ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ティオネが吹っ飛ばされ、ザワザワと周囲が騒がしくなる。
殴り飛ばされたのがティオネだと気付くと喧騒は大きくなる。
「で? 何があった」
「リリが勇者様を煽ったので殴りかかられました」
「何故危ないことをする」
「だってリリが兄様の妹と知ってるくせに、まず謝罪の一つもないので」
とある4兄弟の言葉にならうなら「ギルティギルティ!」と言ったところだろうか。
「とはいえ、まあやりすぎましたね」
得物を構えこちらを睨む【ロキ・ファミリア】団員達。
「やる気か………」
すぅ、と息を吸うリリウス。有象無象を蹴散らす咆哮が放たれようとして………。
「リリウス!」
「むぐ!」
やってきたリューが口を閉じ、プシューと唇の隙間から空気が抜ける。
「………先の轟音は、やはり既にやらかしましたか」
「…………………」
リリウスは無言。文句は言わないようだ。
「彼を叱らないでやってほしい。ティオネから妹を守ろうとしただけなんだ」
フィンの言葉に【ロキ・ファミリア】から何処か納得の気配が漂い始める。どんだけやらかすと思ってたんだ。
「で、でもやりすぎなんじゃ………」
ティオネを治療する少女がそれでも非難がましい目を向ける。
「自分より弱い相手に殺す気で殴りかかって、自分より強い相手に邪魔されて殺されかけただけだろ?」
生きてはいるようだ。ぶっ殺すよりもまず吹っ飛ばすことを優先したからだろう。リリウスの本気の蹴りでは頭が吹き飛んだ後も体が勢いそのままリリに拳が届いていた可能性もある。
まあ、死ななかっただけで生かそうとしたわけじゃないが。けどそれはティオネだって言えることだろう。
「で、でも、そっちの子が煽ったって……」
「感情的になったのは認めますが、謝りませんよ? だって、兄様を散々利用して殺しかけたこともあるくせに、どの面下げて妹と仲良くなりたいとか言ってんですか? オラリオが兄様に歩み寄れた唯一の機会も台無しにしておいて、嘘の噂を流したわけじゃないとか開き直る奴が『君を知ってるよ』と言っておいて『お兄さんの件は済まなかった』の一言もねーんですよ?」
リリを知らないならまだ良い。兄について謝罪が一言でもあれば、許す許さないは置いておいて、ここで何か言うことも無かったろう。
「しかも仲良くなりたい理由が自分の目的のためでしょう? こっちを見てるようで見てない。なめてやがるんですか、ふざけてやがるんですか」
はっ、とリリは鼻で笑う。
「リリ達を見たこともないくせに、何が種族の為ですか。勝手に背負ったつもりになって、取りこぼした者に目を向けない………そんな人と、リリは仲良くしたくありません」
何も知らず勝手なことを、とラウルを含めた数人の団員が睨むが、リリは気にしない。だって一族の再興を目的とし、同胞を奮い立たせると奮起しようと、事実リリは救われていない。
「光になれても太陽にはなれない。照らしきれない奥の闇に見向きもしなければ、その中にいた者に嫌われるのは当然でしょう………」
フィンは………成る程、一族に嘗て偉烈を残した騎士達のように栄光を手に出来るよう奮起させる事が目的だろう。救うことが目的ではなく、救わせることが目的と言ってもいい。
だがその願いを他人に押し付け、君は影を落とすからとリリウスの救済の可能性を潰したのは許さない。
リリウスという一人の犠牲が多くの同胞を救うから? 知らねえよそんな奴等。
「勇者様、貴方がリリに取るべき態度はただの冒険者で良いんですよ。保護だけして関わる必要なんてなかった。リリはあなたと仲良くする気はありません。貴方の悲願も知りません。だからどうか、兄様に謝りもしないでリリに擦り寄らないでください」
「………僕は…………いや………いや」
何だか姉に叱られた弟のようだ、とベルは思った。いや、フィンの方が年上なんだろうが。
「ベル様達は関係ありません。リリは出ていくので、ここ残りたいというなら置いて上げてください。リリは兄様と帰───」
「ベルく〜ん!!」
と、空気を読まず………或は読んだからなのかベルへと突撃するヘスティアの声がリリの言葉を掻き消した。
「神様!?」
「ええ………」
ベルが驚愕しリリウスが声を漏らす。そもそも、リリウスはヘスティアの存在を知られないよう動くつもりだった。
神殺しのモンスターが生まれど、目撃証言がヘルメスのみなら責任、罰金は全部押し付けられると思ったからだ。
思いっきり目撃された。神殺しさえ召喚しなければ問題ないが、召喚すれば必ず調べられる。ヘルメスを同行させた理由が消えた。
もう帰ろうかな。
「ワフ!」
「ワオン!!」
シャバラとシュヤーマがじゃれ合うのを横にリリウスのやる気は凄く下がる。
「え〜っと、どういう状況かなこれは…………」
遅れてやってきたヘルメスも困惑してる。
「兄様兄様。リリは結婚するなら兄様が認めてくれるような相手にしますから安心してくださいね」
「お前、性懲りもなく今度は俺の妹に求婚しやがったな」
「求婚はしてないよ」
「するつもりはないとは言わねえのか」
「………なくなったかな。彼女は、無理そうだ」
「で、謝らないんですか? 謝れないんですか? 謝れませんよね? こぉんなに沢山の部下の前で、部下に敵意を向けられてる相手に頭を下げられませんよねえ?」
ヘルメスはうわぁ、と引いた。
今のリリの言葉で、フィンが頭を下げれば当然リリウス達を睨んでる団員との関係に綻びをいれるが、謝らなければ疑念を抱いた団員との関係に綻びが入る。
だってフィンがリリウスを利用していたのは事実だし。
「まあまあ、お互い喧嘩は無しにしよう。ベル君達を助けてくれたんだろ、【
「休憩中のリリ達をアイズ様が案内しただけですよ。シュヤーマ様は
支援はありがたいが、必要というわけじゃない。
もしもリリがただのサポーターで、シュヤーマが居なかったなら結果は異なっていたかもしれないが、今の結果は今の通り。
「私、余計なことしちゃった?」
「ご厚意は大変嬉しいですよ。ただ、元々余所者のリリ達をよく思わない人ばかりだったので」
まあそれはベルとアイズの仲が良さそうだったからなのだが。
「ごめんなさい。これ、お詫びのジャガ丸くん」
「いえ別に気にしないで…………何故ダンジョンにジャガ丸くん?」
「あ、あの! た、助かったのは本当です! おかげで休めましたし、その…………」
「ベル君もこう言ってることだし、喧嘩は止めにしないか? 俺も【
「ではヘルメス様はご勝手に………ていうか何でいるんですか? 神様ですよね? ヘスティア様もですが」
リリは神がダンジョンに訪れてはいけない理由を知らないが、禁止されていることだけは知っている。ヘスティアはう、と落ち込みヘルメスは笑って誤魔化す。
「この人数だと多少儲けてもリヴィラは高いし、どっか適当にテントでも張りましょう」
「では私が案内します。いい場所を知っている」
と、リュー。元【アストレア・ファミリア】所属のリリウスはあそこか、と呟いた。
剣呑な雰囲気の中、居心地が悪そうに金髪の剣士と山吹色の妖精が去っていくベル達の背中を見送った。
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