ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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ミノタウロス

 7階層、8階層……9階層。

 1()0()()()………。

 

(………早すぎる)

 

 到達速度ではない……到達期間だ。

 多くの冒険者を見てきたリリだから断言しよう。どれだけ才能があろうと、一ヶ月そこらの駆け出しが到達できる階層ではない。

 

 なのにベルは戦力としてここにいる。大型が現れると言っても、確かに上層。だがベテランのLv.1冒険者が入念に準備、あるいはパーティーを組んで潜るはずの階層で、駆け出しが。

 

 異常すぎる。

 

「【ファイアボルト】!!」

「ピギィ!?」

 

 放たれた炎雷が棍棒を振り上げていたオークを燃やす。炎に焼かれたオークの胸に叩き込まれる鋭い蹴りは脂肪の鎧も骨も意味をなさず、魔石が砕かれ灰へと崩れた。

 

 同じ『力』0でもドワーフとパルゥムが互角ではないように、アビリティには個人差がある。その上で、リリから見たベルは…………。

 

(………最低平均値(アベレージ)『A』以上。以下はありえない)

 

 攻撃を避けているから『耐久』は分からないが、それでもあれだけ戦えて『C』ということもないだろう。

 

 ベテランもベテラン。冒険者の半数がLv.1であることを考えれば、冒険者全体から見れば中位の実力者ということになる。

 

「いたよー」

 

 ユーフィの言葉に、ベルは加速する。速度だけなら『力』重視のLv.2より速い。

 薄霧をぶち抜き見えた人影へと斬りかかる。

 

「っ!!」

 

 肩を狙った、ここに来て不殺の一撃をあっさり防ぐ男。完全に不意を突いた、だがスペックの差が、有利を覆す。

 

「お早いおつきで………」

「ノエルを離せ!」

「どうぞ」

 

 と、ノエルを投げてくる男。

 

「ヴィトー様!? 何を!?」

 

 困惑するベル。地面に落ちる前に受け止め………迫りくる剣を慌てて回避する。

 肩を深く切られ、ノエルを奪われる。

 

 すぐさまポーションをかけて傷を癒す。

 

「おっと、()()()を使うべきでしたね。いえ、その場合ここで暴発してしまいかねませんか」

 

 ヴィトーと呼ばれた男は腰にさしていたもう一つの剣の柄を撫でながら笑う。

 

 本気じゃない。強い……ベルの、遥か格上。

 でも、手加減しているリリウスより遅い。

 

「…………?」

 

 ヴィトーは違和感を覚える。動きは間違いなくLv.1の熟練………より少し上。だが、流される、避けられる。

 

「………目がいいですね」

 

 

 

 

 

「…………目?」

「目」

 

 真っ先に何を鍛えるべきか、という質問に答えられないベルに、リリウスは己の目を指しながら答えた。ただしベルは地面に転がりリリウスが情けない弟子の頭をグリグリ踏みつけているので見えない。

 

 靴を脱いでいるのは師のせめてもの優しさだと思いたい。

 

「実際俺が鍛えられたのはそこだしな」

師匠(せんせい)も、師匠(せんせい)師匠(せんせい)に?」

「いや、環境」

 

 死んでも生きてもどっちでもいい奴(殺す気もないくせに殺そうとしてくる奴)

 金目の物を奪ってこようとする奴(こちらをぶっ殺す気で来る奴)

 理由はないけど取り敢えず攻撃して来る奴(暇つぶしに暴力を振るう奴)

 

 そういう奴等を毎日相手にしていたリリウスは、兎に角見た。

 恩恵があるとは言え、それは向こうも同じこと。暴力と酒に酔った輩の攻撃は、次の瞬間幼い小人(パルゥム)の命を奪うだろう。

 

 少しでもダメージを減らすために防御や衝撃を逃がす為に次を予測し、自分より強い冒険者の動きを真似て………まあ、培った観察眼で見れば無駄が多かったり自分の体格に合わないのばかりだったが。

 

 その前に魔法やスキルを手に入れ、相手の動きを覚えるための観察眼を使う機会は7年前まで訪れなかったが。

 

「口で教えてもわからねえなら見て覚えろ。その為に目を鍛えろ」

「……………………」

 

 ペチペチ頭を足裏で叩かれながら、わからないのは師匠(せんせい)の教え方が下手だから、と出かけた言葉を飲み込むベル。

 

「それにこの目は、動きを覚える以外にも使い道があるからなあ」

「使い道?」

「相手の()が見える」

 

 

 

 

(…………頭痛い)

 

 言ってしまえば予知でもなんでもなく、観察結果を頭で処理する。筋肉の起こり、重心の移動、視線。

 

 それらを高速に処理して次の動きを予想する。格上の相手の先読み………目の奥、頭の中に鉄球が埋め込まれたように鈍く痛む。

 

「はぁ!」

「っ!」

 

 ベルに意識を向けていたヴィトーにセシルが迫る。

 

「………【アストレア・ファミリア】! また、私の邪魔をしますか!」

「また?」

「忌々しい、貴方の先達ですよ!」

 

 力任せに振るった剣がセシルを吹き飛ばす。Lv.3のセシルより『力』が上。ステイタスの個人差なんてものではなく、位階の違い。Lv.4!!

 

「悪の前に正義(私達)が現れるのは当然。アリーゼ先輩ならそういうわ!」

「………なるほど。ですが、余計な時間を取らせないでいただきたい」

 

 と、ヴィトーが片腕を上げる。と…………

 

「「「オオオオオオオッ!!」」」

「食人花!? 上層に、なんて数!!」

 

 Lv.3相当の大型のモンスターの群が霧の奥から現れる。上層ではあり得ぬ強力なモンスターの大群。

 セシルの顔から血の気が引き………

 

 べチャリと何かが白装束に叩きつけられた。

 

「ト、血肉(トラップアイテム)!?」

 

 モンスターの食欲を刺激する匂いを放つアイテム。ドスドスと足音が響き、オークを始め複数のモンスターの出現。

 

 食人花はモンスターを率先して襲う。これにはリリも一瞬困惑した。テイマーに操られようとモンスターはモンスター。率先して同族を襲うとは思えない。だが、差し向けられたモンスターは今は無視できる!!

 

「神よ、娘ともう一度!!」

「っ!?」

 

 と、割り込んできた男が爆発した。咄嗟に足を止めたリリは爆風に吹き飛ばされた。

 

「リリ!」

「………ふざけないでください! 何が、家族! 他人の……他人を同じ思いをさせておいて、どの面下げて会う気だふざけんなあ! その人達だって貴方達みたいのに会うなんてごめんに決まってるでしょうが!!」

 

 暗黒期を経験し、暴力を経験した少女は叫ぶ。

 こんな奴等が『あの時代』を作っていた? こんな奴等が、もう一度『あの時代』を作ろうとしている?

 

 なんだそれは、巫山戯るな。

 

「セシル様! ユーフィ様で全部ぶち抜いて───!!」

 

 と、その時だった。咆哮が響く………この階層で生まれたモンスター達は動きを止める。

 

「…………なぜこの階層に?」

 

 ヴィトーもその姿を見てわずかに目を見開く。

 ズンズンと足音を響かせ現れる咆哮の主は、ミノタウロス。

 

 焦げ茶色の獣皮、大剣………冒険者と戦闘でもしたのか、その瞳からは人類への強い敵意が見て取れる。

 

「…………っあ、うぁ…………」

 

 その姿にあの時の恐怖が蘇る。カチカチと歯の根も合わず震えるベル。ミノタウロスは全ての怒りをぶつけようと、足に力を込め………2つに分かれた。

 

「……………え」

「ブゥ、フー!」

 

 現れたのは2体目のミノタウロス。赤い毛並みを持つ通常より一回り大きいミノタウロスは同族の死体を踏みつけ、視線を向ける先は一つ。

 

 食人花達は上質な魔石に惹かれるように赤いミノタウロスに迫り………ミノタウロスは、大剣を振るう。

 

 結果は蹂躙。打撃耐性に反して斬撃への耐性は低いと言っても異常な結果。それを些事とでも言うように、ミノタウロスの視線は動かない。

 

「ヴオオオオオオオオオッ!!」

 

 逃れられぬ冒険が始まろうとしていた。

 


 

ミノタウロスA

女神の命令で試練のために鍛えられていた個体。後から来たミノタウロスに殺された。

 

アレン

副団長の座をLv.7になった陰険眼鏡に奪われ雑用を押し付けられた。

 

ミノタウロスB

赤いミノタウロス。なんか目の前に居て人(牛)の獲物取ろうとしてたのでぶっ殺した。

 

リリウス

私が育ててます(次のお前の感想は、どっちを? と書く)

エイプリルフール、皆が見たい嘘は?

  • バーサーカーリリウス(/Zero)
  • 英雄派リリウス(ハイスクールD×D)
  • 冒険者リリウス(このすば)
  • 死に戻らないリリウス(リゼロ)
  • 魔物リリウス(ガッシュ)相棒エピさん
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