ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
戻ってきた。
気付けば廃城の中。リリウス達以外にも人が倒れている。
フェルズの姿はない。
リリウスはん〜、と体の調子を確かめる。
「どうしたの、リリウス?」
アーディが覗き込む。フェルズが治しておいたようだ。ただ、まだ首筋にはリリウスの唾液とアーディの血が混じった液体が残ってる。
やはり夢ではなくあの戦いは本物。
「……………この城、斬っていいか?」
「感覚を覚えているうちに、復習したい」
「へ〜、城って斬れるんだぁ」
「しっかり、エルフィ! 現実逃避しちゃ駄目ー!」
リリウスは「よし、覚えた」と剣に布を巻いて背中に背負う。廃城は、ものの見事に斬られていた。
現代の英雄と称される一人、レオンと同じく城斬り………第一級魔導師の砲撃すら上回る破壊。
「あれ、Lv.2になったばかりの弟子に教えるの? いや、一ヶ月でなる人だし………?」
エルフィもドン引きである。
■■■■■■■■■■■
さて、その頃。
ベルは何やら悪寒を覚えた。
それは例えるなら崖から眼下に広がる景色を楽しんでいた子獅子が、親獅子に蹴り落とされる事に気付いたかのような不安感。
「どうしたんですか、ベル・クラネル」
「あ、いや………なんか、寒気が」
「? 風邪ですか………熱はないようですが」
ベルと自分の額に手を当て、熱を測るレフィーヤ。
な、なんかお姉さんっぽい! と戦慄するアイズ。見ろ、ベルもまるで姉に照れる弟のよう!!(アイズの主観)
負けてられないと、アイズはベルの前に立つ。そのまま額同士を当てる。
「んなぁ!?」
「ええぇ!?」
真っ赤になるレフィーヤとベル。剥がそうと、離れようとするもLv.6のアイズに力で勝てる者はこの場には居ない。
「少し、熱がある? あ、顔が赤い………!」
大変! と慌てるアイズはベルを抱える。お姫様抱っこだ。
「お医者さんに見せないと!」
「いやいや! そもそも、
「あぅ……」
レフィーヤの言葉に冷静になるアイズ。そうだった、自分達は今、何処ともしれない場所に居るのだった。
あの光り輝くエリマキトカゲが走り去った後、景色が歪み、ベル達は森の中に居た。アイズが木よりも高く飛んでみたが、近くにバベルは見えなかった。
オラリオの近くではない、ということだ。
「まあ、人里を探すのは賛成ですけど」
「うん、じゃあ、行こう」
「そ、その前に降ろしてください! 僕は本当に平気ですから!」
「駄目だよ。顔も、こんなに赤いもん」
ギリィ! とレフィーヤが歯噛みする。ベルがビクッと震える。
「ほ、ほら! ここが何処だか分からないし、一番強いアイズさんに僕を運ばせるわけには!」
「う〜ん……じゃあ、レフィーヤ。お願い」
「「ええ!?」」
ベルとレフィーヤは息ぴったりに驚愕する。
「いや、だから! 僕歩けますー!」
「無理は良くない。やっぱり、私が運ぶ?」
「ああもう! 私が運びます!」
レフィーヤは叫びながらアイズからベルを奪い取るように引っ張る。アイズはお気に入りのうさぎのぬいぐるみが取られた幼女のような顔をしたが大人しく渡す。
「あの、僕………歩けます」
「ひゃん!? み、耳元で喋らないでください!!」
「げふぅ!」
「レフィーヤ!?」
レフィーヤはベルを背負い投げした。
「ごべんなさい…………」
「あ、いえ。私の方こそ、つい…………」
謝罪しながらベルを再び背負うレフィーヤ。
「貴方歩こうとしたら、結局アイズさんに運ばれますよ」
「うっ………」
「取り敢えず、森の外に出よう」
「はい」
アイズの言葉に従い歩き出すレフィーヤ。
幼い頃野山で遊んだベルと森に住まうエルフであるレフィーヤが話し合いながら植生、動物等から森の外側を把握。
暫く歩くと森の外に出た。
「………川があるね」
「下ってみましょう。水源の近くに人里があるかもしれません」
アイズはコクリと頷き川の流れに従い歩き出す。と、その時…………
「!?」
まず最初に気付いたのは魔導師のレフィーヤ。続いてアイズ。
ベルだけは困惑。
「なんですか、この魔力!」
「魔力量だけなら、リヴェリアの魔法より…………」
赤い光が見えた。次の瞬間、轟音。
内臓を揺するような衝撃。爆風が森の木々を揺らし、鳥が空へと逃げていく。
「グオオオオオ!!」
「!? 熊型のモンスター!? それに、ゴブリン!」
「ライガーファングに似たモンスターも!」
爆音に怯えたのか森から飛び出してくる大型、小型問わぬモンスターの群。アイズ達を邪魔だと判断したのか襲いかかってくる。
「【
迫るモンスターだけ一掃する。幸いにも逃げているだけなので、こちらには興味ないようだ。
目の前のモンスターは………という言葉がつくが。
ボコリと背後の地面が盛り上がる。アイズの戦いに見とれるベル達は反応が遅れた。
先に気づいたのはレフィーヤだ。慌ててベルを投げる。咄嗟だったので、川の中に。
「ぶは! ウィ、ウィリディスさん!?」
「くぅ…………!」
ベルの視界に飛び込んできたのは長い舌が絡みついたレフィーヤ。舌の持ち主はカエル型モンスター。
ベルの知るフロッグ・シューターとは比べ物にならない大きさの巨大なカエル。パクリとレフィーヤを食べる。
「っ!! いやぁ、ヌルヌルする!!」
カエルの顔を掴み飲み込まれるのを阻止するレフィーヤ。ハッとアイズが気付きやたら攻撃力の高い熊を切り捨て救出に向かう。
「【ファイアボルト】!!」
「ゲゴ!?」
炎がカエルに辺り、カエルがポンッとレフィーヤを吐き出す。アイズに向かって。
あ、と声を出すアイズ。咄嗟のことだが、まだ受け止められる。と、アイズは変なものを見た。
「キャベ〜」
はぐれキャベツだ。はぐれキャベツ?
飛行モンスターかと思い視線を向けてしまったアイズにレフィーヤがぶつかる。転びこそしなかったが、腕だけじゃなく身体もベトベトになる。
「グゲゲゲゲゲ!!」
怒りに震えるカエルがベルへと向かい、ベルが慌てて噛みつきを回避して蹴りつける。
「えっ!?」
ブヨン、ヌルンと弾力と粘液が打撃を殺す。打撃への耐性がそれこそ食人花よりも………!!
「えい」
が、斬撃には弱くアイズが斬り裂いた。
「うう、生臭い…………」
「げ、元気だして……ほら、街が見えてきたよ」
グスグス泣くレフィーヤを慰めようとするアイズ。当然だが、飲み込まれかけていたレフィーヤの方がアイズよりベットベトだ。
「見たことない街ですね」
と、ベル。最もベルは村とオラリオの間しか見たことがないが。
「結構、大きい?」
「あれだけの街なら、魔石製品はあるでしょうね」
つまりオラリオと交流があるはず。
「………ん?」
と、街に向かう途中別の集団と鉢合わせる。
ベトベトの少女を背負った少年だ。格好からして、冒険者?
「あ、ども」
「ど、どうも」
ペコリと挨拶。なんか変な空気。
「見たことない顔だな。お前等、駆け出しか?」
「え、あ、はい。僕はそうですね」
「ジャイアントトードかぁ。大変だったろ」
先輩風を吹かせる少年に、ベルはまぁ、と笑う。
「突然の爆音に驚いたモンスターが飛び出してきて……………あれ、どうしました?」
ベルの言葉に少年は顔を青くしてダラダラ汗を流す。
「貴方も風邪? 背負う?」
アイズは天然。
「す、すいませんでしたー!!」
少年が突如土下座した。
没案『安楽少女』
没理由『異端児編が絶望的になるから』
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