ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
蹴りを放つ。冷気が吹き荒れる。
銀靴と撃ち合う赤い剣が、打ち合う度に霜を張る。
報告ではLv.5最上位と聞いていたが、ランクアップを果たしたか?
「チィ!」
武器の性能もレヴィスが上。だが、纏う力はベートが上だ。
世界を滅ぼしうる黒の怪物を数千年に渡り封じてきた精霊の力の一端。胎児がやかましく騒ぎ立てる程の精霊の魔力はベートとレヴィスの差を埋める。
腕の感覚がなくなっていく。あまりの冷気に、レヴィスの肉体が凍りつき始めた。だが、それはベートも同じ筈。
刺すような痛みが襲っているはず。だというのに、苦痛に顔を歪めることもなくレヴィスへと蹴りかかる。
「ベートさんと、互角!?」
Lv.6へとランクアップを果たし、【ロキ・ファミリア】でもフィンとガレスに次ぐ戦士となったベートと互角に戦う赤髪のテイマー。いや、ベートがリリウスから力を借りていることを考えれば、純粋な戦闘力は
「死ね、冒険者あああ!!」
「っ!!」
と、レフィーヤに迫る
その首を牙が貫き、骨をゴギンと噛み砕くシャバラ。ギロリと妹の背に乗るレフィーヤを睨む。集中しろ、或いは妹を危険にさらすなら降りろという意味だろう。
「ご、ごめんなさい………【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ】」
直ぐ様詠唱を唱えるレフィーヤ。吹き上がる魔力に食人花達が反応する。だが、Lv.4の猟犬であるシュヤーマを捕らえることは叶わない。
「【雨の如く降りそそぎ、蛮族共を焼き払え】【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」
降り注ぐ魔法の火矢。食人花を焼き払い、
「ギルアアアア!!」
と、爆炎を突き破り現れるのは人とモンスターのハイブリッド。食人花と融合し、速度だけなら食人花以上の怪人の蔓が振るわれ………純白の障壁が防ぐ。
「フィルヴィスさん!!」
「シッ!!」
障壁を張ったフィルヴィスは正確に魔石を破壊する。
食人花が灰へと崩れ、体の中に張り巡らされていた根を失った人間の体が血を噴き出し転がる。
「怪我人が増えてきた。ウィリディス」
「は、はい! 【三千世界を遍く照らす。瑠璃の光を以て導きとなせ、足らぬ者に与えし我が秘宝。12の願いをここに。我が威光を持って道を示さん】【バイシャジヤグル・ソワカ】!!」
Lv.4のシュヤーマの魔力とLv.3のレフィーヤの魔力が同調し、増幅し、瑠璃色の光が辺りを包み込む。
【ロキ・ファミリア】と【ヘルメス・ファミリア】の体に瑠璃色の光が灯る。
シュヤーマの第1魔法が回復と、ついでに
苦行を進まんとする者の力となる魔法だ。
と、その時………壁の一部が吹き飛んだ。
「がはぁ!!」
瓦礫と共に地面に転がる隻腕の男。
傷だらけだが、その傷がものすごい速度で回復していく。
「ば、かな………馬鹿な、この私が………」
砕かれた顔を癒しながらブツブツと呟く男。その顔を見て、数名の冒険者が目を見開く。
「………オリヴァス・アクト!!」
「【
レフィーヤや若い団員達はよくわかっていないようだ。ラウルは握る拳に力を込める。
「どうしてお前が! 6年前、27階層の悪夢で死んだはず!!」
【
邪神の名の下に愚かな冒険者への断罪と死を振りまいた最悪の
「クハ、クハハハ! 私は、死んだとも。だが、『彼女』のおかげでこうして生き返った!」
その足は食人花達に似た緑。人間の足ではない。さらに、その抉られた胸には極彩色に輝く魔石が。
「道中のモンスター混じりの仲間か!!」
「一緒にするな。あれは『彼女』に選ばれなかった分際で『彼女』の恩恵にあやかろうとした愚か者。そこのレヴィスと、私こそが! 人とモンスター。両者の力を備えた至上の存在だ!」
「【ディオ・テュルソス】!!」
「っ! ぬん!」
声高々に宣言するオリヴァス。フィルヴィスが話を聞かずに唱えていた詠唱を完成させ放った魔法を片腕で弾く。
「野蛮な冒険者め………オラリオの滅びと共に消える、神の走狗が!!」
「…………オラリオの、滅び?」
震える声で呟くレフィーヤに、オリヴァスはふん、と嗤う。
「そうとも! オラリオを滅ぼす! 忌々しき『蓋』を抉じ開け、『彼女』を地上に帰すのだ!」
「「「────!?」」」
誰もが息を呑む。
オラリオを滅ぼすということは、つまり怪物を地上に解き放つということ。そうなれば多くの命が失われる。そして、
「あ、居た」
と、そんなオリヴァスの宣言などどうでも良さそうに壁に空いた穴からヒョコッと顔を出すリリウス。
道中緑肉が複雑な道を作って惑わそうとしていたが、オリヴァスの大声で見つけた。
「リリウス! オリヴァス・アクトは、お前が?」
「知ってるのかフィルヴィス」
「…………片腕奪ったのお前だろ」
「…………………?」
フィルヴィスの言葉に思い出そうと黙り込むリリウス。心当たりがないのか首を傾げた。
「
「主神に忠誠?」
アスフィの言葉にリリウスはオリヴァスを見る。オリヴァスは忌々しげに舌打ちする。
「過去の私は、正しく恥ずべき愚か者であった。無能な神を信じ、その結果ああして死んだのだからな。生まれ変わった私はもう惑わぬ! 『彼女』の為に、私はあるのだ!!」
リリウスはキョロリと瞳を動かし一度オリヴァスを見て、ああ、と呟く。
「誰かに愛されたいのか、お前」
「────は?」
その言葉に固まるオリヴァス。何を、と叫ぶ前にリリウスの言葉は続く。
「その神はお前を受け入れたか? その神に何かをしてやりたかったんだな。そいつが天界に送還されて、次に縋る先があれか」
「なに、を………」
「歪んでいると知りながら愛してほしかったか? 道具だとしても、大切にされたかったか?」
「…………れ」
「愛されないと知りながら、縋りたかったか?」
「……まれ………」
「自分の価値を何かに示してもらわないと、立って歩くことすらできねえか。哀れだな、お前」
「だぁまれええええええええ!!」
オリヴァスの叫びに呼応するように、
「産み続けろ
その言葉と同時に未成熟、成熟関係なく、蕾が花開くように食人花が産み落とされる。その数は100では足らない。深層でもお目にかかれない、超大規模な
「リリウス・アーデ! お前は殺す、お前を殺す!! 『彼女』の求める未来に、お前は邪魔だあああ!!」
そう言って取り出すのは宝玉の胎児。リリウスとの戦闘でぼろぼろになりズボンも股間周辺しか残ってないのに、どっから出した?
オリヴァスはそれを胸に押し当て、3体の内1体の巨大花に向かい叫ぶ。
「………
「────!!」
その胸に溶けるように、蝕むように溶け込み葉脈のように膨れ上がる肉の一部。体を突き破り緑の管が生え、飲み込まれた。
「う、うわあ!!」
「ルルネ!!」
「掴まれ、ドドン!!」
「ラウル! 緑肉から離れて!!」
「オオオオオオオオオッ!!」
階層を揺るがすような咆哮。苦痛に喘ぐ怪物の絶叫にも、生誕を祝う赤子の産声にも聞こえる絶叫をあげながら、巨大花の花弁部が膨れ上がる。
まず最初に出てきたのは竜を思わせる鋭い爪を持つ、鱗に包まれた腕。その数は4本。
次に現れたのは人の顔………のようなもの。かろうじてオリヴァスの面影があるとも言えなくもない、醜悪な肉塊からズルリと歪に螺子曲がった角が生える。
「チッ………」
緑肉と共に取り込まれる前に宝玉の胎児を回収したレヴィスはオリヴァスの成れ果てを見て忌々しげに舌打ちした。
「オオ、オ………ゴオオオオオ!!」
肉塊が膨れ上がり、中から現れる無数の食人花。体内で食い合いでもしたのか、数は減っているが明らかに力が上がっている。
それに、数が減っていると言っても100近くはいる。
「りりうず、あぁぁでぇぇぇ! 死ね、『彼女』のだめにいいいい!!」
おかしい。ただのカマセのつもりが、指が進んでこんな事に。
オリヴァス・ヴィスクム
オリヴァスとヴィスクム、宝玉の胎児の融合体。超キモい。
根っこはまだ
そのポテンシャルはLv.8の
アストレア・レコード見る限り、オリヴァスって弱いものいじめしかできない小物だけど主神の為に死を振りまこうとする働き者ではあるんだよね。
情報力の暴力の時間だ!
異端児編
「【
「────へ?」
漆黒の蛇を討滅するべく放たれた炎は、その言葉と同時に掻き消えた。
間抜けな声を漏らすラウルは、靡く
「馬鹿、な……何故お前が!!」
混乱、困惑、混迷………理由もわからず叫ぶリヴェリアを見つめる2色の瞳は、しかし億劫そうに閉ざされる。
「騒がしいぞ、
傲慢に命じる。不遜に佇む。言葉が紡がれる度に、抗う意志が失われていく圧倒的な存在感。
「団長に命令すんな!!」
「くたばれ!!」
「こんにゃろおお!!」
迫りくるLv.6の戦士達に、しかしやはり目を開け視界に収めることすらしない。ただ短く、一言。故に全てを蹂躙する。
「【
響き渡る禍々しい鐘の音。
回避、これを叶えず。
反撃、これを認めず。
防御、これを許さず。
絶対強者の蹂躙。
7年前の如く、灰色の魔女が奏でる音色が冒険者を蹂躙した。
エイプリルフール、皆が見たい嘘は?
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バーサーカーリリウス(/Zero)
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英雄派リリウス(ハイスクールD×D)
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冒険者リリウス(このすば)
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死に戻らないリリウス(リゼロ)
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魔物リリウス(ガッシュ)相棒エピさん