ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ベルは10階層以降に降りていない。
地形条件が大きく代わり、モンスターのみならずダンジョンそのものが敵意を剥き始めるとでも言うか、モンスターの為に武器が用意される階層。なれない冒険者は、たとえステイタスがあっても挑むべきではない………というのは常識だが、同時に
ミノタウロス同様大型と称される巨大なモンスター達が、恐ろしい……というのが本音。
リリもそのあたりを見抜いている。事を起こすなら、10階層以降にて彼の集中力を削ぐべきだろう。でも【アストレア・ファミリア】がなあ………。
「…………じー」
「なんですかあ、ノエル」
「リリ、元気ない? 嫌なこと、あった?」
心配そうに見つめてくるノエル。リリは大丈夫ですよ、と返す。考え事にピコピコ揺れる耳にそーっと手を伸ばすノエル。ペチンと手を叩かれた。
「考え事ですよ。ベル様のことでちょっと」
「僕がどうかしたの?」
「うわ! びっくりした!」
「したー!」
何時の間にかベルがいた。考え事をしていて気付かなかった。
「かみのけ、まっしろ」
「え? うん、そうだね………まっしろ」
ノエルがベルに向かって手を伸ばすのでベルはしゃがんでやる。真っ白な髪をモフモフと触る。目がキラキラしてた。
「リリとおそろい」
「そうだね。おそろいだ」
優しい笑顔だ。子供に優しい………粗暴な輩ばかりの冒険者としては、珍しい部類。
「あ!」
「どうしたの?」
「あぅ………えっと、ノエル、です。あなたのおなまえ、なんです、か?」
「あ………ベルだよ。ベル・クラネル」
「ベル?」
「うん」
「ベル!」
子供にニコニコ微笑むベルと、そんなベルにキャッキャッと笑顔で懐くノエル。その姿は、仲の良い兄妹のようで…………。
「えっと、リリの妹?」
「いもーと?」
「ええっと、家族、かな」
「かぞくー?」
キョトンと首を傾げるノエルにベルはなんと言ったものか、と唸る。
「ええと………すっごく仲が良くて、ずっと一緒に居て、お互い助け合ったりするような………」
「おー………じゃあ、リリはいもーと?」
「え!? いや、年上の女の子だから、お姉さんかな」
「リリ、おねーさん? ベルは?」
「僕は………お兄さん、かな」
「ベルおにーさん!」
その光景を見ていた周りもほっこりする。
それを離れてみる一人の男。細めの、地味な顔立ちの男は張り付けた仮面のような笑みでその光景を見ながら片手に持つ短剣を弄ぶ。
それは外法により無理やり形を変えられた下位精霊が武器化したもの。
「反応していますねえ。では、やはり彼女は………しかし、『現代の英雄』………その片割れの弟子が関わるとは。これも英雄の資格なのですかねえ?」
剣をしまい、ブツブツ呟きながら歩く男。裏道を通りダイダロス通りへ。
「ああん?」
入り組み、惑わし、その全貌をギルドどころか住人すら把握しきれない地上の迷宮。
目立った事件が減った今、
幼い子供達や真っ当な貧民はなるべく入り組んでいない場所に住み、そうでない人間は直ぐに駆けつけられない場所に好んで住み、結果的に住み分けされているが、男が歩くのはちょうどその中間辺り。
「よお、こんな堂々歩けるなんて冒険者か?」
「だけど知らねえなあ。大して強くもねえみてえだ」
現れたのは破落戸。ダンジョン探索に付き合いきれなかった冒険者が、主神から離れたり主神が放任主義で好き勝手することを選んだ一般人より強い落語者。
「へへ、金目の物置いてきな」
「逆らったらわかってんだろうな?」
「…………困りましたねえ」
「わかってんじゃねえか」
「
「あ? お前何言って……」
リーダー格の男の体がズルリとズレた。何時の間にか細めの男が抜いていた剣に切られたのだ。
「………は?」
何が起きたのか、男達が理解する前に剣の一閃が破落戸の命を奪う。
「ああ、まったく。私に無駄な殺しをさせてほしくないものですね………昔なら、地上でも楽しめたのですがねえ」
「ヴィトー様………」
と、建物の陰から白装束の男が現れる。
「ああ、ちょうど良かった。この死体、運んでおいてください………ミュラーさんあたりなら有効な使い方をするでしょう。命を無為に奪うのはよくありませんからね」
「はっ。その、それより………」
「例の『娘』は見つけました………いやあ、【アストレア・ファミリア】の新人を使う必要がなくて助かりましたよ。昔はともかく、今の彼女達の相手なんてできませんからね」
「では…………」
「はい。『彼女』を起こしに行きましょう………」
「上層での殺人事件だけど、調べるとどうやら中層でも起きているらしい」
ライラの要請のもと、調査を始めたフィンは集めた情報をまとめる。ライラがまだ情報整理している途中だというのに、流石の早さだ。
「中層に訪れる冒険者は限られ、かつ冒険者同士のいざこざはよく起こるからね。殺しまでは珍しいにしても、他殺死体を見つけても情報募集でもされていない限りは………そして、9階層から18階層の間で死体が確認されていないのは17階層」
「じゃあそこか」
と、フィンの言葉にライラが答える。フィンの真意を誰よりも理解したいティオネは真っ先に理解したライラを睨むが取り合わない。
「そこに見られたくねえ何かがあるってことだ」
ダンジョン16階層。
無数の鎖が張り巡らされた
拷問の如き苛烈な修行を行う小人は今は居ない。以前、居ないからと外に出てみて殺された事もある。
それを覚えている上で、鎖の隙間から外へと抜け出す怪物。
フゥフゥ、と興奮した様子で上を睨む。光に焦がれる、異端の怪物達のように………。
3000年前の約定………人と怪物が、言葉が通じぬまま確かに結んだ誓いが………真の意味で、原初の異端。
憧憬の種が悠久の時を経て芽吹こうとしていた。
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