ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「やあ、花のように美しいお嬢さん。俺は、今日君に会うために生まれてきたんだと確信したよ」
「あぁぁぁっ! 俺をなじって! 罵倒して! 踏んづけてくださいぃぃぃ! 下僕! そう俺は貴方の下僕ですぅ!」
「あぁ? 俺とデートしたいなら、スクール水着に猫耳、首輪ぐらいはマストだろうが!」
以上、士道劇場終わり。
「………」
ベルは固まっていた。
「とまあ、精霊とデートする時はこんな感じに振る舞うのよ」
「……嘘ですよね? 絶対に嘘ですよね!? 最初の奴以外、絶対に口説こうとしてませんよね!?」
「私はどれでもイケる」
と、折紙は言い切りやがる。
「嘘だと言ってええええ!」
「まぁ、折紙がエクストラ・イージーモードなのは否定しないわ。士道限定で」
好感度が最初から高く、かつ、基本何を言っても好感度が上がる女。それが鳶一折紙である。
「ベル、こういうのは慣れだからさ。慣れれば自然と台詞も出てくるもんだ。本当だよ? ほんとほんと、ラクショーさ………」
士道の目が死んでいる。過去にもあれを、少女達に言ったことがあるのだろうか?
「いい、ベル? 私達はもう何度もアイズと接触を試みて、それに失敗している。声をかけてみても無視! もはや攻略とかデート以前の問題! まずは目標の興味を引くためのスキルアップが急務なの!」
「わ、わかってますけど………うぅ…………」
「苦労なさってますね〜」
「まあ、ベル君からしてみれば一番無縁というか、荷が重い話だしな〜」
ハーレム目指してオラリオに訪れたというのに途轍もなく純情である。
「あの折紙っちゅう子、めっちゃ美少女のくせに攻めでも受けでもイケる口やなんて……あかん、胸が滾ってきたわ」
「君は何処をみてんだよ」
「………ぼ、僕をなじって、罵って……ふ、ふ………踏ん、づけた……ぶひぃ………」
「だから恥ずかしがってたら意味ないでしょ!? 自信のない男の言う事なんて、誰が聞いてくれるのよ!」
「そもそも自信満々に言う事じゃないですよ!?」
そりゃそうだ。
「致し方ない。ベル、これを」
と、折紙がベルに液体の入った小瓶を渡す。
「飲むとドキドキが止まらなくなる不思議な薬」
「ふぁ!?」
「これをアイズに飲ませて押し倒せば全て上手くいく」
「いきませんよ!」
というかいっちゃ駄目だろそれは!
折紙もハッと気付く。
「……ごめんなさい、確かに安易だった。襲われて身も心も陵辱されてしまうのはベルの方だった」
「何言ってるんですかあああああ!?」
「……………!」
士道はあの薬の使い道を何に使うつもりだったのかを考えるだけで寒気が止まらない。
「……今ある情報を踏まえても、〈ソード・プリンセス〉は元々の好物を食べるために静粛現界したと見て間違いない」
反転体ではあるが、十香と違い少なからず元の人格、記憶を有していると見ていいだろう。ジャガ丸くんの味全網羅してたし。
つまりアイズは、十香の時と異なり知り合いを覚えている。ベルの事を知っている。
「けれど、関心が限りなくゼロに近い状態にある。そこさえ覆れば、攻略の糸口になる筈なんだけど………」
「………………」
関心ゼロと言われ、少し落ち込むベル。
「とは言え、どうする? 宿命を背負いし運命の子がこのままでは、我々の求めし希望には依然遠く…………」
アイズを攻略しなきゃいけないベルがこのままではアイズの霊力封印どころではないと言っています。
「………時間もない、か。こうなったら作戦を組み替えるわ! 士道、準備なさい!」
「へ……?」
士道、十香、ベルの3人は街中を歩く。
「えっと、これは一体…………」
「うむ! デェトだ!」
「なんか、妙なことになってきたな………」
『ごちゃごちゃ言わないの。ベルが出来ないなら、士道が手本を見せるしかないでしょ!』
インカムの向こうで琴里が叫ぶ。
新たな作戦とは、恥ずかしがったり困惑して行動に移せないベルにまず士道が先にやり羞恥心を消したりするというものである。
ベルが士道を見本とするダブルデート。口説き役が2人いる今だけ行える特別な作戦である。
『納得出来ない。何故十香なの? 士道の隣には私がいるべき』
『口説かれたらそのまま路地裏や宿に連れていきそうだからでは?』
『か、かか、その程度で我が嫉妬に取り憑かれる筈が……ぐぁー!! やっぱり納得いかない! 私の方が絶対いいし!』
『まあまあ耶俱矢様。食いしん坊キャラの十香様の方が、アイズ様を口説くモデルとしては最適ですし』
『リリルカの私と耶俱矢に対する対応の違いを問いたい』
『行いの結果です』
『外野がうるさいでしょうけど無視してちょうだい』
今は目の前に集中するべきである。大丈夫かなぁ?
などと歩いているとアイズを見つけた。別の店でジャガ丸くん食ってる。
「いいか、ベル。まずはダブルデートに持ち込むんだ。でなきゃ、何も始まらない」
「う、うん……!」
士道の言葉に頷きアイズを探す。
すぐ見つかった。別のジャガ丸くんの売店にいた。
「ア、アイズさん! 今は、何を………」
「………………」
売り切れと言われ別の店に移動するアイズ。華麗なスルーにベル、ダメージ。
「──どうしたんだ十香。ジッと屋台を見て、ジャガ丸くんを食べたいのか?」
「ばっ、馬鹿に言うな、シドー! 私達はベル達をさぽーとせねばならんのだ! 決して私も食べたいなどとは……などとは……………」
「ははっ、悪い悪い。けど、俺が食べたくなってさ。一緒にジャガ丸くん巡り、しようぜ?」
と、士道と十香がそんな会話を始める。
「そ、そうか………それならばしょうがないな! シドーのために付き合ってやろう! ふふっ」
誘った!
「アイズさん! 僕と一緒にジャガ丸くん巡りをしませんか!?」
「………ジャガ丸くん巡り?」
初めて、反転したアイズがベルを見た。
「は、はい! 僕、いっぱいジャガ丸くんを食べたくなっちゃって………美味しいお店も知ってるんです! どう、ですか?」
「……………いく」
『でかしたわベル!』
『やるじゃないか、ベル君! 第一段階クリアだ!』
アイズが頷くと、琴里とヘスティアがベルを賞賛する。漸く無視されず、存在を認識された。
(あのアイズさんを一発で呼び止められた!? すごいっ、士道しゅごいいいいい!!)
士道はベルの好感度を爆上がりさせた!
(いや、俺もデートの達人ってわけじゃないんだが………ベルがいると逆に客観的になれるというか、冷静になれるというか……とりあえず全力でサポートするぜ! ついてきてくれ、ベル!)
(一生ついていくよ、
この二人はそもそも相性がいいらしい。どれぐらいいいかと言うと、もう視線だけで会話が可能なほど。
「十香、あっちにジャガ丸くんスペシャルサンデーが売ってるぞ? 一緒に食べにいかないか?」
「アイズさん、あっちでジャガ丸くんジャンボパフェが売ってます! 一緒に食べに行きませんか!?」
「行くぞ!」
「行く」
ジャガ丸くんとは一体?
それはきっとジャガ丸くんであり、ジャガ丸くんであるが故にジャガ丸くん。つまり、ジャガ丸くんはジャガ丸くんで、全てはジャガ丸くんなのである。細けえこたぁ良いんだよ。
「十香、食べ比べしようぜ。ほら、あーん」
「う、うむ………あ、あーん」
「アイズさん、た、食べ比べしませんか? ほ、ほら、あーん──」
「──はむっ」
「ほあああああ!? 指っ、僕の指食べてますからぁアイズさぁぁぁん!?」
「十香、ジャガ丸くんが口についてるぞ? とってやる、じっとしてろ」
「む、むう? す、すまぬ、シドー………」
「ア、アイズさん、ジャガ丸くんが口に付いてますよ? とってあげます! じっとしててください……」
「……………ん」
目を閉じ口元をベルに向けるアイズ。まるでキスを待つかのような顔に、ベルの鼓動は高鳴る。
「………ベル、まだ?」
「い、今取りまーす!?」
「あががが!」
ヘスティアは頭を押さえ苦しんでいる。
「士道の
「私達の時はあんなにデート上手くなかったじゃーん! 何で十香だけー!? 納得いかないしぃ!! リリルカー! 十香だけずるいよ〜!」
「よしよし、ずるいですね〜。帰ったらデートしてもらいましょうね、耶俱矢様」
「十香さん、いいなぁ………」
「よしのおねえちゃん。ん………!」
「これは、ノエルちゃんったらリリちゃんの真似して膝枕の姿勢を!」
「はっ、寂しがり屋美少女×バブミー幼女と、ロリ×ロリ!? これやぁ! うちの脳を癒すには、これしかない! リリたん、ノエルたーん! うちもー! うちも膝枕して〜!」
「シャバラ様、シュヤーマ様、殺さない程度に噛み殺してくださ〜い」
「ぐわあああ!! 噛み殺される、神だけにいい!?」
ベル達が上手くいけばこちらは阿鼻叫喚の地獄絵図。琴里ははぁ、と最早頭痛が痛いという境地に達しそうになっていた。と……
「来た! 選択肢!」
1.お腹も膨れたし、そろそろ僕の部屋でゆっくり
2.よく食うメス猫だな。そんなに餌が欲しいなら、俺の部屋で……
どうやらAIは今のアイズからの好感度なら部屋に連れ込めると判断したらしい。
「どっちに転んでもバッドエンドじゃないかあああ!?」
「バッドな訳無いでしょ! 〈ソード・プリンセス〉をデレさせるって目的忘れてんじゃないわよ!」
「2番だ! 2番の方がまだ断られる可能性が高い!!」
だから目的忘れるなっての。
「2番だな。
「な、なんだって!?」
「安心せえ、ドチビ……どっちの選択肢にせよ部屋に連れ込んだ瞬間、うちらの最終兵器レフィーヤを投入したる」
「だーかーらー! 霊力の封印出来なかったら、討伐対象になるの忘れてんじゃないでしょうね! シャバラ、シュヤーマ! 神殺しなさい!」
「「うぎゃああああああ!?」」
琴里はこめかみを揉みながら選択肢を見比べる。エピメテウスの発言からして、ベルに似た誰かがそんな事を言って女をデレさせていた?
「2番よ、ベル」
「断れ! 断るんだっ! ヴァレン何某君ー!!」
「ああもう、うっさい! 耶俱矢、ちょっとその紐おさえといて!」
「心得た! って、そもそも何この紐? ものすごく掴みやすい………取っ手?」
「ぎゃー! ベルくーん! ベルくぅぅぅぅん!!」
「言えるわけありません!?」
『信じなさい! 私達の世界の最先端技術の結晶を!』
「僕は貴方達の世界そのものが信じられない!!」
ベルの言い分も尤もである。が………
「ふふっ、かわいい子猫ちゃんだな。俺の部屋に来れば、もっと美味しいものがあるぜ?」
「ぬっ! 本当か、シドー!? 行く、行くぞ!」
(い、言い方か…………さすが
(本当ならルール違反だけど、ベルは初心者だし、これくらいは……)
やはりこの二人相性が良い。
「フフ。かわいい子猫ちゃんですね。僕の部屋に来ればもっと美味しいものが………」
「──あら、あら。それは楽しそうですわねぇ?」
意を決し、照れながらも何とか言えたベルだが反応したのは狂三であった。
「くっ、狂三!? 何でここに…!?」
「あらあら、ご挨拶ですわね。アイズさんを見つけ出せたのは一体誰のおかげでして? これくらいの役得があってもいいではありませんの」
「だ、駄目だぞ狂三! 今ベルとアイズ、シドーと私はデェトをしていふのだ!」
十香がそう叫ぶが、屋根の上から、道の角から次々狂三が現れる。普段は影から現れるが、何らかの理由で影にしまっても消えてしまうからだろう。
「つれないことを仰らないでくださいまし。よいではありませんの、よいではありませんの」
「そうですわぁ? わたくしも士道さんに、あ〜んしたいですし」
「あら、わたくしは、ベルさんのほっぺについたクリームを舐め取るというのもぉ………」
「…………モンスター?」
無数に現れた狂三を見て、アイズは首を傾げる。
「違います! 違いますからぁ!」
『士道、ベル! 落ち着いて! どうにか立て直すのよ!』
「た、立て直すって言ったて!」
『今応援を向かわせたわ! 彼女達が狂三を抑えている間に、その場から離脱して!』
「応援?」
次の瞬間、吹き荒れる颶風。
「くかかかっ! 咲き乱れるデートの饗宴とあらば、我が出てこぬわけにはいくまいて! さあ、士道! 我ともデートするがよい! ていうかもう我慢出来るかぁー!」
「士道、あーん」
「ベルくぅぅぅぅん! 無事かい!? 何もされていないかい!?」
「ついでにリリも居ますよ。ノエルの付き添いです」
「み、皆さん、狂三さんを、止めるだけですよ?」
「やっつける?」
「おお、ノエルちゃん結構過激ー! 流石、昔神様に戦う為に贈られた精霊だね!」
「余計ややこしく成りそうなんですけど!?」
『ちょっと貴方達!? 狂三を止めるっていうから許したんだけど!?』
琴里の悲鳴が聞こえた。上に立つ者の悲哀が、その声にありありと含まれている。
「安心して。任務は果たす。さあ、士道とベルはこちらへ……」
折紙はすぐさま二人を回収する。
「耶俱矢とリリとヘスティアと四糸乃とよしのんとノエルは十香とアイズを連れて逃げて」
「よしきた! って、バランス悪くないかい!?」
「そうだし! 何でベルと士道だけそっちなわけ」
「──聞いて。士道とベルを見ていて、気付いたことがある」
耶俱矢達の非難に、しかし折紙は淡々と応える。
一体何に気付いたというのか?
「かわいい後輩ベルと、それに頼りにされる先輩ポジションの士道という取り合わせも、悪くない」
「真面目な顔で何を言ってるんだよう!?」
「かわいい後輩にじっくり見てもらいながら、士道とマチュピチュしたい」
「んな……!?」
「ベル君に変なもの見せるなあああ!!」
耶俱矢は赤面し、ヘスティアも
「変ではない。私達の世界に存在する遺跡の名前。
「せ、赤面なんてしてないし!?」
「…………あれも、モンスター?」
「………ある意味、合ってるのかもしれない」
折紙の放つ光が、耶俱矢の起こす旋風が数多いる狂三の数を削る。四糸乃は攻撃がとんできても良いようにノエルと共にみんなを守っている。
「あら、あら……皆さん異世界で、素敵な出会いがあったようですわねえ」
「ふふん! これぞ宿命、羨ましかろう!」
「羨ましい? さて………わたくしも、素敵な出会いがありましたので」
「……………何?」
「きひひ、きひひひひひ! ではわたくしもぉ、異界にて出会った
『霊力反応が接近! 大きい。この霊力は………は、〈ナイトメア〉!?』
「狂三の分身か!?」
ドン! と空から何かが降ってくる。その衝撃で石畳が砕ける。土煙の中に人影があった………小柄な、子供のような人影。
「…………何の遊びだ」
「え、この声………」
人影が片腕を薙ぐ。土煙が吹き荒れる風に吹き飛ばされた。
「…………
白い髪に………
『皇子系ショタ、やと!?』
インカム越しにその光景を見るロキが叫ぶ。
皇子系………そう呼ばれる服装に身を包んだのは、【
「何でコイツ等とまた会ってんだ、狂三お姉ちゃん」
「え、姉様?」
狂三の呼び方に困惑するリリ。
「リリルカ、知り合い? 味方って感じじゃないけど、念の為弱点とか聞いて良い?」
「兄様の弱点ですか? えーと、まず近接戦は勝てると思わないでください。種族特性、なにそれってレベルで硬いです。物理攻撃はまず効きませんし、力も滅茶苦茶強いです。白兵戦はアイズ様より遥かに強いです」
「なら、遠距離から……!」
「そして遠距離攻撃は基本的に殆ど吸収され威力が半減する上に吸収したぶん魔力が回復します」
「え………じゃあ、えっと………遠距離からチクチク攻撃し続けるとか?」
「後、食べ物でも食べ物じゃないのでも、何でも食べて回復します。食べ物じゃないものじゃ大きな傷は治せませんが、それでも多少の傷は治ります」
総合すると、剣の精霊である十香と互角のアイズよりも遥かに格上の白兵能力を持ち、遠距離からの魔力、恐らくは霊力攻撃も威力を下げられた上に魔力を回復させられ、削ろうにも回復能力持ち。
『ふざけんな! レイドボスか!?』
琴里が思わず突っ込んだ。
「…………リリ、その格好は?」
「ん? クク、気づいたか。これぞ我が半身に与えられし伝説級装身具〈
「お前は………そうか、死ね」
「へ?」
次の瞬間、耶俱矢が消え拳を振り抜いた姿勢のリリウスが代わりに佇む。遅れて世界が気付いたように石畳が抉れ衝撃が駆け抜けた。
「…………あ? 思ったより硬ぇな」
異界の精霊を………最新技術の装備に身を包んだ集団でも尚勝てぬ存在を、リリウスは拳1つで吹き飛ばした。
「か、耶俱矢………? は、え?」
「っ!!」
士道が現実を認識しきれず、異界の精霊達が慌てて天使を顕現させリリウスも迎え撃とうとして………。
「だぁ、め、ですわリリウス。ここで事を構えたら。ほら、初撃で街がこんなに」
「………………」
その言葉にリリウスは周囲を見る。成る程、砂場の上で戦えるのは虫のみ。リリウスが暴れるとなれば、簡単に踏み潰してしまう。
「失礼いたしました、士道さん………どうぞ、彼女にも謝っておいてください。帰りますわよ、リリウス」
その言葉とともに狂三が影に沈んでいく。リリウスも己の影に沈み始めた。
「ま、待ってください
「……………世界を救うため?」
どういう意味か、それを聞き返す前にリリウスは完全に影の中に消えた。
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