ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ベルはアイズに修行をつけてもらうことになった。
リリウスが数日いない事を話すと、アイズがそれなら、と提案したのだ。
ベルはアイズといられるし、アイズはベルの異常な成長速度の秘密に迫れるかもしれない。アイズは知りたいのだ。ステイタスの限界を超えた力、そして異様な成長速度。
(もっと知りたい、君のこと…………)
などと、聞かれたら勘違いされそうなことを考えるアイズ。
とは言え、それはアイズの強かな………醜い打算である。純粋な善意と信じて疑わない少年の目を思い出し、罪悪感に胸が痛む。
それでも悲願のために、少年の秘密を探るのをやめることは、アイズには出来ない。強くなりたい。だから、せめて……彼の手助けを。
自分に差し出せる全てを彼に与える。リリウスの弟子である彼に何処までしてやれるかは解らない。それでも、頑張るぞー!
アイズの中の幼女もむん、とやる気になった。
少し早く来すぎたが、おかげで考えがまとまった。早く来ないかな………。
レフィーヤ・ウィリディス。
【ロキ・ファミリア】に所属するLv.3の冒険者。戦闘スタイルは魔導師。Lv.3でありながら、【
ステイタスのスロットからして本来3つしか使えない魔法だが、リヴェリアは攻撃、防御、回復をそれぞれ3段階に分ける特性があり9つの魔法を操る。彼女の後継になれるエルフはそうはいないだろうが、レフィーヤはなんと同胞の魔法を習得できるという魔法があるのだ。
故に【
下界の可能性の申し子。
そんな彼女でも、今はまだ未熟。先達の背中を追いかける準幹部以下。
彼女は先達を全員尊敬しているが、その中でも特に崇敬しているのがエルフの王族であるリヴェリア………そして、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインである。
早朝、早起きしたレフィーヤはどうせならアイズに訓練してもらえないかと中庭に出れば、こそこそ人目を忍ぶように出ていくところを目撃。コソコソしてんだから気を使ってよしゃあ良いのに追跡をする事にした。
まあアイズは過剰なまでにダンジョン探索している過去もあるから仕方ない。
さて、バベルに向かっているわけではないらしいアイズの目撃情報を集めながら街を進むもとうとう見失ってしまったレフィーヤ。
顔を振って少女の捜索に夢中になっていた彼女は曲がり角で人にぶつかって仕舞う。ごつーん! と見事に頭同士をぶつけた。
「ご、ごめんなさ──っ!」
「すっ、すいません!」
慌てて謝罪しようとしたレフィーヤの言葉を大声が遮る。顔を上げると白髪のヒューマンが居た。
年は自分に近そうな少年は手を差し出してくる。
「大丈夫ですか…………あっ」
少年はレフィーヤの耳を見て固まる。差し出した手をどうするべきかと迷っているようだ。
恐らく、認めたもの以外に接触を許さないエルフの風習を知っているのだろう。レフィーヤは微笑むと少年の手を取る。何も、すべてのエルフがそうだと言うわけではないのだ。多種族入り混じるこのオラリオで、触れただけでぶっ飛ばすようなエルフなどおるまい。
「ありがとうございます。それと、すいませんよそ見をしてしまい」
「い、いえ! こちらこそ急に出てきて!」
女慣れしていないとかエルフのレフィーヤの容姿に照れたように顔を赤くしシドロモドロ。何だか可愛い。
失礼な言い方だが、冒険者らしくないというか…………と、いうか。何処かで………?
「…………ベル・クラネル?」
ギュッと、繋いだままの手に力が入る。
「え? あ、はい」
名を呼ばれ困惑する少年。間違いない、18階層の少年。あの時はボロボロで、今はすっかり治ったようだけど………。
「え、えっと……」
ベルは気絶していたのでレフィーヤを知らない。困惑するベルの手は掴んだまま。
(アイズさん達が褒めてた人。何か知ってるかも!)
「その、というわけで…………」
「どういうわけで?」
アイズは内心ガクガク。バレた、見つかった。
自分が与える技術は【ロキ・ファミリア】が紡いできた
アイズの中の小さなアイズもワーワー暴れている。
「あ、あの…………ウィリディスさん。その、そろそろ手を」
「手…………? …………あ!?」
ベルが逃げないようにずっと繋いでいた手を慌てて離すレフィーヤ。まだ温もりが残っている気がする。男の子の手って意外と硬い!
「って、違う! アイズさん、どういうことですか!? 彼は他派閥の人間ですよ!」
「えっと、それは……私がしてあげたくて」
とは言え良くないことなのは分かっている。シュン、と落ち込むアイズ。台詞が良くない。
「「アイズさんは天然! アイズさんは天然!!」」
実は仲良いだろ此奴等。
「お願いレフィーヤ、黙ってて」
頭を下げ上目遣い。とても可愛い。そんな顔をされ、レフィーヤはぐぅ、と胸を押さえる。何だかとてもひどいことをしている気分になる。
「わ、わかりました! わかりましたからぁ! ただし! アイズさんに変なことしないよう、私が見張ります!」
「変なこと?」
「お、襲いかかるとか」
「私のほうが強いよ?」
「油断しちゃ駄目です! 男は狼なんですから!」
「ベルは
「そ、そうじゃなくて。狼みたいに襲いかかるっていうか………」
「お、襲いませんよ!?」
「大丈夫。私、狼より強い」
ぐっと胸を張るアイズ。心の中の小さいアイズもフフン、と得意げ。
なんか凄いことになってきた。
ボッコボコにされた。戦うのが一番と、そりゃもうボコボコ。気絶しなかったのはリリウスよりアイズの教え方がまだ優しいのか、Lv.2になって耐久が上がったからなのか。
(……………Lv.2としても硬い。『耐久』補正のスキルかな? なら、もう少し強くやっても大丈夫そう!)
因みにリリウスもスキルに気づいた時、似たようなことを考えていた。
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「で、弁明はあるか?」
「いや、あの………すいません」
翌日、アフィリアがティオネス先生を踏みつけていた。モンスターが発生する場所に生徒を向かわせたからだ。ボールドは既に壁に上半身が埋まっている。
「学内の虫螻は気にしないでやる。あれは弱い……だがモンスターの現れる場所にリリウスを送るのは話が別だ」
「お、落ち着きなさい! そもそも、私を誰だと思って!!」
「知るか。余計な肩書ばかりを作るな」
「ええ………いやそもそも、何故こうも反抗的に?」
「教師の一部はやっぱり監視か……」
力関係はアフィリアが最強。となれば、この世界を作り出した黒幕はアフィリア? いや、彼女も彼女で設定に縛られているように見える。
彼女の上司の校長とか? さすがに全員土下座させられた中にはいないと思うが。
「幻想と虚構の狭間にありながら、尚も惑わされぬか」
と、そこに現れる人影。幼女だ………。
「あ、フェルズ」
「偽りの霧に曇らぬ瞳………驚嘆に値する」
「? どうしたフェルズ。神々の言うチューニ病を患ったか?」
神々曰く、言動が一々意味深になったり、自分に何かが封印されているとか言い出したりするらしい。後右手が痒くなるんだっけ?
「どうやら会話が成立しないよう『呪い』がかけられているようだ」
と、ドゥルガーが彼女を見つめながら言う。
「この魔法学院の中、『大回廊』の先へ行け。直ちに、今すぐに、速やかに」
「『大回廊』だな? 解った」
「──早く行け。『創造主』が待っている。もう残された時間は少ない」
そう言うと少女の姿のフェルズは去っていった。
その頃のエピメテウス。
屋敷にやってきたサキュバスとサキュバスを守ろうとするカズマを見て察し、吹き飛ばすふりをして逃がしてあげた。
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