ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「その爆発はうちのバカの仕業です!」
バカを強調し背負っていた少女の頭を押さえる少年。少女は抗議するが
「き、気にしないでください! 怯えて逃げてきたモンスターに巻き込まれるなんて、よくある事です!!」
「「うぐ!」」
その時、ミノタウロスを上層に逃がして危うく死者を出しかけたファミリアの団員達の胸に言葉の矢が刺さる!
実際死にかけたベルの、悪意無き善意の心が少女達を傷つけた!
「いやいや、事前に人が巻き込まれないところでやるべきだったのに此奴が調べるのを怠ったから!」
「失礼ですね。ちゃんと調べましたとも」
「実際人いただろうが! まずはお前も謝れ!」
「ほ、ほんとに大丈夫ですから。僕達がここにいるのも、変な光るトカゲのせいで、その人が確認を怠ったわけでは」
「………光るトカゲ? それって、やたら足が速くて、エリマキがついてる?」
「あ、はい。知ってるんですか?」
「……………………ほんとーにすいません!」
閃光のリザードランナー。
リザードランナーとは足の速いトカゲ型のモンスターで、足の速さで姫様ランナーというメスにアピールするのだが、閃光のリザードランナーは数百年に一度現れる変異種。
その最高速度は高い走力を誇る姫様ランナーの目にすら映らず、求婚が成立しない。
そのうっぷんを晴らすかの如く走り続け、とうとう時空を歪め異世界に移動するという。
依頼を受け、その幻のモンスターを何とか生け捕りにしたカズマ達は、全力で走れない広さの檻に閉じ込めた。
しかしアクアが走りを見たいという理由で檻の鍵を開け、閃光のリザードランナーは逃げ出した。
「つい最近も、オラリオから来た人が居たんだ………」
「異世界、ですか? にわかには信じられませんが………確かに、魔石のないモンスターに、私達は見てないですけどアイズさんの見た空飛ぶキャベツ………」
う〜ん、と唸るレフィーヤ。異世界など聞いたこともないが、しかしこの世界はレフィーヤが知る世界とは異なりすぎている。
「あのモンスター達も、ダンジョンのモンスターみたいな、嫌な感じがなかった」
「アイズさん…………」
アイズの言葉はオラリオの冒険者なら納得の言葉だった。この世界のモンスターは、あちらの世界のモンスター程の嫌悪感を感じない。
「でも、別の世界って………どうやって戻れば…」
「閃光のリザードランナーを探すしかないでしょうね。できれば協力してもらえると助かります。私達はこの世界についてあまりに無知ですから」
「ああ、それは勿論! 俺達も彼奴を捕まえないと大変なことになるからな………それに、既にオラリオから来た人がいるし」
と、カズマ。もう一人? と首を傾げる。その時……
「カジュマさぁぁぁぁん!!」
青髪の美少女が泣きながら飛び込んできた。
「エピメテウスが酷いのお! せっかくの賞金を、全部村に返しちゃったのお!」
「お前が面倒くさがって一気に浄化するから興奮したブルータルアリゲーターが四方に逃げたのだろうが」
呆れたように入ってくるのは褐色の大男。ベル達は見覚えがあった。
「エピメテウスさん!」
「あ、確かリリウス・アーデと一緒にいた………」
「………………」
「ん? お前達は………」
エピメテウス。
つい最近、帰還したリリウス・アーデと共にオラリオへやってきた駆け出し冒険者。しかしその実力が桁外れであることをアイズ達はその目で見ている。
そんな彼も2週間ほど前、上層に現れる中層、下層のモンスターと必ずその場を目撃される光るトカゲを追っていたらしい。
そして、それが閃光のリザードランナーで彼も空間の歪みに巻き込まれ異世界へ来た。
「え、2週間? エピメテウスさんがお見舞いに来てくれてから1週間も経ってないですよ?」
「…………ふむ。時間の流れが違うのか」
まあ世界が異なれば、そういうこともあるのか?
「じゃあ、少しだけ余裕ができましたね。何とか遠征前に帰りたいんですけど」
「ん……」
レフィーヤの言葉にアイズもコクリと頷く。実は【ロキ・ファミリア】は近々遠征するのだ。
「俺達も早めに見つかるように努力するよ。俺はカズマ、サトウカズマだ」
極東風の名前だ。
「私はアクア。今日はクリスと出かけたからここに居ないけど、他にはダクネスって子がいるわ」
「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法使いにして、爆裂魔法を操りし者!」
「め、めぐみん?」
「かわいいあだ名だね」
「本名だ」
エピメテウスの言葉に、え、と固まる3人。
「何ですか。私の名前に何か文句でも?」
ジトッと見つめるめぐみんに、3人は首を振った。
その後、帰ってきたダクネスという金髪の美女にも改めて自己紹介し、一同は夕食を食べた。
「畑から収穫したばかりのサンマよ!」
「おいしそうですね! ……………え、畑?」
「? ああ、ベル達の世界ではサンマは海で捕るものだったか? こちらでは畑で収穫するんだ」
困惑するベルにダクネスがクスリと微笑みながら教えてくれる。
エピメテウスは知ってたのか特に気にしてないが、ベル達3人の脳裏には土に刺さったサンマの姿が浮かぶ。
………………どういう事?
そして、野菜は畑では育たず動くらしい。
うん、どういう事だ?
「こっちの世界では、ジャガイモは逃げますか?」
「ジャガイモ? ジャガイモは凶暴よ。いきが良いと襲ってくるもの!」
「ジャガ丸君………ジャガイモを使った料理はありますか?」
アイズはん〜、と唸るアクアの返答をゴクリと固唾をのんで待つ。レフィーヤも見たこと無い真剣な顔だ。
「ふかし芋とか、コロッケならあるけど………ジャガ丸君? は聞いたこと無いわ」
「そん、な…………!」
アイズは絶望した。1日でも早く元の世界に帰らなくてはと決意した。
「あ、ジャガ丸君なら作れますよ? 神様のバイトを手伝ったこともあるので」
アイズはガバッと顔を上げ、ベルの両手を包み込む。
「私に、毎日ジャガ丸君を作ってください」
「うええ!?」
「んなあああ!!」
ベルは真っ赤になり、レフィーヤが叫ぶ。
「アアアアア、アイズさん! 駄目です! その言い方は駄目ー!」
「なんで?」
「何でって………その、それじゃあ一緒に暮らすみたいな……」
「一緒に暮らすんでしょ? この屋敷で」
「そうですけどお! もう、貴方からも何か言ってください!」
レフィーヤとベル。2人を眺めるエピメテウス。
ふと思い出すのは、自分を歌にしたいとやってきた自称詩人と、彼の手を引く義妹。
詩人が突然ふざけると、彼女が諌めていたか。あの時は五月蝿いとしか思わなかったが……………。
「ふっ………」
「!? 笑われちゃったじゃないですか!」
「ぼ、僕のせいですか!?」
おまけ
朝の短編
「げふぅ!?」
今日も今日とて気絶させられるベル。異世界の冒険者の鍛錬と聞き見学させてもらっているダクネスは何度も気絶させられるベルを見てゴクリと唾を飲む。
「ア、アイズ………良ければ、私も鍛錬をつけてくれないだろうか」
「構わない」
では、と構えるダクネス。アイズはあれ、と首を傾げる。
「ダクネスさん、その構えだと、振りが歪む」
「え? あ、ああ………問題ない。それより!」
「ううん。駄目、怪我しちゃう。まずは構えから、こうして」
「い、いやアイズ! 私とも模擬戦をだな!」
「まずはちゃんと振れるようになってから。いい? こうやって」
「ち、ちがうアイズ! 私が求めているのはこういうのじゃないんだあああああ!!」
おまけ
「じゃあ、めぐみんさんも
「魔法に優れた種族、という意味ではそうなりますね」
「見た目はヒューマンとあまり変わらないんですね。紅魔族、でしたっけ?」
「ええ、魔法に優れた種族。故にこそ、格好良く決めなくては!」
それはちょっとわからない。でも、この世界ではそういうものなのだろうと納得するレフィーヤ。
「そうだ! レフィーヤもやってみましょう!」
「え、ええ!?」
「そちらの冒険者には二つ名があるのでしょう!? レフィーヤはなんて二つ名ですか!?」
「え、えっと………【
「かっこいいです! 素晴らしいネーミングセンス! つけた人は神ですか!?」
神である。
「さあさあ、それならまずは!」
「あいたたた、アイズさん。今日も強かったなぁ」
朝の修行が終わったベルはレフィーヤを探す。魔法で傷を癒してもらうためだ。
「あ、あっちかな………」
声が聞こえ、そちらに向かうベル。
「ウィリディスさ──」
「我が名はレフィーヤ! 【
「良いですよ良いですよ〜! さあ、そのままそのまま!!」
「神の付けし我が二つ名は【
「………………え」
「べべべべべ、ベル・クラネルゥゥゥゥ!?」
ビシッと杖を構えポーズを決めたちょうどその先にベルがいた。
「わ、忘れなさい! 忘れろおおお! 今すぐ記憶から消えてなくなれエエエ!!」
「え!? ウィリディスさんまって! 記憶どころか僕が消えてなくなる!!」
その日、ベルは思い知った。
千の魔法を操る者という神々のつけた名の意味を。数多の魔法が迫る、恐怖を。
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