ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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精霊の分身

「なにあれ、気持ち悪い!」

 

 水晶に埋まる精霊の分身(デミ・スピリット)を見て叫ぶアリーゼ。

 

 アイズもそれを見て、目を見開く。

 

「あれは、なに!? 貴方達は、何をしようとしているの!」

「『彼女』は精霊ですよ」

 

 アイズの言葉に応えるのはヴィトーだ。怒りとも悲しみともつかないアイズに能面のような笑みを浮かべている。

 

「生きていたのね」

 

 ヴィトーを睨むアリーゼ。ヴィトーは肩をすくめた。

 

「神に逆らえないというのも、下界の瑕疵の一つですかねえ。もっとも、貴方達が異を唱えたところで、嘗ての主が神威を放ちダンジョンを震わせ、諸共消し去っていたでしょうが」

 

 その場合ヴィトーという『悪』が一人消えて、代わりに【アストレア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の三首領の内2人と、当時の幹部候補だったアイズの命が失われ、ダンジョンに()()()()()()()()だろうが。

 

「この世に万全はあれど完全はないのですよ。人が善でも悪でもない故に、悪は湧き、正義はそれを止め続ける………ええ、これは永遠に続くのでしょう」

 

 悪が栄えることがなくとも、消えることもない。彼等を止めようと正義が立ちはだかるのも、きっと終わらぬ人のあり方なのだろう。

 

「だからといって、もはや見逃す理由にはならないけど」

「ええ、ええ、見逃さずとも結構。纏めて潰せば、正義などなかったも同然」

「やれるとでも、下郎」

 

 リューが睨みつけ、ヴィトーは笑う。

 

「やってみせますとも。ええ、私、悪なので」

 

 闇の奥から現れる残党。食人花の群れと共に走ってくる。

 

 動きからしてLv.2………Lv.3も数人。精鋭………にしては統率が取れていない。首を傾げながらも迎撃しようとするリュー。

 

 ただ、ベルだけは鍛えられた観察眼で、その瞳に気付く。

 

「駄目だリューさん! 気絶させて!」

「!?」

 

 その言葉に戸惑いながらも頭を叩くだけに留めるリュー。咄嗟に加減出来るほど、力は隔絶している。それでも結構な力でぶっ叩いてしまったが。

 

 アリーゼはまさか、と顔を隠す覆面を取る。

 

「っ!!」

 

 コの字の鉄棒で口を開けぬように縫い付けられた男の顔。

 

「行方不明の冒険者!!」

「はい、ついでに動く爆弾です」

 

 闇派閥(イヴィルス)の残党が魔剣から雷を放つ。アリーゼが咄嗟に庇おうとしたが狙いはアリーゼに迫る男。

 

 体に巻き付けられた火炎石が爆発する。

 

「………っ!!」

「今のはどっちだったんでしょうね?」

 

 グチャリとモンスターに食われる白装束。悲鳴はなかった……。彼等は、食人花に追われている。血の匂いに、食人花は敵味方関係なく人間を喰らおうと吠える。

 

「対処は簡単ですよ? 見殺しにすればいい。できますか? できませんよね? 出来るものか! 貴方方は彼らを助けようと足掻く、英雄のように!! さあ、皆様! お友達と、仲間と再会したくば、自分の命を守りたくば、正義にすら斬りかかりなさい!!」

「「「────!!」」」

 

 ヴィトーの言葉と共に赤黒い不気味な槍や剣を持って迫ってくる白装束達。その中の何人かが行方不明の冒険者!!

 

 攻撃出来ない彼女達の体に刻まれる赤い線。Lv.6故に、下手な攻撃でも殺しかねないのだ。

 

「正義の味方は大変ですねえ。悪はいい、何を犠牲にしようと、やりたいことをやり通せばいいのだから」

 

 その言葉に愉快そうに笑うヴィトー。或は【フレイヤ・ファミリア】のエルフなら敵に捕まる方が悪いと容赦なく雷撃を食らわせ、或は【ロキ・ファミリア】の勇者なら見抜き、指示するだろう。

 

 だが、この混戦の中見抜ける目を持つ者は…………()()()()()()()

 

「アリーゼさん! 右から2人目! リューさん、正面の人は冒険者です! 後ろの男が魔剣を放とうとしている! アイズさん、その人達は全員気絶させてください!!」

「おや」

 

 ベルの言葉を即座に実行するLv.6。

 後ろから迫る白装束の凶刃を交わしながら顎を蹴る。Lv.1でも最上位の『力』で脳を揺らされた男はその場に倒れる。

 

「貴方、面倒ですね」

「!!」

 

 ヴィトーがベルへと接近し、アスタが大盾でその剣を防ぐ。

 

「まったく、最近のオラリオはどうなっているのか。レベルは低いのに、無視できない相手が多すぎる」

「下がって、兎ちゃん!」

「はい! 兎ちゃん?」

 

 ベルってば本当に兎っぽい。

 

 ヴィトーは盾を持つドワーフに攻めきれないのか睨み合う。意識がノエルから外れた。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 放たれる炎雷。ヴィトーが咄嗟に防御するが、その視界は紅の雷に焼かれる。ほんの僅かな時間。それでも、ベルの敏捷(あし)なら!

 

「ノエル!」

「ベルおにいさん………!」

 

 ヴィトーの代わりにノエルの肩を押さえていた男を蹴り飛ばし、ノエルを抱え上げるとすぐさまアスタの後ろに戻る。

 

「ノエル!」

「リリおねえさん!」

 

 抱き合うリリとノエルに微笑みながら後ろに下がったベルはポーションを飲み、リューはアリーゼ達に治癒魔法をかける。が……

 

「傷が!?」

 

 傷が治らない。血が止まらない。

 

「『不治』の呪詛(カース)………止まらぬ血、癒えぬ傷……さて、上級冒険者といえども、血を失えば死にますかね?」

「「「!!」」」

「そして、私は心配性でして……能力低下(ステイタス・ダウン)の『呪道具(カースウェポン)』も使ってから、漸く奥の手をだせますよ」

 

 ゴバッ! と雪原が爆ぜる。地面の中から現れたのは、巨大な腕。

 

 疑似雪(すいしょう)を掘り起こし、ならし、隠していた超巨大モンスター。

 

「でかい!? ていうか、デカすぎ!?」

 

 超大型級。巨大なモンスターに触手の鎧をまとわせた気持ち悪い怪物。

 

「知人の傑作………の劣化模造品。量産が難しかったらしいですよ。ここ数年の研究で、何とか完成に漕ぎ着けたとか」

「! だとしても、魔法で………!」

「因みに、魔力源は()()()()()()()()()()です」

「!!」

 

 長文詠唱を唱えようとしたリューはその言葉に動きを止める。

 怪物が片腕を持ち上げると、ズリュリと肉から剣が現れる。

 

「っ!! 伏せて!」

 

 ブン、どころかゴゥ! と空気を割いて振るわれる腕。射出される剣の雨。投擲どころか、最早物理攻撃力を持つ魔法を思わせる威力だ。

 

 Lv.6の体にも浅いとは言えない傷を作る。

 

「我々の勝ちです。貴方達は死ぬ………この呪いを解けるのは、聖女達しかいないでしょう。地上に戻る前に、呪が、あるいは血の匂いに誘われたモンスターが貴方達を殺す」

「ころ、す……? しぬ………?」

「ええ、ノエルさん。貴方を助けに来てくれた方々が、死にます。消えてなくなるのです」

 

 笑みを崩さず顔を青くするノエルに語りかけるヴィトーの視線から少しでも隠すようにノエルを抱きしめ睨み返すリリ。しかしヴィトーは続ける。

 

「可愛そうですね。哀れですねえ………貴方と関わってしまったばっかりに、彼女達は無残に屍を晒してしまう」

 

 今まさに触手の巨人に襲われるアイズ達。取り込まれた冒険者達もいる故に攻撃出来ず、血を流す傷が増えていく。

 

「あ、あぁぁ…………」

「貴方が地上(オラリオ)に現れなければ………貴方が誰かに関わらなければ!」

「………わたしの、せい?」

「ノエル。聞く必要なんてありません!」

「何を想ってこの世界に現れたのか知りませんが。貴方はとても罪作りです………」

 

 

「貴方のために、貴方の家族が死ぬ」

 

 

 

「やっ………やぁ…………そんなこと、いやああああああ!!」

「「「──!?」」」

 

 光が空間全体を包み込む。清浄なる光が呪いを焼き尽くし、傷を癒す。

 強大な力。精霊の奇跡…………無制限に、見境なく、行使された奇跡にヴィトーは笑う。

 

「漸く使いましたねえ? 強大な、その力を!」

 

 ビキイィィィィィッ!!

 

 水晶の壁に走る亀裂。バキバキと音を立て砕けていく。

 

「さあ、目覚めの時間です。この世で最も醜く、美しく! 何よりも清く、悪しき存在! 穢れた精霊、その末端よ!」

 

 バリィィィン! と音を立て砕ける水晶。自由となった精霊は淀んだ金の瞳を開き、周囲を見回す。

 

 美しい顔がノエルをユーフィを………アイズを見て美しい笑みを咲かせる。

 

「アリア………アリア、アリア、アリア! アハ、アハハハハハハハハ!! 会イタカッタ! 会イタカッタ! 皆デ一ツニナリマショウ? 皆ヲ食ベサセテ?」

 


 

まったく闇派閥は最低だぜ!!

エイプリルフール、皆が見たい嘘は?

  • バーサーカーリリウス(/Zero)
  • 英雄派リリウス(ハイスクールD×D)
  • 冒険者リリウス(このすば)
  • 死に戻らないリリウス(リゼロ)
  • 魔物リリウス(ガッシュ)相棒エピさん
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