ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「すっかり忘れてた。悪かったな」
「…………………」
ヴェルフの前に差し出される。それは嘗て、ヴェルフが打った魔剣だ。
「大した魔剣だな。これがあれば、そもそも遭難なんぞしなかったろうに」
縦穴に落ちる原因となったモンスターの襲撃も纏めて焼き払えた。この魔剣にはそれだけの力がある。
「魔剣の力なんて偽物だ。使い手を腐らせるだけだ!」
「人間にゃ爪も鱗もねえ。ナイフだろうと盾だろうと、結局は外付けの力だろ」
「でも、魔剣は砕ける!」
「お前程度が造った武器が折れないとでも? くだらねえ戯言抜かすな。魔剣なんざポーションと同じ消耗品。武器としても使えるだけのな……お前等は事前に備えられる事全てをやらなかっただけだ」
そう言って投げ渡す。
「ヘファイストスから……『意地と仲間を秤にかけるな』とよ………乗せてすらいねえで、他派閥を死地に付き添わせるな。それがしてねえならちゃんと話せ。それすらしねえでリリとベルに同じ事を繰り返すなら…彼奴等の邪魔だな。殺すか」
「っ! 俺は、それでも魔剣が………!」
「だから、その拘りで危険を越えられねえ事をベル達に自分で話せってんだ」
その上でベル達がヴェルフを尊重するというのなら、リリウスは何も言わない。
話は終わり背中を向けるとピクリと肩を揺らし鼻を鳴らすとヘスティアのテントに入る。
「ぐぇほぉ!!」
野太い男の声が響き、顔に傷のついたおっさんが飛び出してきた。
「ただただ大変だぁ! リリウス君が入ってきたと思ったら変なおっさんが現れて、かと思ったら消えて! 幽霊、幽霊だああああ!!」
「幽霊なんているわけないだろ」
「ここはダンジョンだぞ!?
「……………そういうものなのか」
リリウスは何かを探すようにキョロキョロ見回す。特に、7年前リリウスがLv.6へ至った戦いの位置をよく見ていた。
「取り敢えず成仏させるか」
テントの中のヘスティアを汚さない為に加減したがもうその必要はない。頭を砕けばもう一度死ぬかな? と拳を握るリリウスは不意に落ちている兜を見つける。
「…………青眼鏡の匂い。複数の酒に男、ヘルメス……ヘルメスに酒場で渡されたのか?」
「あ、ああ………! 【リトル・ルーキー】に焼き入れようって話してたら、使えって!」
「はぁ!? ヘルメスの奴、何考えてるんだ!」
まあ、十中八九試練のつもりだろう。この程度の連中を?
人の悪意に触れさせて、とかだろうか。くだらない。
強い相手以外に試練の価値などあるものか。敵のあり方なんて関係ないというのに、よほどベルを自分好みにしたいらしい。
「…………あっちか」
リリウスは男を木々よりも高くぶん投げた。
18階層の宙を舞う男はやがて中央樹の真東、一本水晶に落ちる。開けたその場所には数人の冒険者達が待機していた。
「モ、モルド!? 何で空から!」
「【リトル・ルーキー】はどうした?」
「げほ! み、見つかった!」
ゴォン! と巨大な一本水晶が傾き、砕ける。
追いついてきたリリウスが倒れた一本水晶の上から冒険者達を見渡す。
「く、くそ! こうなったら、やっちまえ!!」
「Lv.9だろうと、この数でなら!」
「馬鹿か! 付き合ってられるか!」
「お、俺は降りるぞ!」
森の奥で身を潜めていた冒険者達が逃げ出す。
隠れて何をしているのかと思えば、くだらない。ベルに当てて修行になりそうなのもいない。
全員殺して…………いや、殺す気ならともかくただの喧嘩で殺したらリューに叱られるし、血腥いのをみせたくない娘も居るし。
「剣が折れたぁ!? 嘘だろ、どんな足だ!」
「こ、こいつ硬いぞ!」
さてどうするか。そういや第3魔法の能力の一つ『
「【オン──】」
「!?」
最初に気付いたのは、アイズ。
より厳密には、ダンジョン。
アイズはダンジョンが揺れたのに気付いたのだ。そして知っている。これは、良くない揺れだ。
「おいおい、俺達以外にも来てたってのか?」
「まさか………」
ヘルメスが帽子を押さえながら天井を見上げ、ヘスティアが目を見開く。
「…………ヘルメス、連れて来る必要なかったな」
まさか自分で呼べたとは。
何やら騒ぎを起こしていたらしいし、本当に連れてくる理由一つもなかったなヘルメス。
「後でフェルズとウラノスに怒られるな………」
あとリド達にも。
ガラガラと水晶が落ちくる。逆さに咲いた巨大な花のような天井の水晶を砕き、まず見えたのは顔。続いて肩、腕、胸……全体的に人を巨大化させたようなそのモンスターは、17階層階層主のゴライアスと瓜二つ。ただし、その姿は黒い。
「オオオオオオオオオオオオオオ!!」
階層全体を揺らすような産声を上げ、黒いゴライアスは落下する。ちょうどリリウスを目指して。
ハッと正気に戻ったモルド達は慌てて逃げるが、轟音を立て落下したその衝撃だけで吹き飛ばされていく。
吹き飛ばされた先には興奮したモンスター達。前回は焼かれて暴れていたが、どうも漆黒のモンスターが現れるだけでモンスターは騒ぐようだ。
あ、ベルが助けてる。ヘスティアから聞いているだろうに、お人好し。
「ゴアアアアアアア!!」
「うるせえ!」
ゴライアスの咆哮は衝撃波となってリリウスへ向かい、リリウスの叫びに無効化される。どころかゴライアスの顔面を潰した。
「…………あ」
やっちまったか? と思ったが失った頭部が再生していく。良かった良かった。
「足が邪魔だな」
「ガッ!?」
小石を拾い、踏み潰そうとした足に向かい投げつける。雷を纏う小石はゴライアスの右足を消し飛ばし傷口を焼く。
地面に倒れるゴライアス。リリウスはその上を駆け抜け左腕を引き千切る。絶叫を上げるゴライアスの肩を凍らせ、氷の槍を片目に突き刺す。返しが付いていて、抜けない様になっている。
「……………」
駆けつけてきた【ロキ・ファミリア】と目が合った。
「これは俺達の獲物だ」
リリウスはスンスンと鼻を鳴らしベルを見つける。モルド達とモンスターと戦っていた。
「…………ベル」
「
「来い」
と、ベルの首根っこを掴むと一瞬で移動してゴライアスの前に立つ。隻眼となったゴライアスは憎々しげにリリウス達を睨みつける。
リリウスの踵落としを食らい顔を地面に叩きつけた。
「倒せ」
「…………はい?」
「倒せ」
「…………僕一人で?」
「弱らせた………」
確かに傷だらけだが、それでも異様な階層主。レベルだって3つぐらいは違う。傷を加味しても2つは………。
「な、何言ってるんですか貴方は!」
レフィーヤが叫ぶ。他の誰もが無理だと訴えかける。ベルだってそうだ。無理に決まっていると師を見つめる。
「無理は聞かねえ。嫌なら、まあ、俺が殺るが」
「……………僕が、勝てるんですか?」
「ああ」
その言葉にベルは1度目を閉じ、ふぅー、と息を吐く。
まだ震えている。それでも………
「やります」
「ベル!?」
レフィーヤは思わず叫ぶ。アイズは、つい最近似たようなことをやったので何も言えない。
【ロキ・ファミリア】は流石に見過ごせぬとゴライアスへ向かおうとし………
「オオオオオオオオオ!!」
ゴライアスより遥かに小さな体躯で、放たれる声量は遥かに上。
咆哮を向けられた【ロキ・ファミリア】の面々は第2級すらも意識を失う。
「邪魔するな。他人の冒険を奪うな………俺は安心安全お手々繋いで、なんてやり方で強くする術を知らん」
これはベルの試練だ。ベルは乗り越えるべく歩みだした。邪魔はさせない。
「今のは警告。それでも来るなら………迷宮で冒険者が冒険者に襲われるのを、咎められると思うなよ?」
それは追いついてきたヴェルフや【タケミカヅチ・ファミリア】へ向けた警告。
咆哮を受けなかった彼等は気絶こそしなかったものの、余波で体を動かせない。
それでも動こうとはしている。リリウスはそんな彼等を見つめ、目を逸らさなかった。
無比絢爛宝蔵天女
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