ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「剣を寄越せ、精霊」
「……………」
アルフィアの言葉に、床から剣が生えてくる。全てが実体を持つマヤカシだからこそ出来ることだ。
「細腕で剣を振るうのは滑稽とか言ってなかったか?」
「お前相手に素手で挑む理由もない。
次の瞬間、予備動作もなく接近したアルフィアの剣がリリウスの剣とぶつかり合う。リリウスの足下の大理石が砕け、魔法の爆発のような衝撃が周囲を走る。
「きゃああああ!?」
「ミイシャちゃん!」
吹き飛ばされそうなミイシャを慌てて掴むアーディ。
「何より、
ギギギと金属が擦れ合う音を響かせながら、リリウスが押し込まれていく。
ギャリン!と刃を滑らせ蹴りを放つが受け止められる。その腕を蹴り距離を取った。
「
「【
精霊の炎が消される。魔力の流れが無効化され、魔法が消えた。
「【
響く鐘の音。荘厳な鐘の音が、不可視の衝撃となって言葉通り音速で迫り………
「…………ほう」
「………音を、斬った?」
「所詮は空気の動きだろ………コツさえ掴めば誰でも出来る」
リリウスはそう言いながら大きく息を吸う。
「わっ!」
アルフィアが見えない何かを斬るように剣を振るえば背後で2箇所、見えない何かに押し潰されるように柱がへし折れる。
「ほら、な……」
「嬉しそうにするな。敵だぞ、私は」
仕方のない奴だと肩を竦めるアルフィア。
「喜べんように腕の一つでも落とすか」
「!!」
再び金属音。
今度は弾く。
弾かれた勢いをそのままに回し蹴りが放たれヒールが柱に突き刺さる。
しゃがんで避けたリリウスは軸足を狙い、アルフィアは片足の力だけで柱に垂直に体を持ち上げ剣を振るう。床が切り裂かれ崩れる。
「うわ、真っ暗!」
「リソースをこの部屋に注ぎ込んでいるからな。この部屋の外は、空間が存在するだけで何もないのだろう」
リリウスが瓦礫を蹴り飛ばすが、アルフィアは全て躱し最後の一つを剣に刺す。そのままぶん投げた。
「私の部屋が…………!」
「ここ、偽ティオネさんの部屋って設定なんだ」
「神様達の言う、黒幕は高いところに居るという奴だね」
フェルズ達が戦いそっちのけでそんな話をする理由はちゃんとある。
戦いが見えないのだ。切りかかったと思ったら斬られていて、魔法が消えたと思ったら音の砲弾がぶつかり合い消えて……………。
金属音と火花が鳴り響き、Lv.6のアーディが辛うじて軌跡が見える程度。
「わああああ!!」
ビリビリと大気が揺れ、アルフィアの頭上の天井が崩れる。瓦礫の雨をまるで無風の原を歩くかの如く、無駄のない動きで躱す。
リリウスが瓦礫の雨を目隠しに背後に移動し剣を振るうが受け止められる。
「凍れ!」
「…………!」
ゼロ距離の
即死しないのはただ垂れ流しているだけの魔力で大精霊の力に抗っているのだ。つくづく規格外。
「ちょっとフェルズさん! あれ、貴方のイメージのせいですよね! もっと弱く出来ないんですか!?」
「弱いアルフィアなんて想像できん。後、私だけじゃないからな。リリウスだって弱いアルフィアをイメージしてないから」
なんなら健康体アルフィアとか神もびっくりなチート仕様はリリウスのイメージだろう。その強さを見ていただけのフェルズと実際に戦い、またその領域にたどり着いたリリウスではイメージする『強さ』は別物だ。
「ええ、仮にも殺した相手なんですよね? 何でそんなに強くイメージしちゃうんですか?」
「まあ、一人で勝った相手じゃないし、病を患っていたし…………」
「そもそも半死人の相手に勝ったと彼奴も思っていないんだろう」
「なんなら、すごーく慕ってるからね。それこそ、本当の、お母さんみたいに」
エルフィの言葉にフェルズ、フィルヴィス、アーディが応える。ミイシャはええ、と困惑。
「……どうして、殺したんですか?」
「殺さねばならなかった。オラリオの為に………殺せる可能性があった。だから、送られた」
「もう7年も前の話だ………私も当時を詳しくは知らないがな」
「7年前って……え、だって……それって……」
エルフィは指を折りながら数を数えた。
「だ、誰ですか!? 10歳の子供にそんな事をさせるなんて!」
「「
「あれ!?」
なんか騒がしいな?
とリリウスは思ったが、直ぐに目の前の相手に集中し直す。
「【傲慢なる悪意の王。血の河を啜れ、肉を貪れ】」
「ほう」
「【ラーヴァナ】!!」
強化率は、50%程。理性と獣性の狭間に立つ獣が足に力を込めればそれだけで石床がひび割れ、瞬間、爆砕。
空気の粒子が移動する間もなく、高所から何かを叩きつけられた水面のように硬く阻み、しかし砕け散る。
文字通り音よりも速く動き回り世界を蹂躙する。
柱が砕け、床が抉れ、壁が爆ぜる。
ただ通り過ぎただけで破壊を齎す様は【
「あれをさばくって…………」
されど、魔女は不動。その場から動くことなく逸らし、弾き、叩き落とす。
「いや………」
魔女の黒衣が裂ける。除く白い肌に走る赤い線。
さばききれていない。弾ききれていない。躱しきれていない。
「いける!?」
「いいや、まだだ」
全方位へ響く音の衝撃。音を切り裂くリリウスは、僅かに速度が緩み剣が迫る。
ただの刺突。しかしドワーフの大戦斧にも勝る威力。
「ぎっ!!」
「む………」
歯で受け止め剣先を噛み砕く。地面に突き刺し引き抜くと直ぐに再生したが。
「…………時にお前、あの子に修行をつけているそうだな」
「………………」
「本物の私があの子を知っていたのかは知らんが………お前は私とあの子の関係に気づいているだろう?」
それは無意味な質問。なにせ
「全部知ってるんだな」
「当然だ。この偽りの世界での設定とは言え、私はお前の母なのだから」
「…………………」
だが、とアルフィアはリリウスを半眼で見つめる。
「ぶつける予定だったミノタウロスを逃がし互いに中途半端なまま戦わせる結果になったのはお前の怠惰だ」
「え? ミノタウロスをぶつけるのが半端って何を言ってるのあの人」
ミイシャが聞き間違いかな、と首を傾げた。
「…………まあ、【ヘラ】だし。その程度はあるか」
「ナニソレコワイ」
「でもランクアップ速度はお前を越したし」
目を逸らしながら言うリリウスにアルフィアは呆れたように肩を竦めた。
「病弱な私に
「ナニイッテンノアノヒト」
自分の記憶から再現されているアルフィアの暴論に、言うか言わないかなら言うと確信しながらもフェルズはそんな事しか言えなかった。
「スキルの1つや2つ目覚める程度には追い詰めろ」
「一つは目覚めてるぞ」
ヘスティアが一部の効果を隠そうとしていたが、『耐久』、『器用』と成長補正という規格外スキル。
ヘスティアが隠そうとしたのは、反応からして追い詰められた時か、或いは格上との戦闘でのみ有効な効果だろう。
「足りるか。黒竜に挑むには足らない………
剣を構えるアルフィア。リリウスは即座に距離を取る。
「出来を見てやる。斬ってみろ」
「────!!」
アルフィアの言葉にリリウスは剣を構え、次の瞬間放たれる『光の大刃』。白の閃光が触れるものすべてを破壊しながらアルフィアへ迫り………
「
世界が切り裂かれた。
そう錯覚する程の斬撃。
「…………!!」
何よりも強く、何よりも鋭く、精霊の生み出した悪夢を断つ斬撃。
鮮血が舞い、夥しい量の血が肩から流れる。
「リリウス!!」
切り落とされた片腕が地面に落ちる。アーディが思わず駆け寄り治癒魔法を使う。『治力E』も相まり再び繋がる。アルフィアは攻撃してこない。
「何をしているアフィリア! 今がチャンスだろ!」
「黙れ精霊。殺されたいか」
この世界の被造物でありながら創造主の『堕ちた精霊』を脅すアルフィア。
「不合格、か………お前の中のあのクソガキに影響されたか? この世界では教師だからな…………」
忌々しい、とでも言わんばかりのアルフィア。フェルズもアルフィアらしくない言葉であったと思う。
「まあいい。
「…………………」
「その骨が見た私、お前が感じたあのクソガキの斬撃………お前が私に願う
「当然だ。この偽りの世界での設定とは言え、私はお前の母なのだから」
「…………………」(すごく嬉しい)
「出来を見てやる。斬ってみろ」
「────!!」(とてもワクワクしている)
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