラとリリウスは纏う。
「オオオオオオオ!!」
「ガアアアアアア!!」
「グギャアアアア!!」
臨界を迎え放たれようとする光を前に、リリウスとヴリトラは回避を取らない。後ろは勿論、右でも左でも無く…………ただ『前』へ!!
突き進む炎の槍。紅の
バロールの死閃を貫き進む一撃が、バロールの魔石を砕いた。
ゴブニュ・ファミリア製
漆黒のバロールの水晶と勇鉄を使い製作された
盲目時間は使用時間、威力、使用者の資質により変動。雑魚冒険者が使えば失明する。
そろそろ200話。みんなは何が読みたい?
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シヲモトメルノハ【タナトス】
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モトメルノハ【ディオニュソス】
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チカラヲモトメルノハ【フレイヤ】
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ヒビカスノハ【ゼノス】
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ドウケルノハ【ロキ】
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勇蹄再演【バロール戦】