ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
24階層、北の
それが緑の肉壁に遮られていた。
かなり分厚く頑丈。中層のモンスターで突破出来るモンスターは限られるだろう。つまり今回の騒動はモンスターの大量発生ではなく大移動。
腹をすかせて北の
ぶよぶよした肉は音をあまり反射せず、それ自体が脈動していて反響定位を使えない。
「他のルートも塞がれていました。その推測は間違いないかと」
調査から戻ってきた【ヘルメス・ファミリア】の報告を聞いてリリウスは『門』を見る。
肉壁に存在する閉じた穴。恐らくは彼処が開閉して中に入れるのだろう。
「焼くか」
バチッと弾ける紫電。間違いなく怪物の一部なので、加減しても威力は上がるだろう。と………
「いえ、万が一に備えて我々でも破壊出来るか確かめます。メリル」
「はい。おっきいほうですか?」
「ええ、長文詠唱で」
ピョコッと大男のドドンから顔を覗かせる
ピョン、と飛び降りると詠唱を始める。その足元に浮かぶは
「珍しいだろ?
「……………」
口の悪い
「お前が俺ぐらいの頃、レベルは幾つだったよ」
「? 俺はお前より年下だが」
「え、ああ………そういやそうか。じゃあ、あれだあの……【
「………………3?」
「まあ、兎に角俺よりは上だろうな」
リリウスはフィンについて、別に調べてないので知らない。
「嫌になるぜ、勝手に俺達の英雄になんかなりやがって。頼んでねーっての………
「………じ」
「実際、何もしてねえだろうが」
と、ベートが吐き捨てる。
「くだらねえ。何もしてねえくせに、何かした奴に並べるなんて思い上がってんじゃねえよクズ」
「………………」
ポックが口を開こうとした時、轟音が響く。
門が開いた。
リリウスはジッと入り口を見つめる。
氷の階層の編成を行っていたあれとは比べるべくもないほんの一部。それでも、中層とは言え階層にこれだけの異変を起こせるとは。
【ロキ・ファミリア】の試練として取っておいた59階層の蛹はともかく、本体の方ならリリウスの糧にもなりそうではあるが………。
蒼の魔界の劣化領域。緑肉の領域へ足を踏み入れたリリウス、さっそく視線を感じる。
壁に咲いた花。あれがこの迷宮の目の役割だろう。
「っ! 壁が………」
ラウルが思わず叫ぶ。穴があいた壁が修復したのだ。
「構うな、後でぶち抜けば良いだけだろ」
ベートは顔を青くするラウルにそう吐き捨てた。
リリウスは壁に手を当て、剣で貫く。
「なっ!?」
何を、と【ヘルメス・ファミリア】のサポーターであるネリーが叫ぶ中、剣を伝い傷口に紛れた血が赤黒く染まり、周囲の肉が腐り始める。
「脱出路は確保した。文句はねえな?」
毒に侵された肉は腐り果て、門は開け放たれる。肉は、今度は再生しなかった。
「それからあまり煙に近付くな。Lv.3なら吸い過ぎたら死ぬから」
リリウスの言葉に腐肉から上がる煙を見ていた冒険者達が慌てて離れる。よく見るとリリウスの髪の一部が黒く染まっていた。
「加減が利くのですね」
嘗て、それがスキルとなる前本人の肉体を蝕んでいた光景を思い出したのかアスフィが呟く。
ソーマがランクアップさせ、
嘗て偉大なる英雄の一人であった【暴食】を零落せしめた死毒は、今や英雄候補の一人の武器となっていた。
「来たぞ」
領域の一部を文字通り穢されたのを察知して、迫りくる食人花の群。
体内の脅威を排除する白血球の如く外敵を貪らんと迫る。
「何処までやっていい?」
「地形を壊さない程度に」
アスフィの要望にリリウスはベートへ視線を向けた。
「【
「おかしな表現するんじゃねえ。これぐらいの魔剣が全部吐き出す程度だ」
と、ベートがリリウスに魔剣を見せるとリリウスがベートに向かって腕を振るう。吹き荒れた吹雪が地面を凍らせながらベートの足へ迫り、ベートの足が冷気を纏う。
「ハッ、上等」
瞬間、氷の足跡を残し2人は駆け抜けた。
ベートの蹴りが精霊の魔力に反応した食人花に正面から叩きつけられる。
打撃に対して高い耐性を持つ食人花の体は、しかし凍りついて衝撃を殺すことなく砕けた。
詠唱もなく、属性魔力として放ったとはとても思えぬ冷気。アイズの風のように速度を上げることはないが、寧ろランクアップしたてのベートにはちょうど良かった。
「…………息が合ってる」
フィルヴィスは駆け抜ける2匹の冷気の獣の姿にポツリと呟く。そりゃ、自分は付き合いこそ永いが共に戦った時間は少ないが、それにしたって自分より息が合いすぎではないだろうか?
前衛同士、視点が近いからと言われればそれまでだが。と………
「オオオオオオ!!」
「挟撃!!」
別の出口から回ってきたであろう食人花の群。リリウスとベートは一瞥し、無視。自分達で何とかしろということだろう。
無責任な………或いは信頼か。それに応えたのは、まさかのポックであった。先頭の食人花に向かい駆け出す。
開かれた大口に恐れたのか、速度が鈍りもつれかけた足を懸命に動かすその背中に、ラウルは目を離せなかった。
ポック。
フィアナ騎士団に憧れ騎士じみた格好をしてみても、Lv.2で燻り続けるちょっとだけ凄い
メリルは彼よりも短い期間、若い年齢でランクアップした。しかも『魔導』にまで目覚めて。
『
そんな彼に姉のポットはフィンの年齢を教えた。
40 を超えているそうだ。ポックが頑張っているつもりになった人生の倍は歩んでいる。
必死に歩いてきたつもりで、彼の半生も真似していなかった。
「っ! うおおお!!」
噛み砕こうと迫る大顎にメイスを立て、その隙間に入る。小柄な
サブウェポンであるとある有名な
バサッと灰に還る食人花。ラウルが、はっと正気を取り戻す。
「撃て!!」
放たれる魔剣の炎。
【ロキ・ファミリア】所属のLv.4の中で、最も
「「「────!!」」」
剥き出しの魔石はあっさり砕かれ灰が舞い散る。
「……………」
空中に放り出され地面に背中から落ちたポックに、何時の間にかベートが近付いていた。
「…………なんだよ」
「雑魚が」
「褒められたな。気に入られたみたいだ」
「何処がだよ」
ベートの罵倒に、リリウスが何故か褒められたと言う。いや、本当に何処が?
「くっちゃべんな、まだ来やがるぞ…………あぁ?」
現れたのは冒険者達。逃げ延びた生き残り? だとしても雑魚が何でこんな場所に来やがったと不機嫌になるベート。リリウスは、目を細める。
「寄生か」
「あん?」
よくよく見ると冒険者達は、血管が浮き上がり首すじからキノコが生えていた。
「いたいいたいいいたたい」「たすけ、たすけけ」「ぐるうぶるる」
虚ろな目でうめきながら得物を抜き駆けてくる冒険者。ベートが一人蹴り飛ばす。片腕を折られながら、冒険者はベートの足を掴む。
「ああ?」
パキパキと残っている冷気に指が凍りつきながらも離さない。ベートが訝しんだ瞬間、残りの冒険者が殺到し──
リリウスが己の血を含ませた剣を振るう。冒険者達は糸が切れた人形のように倒れた。
「何だ此奴等?」
「地上で見た。ダークファンガスの変異種に寄生された連中だ。神経を粘菌の根になり代わられて操られる………」
一人のキノコを引っこ抜くと赤い血液と肉のかけらが付いた根が姿を現す。体内に残った根が傷口から新たなキノコを生やす。
「軽い寄生ならシュヤーマの回復魔法で追い出せるが………深いな。これはもうアミッドの仕事だ」
「………おい、此奴等を連れて地上にもどれ」
と、ベートは【ヘルメス・ファミリア】の一部に命じる。
「なっ! 何を勝手に!」
「黙れ。ならお前等の『耐異常』の評価は?」
その言葉にぐっと黙り込む。そら見ろと、ベートは鼻を鳴らした。
「これ以上雑魚が出しゃばるんじゃねえよ」
ベート・ローガは、いっそ残酷なまでにはっきりと言い切る。弱い者が意地ですらなく、蛮勇で立つ事を許さない。
リリウスはやっぱ、面倒くさ、と呟いた。
エリクトー(ダークファンガス寄生体)を思いついた時、これは流石に原作の悪辣さを超えただろと思った作者。
原作でもっと悪辣なの出てきた。
リリウスから見た蒼の魔界
改装中の59階層の下、60階層で遭遇。
リリウスをして現状攻略するには後2枚、ヴリトラに匹敵する手札が必要と判断。殺されないが殺し切れない。
地上に出てくればブラフマーストれるけどその時点で下界は盛り返し不可能なレベル。
異端児にとっても危険なので、仕方がないから魔法石を盗んで……もとい頂いてから、階層一部ぶち抜いて下に移動した。
無理がある? 仕方ないじゃん、もっと下だと思ってたんだもん。
此方は分身と異なり【ロキ・ファミリア】の成長によっては自分で殺すつもり。
まあ現状Lv.7含めた派閥連合で攻略するだろうし、ゼウスとヘラの描写から推測するにLv.9にとってはその程度かな。
そもそも全身猛毒の冒険者、燃える蛇、硬い甲殻の虫、雷の竜は寄生系にメタ張れるし。
精霊の本体から見たリリウス
ドゥルガーとスカディや小さな皆が揃って会いに来てくれた! 嬉しい! 食べさせて!
しかし残念ながら帰った。魔界の一部を消し飛ばされるしかわいいヴァラちゃん達は食われるし魔力を循環させる魔法石は持ってかれるしもう散々。
早く再会して今度こそ食べたい。
エイプリルフール、皆が見たい嘘は?
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