ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「………動きがまるで見えない」
モンスターが凄い勢いで解体されていく。
オラリオ最強にして、世界最速のリリウス。【アストレア・ファミリア】最速のリュー。
轢き潰し、叩き潰し、切り裂き、砕く。血霧が飛び散るもなく魔石を砕かれ灰と還るモンスターの群に、流石に同情する。
「いやぁ、流石だなあ。あんなに強いリリウス君の弟子なら、ベル君も相当強いのかい?」
「それを答える必要はあるのかい、ヘルメス」
「そんなに警戒しなくてもいいだろ、ヘスティア。俺はただ、ベル君の育て親に頼まれごとをされただけさ」
「ベルくんの祖父は死んだって聞いてるけど」
「のっぴきならない事情があってね。かわいい孫に碌に説明出来ないまま死を偽装して身を隠すしか無かったんだ」
ヘスティアはヘルメスを使いっ走りにする神に心当たりがあるのかまさか、と瞠目する。そういえばベル君、ハーレム作るなんて言ってたなぁ。
「ま、俺自身もベル君に興味があったんだよ。果たして時代を担うにたる、
「
と、リリウス。
「お前は相変わらず、英雄の偉業を信じてるくせに、英雄の力を信じてないんだな」
上から目線に自分達が道を用意できると思っている。その道を進むことが最善手だと、それこそが世界を救う唯一の道だと信じている。
そしてそれは、つまりは英雄なら世界を救えると信じながら、人類が自分の力で英雄への道を歩けるとは思ってないということ。
解ってもらえなくても、なんて達観したつもりのその態度が、リリウスがヘルメスを有用と信用していてもヘルメスという
「そんな事ないさリリウス君。俺は英雄を誰よりも信じてるさ」
「だから、その態度が気に入らねえんだよ」
シャバラがベル達と別れた場所に訪れ、リリウスは匂いを嗅ぐ。
「こっちだ」
そしてすぐ見つけた。恩恵を持つ本物の犬よりも嗅覚が鋭い。道中邪魔なモンスターは、やはり瞬殺される。
そしてたどり着いた17階層。
そこは氷室のような冷気が閉じ込められていた。
凍りついた壁に床。そして、片腕を失い肩を炭化させた巨人が氷の拘束から逃れようと藻掻いている。
「グオオオオオオオ!!」
「がお!」
人間を認識し吠えるが、リリウスの一鳴きが掻き消し音の砲弾がゴライアスの上半身を押し潰した。
「すげー。まるでアルフィアの魔法だ」
「……………………」
実際食らった経験のあるリューは何とも言えない顔をしていた。
「しかし中途半端だな。何処の誰だ?」
「匂いからしてベル達だな。とどめまで行けないとは鍛え直さねえと」
「いやぁ、Lv.2にそれはきついんじゃ…………そういえばレベル差3の階層主倒してたね、君」
「いやその弟子だとしてもLv.4、3、2、1の1人ずつでゴライアス対処できるのがおかしいですからね?」
と、アスフィが突っ込む。リリウスは首を傾げた。
「リリは精霊の契約者だし、シュヤーマの治癒魔法はオラリオでもトップクラスだぞ? アミッドって前例があるんだ。勝ちきれないと思うのか?」
階層主が根負けするまで冒険者を癒しまくったアミッドが比較対象になる時点でその犬もだいぶおかしい。
「まあ、避難を優先したのでしょう。彼等は階層主との戦闘経験はない……未知に挑むのが冒険者だとしても、蛮勇と勇敢は違う」
リューの言葉に普通の冒険者は優先以前に避難しか選択肢がありませんよ、とアスフィは思った。
そのまま連絡通路を降り、18階層へと到達する。
少し薄暗くなってきている。さて、『明け方』か『夕暮れ』か…………。
「…………うわぁ、地下とは思えないね、ここ」
ヘスティアは目の前に広がる森を見て感心したように呟く。ここからは木々が邪魔で見えないが、少し開けた場所から天井を見れば階層全体を照らす光を放つ水晶が見えるだろう。
「匂いは………増えたな。この風の吹く草原のような匂いとジャガ丸くんの匂い………アイズか」
「【ロキ・ファミリア】が遠征から戻ったということですか?」
「ていうかあの子2週間前にダンジョン潜ったのにまだジャガ丸くんの匂い染み付いてるの?」
それともまさか、ダンジョンでもジャガ丸くんが販売していたとか? いやいや、まさか。
普通にリリウス君の鼻が高性能すぎるだけか、と判断。と………
「あれ?」
森中のモンスターが騒いだと思った瞬間リリウスの姿が消える。リューが慌てて走り出した。
「エルフ君!?」
「リリウスがブチギレています! 下手をすれば死人が出る、先に行きます!」
遡る事数分前。
なんとかゴライアスを封じ18階層へと辿り着いたベル達は、連絡通路の前で座り込み息を整えていた。
連絡通路の奥からは憎々しげなゴライアスの咆哮が聞こえる。
その咆哮を聞いてやってきたのがアイズ。彼女はベル達を自分達の
アイズが連れてきた男に、【ロキ・ファミリア】団員は良い顔をしなかったが。
18階層で保護されるベル達を見て無謀なことをした馬鹿な冒険者、とでも認識したのだろう。
後は、アイズが無垢すぎるので騙されているのでは、と思ってしまったのだと数人が後に語る。
「だって結構カワイイ顔してたし」と語るのはタブ。「私も思いました」と語るのはアニャ。
どちらもエルフ。ベルは案外エルフにモテるのかもしれない。
アイズの案内の下、三首領の下へと向かう3人と一匹と精霊一柱。道中ヴェルフは【ロキ・ファミリア】に同行していた【
「こここ、この度は! 天幕まで貸していただきありがとうございます!」
ガチガチに固まり頭を下げるベル。フィンは初々しいそんなベルを見てニコリと笑う。
「そう畏まらないで、どうか楽にしてくれ。冒険者とはいえ、こんな時ぐらいは助け合おう」
簡単な情報交換をして、ガレスは2度目の中層、2度目の18階層と聞き大笑い。リヴェリアが諌める。
尤も、ベルは前回は必死だったし18階層に至っては気絶していたので何も覚えていない。
【ロキ・ファミリア】は遠征の帰還中、毒を持つモンスターの
足の速いベートが地上に薬を取りに向かい、早ければ明日には出発するがその間はもてなしてくれるそうだ。
「それと、個人的にも君とも話してみたかったからね。はじめまして、【
「………………」
我関せずを貫いていたリリは急に声をかけられ少しだけ目を見開く。
「リリをご存知で?」
「今や有名人だからね。現代で伝説のレベルの精霊と契約しているのは、君で3人目だ」
セシル、リリウスという2人に続いて、新たにリリ。それが知られ、引き抜こうとする輩も居たがリリウスが追い払い、リリウスがいない時はソーマが弓を持って追い払った。
「こう言ってはなんだけど、同胞で有名になる人物は少ないからね。叶うなら仲良くしたいんだ」
「あ、嫌です。リリ、貴方が兄様にした事、許してないので」
と、リリはきっぱり断った。ベルは勿論アイズ達もポカンと固まる。リヴェリアだけが当たり前かと言うような顔をしていた。
「
キャハ、と神々がよく言う言葉が聞こえそうな無邪気な笑みの中に、隠しきれない怒りを孕ませ、少女は言葉を続ける。
「あれ? あれれれ? 自分が子供扱いされるとは思いませんでした? でも、だって、貴方進めてないでしょう? 未来を見据えて、ゴールを決めてから、足下を積み重ねるばかりで前には進んでませんよ。きっと、子供の頃から頭が良かったばっかりに、遠くを見たまま、見通しが良くなったことを進めていると勘違いしているんですねえ」
フィンの顔から微笑みが消える。それは
怒りではない。嫌悪でもない。
強いて言うなら、ライラに抱く感情に近い。逆らえないというか、逆らう気になれないというか。心の奥の奥、魂の根幹に関わるような……。
リリの糾弾が心に響く。自覚はしている。自分が醜い偽物であることも。見透かし、嫌悪する者が現れることも………それでも、この気持ちは何だ?
「もしかして、小人族誰もの憧れになれていると思ってます? 盛大な詐欺で世界を騙す、あなたがぁ?」
と、その時だった。天幕を引き裂き現れる一人のアマゾネス。
「てめぇ! さっきから団長に対してなんだその態度は! ああ!? 何様だゴラ!!」
「ティオネ、やめろ!」
「何様? あ〜……勇者様がその昔発情して求婚したけど実は男だった方と同じ顔の、妹様?」
「ぶっ殺す!」
殺意を言葉にした瞬間にはもう既に動いているのがアマゾネス。フィンが即座に止めようと動く。
ティオネの拳が当たるよりフィンが抑えるほうが早いだろう。
そして、リリウスがぶっ飛ばす方が更に早い。
「何してんだてめぇ!」
気が付けばティオネは天幕の外に吹き飛ばされ、森の木々を破壊しながら吹き飛んでいく。
「殺す………すり潰してバケモン共の餌にしてやる」
森の奥に倒れるティオネに怒りが収まらぬリリウスが向かおうとして、リリが抱き着く。
ノエルも両手を広げてリリウスの前に立ちはだかる。
「リリウスおねえちゃん! よわいものいじめはだめ!」
「リリは別に………でも、兄様が悪者にされちゃうのは嫌です」
「…………………」
リリとノエルの態度に怒りを収めたリリウス。
怪我をしてないか確かめて、リリとノエルを抱きしめる。
吹き飛んだテントの外には突然の事態に混乱しているキャンプ。騒がしいと顔を上げたリリウスは、ん、と漸くベルに気付いた。
「無事だったかベル」
「あ、はい………」
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