ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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最(高に)悪(びれず)の精霊(デアラコラボ)

「許さない……許さない………ヘルメス様………許さない」

 

 目の下に隈を作りブツブツと呟き幽鬼のようにフラフラと帰っていくアスフィ。

 

「アスフィさん……凄い、疲れてたね」

「くく………禁断の契約なくしては、かの魔道具の完成は、日の目を見なかったであろうな」

「禁断の契約って、アスフィ様に霊力を見せて協力しただけじゃないですか」

「い、色々あるんだし! 一応、天使とかも見せたしっ!」

「調子に乗ってぶっ放そうとして大騒ぎになったじゃないですかー!」

「私も協力したぞ、シドー!」

 

 まあ結局は士道の力の再現なので、士道が一番協力しているのだが。

 というかそれだけで作れるアスフィ凄いな。

 

「精霊をデレさせ、対象にこの指輪を嵌めれば霊力の流れを正常化出来る………か。発注通り、上出来よ! これでキスの必要はない! あのピンク色の女に襲われる心配もなくなったわ!!!」

 

 地味にトラウマになってるようだ。

 

「それで、ここからどうするんだい? とりあえず、誰がこの指輪を持つかだけど……」

「ああ、ちなみに、この指輪は、精霊をデレさせた人間が直接嵌めないと効果を発揮することが出来ないわ」

「なんですか、その無駄な設定!」

「無駄とは何よ無駄とは」

 

 指輪による封印はあくまでもスイッチ。重要なのは如何にして精霊の心を開かせるかである。

 士道は少なくともこの場の4人………性格も容姿も異なる少女達の心を開いてキスをしたのだ。半端ねえって。

 

 エピメテウスはふむ、と考える。

 キスによる封印…………セフィラの回収。ならば士道が何れ至る存在は…………。

 何やらきな臭いが、異界の自分が何処まで干渉して良いものか。

 

「それじゃあ、指輪をつけるのは順当に精霊封印のエキスパートの士道君に………」

「いいえ、キスによる封印の必要がなくなった以上、指輪はこちらの世界の人間が付けるべきよ」

「へ?」

「当然でしょ。デートをするなら、こっちの地理に明るい方が良いに決まってるわ。カフェへの道に迷ったり、イルミネーションタイムを逃したりしたら、盛り下がるのは当たり前でしょ?」

「何を言ってるのか分からないんですけど」

「気にしなくていいから、ベル……」

 

 常識とばかりの琴里に困惑するベルに、士道は肩に手を置き首を振る。 

 

「この場にいる、この世界の男性となると………」

「……えっ?」

 

 リリの視線はベルとエピメテウスを交互に見てから、ベルに止まる。

 

「ええ、ベルに決まりよ」

「ええええっ!? 僕がアイズさんを!?」

「み、認めないぞー! そんな事!! エピメテウス君だっているだろ!」

「天の炎を受け取った日から、見た目より長生きでな。年の差がありすぎて女として見れない」

「で、でも…………」

「じゃあ、ベルよりイケメンで女の扱いに慣れてる冒険者を連れてきて頂戴」

「いるいる! そんなのいくらでも!」

 

 ベルは地味に傷ついた。

 

「琴里」

「ん? 何よ折紙」

「私の審眼(サーチ)によれば、対象(アイズ)は天然かつ内心では年上ぶりたい潜在姉型(バブミー・シスター)。女慣れした男は悪手。重要視すべきは庇護欲のほう」

 

 兄様を弟扱いしている【アストレア・ファミリア】みたいなものかな? とリリは赤い髪でふふーんと得意げな冒険者を思い浮かべる。

 

『リリも私のこと、お姉ちゃんって呼んでいいわよ!』

 

 こいつ! 想像のくせに話しかけてきた、だと!?

 

「な、なんでそんなに詳しく………」

「観察と洞察は基本。因みに士道にピッタリなタイプは、何でも出来る完璧同級生。名前に『お』がつくとベター。ラッキーアイテムはクロロホルム」

「妙に具体的!?」

「………ふむ。後半は置いておくとして、アイズに対しての見解は的外れでもなさそうね。ヘスティア、リリルカ、ベルより母性本能を擽る男を連れてきて」

「ベル君よりかわいい男の子なんていない!」

「もっと傷つく!!」

 

 ベルは涙目だ。男の子として、かっこいいと思われたいのだろう。

 

「ん〜。兄様はカッコよくて可愛いですけど、寧ろ全てから守ってくれるような安心感がありますからねえ。あれで、寝る時やご飯の時は無防備なんですが」

 

 リリはある意味安定している。

 

「むう、というか、アイズと気心が知れている者がいいのではないか? 私もシドーとデェトに誘われるのが一番嬉しいぞ?」

「じゃあ、ベルよりアイズに気に入られてる男子」

「もう駄目だぁ、おしまいだぁぁぁ!!」

 

 ヘスティアはその場に崩れ落ちた。リリがよしよしと慰めてやる。ノエルも真似して撫でる。

 

「というかリリルカ君、まだその恰好なんだね」

「着替えると耶俱矢様が泣くんですもん」

 

『やあああだあああ!! 淋しいよおお、夕弦の代わりに慰めてええ! 一緒にいてよおおお!!』

 

 結局昨日は兄の代わりに耶俱矢と寝たし。半身とか言うなら同じ名前の輝夜でも紹介してやろうかと思ったが、タイミング悪く【アストレア・ファミリア】はリューが帰ってきた後ゾーリンゲンに向かったらしい。

 

「まあヘスティア様はあくまでベル様と関わってる時のアイズ様しか知りませんし、一度リヴェリア様に聞いてみたらどうです?」

「そ、そうか! そうだよ、彼女ならヴァレン某に詳しいはず!」

 

 

 

「アイズが一番気にしている男子? ふむ、白兎の様な少年だ」

「ベル君のことかああああああ!?」

 

 

 

「じゃ、ベルに決定ね。はい、これが指輪。受け取りなさい」

「は、はい………」 

 

 因みにこの指輪、精霊の左手薬指に嵌めないと効果は出ないようだ。ヘスティアが「なんでじゃあああ!!」と叫ぶがベルは良く解ってなさそうだ。

 

 

 

 その後ヘスティアは指一本触れるな、半径3Мに入るななどというが、流石にそれではデートが出来ないと突っ込まれた。

 

「けど、琴里。精霊がデレたのかどうか、どうやって判断するんだ? 空中艦(フラクシナス)もないのに……」

 

 フラクシナスとは士道達『ラタトスク』の移動基地。そこに積まれたコンピューターで精霊の好感度を上げうる言葉を算出、出た候補を最後は人間達が投票するのだ。

 

 因みにメンバーは

 5回の結婚経験のある〈早すぎた倦怠期(バッドマリッジ)〉川越恭次。要は最低4回は離婚してる男。

 

 金の力で夜のお店のフィリピーナに大人気なことから付いた称号〈社長(シャチョサン)〉幹本雅臣。本当に金の力だけである。

 

 100人の嫁を持つ男〈次元を超える者(ディメンション・ブレイカー)〉中津川 宗近。二つ名から分かる通り、嫁は平面の住人である。

 

 愛が深すぎるがゆえに法律で愛する彼の半径500メートル以内に近づくことを禁じられた女〈保護観察処分(ディープラブ)〉箕輪 梢。士道の世界ではストーカーは犯罪です。

 

 何故か恋のライバルに次々と不幸が訪れる、午前二時の女〈藁人形(ネイルノッカー)〉椎崎 雛子。藁人形を持ち歩いている。

 

「士道、その人達にデートのサポートされてたの?」

「やめろぉぉ! そんな目で俺を見るなぁぁ!」

「発狂するんじゃないわよ。で、あんたの質問だけど……なんと! 偶然にも! 超高性能の小型顕現装置(リアライザ)を持ってたわ! しかも無線インカム付き! これで好感度も選択肢もバッチリってわけ!」

「わぁ、すごーい」

「これってご都合主義っていうんじゃ」

「駄目、士道。それ以上言ってはいけない」

「まあ世界が混ざると、わりとそんなものだ」

 

 下界で生きるという意味では最年長のエピメテウスはフッ、と遠い目をした。3千年の時の中で、彼は一体何を経験してきたのだろう?

 

「これで準備万端ね! 対象が隣界から現れたら作戦(ミッション)開始、速やかに接触してデレさせるわよ!」

「でも、隣界から出てきたら空間震が…………」

「ええ、いつ、何処で出ててくるのかが鍵ね。最悪、空間震が起こったとしても、ダンジョン内なら街に被害は出ないわ」

 

 ダンジョンから消えたならダンジョンに戻ってくる可能性もある。そっちはロキ達に任せるしかないが。

 

「一先ずギルドにダンジョン封鎖の継続を………」

「失礼します! ウラノス様からの伝令です! ヴァレンシュタイン氏が見つかりました!」

「「──なぬぅ!?」」

「それで、その………奇怪な服を纏っているらしく、酷く目立っていると……」

「静粛現界!? いきなりこっちに現れたってこと!?」

 

 空間を揺るがすことなく精霊が現れる現象。空間震が無いため、事前に察知することは不可能に近い。

 

「被害が出るー、って散々話してたの何だったのよ!? 街、全然平和じゃん!」

「まあそれはうれしいお知らせってやつだね」

「う、うん。よかったね………」

「よかったね」

 

 因みにノエルは未だ四糸乃と同じ服装だ。リリと違い、単純にノエルが着たいから。四糸乃も妹が出来たみたいで2人はとっても仲良し。天使かな?

 

「と、とにかく出るぞ!」

 

 一同は直ぐ様黄昏の館から飛び出した。

 

 

 

 

 

「言われた場所に来たが、何処にもいないぞ!?」

「別れるわよ! 士道とベルはあっちをお願い!」

「解った! 行くぞ、ベル!」

「…う、うん!」

 

 フラクシラスのサポートがあればもっと上手くことが運ぶが、ないものねだりをしても仕方がない。

 

 変わった格好をした女を見てないか、街の住人に尋ねながら探す。そして、

 

「ああ、あっちの方でみたよ」

 

 目撃証言に従い駆けつけたそこには…………

 

「〜〜〜♪」

 

 鼻歌を歌いながらジャガ丸くんを食べる狂三。袋いっぱいに詰め込んでいた。

 

「狂三ぃ!?」

「あら、あら。士道さん、奇遇ですわねえ? このジャガ丸くんという食べ物、美味しいですわよ? 士道さんもいかがでして? もぐもぐ」

「奇遇って、なんでこんなところに!? ていうか、栗鼠みたいにほっぺた膨らませて何してんだ!? 自由か!」

「狂三さんて、確かベートさんとレフィーヤさんと………」

「あら、士道さんのお友達ですの? 異世界だと言うのに手がお早いですこと」

 

 困惑しているベルを見て狂三はクスクスと微笑む。

 

「うふふ。こちらの方も、なかなか美味しそうですわねぇ」

「ひっ!?」

 

 狂三の視線に怯えるベルを庇うように前に立つ士道。

 

「あのなぁ……お前のせいで俺達は冒険者に誤解されて、えらい目に遭ったんだぞ!?」

「酷いですわ、士道さん。異世界だと言うのに出会っていきなり『わたくしのせい』だなんて。わたくしは、この通り、わけもわからず迷い込む羽目になった異世界を『満喫』しているだけですのに……」

「『満喫』の幅が広すぎるわ! そもそも、なんでいきなり冒険者に喧嘩売ったり──」

「てめぇ、何してやがる」

 

 と、そこへ新たに現れる人影。強い敵意を放ち、牙を剥く現れたベート・ローガ。直ぐにでも戦いを始めそうだ。

 

「よくもこんな街中で堂々と、姿を現してくれやがったなぁ…………」

「あら、あなたは……………()()()()()()()()()()?」

 

 コテンと首を傾げる狂三。その白々しい態度にベートの額にビキリと青筋が浮かぶ。

 

「ああ!? すっとぼけてんじゃねえ!」

「あら、あら。随分凶暴なワンちゃんですわね?可愛いネコさんに生まれ変わってから出直して来てくださいまし」

「てめええええええ!!」

「狂三いいい!? 何煽ってんだ!?」

 

 士道は狂三の腕を引き慌てて走り出す。ベルも路地裏に逃げ込みながら曲がり角などを使い先導する。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ………何とか逃げ切れた」 

 

 狂三が銃弾で牽制しながら冷静さを失ったベートから何とか逃げれた。逃げ切れた? ベートから?

 

「あらあら、士道さんったら。せっかく、あのワンちゃんのお相手をして差し上げようと思っていたところでしたのに」

「た、頼むから……これ以上、話をこじらせないでくれ……」

「うふふ………まぁ、良いですわ。ところで、士道さん達は今何をしているんですの?」

「………言いたいことは多々あるが、一応説明しておく」

 

 

 

 

「あら、あら………異界の住人である筈の少女が反転。わたくしの知らないところで、そんな事が起きていましたの」

(元を辿ればあなたが原因なんですって、怒るところなのかなあ)

 

 狂三はふむ、と唇に指を添え微笑む。

 

「士道さん達にはご迷惑をかけてしまいましたし、いいですわ。特別に手伝って差し上げましてよ」

「え?」

「『わたくしたち』」

 

 狂三の影が広がり、士道が慌て……………しかし何も現れなかった。

 

「…………あらあらぁ?」 

 

 首を傾げた狂三は一度影に沈む。

 

「…………『わたくしたち』が、いなくなっていますわねえ」

「そんな事あるのか? ていうか、分身を出すなんて!」

「まあ、この影はわたくしの『口』のようなもの。仕方ありませんわねえ…………」

「…………?」

「それに、心配なさらずともここは神秘あふれる異世界。人目などどうでもいいではありませんか………はぁ、仕方ありませんわね」

 

 カチャリと側頭部に拳銃を押し付ける狂三。

 

「【八の弾(ヘット)】」

 

 ダァン! と銃声が響き、狂三がもう一人現れる。

 そのまま連続して打つ。

 

「お、おい! そんなに力を使ったら!」

「問題ありませんわぁ。だって、この世界に来てからこぉんなにも霊力が満ち溢れているんですもの」

「っ!?」

「そう警戒しなくても大丈夫ですわ。ここで【十二の弾(ユッド・ベート)】を使っても、この世界の三十年前に戻るだけ。それでは意味がありませんもの」

「………狂三?」

「……いいえ、何でもありませんわ。見知らぬ世界で、無駄に霊力を消耗するつもりなんて毛頭ない、それだけでしてよ」

「…………解った、信じる。アイズの捜索、是非協力してほしい」

 

 その言葉に狂三は微笑む。

 

「やっぱり、士道さんは士道さんですわね」

「士道………この人も、精霊、なんだよね?」

「ああ………狂三は俺達の世界では〈ナイトメア〉って呼ばれている。時を操る『最悪の精霊』とも……」

「………!!」

「けど、仲間になればこれほど心強い存在はない」

「きひひ………ではでは、果報が訪れるまで、わたくし達はジャガ丸くんでもいただきながら待つとしましょう」

 

 ところでぇ、と狂三は先程自分がジャガ丸くんを購入した屋台を指差す。

 

「あそこでジャガ丸くんを食べてる、反転した十香さんの格好をしている御方がアイズさんだったりしますの?」

エイプリルフール、皆が見たい嘘は?

  • バーサーカーリリウス(/Zero)
  • 英雄派リリウス(ハイスクールD×D)
  • 冒険者リリウス(このすば)
  • 死に戻らないリリウス(リゼロ)
  • 魔物リリウス(ガッシュ)相棒エピさん
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