ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「それで、さっきの呪いはなんだ? 女神の血……穢れた……狂った? 精霊に近かったが」
恐らくは『神秘』持ちの
呪詛が実体化するというアミッドもびっくりな現象はそれが由来だろう。
「じつはかくかくしかじかでして」
「まるまるうまうまと言うわけか…………ベル、この短期間で2度も女をデートで救うのか」
「あ、あはは………自分で体験すると、士道って本当にすごかったんだなぁって………」
アミッドの言葉に納得するリリウス。ベルに感心しているのか呆れているのか分からない視線を向け、ベルは苦笑し友人の名を出す。
「ところで、ドゥルガー様のご機嫌は?」
「治った。今は中で寝てる」
何よりです、と笑うリリはチラリとアミッドを見た。
「デートお疲れ様でした」
「!?」
アミッドが肩を震わせた。
「デートしたのですか?」
「ああ」
「…………今、アリーゼさん達はいない…………」
リリウスの即答にアミッドは何やら考え込むと、意を決したように一歩歩み寄る。
「リリウス、私ともデートしましょう」
「「「!?」」」
あのアミッドがデートに誘う光景にベルとリリを除いた、誰もが驚愕する。
「いいぞ」
「………はい」
アイズと同じく、普段人形のように無表情な彼女がはにかむ姿に【ロキ・ファミリア】団員も同性ながらときめく。
「オラリオでか?」
「いえ、呪いの書に『彼氏と一晩同じベッドで過ごす』という項目もあったので後一日は泊まる予定でした」
「「べ、ベッド!?」」
ベルとエイナが顔を真っ赤にする。
「テアサナーレ氏!? ほ、本気で私とベル君を!?」
「呪いを解くためです」
「──────」
「リヴェリア様が再び気絶してらっしゃる!」
リヴェリアはまた気絶した。90年も交際経験のない生娘には刺激が強すぎたらしい。
「で、でも、同じベッドなんて………」
「だ、大丈夫です! そうなっていても、絶対指1本触れませんから!」
「「「……………え?」」」
エイナを含めた女性達が固まる。
「……………えっと、ベル君? ベッドで一晩過ごす意味って、解る?」
「? そのままの意味ですよね、同じベッドで、寝る」
「そう、ですけど………寝て、眠るだけ?」
「ほかには、何もしないの?」
「…………? 他に、何かするんですか?」
「ベル様ったら、いやらしい妄想をするエルフよりよっぽど清らかですね」
残念ながらリリの言葉に文句を言えるエルフは居なかった。
「リリも残りましょうかね。ベル様はどうします?」
「僕は、神様を留守番させちゃってるし、帰れるなら帰り──」
「ベェルくぅうううううん!!」
神様が現れた。
「神様!?」
「場所を伝えてたんですか?」
「し、してない!」
リリの言葉に心配かけたくないからバレないようにしたのに、とベルが困惑している。
「この手紙はどういうことだい!?」
「どれ…………」
『神様。少しだけ
追伸 お土産を買ってくるので楽しみにしていてください! 新鮮なお魚にしようと思います』
「ちゃ、ちゃんとメレンにいかないって書いたのに!?」
「むしろメレンに女の人と行ってくるとしか読めないぞ!」
「何やうるさいなぁ………げ、ドチビぃ!」
「うわ、ロキ!?」
気絶から目覚めたロキとヘスティアは睨み合う。
「なんでお前がここにおるんねん! うちの子達との楽しい旅行が台無しやぁ〜! 帰れ帰れ〜!」
「いやだね! 僕はこれからベル君とメレンを満喫するんだ〜!」
リリウスは面倒なのでさっさと移動することにした。
と、その前にリヴェリアに声をかける。
「おいリヴェリア」
「はっ………な、なんだ?」
気絶から復活したリヴェリアはリリウスに向き直る。
「…………リヴァイアサンにとどめを刺したのはアルフィアだよな?」
「ああ………」
「要するに叩き潰したって認識で良いんだよな?」
「それがどうかしたのか?」
「なら何で、『
「……………なんやと?」
リリウスの言葉にロキが振り返る。
「穴こそ空いてなかったが、頭蓋骨が持ち去られてた」
黒竜、ベヒーモス同様三大
「……………それは」
「あれと同格の遺骸を食ったモンスターがどうなったか、俺達は知っているはずだ」
勿論まだ生きていたベヒーモスの心臓と同じことが起こるとは限らない。だが、黒竜の鱗を喰らい変質した竜を見たこともある。
であるならば、再び『復活した厄災』と戦う可能性がある。
オラリオはあの時より層は厚くなってはいるが………あの時のベヒーモス亜種は、子を産むという特性を思えば魔石を切り分けて元より本体に劣る性能を更に下げていた筈。
「新しく猪に追いついたのはあそこのオセロどもだけだったか………なら、お前等は『その時』は露払い程度にはなれよ」
リリウスはそう言うとアミッドと共に浜を歩く。
「そもそも何を話す?」
オラリオの外での冒険については傷について説明する時に大体話し終えた。迷宮内での出来事でも話せばいいのだろうか?
「………ただ、一緒に歩くだけでは駄目ですか?」
「………………駄目ではない」
「…………あ?」
端まで歩き、折り返して元の場所に戻ってきたらアイズがティオナに抱きついて震えていた。
水に怯える子猫みたいだ。
「泳げない……?」
「ちが、くて。その、水が少し苦手なだけで、体が固まっちゃって…………」
「アイズ、何で強がるの?」
「褒められたいんやろなあ」
「…………………」
リリウスはふむ、と考え込んだ後、笛を咥えて水の中に潜る。沖の方から何かやってきた。
「え、何、鮫!?」
「いえ、あれは………鯨?」
現れたのはイルカのようなクジラのような、白と黒の生き物。なんか、模様が目みたいで可愛い。
「今はニョルズに預けてる、この辺りの海の見張りだ。こいつ等に掴まって水に慣れろ」
「だ、大丈夫? 食べられない?」
「きゅ、きゅい、きゅきゅう!」
「きゅいきゅきゅ、きゃう!」
「『大丈夫、溺れさせるのは好きだけど自重するよ』『亀みたいにキャッチボールのボールにもしないよ、重そうだし』と言っている」
「………………!」
「アイズたんが警戒のあまり海からすごい勢いで走り去った!?」
木の陰からジッとリリウスのペットを睨んでいる。
アミッドは興味深そうに眺め、触れる。キュウ、と鳴いた。
「この子達、クジラの一種のようですが流線的というか………」
「ああ、速いぞ。恩恵も持ってるからな。名前はシハチ・ヤンクルとモハチ・ヤンクル」
「また恩恵持ちの動物」
「レ、レベルは?」
「3」
「き、きゅう!」
「きゅう!」
「4だってよ」
レフィーヤ含めた一部の団員が落ち込んだ。
第二級と第一級は一線を画すが、Lv.4と3が同格というわけではない。
犬といいシャチといい、リリウスはブリーダーとしての才能が高いらしい。
「ん〜、そんな強い奴等がおるなら、食人花について聞いてくれへん?」
「ああ、それならさっきぶっ殺した」
「………おるんか」
「よく遊び殺しているらしい……」
個体によってはLv.4もある食人花だが、元々水棲ではない。環境もありシハチとモハチのいい相手になったようだ。
「また定期的に補充されるらしいが…………ほら、ちょうどあそこのとか」
「……………ん?」
ロログ湖に一隻の船が入ってきた。それを襲う食人花。
「何冷静にしとんねん! ティオナ、ティオネ!」
「うん、オラリオの外の冒険者じゃ………」
「いや、少なくとも二人、お前達より上だ」
「え」
どういう意味か、尋ねる前に食人花の頭が斬り飛ばされた。
錐揉みしながら湖面に落ちる首。遅れて頭部を失った体が水底に沈んでいく。
「全員アマゾネス………濃い
「「!?」」
リリウスの呟きにティオネとティオナが反応する。
「……………一応挨拶しておくか」
「挨拶?」
「ドゥルガーの母親だからな」
その言葉に首を傾げる【ロキ・ファミリア】。リリウスが精霊と契約していることは知っているが、その契約精霊の名前や、元の神は知られていない。
「……………私達も行くわ」
「え、行くの?」
ティオネがついていこうとし、ティオナは困惑しながらもついてくる。リリウスとしてはどうでもいいので港に向かう。
こちらに向かっている影に気付いたのか、既に船からこちらを見下ろすアマゾネス達が居た。その中に、飛び抜けて強い2人。
匂いが似ている。姉妹か………アマゾネス姉妹はレベルが揃うのだろうか? なんてどうでもいいことを考えながら船に近付く。
「リャガ・ル・ジータ……………ディ・ヒリュテ」
やはりヒリュテ姉妹の知り合いのようだ。と……
「懐かしい顔が……………お、おお!?」
同じように覗き込んでいた女神がヒリュテ姉妹に笑みを向けていたがリリウスに気付くと立ち上がる。彼女が女神カーリーだろう。
ボロボロの羊皮紙を取り出すと書かれている絵とリリウスを見比べる。
「きひ! きひはははは! まさかまさか、立ち寄ってすぐ会えるとはなあ! 会いたかったぞ!! 【
そのままリリウスに向かい船から飛び降りてくる。
リリウスは半歩下がり、このままじゃ神が潰れると思い仕方なく受け止めることにした。
「妾のものとなれ──!」
「え、嫌だ」
「そういうな! それよりも、矢だ! あの矢、打ってみろ! 発動を感じたが破壊は見ていない、見せろ!」
「え、嫌だ」
「ああそうだ! あの2人、嫁にどうだ!? きっと最強の戦士が生まれるぞ!」
「え、嫌だ」
「むう、何と冷たい。む、だが…
「ふざけるな!」
と、リリウスの身体からドゥルガーが飛び出してくる。三眼、十腕、白磁の肌と精霊体で、その表情は独占欲に満ちている。
「ぬ!? 御主、ドゥルガー! 役目も果たせず帰ってこないと思ったら、何をしておる!」
「この男は妾の物だ! 死後、その魂は妾が貰う。たとえ母でも譲りはせぬ!」
カーリーは仮面で顔の上半分を隠してはいるが、こうしてすぐ前にたてば、成る程
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