ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「お主の役目はあの時代に殺戮を振りまくことであろうが!」
「役目よりも優先したいことがあったまでよ。
精霊って神に逆らうこともあるんだな、とリリウスは思った。
「なるほど? 前世から妾の分身が目をつけるほどか………」
「……………! 渡さん!」
益々興味を持たれた。ドゥルガーは慌ててリリウスを抱きかかえると距離を取る。
「惜しいのぉ。妾が先に見つけていれば、お主は妾のものになったかのう?」
「可能性の話など無意味だろ。俺はお前に出会わなくて、お前は俺を見つけなかった。それだけだ」
「違いない………まあ、ヴィシュヌにその名を名乗ることを許され、ソーマの眷属でもあるお主に手荒な真似などせんよ」
「ソーマと仲がいいのか?」
「というより敵に回したくない。シヴァと喧嘩できるダクシャの娘を妻に貰いながら、平気で浮気する程度には実力があるし」
今は酒にしか興味なさそうなのに、結構女好きの一面もあるのか。
「下界で神の力、権能は使えずとも技術は持ち越し。技力が同程度ならば、体格差のあるソーマが有利じゃからなあ」
最近は酒造りで引きこもって鈍っているかも、と思ったがそもそも神は不変。司る事象はもちろん、備え付けのそれらも不変なのだろう。
それはそれでつまらなそうだ。だからこそ、下界に降りてきた訳だが。
「まあ、気が変わるのをいくらでも待つ。殺し合いがしたいというのなら、それも歓迎じゃ」
そう言い残すと船へと戻ろうとするカーリー。
「カーリー!」
「む? おお、ティオネ! 忘れておった。うむ、うむ……大きく育ったのお」
「何処見て言ってんだ!」
カーリーの視線は胸部に向けられていた。次にティオナを見る。
「………大きくならなかったの」
「何処見て言ってんだコラー!」
キシャーと叫ぶティオナ。リリウスはふと船を見上げる。砂色の髪をしたアマゾネスの姉妹がそれぞれ2人を見つめていた。
片方は顔の下半分を隠して解らないが、片方は楽しそうに笑っている。蛇みたいな女だ。
「ここに何しに来た!?」
「観光じゃよ。そうだ、リリウス。妾を案内せぬか?」
「え、嫌だ。今デート中だから」
リリウスの言葉にアミッドは顔を赤くして俯く。
「観光だぁ? 適当抜かしてんじゃねえ!!」
「本当だとも。代わり映えしない日常に飽き、刺激を求めて外に出たのよ」
「………観光………どの戦場の
「…………きひっ」
リリウスの言葉にカーリーは鋭い犬歯を剥き出しに笑う。
「やはりお主、ソーマよりも妾の眷属の方が向いておるぞ」
「何度も言わせるな。お前が見つけられなかっただけだ」
「カーリー、てめぇ…………!」
テルスキュラの外に争いを求めて来たと聞き、ティオネはまさか、と睨みつける。
「勘違いするでない。妾は誘いを受けただけで、用意される戦場もお前達が飛び込まぬ限り無関係………にはなるだろう」
少なくともオラリオで事を起こす気らしい。しかし狙いは【ロキ・ファミリア】ではない。
まさか、リリウス? だとしたらここで始めているだろう。
(………狙いは猪共か………クソ猫の壁程度にはなれるか? オセロ共の慣らしにも使え………そこは必要ないか)
【フレイヤ・ファミリア】に喧嘩を売りに来たのだろう。誘われたとなると、美の神のどれか。
美の神なんて有名なフレイヤを除けばアフロディーテ以外興味ないのでどれか解らない。
確か、フレイヤの次に派閥が大きい美の女神は…………椅子、樽………? 自分を美しいと言って憚らない樽のような体型をしたカエルの神だったか………?
なんか混じってる気がしないでもない。
「面倒な騒ぎ起こさねえなら、俺はどうでもいい………ドゥルガー………お前の娘を預かっているから挨拶に来ただけだし。仲が拗れてんならもう良いだろ。行くぞ、アミッド」
リリウスはアミッドと共にその場を後にした。ドゥルガーはリリウスに絡みつき勝ち誇るような笑みを浮かべリリウスの中へと消えた。
さて翌日………リリウスとアミッドはデートの続き。
海洋と繋がるメレンには海の幸に溢れているが何も食材ばかりではない。
宝石珊瑚に貝殻、波に揉まれたシーグラス。
それらを加工した装飾品…………には一切興味を持たず、毒を持つ海藻、薬効を持つ海藻、毒魚などをみて回る。
毒も見るのは使い方次第で薬になるからだろう。
ちなみに、ベヒーモスの
仕事と私生活を切り離さない女。それがアミッドである。
「ほら……」
なのでリリウスが宝石珊瑚の髪飾りを買ってやる。
金色に塗られた貝殻、に良く映える紅。
「…………つけてもらえますか?」
「ん…………」
しゃがみ込むアミッドの銀の髪に触れ髪飾りをつける。
アミッドは髪飾りを撫で、嬉しそうに微笑んだ。と………
「ベル君! 見てくれ、この『メレンらぁめん』、ジャガ丸くんが入ってるんだ!」
「もぐもぐ………軽くスープの味付けでサクサク頂くのもよし、つけて湿らせた衣を食べるのもよしですね」
「ああ、しかも味付けも濃厚な『らぁめん』スープの邪魔をせず、それでいてしっかりと主張している!!」
ベルとヘスティアがメレンの『らぁめん』…………もといジャガ丸くんを味わっていた。
何故か交じってるアイズは『……邪道』と呟きながらも残さずしっかり食べていく。
「………………」
「ご飯、食べに行きます?」
ジッとヘスティア達の食事を見るリリウスにアミッドが提案すると、そうだな、と視線を戻すリリウス。
「んぐ、リリウスお腹空いてるの?」
と、たまたま通りかかったエルフィと目が合った。
「エルフィか」
「…………名前を覚えているんですね」
「【ロキ】で新しく覚えたのは、エルフィとリリと仲良くなったティオナ…………あと、あれ……ティオネスもどきのティオネ」
「う〜ん、どっちかって言うと
と、持っていた袋からイカ焼きの串を掴み渡してくる。
「もぐもぐ。この恩は必ず返す」
「律儀だねぇ。Lv.9に貸しなんて怖くて貸しとけ無いからいいですよ〜」
エルフィはそう言って去っていった。
リリウスは早速イカ焼きを食う。
プリプリで弾力のある身もリリウスの牙の前にあっさり敗れる。
と、その時………
「お、おい! あんたら、勝手に!!」
「もぐ?」
聞こえてきた声に振り返るとアマゾネスが露店に並べられていた食材を勝手に持っていっていた。止めようとした店の店員へ異国の言葉で叫び威嚇する。
怯えた店員にふん、と鼻を鳴らす。
生まれた時から男を奴隷、種としてしか知らない彼女達にとって、男の扱いとはそういうものなのだろう。
「おい………」
「…………? ────!!」
異国の言葉で騒いでくるアマゾネス共。
言語を持つなら態度や向けてくる視線でなんとなく言っていることは解る。
とは言え相手の方にシャバラ達のように言葉を理解する知能…………この場合知識がない。
面倒だし、適当にボコすか。向こうも声をかけられただけでやる気だし。と………
「待ってくださいリリウス」
「? 怪我させるなってのは面倒だぞ」
一般人いるから咆哮を使えないし。
「いえ、相手はアマゾネス。倒した相手が男だと発情することの多い種族です。
「そうか」
アミッドがリリウスの前に出てアマゾネス達を睨むとアマゾネスが襲いかかってくる。
数は3人。1番『敏捷』の高い女が先行し………
「…………!?」
【
下界最高の
大派閥でこそあるものの、純粋な治療系
ならばどうするか? 簡単だ、彼女本人を強くすればいい。
ダンジョン探索に時間を割けないのでステイタス成長は期待出来ない。故に、技術を上げる。
幸いにもオラリオには第一級冒険者以上の絶技を極めながらその技術を秘匿するどころかなんなら広めてもいいと思うほど人類に寄り添い、一般的な金額より安くても快く教導を行ってくれる貧乏武神が居る。
つまり、アミッドは
そして人を傷つけることを嫌う彼女は…………
「ぎ、ぐ………!」
「あまり暴れないでください」
残り2人のうち1人の首を足で絞め、もう一人の腕を絡め取り関節を極めている。
完全に極まっている。それでも闘争心を剥き出しに藻掻くアマゾネスだが、片方は完全に絞め落とされ片方はゴキュッと肩関節を外される。
「終わったか?」
「はい、では行きましょう」
ボリボリと串を食べていたリリウスはアミッドの言葉に椅子から立ち上がり、メレンのデートの続きをする事にした。
「それにしても、アマゾネスばかりですね」
「国家系
街を歩くアマゾネスを見て呟くリリウス。甘ったるい、麝香の匂いが鼻につく。
窓一つない、地下の広間。
臙脂色に占められた調度品に彩られ、娼館を彷彿とさせる淫靡な空気を纏う部屋にて、対面する二柱の女神。
片方はカーリー………そして、片方はカーリー達をこの地に呼び寄せた女神イシュタルである。
リリウスの推理通り【カーリー・ファミリア】が求める闘争とは【フレイヤ・ファミリア】とのものであり、呼び寄せたのは【イシュタル・ファミリア】。
第一級も所属するオラリオ有数のファミリアにして、歓楽街を支配する勢力圏の広さでいえばオラリオ一とも言える一大勢力でもある。
それだけの力を得ながらも、オラリオが讃える『美の女神』はフレイヤばかり。
自分の方が美の女神として優れているのにと、苛立つイシュタルはフレイヤを玉座から引きずり下ろす日を夢見なかった日などない。
そして目をつけたのが第一級……それもLv.6を有する【カーリー・ファミリア】というわけだ。ここにイシュタルの『秘策』も加われば
手筈を伝え、連絡法を伝え、『その日』に備える。
「ああ、イシュタル………その前に報酬について話したい」
「……財宝なら幾らでもくれてやる。好きな額を」
「いや、財宝ではない。要らなくなった、別の報酬だ」
「………?」
「今【ロキ・ファミリア】がこの港におる。何でも食人花とやらを追ってきたとか」
「ああ、
「そのまさか………奴等と戦いたい」
その言葉にイシュタルはたちまち両の眉を吊り上げる。
フレイヤの戦力もそうだが、【ロキ・ファミリア】だって大概だ。決戦前に必ず取り返しの付かない被害が出る。
「目的はあくまで姉妹よ………【
要するに殺し合わせたいのだ、この女神は。純然たる『人類への愛』故に。
「まあ【
「そいつに関しては、丁度いい。私に考えがある」
「ほう?」
「久しいな、リリウス・アーデ」
(……………誰だっけ、この女神?)
麝香の匂いがきつい。男女問わずまぐわっている匂いがする。もしや椅子樽とかそんな感じの名前の女神の従属神で、店で働かされているのだろうか?
「あの時と違い、美に反応するようになったのなら、解るだろう? この世で最も美しい女神が誰か。応えられたのなら、極上の肉体を味わわせてやろう」
「? アフロディーテ」
「──────」
「で、極上の肉って豚肉? 牛肉? それともメレンだし、鯨? おい、聞いてんのか?」
「っ! 私が、あんな女に劣るだと!! 取り消せ、リリウス・アーデ!!」
「………………あぁ?」
殺さない程度に加減した蹴りが女神の胸を叩き、肺の中の空気を吐き出させる。
「なんだこのクソ女神………おい、そこに隠れてんの」
「は、はい!」
「これ持って帰って失せろ」
「がってんです!」
女神はいざという時のために控えていた『
で、結局あの神は何処の誰? まあいか、どうでも。
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