ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「18階層はもう終わったみたいね」
モンスターの姿はない。リヴェリアの魔法で森の一部が氷漬けになっていたり、リヴィラの外壁が一部溶けたり壊されたりしているが、勝利したようだ。
「でも思ったより厄介ね。『
嘗て正義の勝利で終わり弱体化した筈の
「お、重い…………アリーゼちゃんも手伝って〜」
そんな事を考えながら考え込むアリーゼにアスタが呻く。ドワーフだからって力仕事を任されすぎだ。具体的には繋がっていて丁度いいからと超大型のモンスターの魔石を砕かず運んでいる。その体に口を縫われた冒険者達も乗せて。
何人かは自分で歩いてくれているが。
因みにアイズは大急ぎでリヴィラに向かっている。
「………ベルおにいさん」
「ん〜、ごめんアスタ! 私、この子達届けてから戻るからそれまで頑張って!」
アリーゼはノエルとリリを抱えたままリヴィラへと駆け出した。
「やあ、君達も無事、終わったみたいだね」
出迎えたフィンはそう言って笑う。先に駆け込んできたアイズが抱えたベルを見て、
「しかし、精霊か。かなりの巨体だったそうだけど、どうやって気付かれずに運んだか、君達は知っているかい?」
「探らなくても教えるわよ。私達は見たことないけど、これぐらいの球に入った胎児をモンスターに寄生させるの」
と、アリーゼは指で円を描く。
「そうすると、最初は巨大にも見えなくない形になって、魔石を与え続けると進化する…………リリウスが目的を果たした後、暫く外の世界に留まっていた理由よ」
「彼の最初の目的は?」
「教えてあーげない」
ティオネが立ち上がりティオナが抑える。
「少なくとも私達は知っている。それでいいでしょ?」
悪ではないと、彼女達が保証する。そう言われ、フィンは仕方ない、と肩をすくめた。
「リーネを連れてきたっす!」
「じゃ、私はエリクサー買ってくるわ………高いけど仕方ないか」
アリーゼはそう言ってその場から去ろうとする。
フィンはしばらくその背中を見送り、ふと見知った影を見つける。リリウスだ………弟子が心配で来たのだろうか? アリーゼとリューの背中を見て、ベルへと視線を移す。
「彼女は…………」
そのままベルの下へ来ようとしたリリウスが不意に足を止め振り返る。
視線を追えばリリウスとよく似た茶髪の少女がいた。
「……………アイズ、彼女は?」
「? えっと……精霊の、お姉さん? すごいよね、助ける為に、悪い人達を追いかけてた」
「……………へえ」
「………兄様」
「……………」
対面する2人の
「………………ぁ」
「………久し振りだな」
「…………はい」
「ベルに気を使ったか? それは不要だ。俺が怖いなら………」
「怖くないです!」
と、リリが叫んだ。
「怖くなんて、無いんです……知ってます。知ってました、兄様がずっと、リリを守ってくれたのを」
「…………………」
「でも、リリが………リリを守ろうとする兄様を、邪魔しようとした」
力をつけた兄が遠くて、本当に遠くに行ってしまいそうで、守る為に力を手にしていたのに、その力を否定した。
自分は貴方が居なければ直ぐにでも酷い目に遭うと、敢えて兄の敵だらけの場所で縋り、自分の側に縛り付けようとした。
「ついていけないからじゃない………ついていこうともしなかった。リリは………だから、リリは………本当は、合わせる顔なんて………!」
「…………合わせる顔がないのは、俺も同じだ」
リリウスは妹を愛していた。愛していたとも。だから捨てられなかった。愛していて捨てられないから、忘れるしかなかった。
さらなる力を手にする為、誰にも奪われない強さに到達するために、大切だったはずの存在を忘れなければ置いていけなかった。
「…………誰かを信じればよかった。預けられる誰かを見つければ、お前にあんな事をする必要もなかった」
誰も彼もが敵で、信頼できず、だから預けるという選択肢がなかった。力を借りるということを知らなかった。自分とは無関係だと、自分には無価値だと示すやり方を、幼いリリウスは暴力という形でしか表現出来なかった。
「お前が何と言おうと、俺はお前を守っていない………守れてなんかいない」
「そんなこと!」
「だから…………」
リリウスの言葉に去ってしまうと思ったのか慌てて駆け寄ろうとしたリリを、リリウスはそっと抱きしめる。
「今度こそ、お前を守るよ」
「……………ぁ」
「強くならなきゃいけねえ、やらなきゃいけねえ事もある。ずっと側にいられるわけじゃねえけど………一人じゃないんだ。力を貸してくれる奴等もいる……なんなら、俺がお前を鍛えてやる」
身長はリリとそう変わらない。なんなら、少しリリの方が高いかもしれない。それでも、大きかった、暖かった。
「だから、ごめん…………こんな駄目な兄貴だけど、お前を守らせてくれ。身勝手な兄貴だけど、お前と家族に戻りたいんだ」
「…………リリ、だって………」
震える腕で、リリはリリウスの体を抱きしめる。
「リリだって、家族でいたいです! 兄様と、一緒にいたかった!」
「ああ」
涙を流す妹を抱きしめる兄。
世界最強の冒険者なんて、そこにはなく。ただ2人の兄妹の姿がそこにあった。
「よかったね、リリ」
「…………ノエル」
「………精霊か」
力を絞られ、力を使い、存在が薄くなったノエルを一目で見抜くリリウス。
「あの、兄様、この子は………!」
「よかったぁ」
「…………ノエル?」
「リリおねえさんも、もう、さびしくないね」
その言葉にリリは目を見開く。なんだそれは、それではまるで、リリウスがいなければ寂しいみたいな……ノエルがそばに、居ないみたいな……。
「……………」
「え」
と、リリが追いかける前にリリウスがノエルの頭を掴む。
「あぴゃああああああ!?」
「ノ、ノエルー!? 兄様、何を!?」
「俺の魔力を与えた」
「え?」
「…………………」
ノエルは驚いた様子で己の手を見つめる。
「………氷………いや、冬の精霊か。相性が良かった」
小柄な
「これからも、リリと仲良くしてやってくれ」
「…………うん!」
と、ノエルはリリに抱きつく。
「これからも、わたし、リリとずっと………ずっとずっと一緒にいる!」
リーネ、リヴェリアの回復魔法を受けても傷は治らない。幸い傷が凍りつき失血死することはないようだが…………。
「ある程度体力が戻れば十分よ。この中で一番早いのは…………【
「ああ!?」
突然話を振られたベートは面倒くさそうに叫ぶ。
「僕からも頼むよベート」
「いい顔したがんな。身の程知らずが死にかけただけだろう。何で俺が」
「彼は身の程を知っていたよ。それでも、立ち上がった」
「……………何があった」
「ミノタウロスに挑んだ。生憎、僕らが知る冒険はそれだけだ。その後、さらわれた子を助けに17階層に向かった後は、知らないけどね」
「………ふん」
暫くベルを見た後、ベートはベルを背負う。そのまま連絡路へ向かい走り出した。
「…………ミノタウロスに? 彼、Lv.1ですよね?」
「うん」
レフィーヤの言葉にアイズがコクリと頷く。
「すごかったよ………本当に、すごかった」
「ねー!」
アイズの言葉にティオナも賛同。憧れのアイズや、尊敬する先輩のティオナや団長のフィンにも認められる名も知らぬ少年にむむ、と対抗意識を燃やすレフィーヤ。
「あの冒険者の名前は?」
「…………えっと、ベル・クラネル」
クラネルさんと呼ばれてたし、ベルとも呼ばれていた。どちらかの名前があだ名ではない限り、それが彼の名前。アイズはもう、その名前を忘れることはないだろう。
「ア、アイズさんが微笑んで………!?」
「……………?」
レフィーヤの言葉にムニムニと己の頬を触るアイズ。ティオナはそうだよね! と満面の笑みを浮かべる。
「アルゴノゥト君、格好良くて、すごくて、強くて! 見ていて、笑顔になれるよ!」
「むむむ………」
嬉しそうなティオナとアイズ。理解を示すフィンにリヴェリア。
レフィーヤは名を知ったばかりの冒険者が、ちょっと羨ましい。
「負けませんよ、ベル・クラネル!」
「どうしたのかな、レフィーヤは?」
「慕っていた姉が取られた心境なのだろう」
『ベル・クラネル Lv.1
力∶SSS1458
耐久∶SSS2073
器用∶SSS1682
敏捷∶SSS1958
魔力∶SS1123
《魔法》
【ファイアボルト】
・速攻魔法
《スキル》
【
・早熟する
・
・
【
・強敵勝利時経験値補正
・師事による『器用』高補正
・師事による『耐久』超補正 』
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