ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ベルが帰ってきたのでリリウスは再びダンジョンに潜る。
ベルのライバルというレフィーヤとかいう少女は同じエルフのフィルヴィスに任せた。目立つのは、とか言ってたがそもそも噂になってる時点で目立ちすぎた。
「あぐ」
「うわぁ、ポイズン・ウェルミス食ってるよ」
「………………」
『耐異常』を持つ冒険者すら死に至らしめる猛毒を持つモンスターをモシャモシャと食べるリリウスにセシルが引いて、輝夜がジッと眺めている。
「このあたりの階層よね、最後の目撃情報」
【アストレア・ファミリア】の今回の目的は、とあるモンスターの調査。
そのモンスターはミノタウロス。
第一級すら含まれる【アストレア・ファミリア】がミノタウロス? と首を傾げるかもしれないが、問題はそのミノタウロスが『密林の峡谷』で見つかった事実。
本来中層の怪物が、下層。確かにミノタウロスの
密林の峡谷は『恐竜種』の蔓延る弱肉強食の世界。ミノタウロスなどあっという間に喰われるだろう。
そこまで降りてくるというのなら、それは間違いなく本来の
より上質の魔石を求め下へ下へと下り続けたのだろう。
密林の峡谷………下層でも更に下、Lv.3冒険者すら容易く葬るモンスター蔓延るこの階層で生き残るのならば、その強さは第2級でも上位だろう。
もっとも、それだけが理由ではないが。
「冒険者の剣を拾っていた、か………五分五分でしょう。アリーゼはどう思います?」
リューの言葉にアリーゼはん〜、と考える。
冒険者の武器を扱うモンスター。珍しい。とてもとても珍しいが、ないわけではない。
ただ、ある可能性が出てくるのだ。
「……………………」
ピクッとリリウスが肩を揺らし上を見上げる。続いてネーゼ、シュヤーマも上を見上げる。
何か影が見える。
ゲイルプテラでしょうか? いいえブラッドサウルス。
「ブラッドサウルス!?」
「ギュアアアアア!?」
ズウゥン! と轟音を立て地面に落ちるブラッドサウルス。勢いが止まらず地面に溝を刻みながら滑る。
「カハァ! ガ……!」
それでも立ち上がり、敵意を、戦意を吹っ飛んできた方向に向ける。と…………ブラッドサウルスより小柄な何かが飛んできた。
ズウン! と地面を踏み砕く漆黒の影。
「黒い、ミノタウロス?」
「いや、
通常のミノタウロスよりも更に巨大。全長は勿論、ただそのまま大きくしたのではなく、全身に張り詰める筋肉は大木の如き。
本来なら胸当てになるであろう鎧を蔓で巻き付け肩当てにしているが、防具は少ない。生半可な防具よりもその獣皮のほうが遥かに硬いからだろう。
「フー、フー!」
「グル、ゴギャアアアアアア!!」
傷だらけのブラッドサウルスも、ただのブラッドサウルスではない。古傷は歴戦の証。
相応の戦いを経験したブラッドサウルスは、彼我の差程度理解している。それでも逃げない。
それは密林の峡谷にて王として君臨していた意地か、或は蛮勇か。
尾を振るえば、起こるは竜巻。密林を吹き飛ばし周囲を更地に変える旋風の剛一撃。
ミノタウロスも腕を交差させ飛んてくる破片から己を守る。
開けた大地をブラッドサウルスが踏みしめる。
並のLv.4すら消し飛ばす今のは、ただの事前準備。本命は、巨体と重量を活かした突進。
ミノタウロスは剣を構える。深層に訪れるだけの力があった冒険者の死体から拝借した剣だ。主と共にただ朽ちるだけであった筈の剣がここまでこれたのは、如何なる奇跡か。
「ウオオオオ!!」
ビリビリと峡谷を震わせる咆哮。Lv.3のセシルすら意識が持っていかれかける。
ミノタウロスの体から溢れる紅の光輝。ブラッドサウルスが駆け出す。
「グオオオオオオオ!!」
「ブムウゥン!!」
全力の振り抜き。放たれる光の波濤。
ブラッドサウルスも樹木も、岩棚すら破壊し突き進む。
「……………うっそぉ」
谷が生まれた。
天変地異の如き、一撃の傷跡。モンスターという形をした厄災の化身。
第二級でも上位? とんでもない。その程度に収まるものか。
第一級冒険者にも比肩しうる正真正銘の怪物。
漆黒の猛牛は、仮に人類に敵意を持つのならば何が何でも今打倒しなくてはならない存在だ。
「お前、俺が鍛えていたミノタウロスか?」
「…………!」
何時の間にかミノタウロスに近づいていたリリウスが尋ねる。肉片と化したブラッドサウルスの原型を保っていた頭の瞼を閉じ、死体から魔石を抜いていたミノタウロスがギョッと固まる。
「…………自分を知っているのか?」
口からこぼれるのは人の言葉。やはり
「覚えてないのか」
「………いや、覚えている。少しだけ………だが、違う。自分が探す、あの白とは」
ベルのことだろうか?
「そう言えば彼奴にぶつける前に勝手に出会ってたな」
「彼奴?」
「ああ。名は………」
リリウスがベルの名を教えようとすると片手を持ち上げ制すミノタウロス。
「自分で聞く」
「そうか」
つまりは
リリウスは満足そうに頷く。
「しかしお前等、どうして毎回言葉を覚えてるのかね? どっから来てんだ、その知識」
「自分には解らない…………雷を意味する言葉はないか?」
「雷だあ? ああ〜…………
「では、自分は今からそう名乗る…………あの夢の終わり、紅の雷光に恥じぬ力を得る為に」
リリウスはふむ、と顎に手を当てる。此奴が上へ上へと上がっていた理由は、間違いなくベルとの再戦のため。しかし、今出会ったとしても…
「だが悪いが、今の兎はお前より遥かに弱い」
「それは、前も同じだ」
その上で、あの夢の中の兎は自分に挑み、強者の助けを振り払い、勝利した。
「だがまだ鍛えている」
「…………まだ、強くなるのか?」
「させる」
「…………解った。では、自分もより強くなろう」
アステリオスはそう言うと背中を向けた。
「待て待て。他に、お前の同胞がいる。まずは会っていけ。武器防具も、そのままじゃあれだろ」
「…………………」
アステリオスは砕けた大剣を見る。
「確かハシャーナの持ってきたはいいが使わず、重くて放置されてる魔剣とかあったな。鎧に関してはそこの女に頼め」
と、セシルを顎で指すリリウス。
「材料は自分で取ってこいよ」
「心得た。元より、死体や貴方方を見れば我が身に合わせるのは本来以上の重労働だろう。我が武装関係なく、報酬を求めるなら言ってほしい」
「真面目だなお前」
巨大なミノタウロスが頭を下げる。何とも奇妙な光景だ。
「じゃあ、案内はライラがして上げて」
「? 全員でいかねえの?」
「リリウスにはお説教があります」
「…………?」
「ミノタウロスを鍛えて弟子にぶつけるってなぁに?」
にっこり微笑んだままリリウスを見つめるアリーゼ。リリウスはぷぃ、と目を逸らしたが、逃げないのは自分が悪いことをした自覚があるのだろう。
「はい、そこ、正座」
「……………………」
ダンジョン内で説教される冒険者。何とも奇妙な光景が、そこにはあった。
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