ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ベルの【ファイアボルト】はミノタウロス強化種にこそ効かなかったが、中層で通用しないわけではない。
そこそこのダメージを与え牽制になるし、アルミラージなどの小型種はそのまま焼き尽くせる。
「はい、マナポーション」
「あ、ありがとうございます」
とは言えまだまだ覚えたばかりのベルが当てられるのは、アリーゼの運び方が上手いのもあるだろう。肩に担ぎながら、揺れを感じさせない。
「あ、そうだこれ………」
連絡路を降りながら、アリーゼがベルに差し出すのは紅い角。
「貴方の戦利品よ」
ミノタウロスの角。『ミノタウロスの体皮』が防具に使われるなら、こちらは武器に加工されるドロップアイテム。
「あ、ありがとうございます」
荷物になるほどでもないので受け取っておく。しかし、だいぶ降りた。
Lv.1でもLv.2やLv.3の仲間に同行して中層に降りる者もいるが、冒険者になって一ヶ月で来たのはベルが初めてだろう。
「だいぶ降りましたけど………」
「まだ、下の方」
「私達とすれ違わなかった………正規ルートを通ってなかったのでしょうねえ」
輝夜の言葉に、なら、とアリーゼは呟く。
正規ルートとは、道の広さ、モンスターの生産率、分かれ道の多さなど、次の階層の連絡路への距離などを考えて設定された道。
つまり、正規ルートよりは進行が遅くなる。
道中ベルから聞いた食人花も中層のモンスターより強いが狭い道では十分な速度は出せない筈。
追いつける可能性が高い。何も無ければだが………、
「うお!? 【ロキ・ファミリア】に【アストレア・ファミリア】!!」
「何かあったのかい?」
慌てた様子で走ってくるリヴィラの住人。格好からして、軽戦士。
「モンスターの襲撃だよ! この前の、気持ち
「「「!!」」」
このタイミングで……偶然はありえない。となれば、目的は………。
「陽動か………」
即座にフィンは戦力を分析する。
ミノタウロス強化種の報告を受けた時点で調査に残していたのは【アストレア・ファミリア】のネーゼ、セルティ、ノイン………この場のメンバーはアリーゼ、リュー、ライラ、輝夜、アスタ………そこに【ロキ・ファミリア】のフィン、リヴェリア、ヒリュテ姉妹にアイズ……過剰に見えるが、強化種に例の赤髪の
裏目に出たともいえるが、同時に戦力を最適な形で分けられる。
「リヴェリア、ティオネ、ティオナは僕と。アリーゼ、輝夜を借りれるかな?」
斬撃の魔法は食人花に有効。魔力で形作られる斬撃は、仮に芋虫型が現れても対処できるだろう。
「アイズはこのまま精霊の気配を追ってくれ………」
輝夜は、その抜ける穴埋め。
「輝夜…」
「みなまで言うな。解っている」
「それから、ライラ」
「へいへい。わーってるよ、それが最善」
地雷魔法は血の匂いに誘われてくる中層のモンスターへの対処に使える。
「行こう」
フィンの言葉と共に増援部隊がリヴィラに向かう。
アリーゼ達はアイズの先導の元、17階層を駆ける。
「………そう言えば、アイズさんはどうしてユーフィさんの気配を追えるんですか?」
「…………な、仲良しだから」
「僕も、もっと仲良くなれればノエルを見つけてあげられたんでしょうか」
「あ、あの………後、ほら、風の魔法使えるから」
輝夜は嘘が下手だな此奴、と思った。
【ロキ・ファミリア】の三首領以外で薄々感づいていたアリーゼはよく今までバレなかったな、と思った。
まあ、アイズは存在自体が下界の未知。神すら予期せぬイレギュラーなのだからさもありなん。
「精霊って、乗れるんですね」
「ユーフィは精霊馬だもの。あの子は? ユーフィみたいに、別の姿があったりするの?」
「……知りませんよ。まだ会って数日ですもの」
それなのにダンジョンに潜ってまで助けに行くのか。この子、結構いい子? とセシルは思った。
「ユーフィは人型になると半透明なのに、その子はよく化けたよね」
『むぅ………わたしもすごいもーん!』
どうやら、見栄を張っていたらしい。ノエルのほうが精霊としての格はユーフィより上のようだ。大精霊……或いは上位精霊?
そんな奇跡の担い手を捕らえ、何をするのか。
想像もしたくない最悪なことなのは間違いない。
「って、行き止まり?」
と、ユーフィが走り抜ける先に道がないことに気づくセシル。分かれ道が見えない位置にある、という訳でもなさそうだ。なのにユーフィは加速する。
「ちょっ!?」
『どーん!』
ユーフィはそのまま岩壁をぶち抜いた。その向こうには隠された道………つまりは未知の領域に続く穴が広がっていた。
雪のように細かな水晶の欠片が降り積もった道をユーフィは風に乗り足を取られることなく駆ける。
───あははは! 馬鹿な話するなよな!
楽しそうな声が聞こえる。
───これ、私へのプレゼント!? 嬉しいっ! ふふふっ。
嬉しそうな声がする。
───おかあさん、見て見て〜! 似合うでしょ? えへへへ〜。
自慢げな声がする。
───今日は休みだしな。たまには、『家族』皆で過ごそうか。こういう一日を幸せっていうんだろうな。はっはっはっ。
みんなわらってる。
いいなぁ、みんな。
さみしいよ………わたしも、みんなみたいに……。
いつか、きっと………。
「この娘は、数が少なくなって久しい『上位精霊』。モンスターにでも棲家を追われたのか、気紛れにオラリオに流れ着いたのか」
何にせよ、かなり稀有な存在。
精霊は大概自我が薄い。世界を救う為の『
「擬態ですか? それが、何故このような姿に?」
「さあ? 私は研究者でもなければ学者でもない、理由なんて興味ありませんよ」
重要なのは、【アストレア・ファミリア】のような加護もなく、かの精霊よりも強力な『上位精霊』が現れたこと。
「う、んぅ…………」
「おや、ちょうど目覚めなようですね」
「…………ここは、なに? ベルおにいさんは、リリおねえさんは!?」
「さてさて、それは私の預かり知らぬことですが、できれば死んでいただけると嬉しい限りですが。そんなことよりノエルさん? もっと楽しい話をしませんか? 貴方に新しい『家族』を紹介したいんですよ」
誘拐に、気絶させ、目覚めれば蹴って再び気絶させたとは思えぬにこやかな顔で笑うヴィトー。
「かぞ、く………?」
「ええ、ええ、後ろを見てください」
「うしろ………? ──っ!!」
その言葉に振り向き、
「やだ、なに、これ…………いや、やだっ! こわい!」
「随分なご挨拶ですねえ。それでは彼女が悲しんでしまいますよ? せっかく、貴方の新しい『家族』になるというのに」
「かぞくじゃない! かぞくは、もっと、ぽかぽかするの! あったかいの! リリおねえさんみたいに! これはちがう、ちがうもん! ちがうんだから!」
ヴィトーは駄々をこねる子供を前にしたかのように肩をすくめた。
「違うと言われても、理屈として正しいのは私の方なのですよ? いいですか? 『彼女』は貴方と同じ──」
「ヴィトー様、よろしいですか?」
と、ヴィトーの言葉を遮るような白装束が声を挟む。
「どうしました?」
「いえ、実は………件の連中が、この秘境まで………」
「ほう。朗報ですよノエルさん、貴方が『家族』と呼ぶ方が、ここまで来たそうです」
「え? リリおねえさんが? ベルおにいさんも?」
不安一色だったノエルの顔が、その言葉に笑みを宿す。
「ええ、ええ、とても勇敢な方です。我々が困ってしまうほど、面倒な輩で…………ですが、ええ、ちょうどいい」
「……っ!」
ヴィトーが浮かべた笑みに、ノエルの顔は再び恐怖に染まり後退る。
「どんな方法を試そうかと思案していましたが…………彼等を利用することにしましょう。ここにいる全ての構成員に通達を。全員始末して、その首を持ってこいと」
アイズ一人だけ早めの遭遇になる模様。
本来は保険らしいけど、保険が先に当たることに。
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