ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
【モテない女神と愉快な眷属】が残した真夏の浜辺でしたいことは全部で6つ。
一つは『彼氏と波打ち際で追いかけっこ』。
棒読みをリテイクさせられ、何故か大衆演劇みたいなことをしでかしたりした辺りからリリは興味を失ったかのように砂の城を作り始めていた。
因みにそんなコントのような光景でもモテない男にはムカつく光景だったのか絡まれていたがLv.3のベルが瞬殺した。
2つ目の『かっこいい男の子にナンパされたい』はお祖父ちゃんの真似をしたベル君。その後すぐに素を出してしまったが、むしろそのギャップにエイナはやられかけていた。
因みにエイナの好みのタイプは『ちょっと情けないところがあってついつい支えたくなるようなベル君みたいな男の子』である。もうベルと素直に言えばいいのに。
3つ目は『1本のストローでトロピカルジュースを飲みながらイチャイチャ』で…………。
「飽きました」
リリが飽きた。
「なんというか、そりゃそうだろって話なんですがモテない連中が必死に考えたアオハルって感じが鬱陶しくて痛々しくてそりゃモテないな〜としか思えません」
「い、言うねえリリちゃん…………でも、ほら………リリちゃんもモテる訳じゃ」
「リリはモテますよ? ダンジョンでその人と目が会う時だけ微笑んであげると『あれ、こいつ俺のこと好きなんじゃ』と勘違いする冒険者は多いのです」
そして、モテない男達は自分を好きかもしれない女に好意を抱く。分け前を増やしたり、飯を奢ろうとしたり、他の男を牽制したり。
「え〜、笑いかけるだけで?」
「相手に合わせて笑顔を変えるのがコツです。ただ気づいたから笑っただけに見せたり、こんな風に目が合ったことを秘密ですよ? というように笑ってみせたり」
目を細めクスリと微笑むリリ。ミイシャは思わずドキリとした。
「うう〜、こう?」
「ノエルはそのままが可愛いから、無害さをアピールしましょう」
何を教えてるんだ何を。
「というわけでノエル、海で遊びましょう」
「? うん」
「あれ、ベル?」
「な、なあ! あ、貴方達何を!?」
アイズとレフィーヤが現れた。
「面白いことになってきました」
「おお、リリちゃん解ってるよ!」
此奴等は…………。
よく見たら2人だけでなく、顔を真っ赤にした女達………【ロキ・ファミリア】の女達だ。女しかいない。あ、リヴェリアも居る。
ハーフとは言えエルフのエイナがこの光景を崇拝するハイエルフに見られてどんな反応を…………。
「……………」
「し、死んでる!?」
「………………」
「リヴェリア様!?」
エイナとリヴェリアは互いに立ったまま気絶していた。
「なんやぁ、エイナちゃん年下が好きやったんか」
「違います!」
「アミッド? 貴方まで…ていうかよくオラリオの外に出れたわね」
「今は解呪中ですので」
「解呪?」
「ははあ、そんな面白………面倒なことになっとるんやなあ」
「ていうかなんで貴方、この短期間で2回もデートで女の人を救うことになってるんですか」
ロキが笑い、レフィーヤが呆れる。アイズは………胸がなんだかモニョモニョした。
「でも納得できません! あんなにくっつく必要あります? 顔面だってデレデレしすぎです!」
「デレデレなんてしてません!」
「ふん、そんなに余裕ぶって。追いついてるからって油断してたらすぐ置いてってやるんですから!」
「なんかレフィーヤ、この子にあたり強くない?」
「
エルフィの言葉にふふん、と胸を張るレフィーヤ。ライバル? と首を傾げる。
「そうです! 私は、同じLv.3に並ばれたり、アイズさんを救うのを任せることになっちゃったり、色々あっても、負けたくないって思ってるんです! 朝起きたら今日は何をしてるんだろう、夜寝る時は今日はどれだけ修行したんだろうと、寝ても覚めてもベルの事を事を考えてるのに! なのに、女の人とばかりイチャイチャ! 許すまじ、ベル・クラネル!!」
これって好きな人の話? と視線で他の団員に尋ねるエルフィ。リリは面白くなってきたとノエルを膝に乗せ観戦。
「だいたい、本当に
「う、うう………!」
と、エイナが急に蹲り苦しみ出す。
「もっと、したい………もっと………」
「エイナさん?」
「もっと、イチャイチャしたい…………」
「………え?」
「しまった! いけません! また
標的は、レフィーヤ。
「ああ、ウィリディス氏………近くで見ると、とてもキレイですね」
「え? え? え?」
異様な気配にレフィーヤが後ろに下がれば、エイナは一歩前に出る。
「ああっ、エルフらしいこの白い肌………触るとスベスベで、心地良いです。ふふ♪」
「ひあぁ!?」
首筋を触られビクリと震えるレフィーヤ。リリはノエルの耳を塞ぎ、シュヤーマがペタリと肉球で瞼を防ぐ。
「? リリ? なにもみえないよ?」
「まだノエルには早いですから」
でもリリは見る。
「ちょ、ちょっと何をして! ま、待って!」
「いーえ、待ちません。貴方とイチャイチャしたいです。ふふ」
スルリと白蛇のようにレフィーヤの腰に巻き付くエイナの腕。頬は互いに紅潮していく。
「ダ、駄目ですエイナさん! そんなことしたら…うわわっ!」
「ええ!? そ、そこまで触るの!?」
「そ、そんな………あんな事まで!」
「くはぁ〜! たまらん、うちも交ぜてぇ!!」
「あ、ロキ! この馬鹿!」
「かふ!」
「リヴェリア様が吐血した!?」
「どどどどどうすれば!?」
う〜ん、カオス。
「死にたい」
リヴェリアや多くの同胞を含めた【ロキ・ファミリア】女性陣に痴態を見られたエイナは膝を抱えてうずくまっていた。
「済まないベル・クラネル。昨日の今日で本当にすまない…………エイナを救ってくれ」
「は、はい………」
「うち等も手伝うで。男がおったらうちの子達も水着になれんしな」
リヴェリアに両肩を掴まれ凄まれるベル。そりゃまあ知人のあんな姿、見たくないだろう。ロキは、楽しそうだ。
「では次にいきましょう」
【モテない女神と愉快な眷属】が望んだ次の願いは、『カッコイイ男の子から私だけが選ばれたい』。
女の子が取り合うようなモテモテ男子から『僕が好きなのは君だ』と選ばれたい………だそうだ。
「あ〜、なるほど。他の女の子を出し抜く優越感がほしいってことね」
「なんというか、モテないどころか男一人にも恵まれなかった理由がよーく解りますねえ。まあ、ちょうどいいですね、女役の人はこんなにたくさん」
「「「!?」」」
ギョッと目を見開く【ロキ・ファミリア】の女達。
「まあティオネ様やエルフの方々は無理としても…」
「わ、私も無理ですよぉ! す、好きな人いますし…………」
「う〜ん、私は別にいいかな」
エルフ以外の女の反応は様々。まあベルがゴライアス倒すのも見ているし、腕っぷしが強い分男が情けなく見える女冒険者が落ちるには十分な光景か。
「んなもん許すかあああ! うちのかわいい子達が、演技とは言え男に言い寄るなんて絶対に許さへんぞ!!」
「う〜ん。ロキ様、なら、少し耳をかしていただけますか?」
「うん? なんや、うちの弱みでも握ってるとかやったら怖いんやけど」
けど可愛い女の子なので耳を近づけるロキ。リリは顎を軽く打って気絶させた。
「………さて、それじゃあこっちも始めるわよ」
と、仕切るのはアキ。彼女が幹部陣を抜いたリーダーといったところか。
先方はココ。
「18階層でゴライアスと戦うところを見てから、ファンなんですよ〜」
「あ、ありがとうございます………」
「凄いよ、君! すごかった!」
更にベルに近いのは
「可愛い顔してるのに、すごかったよ」
「私も思いました」
そしてまさかのエルフのダブとアニャ。
リリはおお、と感心。本気、という訳では無いが本音ではある。
「ミノタウロスの時もそうだけど、アルゴノゥト君はすっごい勇気あるよね! 私、君が頑張ってる姿を見るとね、すごく笑顔になれるんだ!」
ティオナは特に積極的だ。
因みにベルは混乱して頭の中で士道に助けを求めている。
「ほらほら、エイナ様。選ばれるためにもまず告白しなくては!」
「そうだよエイナ〜。弟くん取られちゃうよ〜?」
「アーデ氏、ミイシャ………楽しんでる?」
「ええ〜? そんなことないよ〜」
「愉しんでますよ」
「チュールさん、呪いを解くためです」
エイナはうう〜と唸り、しかし意を決してベルへと向き直る。その真剣な視線にベルも姿勢を正す。
「べ、ベル君……わた、わたしも……き、君のことが………好き、だよ…………」
「!!」
思わず顔を赤くするベル。しかし直ぐに首を振る。
エイナは呪いを解くために頑張っているんだ。したくもない告白をしている。恥ずかしがらずに、僕も!!
「ぼ、ぼぼ、僕も………エイナさん、と…………わ!」
「………………あ」
エイナに向き直ろうとしたベルの肩をアイズが引っ張り振り向かせる。
「…………アイズさん?」
「…………えっ、と」
困惑するベル。アイズも自分の行動に困惑しながら、無意識に左手の薬指を撫でる。
「………いや」
「へ?」
「君を、渡したく………君に、行ってほしくない」
「え………いや、そ、その………演技ですし。別に、何処かへ行く訳でも」
「あ、そう………だよ、ね」
なんだか周りの方がドキドキしている。顔が真っ赤だ。でもレフィーヤは別の意味で顔を真っ赤にする。
「は、離れなさいベル! アイズさん相手に、変な勘違いしないように!!」
二人の距離を離すように腕を掴み引き寄せ、アイズがまた反射的に掴む。
「リリ知ってます。極東では相手を思い手を離した方が本物なんです……まああれは親子ですが」
しかしこれ、どうなるんだろう、とエイナを見るリリ。なんか黒いオーラが物理的に出ていた。
「ふ、ふふ、ふざ………ふざ、け…………ふざけるなあああああ!! この、モテ女共おおおおおお!!」
「なんか出た!?」
黒いオーラが噴火のように吹き出し、形を取る。
「まさか、
吹き出た黒い靄は形を成し、現れるのはドレスを着た骸骨。
『忌々しい、見るからにモテるモテ女共め! 私達の死後の願いすら踏み躙るというのか!!』
どうやらあれが【モテない女神と愉快な眷属】共の怨念が集まったものらしい。実体化する程の呪詛とは、大した
『何よりもお前だあ! 好き勝手言いやがって! その気配。見れば解る。そのオーラ、お前、モテ女だな!?』
「おっと、勘違いしないでください。リリがモテるのは男達が引っかかるように誘導していたからです。もう嫌がらせで時間潰す必要がないので今のリリはただのチビで人畜無害な
無害?
「つまりリリがモテるのは努力の結果。あなた達がモテなかったのは、単純に性格があれなのでは? 沢山の女に言い寄られる男に選んで欲しいとか、絶対彼氏出来ても他人の彼氏と比べて身勝手な怒りを覚えるタイプですよね? そのくせ、それが態度に出て振られると怒るタイプです」
『生々しい話はやめろお!!』
叫ぶ怨念。おのれぇぇと言葉通り呪詛を呟く。
『全てのモテ女は敵! まず貴様からだあああ!』
と、リリに向かって爪を振るおうとする怨念だったがリリは慌てること無く怨念の背後を見る。
「何してんだお前」
『ぐぎゃあああ!?』
木の板に乗ったリリウスが木の板ごと怨念にぶつかる。木の板の底に無数に突き刺さった魔石がおろし金のように怨念を吹き飛ばす。
『ぐぅ! またしてもモテおん…………おん? 貴方、男だな!』
「…………何だこいつ?」
「呪いです。気をつけてください」
「呪い? ノエル、精霊の奇跡」
「えい!」
リリウスの言葉にノエルが呪詛を消し去り傷を癒す精霊の奇跡を使った。シュウウウウウと音を立て白煙を立てる怨念。
『ぐあああああああ!? ぐ、うう! なめるなあ! 我等が怨念、たとえ精霊の奇跡でもおおお!!』
「耐えてやがる」
『キスしたいいぃぃぃ! デートしたいいいぃぃぃ! 真夏のビーチで男の子とおおおお!!』
未練を口に出し存在をより強固にする怨念。
『なんで誰も私たちを相手しない! あの女達より、私の何処が劣っているっていうのよおおお!!』
「全員が全員とは限らないが、そういうところだろ」
『うるさい黙れエエエ! キスしろおおおお!!』
「……………良いぞ」
『────え、いいの!?』
「リリウス!?」
「兄様!?」
怨念の言葉をあっさり受け入れたリリウス。ギョッとする一同。男に飢えた怨念は関係ない。
『ふ、ふふふ! きた、ついにきたああああ! 我が世の春が! 生きててよかったあ!!』
「いや死んでるでしょ!?」
『いただきまああああす!!』
「いただきます」
次の瞬間、愚かにもリリウスの口を目指した怨念の頭部が消えた。
「……………うわあ」
「もぐもぐもぐ…………ゴクン」
リリウスはよく噛んで怨念を飲み込んだ。
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